クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 銀河の守護者   作:オービタル

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afterstory40:超決戦:後編

 

ヴァランドール皇国とエルシュリア王国の国境の大平原に着陸している勇人は、エリンに騎乗しているシンディの姿に驚愕していた。

 

「………シンディ?」

 

「勇人……」

 

「……あれ?…」

 

勇人は考え込む。

 

「『あれ!?…どういう事だ?え?シンディが人魚!?だとしたら、地球人じゃない!?あれ……あれぇぇ!?』」

 

勇人は考え込んでいると、シンディが心配する。

 

「勇人?」

 

「え?」

 

「私…大丈夫だから…」

 

「……」

 

シンディがそう言うと、勇人がシンディを抱える。

 

「キャッ!?」

 

勇人はシンディを抱え、クーフリンに乗せる。

 

「い、良いのよ勇人…」

 

「任せて…エリン、悪いけど自動操縦で戦ってくれる?」

 

「かしこまりました。」

 

エリンはそう言い、コックピットが変形する。

 

「行こ、皆の所に…」

 

「えぇ…」

 

勇人は急いで、エルシュリア王国へと向う。そして数分後、大平原の奥から煙が上がっていた。

 

「煙が!!」

 

勇人はクーフリンを上昇し、崖を上がっていくと、目の前の光景に息を呑む。

 

《オオオオオオオオオオオオオオ!!》

 

エルシュリア王国城外が大戦場と化しており、ホライゾン同盟国の兵士と見たことのない敵が戦っていた。

 

「一体どうなっているんだ!?」

 

「勇人!あれ!」

 

「!?」

 

シンディの指差す方向に、勇人とシンディは息を殺した。

 

「ホワァァァァァァァァァ!!!!」

 

「ケラケラケラケラケラケラ!!!」

 

「フィア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ァァァッ!!!!」

 

「ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!!」

 

「ギシアァァァァァァァァァァァ!!!!

 

「キョアアァアァアアアアアアア!!!!!」

 

「ンヮアアアアア!!!」

 

「フィア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"アア"ア"ア"ア"ア"ア"ァァァァァァァ!!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロォォォォ!!!!!!!」

 

7つの首とワニから無気味な鳴き声を轟かせている怪物が目に写った。

 

「あれは…一体なんだ!?」

 

「何でしょう……あの蛇のようなモンスターを見ていると……うっ!?」

 

突然、シンディが苦しそうに胸を抑えつける。

 

「どうしたの!?」

 

勇人が苦しむシンディを心配すると、フェイトがシンディの額に触れる。

 

「ギガタノオロチはきっと……この娘を探そうとしている……そしてドレギアス・ゾークも…」

 

「ドレギアス!?」

 

「彼は今、ザ・コアで完全体になっております…しかも、異次元生命体軍団を引き連れて…」

 

「どうすれば!?」

 

「だけど安心して、この戦場からあなたのお師匠がいます」

 

「師匠が!?」

 

「どうやら、彼はザ・コアで願ったのでしょう…」

 

「そうか…師匠、皆を人間に戻してくれたんだ………母さん…」

 

「?」

 

「シンディをお願い…」

 

勇人はそう言うと、コックピットから出て、荒神へと変身した。

 

「行くのね…」

 

「うん…」

 

勇人はそのままクーフリンから降下し、戦場へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、陽弥はシグムディアのエクシードとヴェルデライズを乱射し、エミリアもシグニューのエネルギーランスでアンデッドや異次元生命体を突き刺していく。レオンもヴェルトヴィンガーのシャイニングウィングの武装プラットフォームに搭載されている12基の遠隔操作兵器『エールシュヴァルト』を展開する。

 

「エールシュヴァルト!」

 

レオンが命令すると同時に、エールシュヴァルトが一斉に飛び回り、向かってくる異次元生命体を射ったり、突撃し、斬り裂いていく。

 

「切りがない!!」

 

レオンやジュン達も異次元生命体に苦戦する。

 

「ダメだ!数が多すぎる!」

 

「私に任せてください!」

 

「サラ!」

 

サラの焔龍號が空を舞い上がり、永遠語り"風の歌"を奏で始めた。

 

「♪〜♪〜」

 

それを聞いたアンジュとタスク、そして陽弥とエミリアは護衛に付く。

 

「ルミナスビット!」

 

「ルミナスファンネル!」

 

シグムディアとシグニューからエネルギー形式のソードとキャノン砲が射出され、妨害しようと迫り来る異次元生命体を落として行く。そして焔龍號の装甲が黄金に輝き、肩部が展開され、異次元生命体軍団に向けて、収斂時空砲を発射した。

 

「決まりました!!」

 

フェイズがそう言った直後、ギガタノオロチが立ち塞がり、巨大な口を開け、収斂時空砲を吸収する。

 

「そんな!!?」

 

収斂時空砲があっさりと喰われたことに、陽弥達は驚く。

 

「やはり、超魔獣には収斂時空砲など容易いって言うことか……くそっ!」

 

今度は陽弥がブラムと協力し、ディスコード・Z・フェイザーを発射した。光と闇の粒子が混合し、白と黒の竜巻状のビームが飛ぶが、ギガタノオロチはそれを意図も簡単に吸収していく。

 

「馬鹿な!?クトゥルフにも匹敵するほどの威力だぞ!!?」

 

するとギガタノオロチが7つの首から赤い光弾を放つ。

 

《うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!》

 

《ぐああああああああああああ!!!!!》

 

ギガタノオロチの光弾の威力と爆発に巻き込まれる陽弥とレオン達は急いでエルシュリア王国城門へと下がろうとする。

 

「この化物が!畜生!」

 

ロザリーがアサルトライフルを乱射し、連装砲を放つ。砲弾が目に直撃するが、ギガタノオロチは無傷であり、ロザリーを睨みつけ、大咆哮を放った。

 

「ホワァァァァァァァァァ!!!!」

 

「ケラケラケラケラケラケラ!!!」

 

「フィア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ァァァッ!!!!」

 

「ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!!」

 

「ギシアァァァァァァァァァァァ!!!!

 

「キョアアァアァアアアアアアア!!!!!」

 

「ンヮアアアアア!!!」

 

「フィア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"アア"ア"ア"ア"ア"ア"ァァァァァァァ!!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロォォォォ!!!!!!!」

 

「ひえええええっ!!!」

 

ロザリーは大咆哮により転ぶ。

 

「ロザリー〜!」

 

クリスが急いでロザリーを救出し、急いでエルシュリア王国城内へと避難する。城壁門には対空砲が必死にギガタノオロチに攻撃するが、攻撃が聞いていなかった。

 

「来るぞ!!来るぞぉぉぉぉ!!!!オロチが来る!!全員!!後方に下がれぇぇぇ!!!」

 

兵士は叫びながら、必死に後方にいる者達に伝えると、ギガタノオロチはエルシュリア王国全体を覆っているバリアをも破壊し、城壁があっという間に粉砕されてしまった。ギガタノオロチの頭頂部の上にドレギアス・ゾークが笑っていた。

 

「ハハハハハハハハ!!!全てを滅ぼすがよい!ギガタノオロチよ!!」

 

「ホワァァァァァァァァァ!!!!」

 

「ケラケラケラケラケラケラ!!!」

 

「フィア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ァァァッ!!!!」

 

「ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!!」

 

「ギシアァァァァァァァァァァァ!!!!

 

「キョアアァアァアアアアアアア!!!!!」

 

「ンヮアアアアア!!!」

 

「フィア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"アア"ア"ア"ア"ア"ア"ァァァァァァァ!!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロォォォォ!!!!!!!」

 

ギガタノオロチが今にも襲うとした直後、ギガタノオロチの動きが止まる

 

「?」

 

ドレギアスは確認すると、尻尾に荒神化した勇人が掴んで引っ張っていた。

 

「新川 勇人……クアンタ人と地球人のハーフが!!」

 

「ドレギアス!」

 

勇人はドレギアスを睨み、腕に力を入れ、ギガタノオロチを投げ飛ばした。勇人は拳を構えた直後、9時の方角から変わり果てた洋介が殴り掛かってきた。

 

「洋介!?」

 

「カアアアアアアアアッ!!!」

 

洋介の巨大な拳が勇人に炸裂する。

 

「クッ!!」

 

勇人は防御体制を取るが、洋介の力の反動により、数十メートルまで吹き飛ばされた。

 

「この力……まさか師匠の!?」

 

勇人は洋介の力の正体を知り、洋介を見る。彼の目は死んだ魚の様な目であり、口から唾液が垂れていた。その姿はまるで理性と心を失い、欲望と本性、そして野心と力に溺れた人間のなれ果て……『醜く穢れた怪物』そのものであった。勇人はすぐ様拳を構えると、ギガタノオロチが起き上がり、勇人を鋭く睨む。

 

「来い!!」

 

勇人の言葉と共に勇人と洋介の殴り合いが始まり、ギガタノオロチが勇人目掛けて走って来る。ドレギアス・ゾークはゼロ共に上空から勇人を見る。するとそこにブラッディレオンが騎乗しているヴェルトバーサーカーが来る。

 

「全く……貴方という方は、そこで眺めているだけですか?」

 

「フン……奴は下僕とギガタノオロチに任せる……本当の目的は……フェイトのザ・シードと……そして…」

 

ドレギアスはゆっくりとエルシュリア王国の城を見る。

 

「"黄昏の歌姫"である人魚姫は……あの城にいる……ブラッディレオン、行くぞ」

 

「了解」

 

ドレギアスとブラッディレオンはエルシュリア王国都内に侵入し、エルシュリア城へ向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、城内では多数の負傷者や機体の修理があっていた。軽傷を負ったレオン達は頭や頬、腕や腹に包帯が巻かれていた。

 

「くそっ!ドレギアスの奴、ギガタノオロチを使いやがって!」

 

アストラが拳を壁にぶつけると、陽弥が朝日の光が照らされている窓を見る。

 

「勇人が何とか相手しているんだが……俺達はただ……ここで見守る事しかできないのか………?」

 

陽弥は窓の外を見ているとそこにフェイトと人魚になったシンディを抱えていた。

 

「シンディちゃん!?」

 

エミリアやレオン達は驚くと、陽弥が言う。

 

「やっぱりな……」

 

「何がですか?」

 

サラが問うと、陽弥は詳しく解説する。

 

「彼女は……かつてクアンタの始祖等に作られた第二の生命体………『歌の民』だ…」

 

《『歌の民』?》

 

「歌の民はかつて…クアンタの始祖達と深い交流があったんだ……彼等は歌で時空を宥め、ダークマターを浄化する能力があるんだ……だが、」

 

「だが?」

 

「ギガタノオロチ……嫌、正確に言えばギガオロチがダークマターの集合体として生まれ、全ての星を喰らい尽くしていった……そして奴はある物に目が入った……かつて歌の民には王と妃との間に八人の娘達がいたんだ……ギガオロチは100年に一度ここへ参り、娘を一人一人食い殺して行くと言う享楽を楽しんでいったのだ…… 」

 

ギガオロチの本性にレオンとサラは怒る。

 

「罪も無い子供を、遊びや楽しみで食い殺すなんて……自分勝手すぎだなぁ……」

 

「何と下劣な……」

 

「その為、多くのクアンタの兵士達を向かわせたが、返り討ちにされ、誰一人も戻ってくることはなかった……そして彼等は最後の手段に取り掛かった…八人皇帝及び……16人の龍の力を纏った鎧人を連れて……」

 

「荒神と共に封印した……」

 

「そこからなんだ……実は、その荒神の正体なんだ……彼は七人の弟達を纏め……国民からも信頼性持つ皇帝………初代クアンタ帝国皇帝 ローハン・ブリタニア・クアンタ……その人物こそが、勇人の先祖でもあるんだ…」

 

《えぇっ!!!!?》

 

「彼は確かにクアンタ人かもしれない……だけど、自身が皇家の末裔だと言う事は知っていない……それに、この事は本人には言うなとあの人から言われている」

 

「あの人?」

 

アンジュが首を傾げると、柱の陰から黒いマントで覆われた人物が現れた。

 

「わしの事か?」

 

《っ!?》

 

皆は驚くと、陽弥は老人に話し掛ける。

 

「色々と世話になったな……あんただろ、幼少の頃…俺にインフィニティソウルを渡し…マナを過去に送り…星の爆発から俺を助けてくれたのは……」

 

陽弥はそう言うと左腰に装備していたガイアブリンガーを抜刀すると、黒マントの老人が鞘からガイアブリンガーを抜刀し、陽弥の攻撃を防御した。

 

《っ!?》

 

レオン達は、黒いマントの老人が持つガイアブリンガーを見て驚く。

 

「ガイアブリンガー!?」

 

「やっぱりな……その剣技、身のこなしさ…間違いなく俺の剣技だ……」

 

陽弥がそう言うと、老人はフードやマントを剥ぎ取り、姿を現した。そう……その老人こそ、年老いた陽弥本人であった。赤かった髪は白く、長髪、白い髭を生やしており、それはまるで、賢者如く勇ましいものであった。

 

「良く気がついたな……何時からだ?」

 

「あの時だよ……俺が死にかけている時に、あんたは輝きを発していたが、そのマントが一番目立っていたよ……」

 

「フフ…最初からか、まぁ良いだろう……お前達に率直に言う………ギガタノオロチとドレギアスだけは、そのままのたばらしにしてはいけない……絶対に倒せ……塵も遺すな…」

 

「分かっている…それはとっくに「そう言う意味ではない……奴の狙いは、シンディ・マリーシェだ…彼女はそう……歌の民の…姫巫女でもある」何だって!?」

 

「彼女は幼少の頃…マリーシェ家に拾われたんだ……DNA検査では身元も不明確認され、マリーシェ夫妻はその娘を育てる事にした……いつか自分が……孤児と言う事がバレないようにと……だが、結果…彼女はようやく成人の時が来てしまったのだ……」

 

「成人?」

 

「あの石碑に書かれていた事を忘れたのか?…『長月の日、血に染まりし、紅き月........闇に染まりし、漆黒の太陽が現れしとき、因果を捕食する厄災の大蛇......黄昏の巫女姫と永遠の命を喰らい、真なる絶望へと覚醒する。』と……」

 

「真なる絶望……ギガタノオロチではないのか?」

 

「違う…そもそも、永遠の命は何の事か知っているのか?」

 

「……………まさか!?」

 

「あぁ…そのまさかだ…」

 

「何?何が分かったの?」

 

「これは"予言"だったんだ!しかもこの予言は…運命に逆らえないと言う法則でもあるんだ!」

 

「だから!その予言で何が分かったのですか!」

 

メリダは必死に質問するが、陽弥は無視する。

 

「ドレギアスは……まだ進化する!」

 

陽弥がそう言った直後、扉が破壊された。

 

《っ!!?》

 

扉から現れたのは、ゼロに騎乗しているドレギアスとヴェルトバーサーカーであった。

 

「ドレギアス!」

 

陽弥はドレギアスを睨み、

 

「ブラッディレオン!」

 

レオンはもう一人の自分を睨む。

 

「その通りだ…陽弥・ギデオン……ギガタノオロチは今も空腹だから……」

 

ドレギアスはフェイトと抱えているシンディを見る。

 

「歌の民の末裔と…フェイト…お前のザ・シードを寄越せ……」

 

「嫌だと言ったら?…」

 

「………死んでもらう」

 

ドレギアスがそう言うと、陽弥達が前に出る。

 

「ここを通りたければ……俺達を倒せ!」

 

レオンやジュン達も前に出て、武器を構える。

 

「超・龍装光!」

 

「天・龍装光!」

 

「狼・龍装光!」

 

「剣・龍装光!」

 

「呀・龍装光!」

 

「峯・龍装光!」

 

「極・龍装光!」

 

陽弥達の武器から古の銀河七聖龍達が現れ、それぞれの鎧へとなる。

 

《龍装光!!》

 

ルナとリョウマ、ソフィア、アレクトラとルチル、そしてアストラ、ベイボルス、アイリス、エミリアもそれぞれの龍装光へ変身する。

 

「そうか……なら、我も!邪・龍装光!!」

 

ドレギアスが叫ぶと、勇人が戦っているギガタノオロチがディザスターに戻され、ドレギアスの鎧へとなる。ドレギアスはディザスターを構え、陽弥達に言う。

 

「本気で来い……愚か者共め…」

 

陽弥達は剣を突き付け、ドレギアスへ向かって行くのであった。

 




次回……最凶の絶望が降臨します……

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