クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 銀河の守護者 作:オービタル
一方、陽弥達は、エイルマットが放った同盟条約に悩んでいた。
「アリス艦長......どうするのですか?」
ルナがアリス艦長に言うと、艦長は答える。
「..........それより........何故........貴方は戦うのですか?」
「「え......!?」」
「俺の要求に答えろ.......エリシア人......」
「それよりも......私の質問に答えてください.......!..........何故、貴方がここにいて、どうして.......人類銀河共和国にアジマス連邦が地球に襲来した時に........シンさんを助けなく、只、軌道上でじっと見ていたのですか?」
「「!?」」
陽弥とルナと三人のオペレーターとメイが驚くと同時に、エイルマットは答える。
「........コイツの為だったからだ。」
するとエイルマットの後ろに下がるとある人物が現れ、それを見ていた陽弥達は驚き隠せなかった。それは、軽量装甲をしており、その装甲から桃色に発光するライン、そして女性型のアジマス連邦兵だった。
「アっ!?.............アジマス連邦兵!!??」
「コイツはΔ【デルタ】........彼等からはこう呼ぶものもいた.............アジマス連邦第一皇女と........」
「えぇ、!?アジマス連邦第一皇女........だと!?」
「訳を話せ.......」
「『貴殿方々にお願いがあります。』」
「何なのですか?」
「..........アジマス連邦.........アジマス兄上、イプシロン.を........止めてください...........そして、武力行使を.......停止させてやってください........」
「っ!?何故?!」
「何故ならば.......元々アジマス連邦は.....ある共存を願っていた古代種族に作られた生命体です。」
「ある古代種族.......?!」
「彼等は......私達、アジマス連邦を作ると同時に様々な生命を作り上げていった。その生命の中に人類も含まれています。」
「「人類も作り上げた!!!???」」
「そのような話.......惑星エリシアを管理するスーパーコンピュータ『アイリス』でも聞いたことがありませんわ.....!」
「そのアイリスもまた......彼等が作り上げたマザーコンピューターをサポートするサブコンピューターの一部です。」
「えぇ、!?」
アリスは驚いた。自分の故郷を管理し、全ての銀河の事を知っているスーパーコンピューター『アイリス』がその古代種族が造り上げたサブコンピューターの一部の事に、
「様々な生命を造り上げた彼等はある事を話しました。全てをも凌駕する無限の極限、極大、究極にして最高の万能の力を三つも造り上げた。」
《三つの.......万能の力.......?!》
「しかし、その力を造り上げた彼等の中に......優秀で才能であった科学者は力の危うさに負け、それを悪用し、全時空を支配しようとしていた者がいた.......彼はその力に潜む悪魔の囁き耳を傾けてしまい、その力の一部が彼の体と遺伝子を強制改造され、醜い姿になり、神をも凌駕する力を手に入れた。」
「醜い姿に.........!?......まさか.......それって.......!」
「そう........貴方達双子の父親が倒した.........元は有機生命体だった者........邪神皇ドゥームです。」
「「!!」」
「ドゥームは創造種と私達......アジマス人を滅ぼそうとしました。その時、奇跡が起きたのです。創造種の一人がある祈りと無限の力の一つを使い......二体の神を召喚させた。」
「召喚.....って!」
「二体の神は激しい戦いをし、ようやくドゥームを混沌の間に封印することが出来ました。ですが.....創造種は既に......滅んでおり、アジマス人だけが生き残ってしまいました。悲しみに溺れたアジマス人は創造種を怨み、自分達だけの独立国家........アジマス連邦を築き上げたのです。」
「っ!.......その創造種が........俺らと同じ.......有機生命体だったのか........」
「その通りです。ヴェクタの少年よ......」
「だからって.....!私達、他の有機生命体に八つ当たりはないよ!?」
「ルナの言う通りです。確かに貴女の種族アジマス人には辛い過去かもしれませんが.......やはり、止めなくてはなりません.......!」
「で.......どうするのだ?........俺との協定条約を結ぶのか.....それとも助けを借りずに挑むか.......」
「.............」
その時、後ろから別の声がした。
「同盟を......結びます!」
「「「っ!!?」」」
陽弥達は後ろを振り向くとそこには避難民の青年や子供達がいた。
「知らなかった.......アンタ達の事も......何でそんなことをするのかも........ここで分かった!......俺ら.......止めます!」
「私達も......!」
「僕も......!」
「皆.......」
すると別のモニターが開き、銀河連邦兵のスティーブが映った。
「その話........我らも加戦しよう....!我ら銀河連邦は種族銀河同盟との.......協定条約を結ぶ!」
「え!?.....良いのですか......!?」
「当たり前だ.......彼方側、此方側......関係ない!........我らも貴殿方と同じ地球人であり、在るべき生命だ。」
「私も......止めたい!........アジマス連邦の過去がそんなに苦しく辛かった事に、私は決意しました。陽弥様やその古代種族のような共存出来る世界に変えたい。」
「契約成立だな.......」
「えぇ......」
「さて、実は.....条約したのには理由がある。」
「何でしょうか.....スティーブ艦長?」
「条約した理由は......これから行われる作戦でだ........上層部の者達がこの作戦には君たちの力が必要と言っていた。その作戦の内容はそこにいる難民の子供達の新しい故郷......"開拓惑星メトロ"に.....アジマス連邦の軍が......今まさに彼らを奴隷にされている。このままではこの子達の両親方々はアジマス連邦の奴隷になる一方どころか、殺されてしまうのだ。そこで君達の出番なのだ。」
「つまり、惑星メトロを奪還してほしいと.....?」
「頼む.....!」
「.........良いでしょう......」
「感謝する.....!」
スティーブが敬礼すると同時にモニター画面が消えた。
「さて......総員に告ぐ!これより、我らは、銀河連邦と共に開拓惑星メトロを奪還する!良いですか!?」
アリス艦長の言葉に陽弥達は敬礼する。
「《了解!!!》」
そしてウラノスはエイルマットの戦闘艦"アムザニ"と銀河連邦旗艦"ゼウス"率いる大艦隊を引き連れ、共にワームホールを開き、"開拓惑星メトロ"へと向かって行った。
そしてその頃、"開拓惑星メトロ"では.........
「あああああ~~~~!!!!!!」
アジマス連邦兵が女性の奴隷の背中に電磁ウィップを振るっていた。
「『モタモタするな!』」
アジマス連邦兵が叫び、労働者にウィップを振り回していた。
別の所では奴隷達に焼き印を押していた。
「ぐあああああああああ~~~~~~!!!!!!」
ビームで放出している焼き印は熱く、まさに地獄の痛みでもあった。
「お願いします!その子だけは!その子だけは!」
母親らしき女性は必死に乳飲み子を離さないようにしていた。
しかし、アジマス連邦兵が女性に電磁ウィップを振り付け、乳飲み子を奪い取った。
「お願い!やめて!やめてぇ!!!!!!!!」
ビームの焼き印が乳飲み子の額に付けられ、悲鳴を上げていた。
うぎゃぁぁぁ~~!!!!うぎゃぁぁぁ~~~!!!!!!
女性も泣きながら焼き印を押し付けられた我が子を抱き締めた。
「ホラッ!とっとと歩け!」
アジマス連邦兵が女性を蹴りあげると一人の男性がアジマス連邦兵を押し倒した。
「アンタら!子供も奴隷にするつもりか!?」
男性が怒鳴るとアジマス連邦兵達が男性にアームキャノンを突き付けて、囲んだ。
すると向こうから、誰かが来るのが見えた。アジマス連邦兵がその人物に敬礼する。
「『Μ(ミュー)殿下!』」
ミューと名乗るアジマス連邦の者は男性に近寄り、慰めた。
「大丈夫ですか.......?」
すると向こうからも別の声がした。
「ミュー!!」
現れたのはスマートな体型をした男性型のアジマス連邦の貴族だった。
「パラス兄様......」
そしてパラスの横に体型がゴツく太っており、移動式の椅子に乗っていた。
「ミュー兄、何故そのような人物を助けるのですか?」
「..............」
「分かった.......じゃあ、」
するとパラスはアジマス連邦兵が持っていた電磁ウィップを奪い取り、ミューの所に投げた。
「っ!?」
「........お前がやれ、」
「っ!!?」
「お前は有機生命体には優しいからなぁ、人間は好きだろ?殺したくなかったらお前がそれを使って罰を与えろ!」
「........嫌だ!」
「さぁ!」
「........嫌だ!」
するとパラスはアームキャノンに切り替え、ミューの方に射った。
「やらなければ.......」
パラスはアームキャノンを奴隷達の方に銃口を向けた。
「待ってくれ!..........俺がやる......!」
「それでこそ、俺の弟だ........」
パラスは太った人物と共に建造中の宮殿に帰っていった。
そしてミューは電磁ウィップを手に持ち、縛られて背を向けられた男性の前に立った。
「すまん........すまん!」
ミューは電磁ウィップを振り付けると男性はあまりの激痛に耐えられなく、悲鳴を上げた。
「あああああ~~~~!!!!!!」
ミューの目元にはオイルが漏れており、まるで泣いているようにも見えた。
そして宮殿内の上層部にはパラスがメインモニターで開拓惑星メトロの軌道上にある衛生機を使って、見張っていた。するとパラスの後ろから黒いマントで顔を隠していた人物が現れた。
「おっ!来たか.......」
すると黒いマントを着た人物の顔からX型のバイザーが青白く光った。
そして、その頃........
「そっちは終わっているか?」
「もう終わっています!」
シンは作業員に命令し、心の中で子供達の事を思っていた。
「良し!........『待ってろ.....陽弥....ルナ......』」
シンは巨体な何かを開発していた。