クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 銀河の守護者   作:オービタル

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afterstory36:家族

その頃、ホライゾンでは……

 

「は〜い♪あんよが上手♪あんよが上手♪」

 

ヒルダは孫のオリバーとライラが歩いている姿に癒やされ、ヒルダの方へ誘導して行く。そしてシンも孫の可愛らしさに翻弄されていた。

 

「ん?……!!」

 

するとシンは気が付く、カーテンの陰からじっと見ている孫娘のマナに……。そして…

 

「大っ嫌〜〜い!!」

 

二人の弟妹に祖父と祖母を取られて、嫉妬したのか、マナは泣きながら外へ出ていった。シンとヒルダはオリバーとライラを抱え、マナを心配する。

 

「お姉ちゃん!!」

 

「お〜〜い!!マナ!悪かったよ〜!」

 

シンとヒルダがマナを呼び戻すが、遅かった。その後、シンとヒルダはエミリアにキッチリと叱られるのであった。

 

 

 

 

 

一方、エルシュリア城を出たマナは街で迷子になっていた。

 

「ジィジとバァバなんて……」

 

マナは石を蹴りながら街道を歩いていると、エミリアがマナを追いかけて来た。

 

「マナちゃん!やっと追い付いた!」

 

「ママ……」

 

するとマナが悲しい表情でエミリアに謝る。

 

「ごめんなさい…ママ……」

 

「…良いのよ、ジィジとバァバにはしっかりと怒ってきたから♪」

 

「ホント?」

 

「本当の本当♪さて、お買い物しよっか?」

 

「うん!」

 

エミリアとマナは一緒に、エルシュリア王都であるラダマンティスの街道を歩くのであった。そして路地裏から黒マントの男が、二人を監視していた。

 

 

 

 

 

エミリアとマナはたくさんの店を見て回り、美味しいお菓子を食べて行った。そしてこのラダマンティスで一番美味しいスイーツがあるお店に寄っていた。そしてテーブルの上にはエミリアにとってのお気に入りのカプチーノが置かれており、マナにはエルシュリア王国付近で採れる特産品"クランチェリー"と"ストロアップル"のミックスジュース、そして陽弥の好物とも言えるアップルパイが置かれていた。

 

「いただきます」

 

「いただきま〜す♪」

 

エミリアとマナはアップルパイを一口サイズに切り、口に入れた。

 

「美味しい〜!」

 

「フフ♪……(思い出すわ、この味……確かこの店……私が陽弥様と結婚して七日経っていた頃……)」

 

エミリアは懐かしのアップルパイを見て、思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2年前……マナとオリバー、ライラがまだ生まれていなく、陽弥とエミリア結婚してから二ヶ月後……二人は王都でデートすると事に。妊娠八ヶ月のエミリアは安静の為、車椅子に座っており、陽弥が車椅子を押しながら再建されたエルシュリア王都を歩き回っていた。

 

「お腹の方は大丈夫か?」

 

「えぇ、大丈夫ですわ♪」

 

「……無理しなくても良いんだぞ、もう妊娠八ヶ月だから、それに……」

 

「それに?」

 

「俺と護衛や車椅子無しで、街を歩いていると……俺とお前や……アストラッド王を暗殺し、妹のマリアとその身内と政略結婚させ、政権を握ろうとしている貴族がいるから……前の新婚旅行で、俺に毒が入っているスープを出してきたからなぁ……」

 

「大丈夫ですよ♪いざという時に、私のキュアコンディションと私達のスペクトロブスのリグルスと陽弥様のコマイヌがいるから安心です♪」

 

エミリアは何気なく陽弥に笑顔を見せると、陽弥が呆れてしまい、返せる言葉もなかった。陽弥とエミリアはそれからデートを楽しんでいた。そして……あるスイーツが美味しいと言う店に入り、コーヒーを飲んでいると……。

 

「動くな!!」

 

突然ドアから武装した人達が現れ、天井に向けてヴェクタ製のアサルトライフルを乱射する。

 

《キャァァァァァァァ!!!!》

 

客達が一斉に悲鳴を上げ、頭を隠す。エミリアは頭を隠すも、陽弥は頭を隠していなかった。するとテロリストの一人が店の前に集まった衛兵や騎士に言う。

 

「聞けぇぇぇっ!!愚かなる愚民共よぉぉぉっ!我々エルシュリア革新連盟はここに!新生エルシュリア王国に宣戦布告及び、エルシュリア王国国王アストラッド・ヴァルネア・クリーフ殿下のお命を頂戴する!」

 

テロリストが宣戦布告を宣言すると同時に、各部の街から煙や火が吹く。陽弥は手を上げる振りをしながら、テロリスト達の心を読み取る。

 

「(良し!上手く行ったぜ!)」

 

「(ハハ!これが銃…スゲェ武器だ……これが前金と共に配られるなんて、バルクレス伯爵様は偉大だなぁ♪)」

 

「(ヴァルキュリアス総統は暗殺し損ねたが、ここにいる人質がいれば、善良な総統や国王も流石に……)」

 

テロリスト達の心を読み取った陽弥はバルクレス伯爵の事を思い出す。バルクレス伯爵はかつて、陽弥とエミリアの結婚式に招待されており、身長は陽弥よりも少し低い。痩せ型でマッシュルームカットの男が口の端を吊り上げて笑っており、全身ラメの入った服に高級そうなスカーフ、金ピカのブーツを履いていた。陽弥はバルクレス伯爵の事を思い出すと、呆れていた。

 

「(あ〜、アイツか………あんなキモくて、ニヤニヤしてて、30も過ぎたのに15であるマリア(義妹)の許嫁になろうとは………面白い!)」

 

陽弥はそう思い、魔剣グラムを抜刀しようとしたその時、テロリストの一人がエミリアの後頭部にアサルトライフルを突き付ける。

 

「おぉぉいっ!!この孕んだ雌豚を殺されたくなかったら!今すぐに総統と国王にマリア姫殿下を連れてくるように伝令しろ!!」

 

テロリストの放った言葉に、陽弥の心に地獄の如く怒りの炎が、吹き荒れる。

 

「おいっ…今なんて言った…?」

 

「あ?」

 

「今…なんて言ったか質問しているんだ……」

 

「は?このっ!!!」

 

テロリストが話しかけた直後、陽弥の右ストレートが顔面に直撃し、テロリストもろとも壁を壊し、隣の建物へ吹き飛んだ。陽弥は最新制の防弾マントをエミリアに被せ、魔剣グラムを抜刀する。

 

「お前ら…未開惑星保護条約を破ろうとした事と産まれてくる新しい命と嫁さんに銃を突き付けようとした事を……身の程を知れっ!!」

 

陽弥はテロリストに向かって行き、次々と切り裂いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

数分後、衛兵と騎士がテロリストを逮捕し、連行していく。幸いに、陽弥はテロリストの銃を切っており、取り押さえていたと…本人が報告してきた。

 

陽弥はエミリアに謝罪していた。

 

「ごめん……せっかくのデートを台無しにしちゃって……」

 

「もう、陽弥様ったら……知らずらしいんだから♪」

 

エミリアが笑顔で陽弥の肩を叩きまくる。

 

「痛たたたたたっ!!?」

 

「さっきの陽弥様…カッコ良かったわ♡」

 

『未開惑星保護条約を破ろうとした事と産まれてくる新しい命と嫁さんに銃を突き付けようとした事を……身の程を知れっ!!』

 

数分前の陽弥の台詞にエミリアはメロメロ状態になっていた。

 

「まぁ……流石に妊婦には手を出さんと思ってたんだが……アイツ等、まさかのエミリアに銃を突き付けてきたときは、本当にガチ切れしてしまったからなぁ…」

 

「良いのですよ♪私達はもう……♪」

 

エミリアはそう言うと、陽弥の腕に抱きつく。

 

「"家族"であり、"夫婦"なのですから♪」

 

エミリアはそう言い、陽弥は呆れて言葉も返せなかったが、愛する妻の為にしょうがなく頭を撫でた。その後、陽弥は早速悪事を企てようとしていたバルクレス伯爵や取り巻き達を捕らえ、エルシュリア革新連盟は滅びたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

そんな出来事を思い出すエミリアは無事にマナやその後に生まれてきたマナの双子の弟妹であるオリバーとライラが生まれてきた事に、嬉しく思っていた。そしてエミリアとマナが寄っているこの店は陽弥の援助によって、再建された店であった。するとドアが開き、入ってきたのは勇人とシンディであった。

 

「あれ?エミリアさん?」

 

「あら、勇人君にシンディちゃんも♪」

 

「こんにちわ!」

 

勇人とシンディは椅子に座り、この店で陽弥とエミリアの思い出を話すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、陽弥は集結したクアンタの末裔と共に、アリアードの旗艦であるスペースノアに乗っていた。

 

「それで、ズィルバーンよ……どうやって時空の狭間に行くのであるか?」

 

「答えは簡単……コイツを使うんだ♪」

 

陽弥がポーチから取り出したのは、クアンタの技術で作り上げた小型のギャラリック・リングであった。

 

「それは?」

 

「フフフ…見よ、これが俺の祖先達が開発に成功した次元操作兵器だ!ギャラリック・リングよ!時空の狭間の扉を開いてくれ!」

 

陽弥が叫ぶと、ギャラリック・リングが空間へと突き抜け、手のひらサイズであったリングが、旗艦も入れるほどの大きなテレポーターへと変形した。それを見ていたメリダが唖然する。

 

「うわぁ〜〜メチャクチャカッコよすぎですわ……これ何なのですか?」

 

「これがヴェクタの超兵器だ…本来なら、見せるつもりはなかったけど、緊急事態な為だから起動した…」

 

陽弥はそう言い、進路を時空の狭間へと変え、ギャラリック・リングの異次元の穴へと入っていくと同時に、ギャラリック・リングが消える。しかし、その一部始終を見ていた帝国軍の偵察機がデススフィアへと帰還して行くのであった。

 


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