クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 銀河の守護者   作:オービタル

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afterstory31:陽弥とエミリア

 

惑星オルドリンの人々を銀河共和国首都でもあり、本部の惑星ライラックに移民を終えた艦隊は総本部へ帰還する。陽弥は養子であるヨーコを連れて、共和国軍総本部に入る。そこには数多の種族の司令官達や将軍がおり、鋭い目線で陽弥を睨んでいた。

 

「ゾンネ・シュリーフォークト…貴官を共和国軍特務大佐に任命する…。」

 

「はい、謹んでお受けしましょう。」

 

佐官服を着用している陽弥の胸に特務大佐の階級章がつけらた。陽弥は共和国によって作られた黄金のマスクと髪を赤から白銀に変え、呼び名を『仮面を付けた白銀の守護者』"ズィルヴァーン"と名乗り、養子であるヨーコも名前を隠し、仮名"リーラ"と名付けられた。帝国によって占領された星の住民を避難したり、共和国軍の部隊を派し、次々と帝国を圧勝していくのであった。その為、共和国政府や軍から、"白銀のコンダクター"と呼ばれた。そして共和国によって造られたコルベット級隠密特殊戦闘艦"ハバキリ"の艦長である陽弥は、宇宙帝国によって壊滅寸前であった残存部隊を集結させ、共和国独自の隠密部隊と共に、ディアヴォリアスの動きを探っていた。

 

「シュリーフォークト艦長!」

 

共和国兵士が報告と共に敬意を払う。陽弥は艦長席から立ち上がり、義足を付けたまま立ち上がり、兵士に問う。

 

「何用だ?」

 

「前方、東経一時の方向にて、所属不明機6機を確認しました。」

 

「所属不明機?」

 

陽弥は首を傾げると、兵士が外空間衛星カメラで撮られた写真を見せる。そこに写っていたのは、オメガメイルであるヴェルトサーガ イグナイテッドとエミリアのジグニュー リベリオン、テスタのターボレックス、ミラーナのプテライザー、オルトのプレジストアクセラー、そしてオメガプライムスが写っていた。

陽弥はそれを見て笑い、格納庫へと向かう。

 

「ジスタードと2機のロブを出せ…。」

 

「所属不明機の……所へですか?」

 

「あぁ♪」

 

「大丈夫ですか?もし彼らが帝国の者でしたら……」

 

「……心配はない、あれは帝国者ではない…だが、一人は"家系の者"だから♪」

 

「はぁ…?」

 

兵士が陽弥の言葉に首を傾げ、陽弥は格納庫に向かった。

 

 

 

 

 

格納庫では、共和国兵士達がジスタードの最終調整し、コックピットの中にいる陽弥が黄金のマスクを付け、口元をマウスマスクで正体を隠す。

 

「さて……アイツ等にちょっと喧嘩を売ってくるか……特に嫁さんに、久し振りにアイツと遊んでやるか……♪」

 

陽弥はそう言うと、声変換器を喉に付け、声を調整する。(ズィルヴァーンでの声優は近藤隆です。)

 

「"初めまして皆さん♪"……」

 

そして調整し終えると、叫ぶ。

 

「ズィルヴァーン…出る!」

 

陽弥…ズィルヴァーンのジスタードがカタパルトから射出され、2機のロブを引き連れてレオン達がいる宙域へとてつもないスピードで向かう。

 

 

 

 

 

 

 

数分前……勇人達は、シンが急用な仕事の為、地球に戻るといい、代わりに勇人を担任にした。指示はエミリアから報告してあると、そして勇人達は、レオンとヴェルトサーガ イグナイテッドの天・龍装光の稼働テストを行う為、別の宇宙と繋がっているテルミナス宙域へ来ていた。

 

「天・龍装光!!」

 

レオンは叫ぶと、ヴェルトサーガ イグナイテッドが光だし、白黄金のアーマーを身に纏う。

 

「それじゃ、私も龍装光をします……イザベル!」

 

エミリアがイザベルを呼び出すと、イザベルが深紅の薔薇の龍へと変わった。

 

「龍装光!!」

 

エミリアが叫び、イザベルがシグニューに纏わり付く。両肩に薔薇の形をしたレドムパーツが付けられており、後頭部に粒子帯を放出していた。

 

「さて、レオン・マクライトさん……手加減しませんよ♪」

 

「こちらもですよ、姫様…」

 

レオンはアーティファルソードⅡを抜刀し、エミリアもエネルギーランスとビームシールドを構える。

 

「いざ!」

 

「お相手して貰いますわ!!」

 

両者は機体を動かそうとした直後、コックピット内部全体にアラームが鳴り響き、突然モニター画面にノイズが出た。

 

「何!?」

 

「何だこれは!?」

 

そのノイズはオメガプライムスのモニター画面にも出ていた。艦内にいた勇人とシンディ、雄二達は慌てる。

 

「何!?」

 

「っ!!??」

 

その時、勇人とシンディは何かに感じ始める。

 

「どうした、勇人?」

 

「……来る」

 

「え?」

 

「分かる……この感じ、普通じゃない!」

 

それと同時に、レオンとエミリア、テスタ、ミラーナ、オルトがいる空間では、辺りを警戒する。そしてエミリアがこっちへ飛んでくる物に反応した。

 

「回避!!」

 

エミリアが叫び、レオンは散らばった直後、赤いパルスレーザーが通り過ぎた。

 

「今のは!?」

 

レオンが驚くと、赤い戦闘機と護衛の2機が通り過ぎて行く。

 

「速いっ!!」

 

赤い戦闘機はフルバーニアやスラスターを利用し、アクロバティックな旋回をして、レオン達の方へパルスレーザー砲を連射する。レオンはビームシールドで防御し、戦闘機が通り過ぎて行くと同時に、アーティファルソードⅡをライフルモードに切り替え、ノバビームを放つ。

 

「クソ!!」

 

しかし、赤い戦闘機と護衛機はビームの軌道を読み取り、とてつもないスピードで回避する。

 

「飛んでくる所が分かっているのか!?」

 

「所属不明機!応答せよ!貴官の所属名と名前を要求すしろ!」

 

テスタが戦闘機のパイロットに通信するが、応答はしなかった。

 

「無視か!」

 

テスタがそう言った直後、それを聞いていたズィルヴァーンは密かに言う。

 

「フン……相変わらずおバカさんだな、テスタよ♪さて、そろそろ本題に入るか……。」

 

ズィルヴァーンは鼻で笑い、ジスタードのフレシキブルアームを動かし、指をエミリアの方に向ける。

 

「私?」

 

そしてジスタードの指がクイクイっと動かす。

 

「勝負しろ?……」

 

パイロットの挑発にエミリアは頬を膨らまし、勝負を受ける。エミリアはエネルギーランスとビームシールドを構え、脚部装甲内にある高出力バーニアと腰部の長距離ブースターの出力を上げる。シグニュー高機動形態へとなり、赤い戦闘機に接触回線を開く。

 

「私はヴァルキュリアス総統 『陽弥・ギデオン』の妻!エミリア・ヴァルネア・ギデオン!!貴殿の名は!」

 

エミリアは名乗ると、聞いていた陽弥は声変換器を使い、通信する

 

「"私は……ズィルヴァーン"」

 

陽弥は呼び名で答え、パルスレーザー砲を構える。

 

「「勝負!!」」

 

陽弥とエミリア、互いに愛し合う夫婦は、今まさに最大の夫婦喧嘩を始めた。エミリアは高機動を活かし、ジスタードを追う。するとジスタードを守りに2機のロブが立ち塞がる。

 

「邪魔を!するなぁぁっ!!」

 

エミリアはシグニューの頭部に搭載されている粒子キャノンで応戦する。そして陽弥は船体上部に取り付けられている高火力プラズマビーム砲を放つ。エミリアはビームシールドでプラズマビームを拡散し、エネルギーランスに搭載されている長距離レールガンを放つ。しかしジスタードからフレアを放出され、レールガンが無効化された。

 

「フレア!?」

 

エミリアは驚くと、ジスタードの底部ハッチが開き、中からマイクロミサイルが一斉に発射され、エミリアの方に向かってきた。

 

「クッ!3児の母親はここで負けません!!」

 

エミリアは全身全霊を掛け、マイクロミサイルを回避していく。

 

「ハハハ…さすが、俺の嫁さんだ♪」

 

マイクロミサイルの雨を駆け抜けるシグニューはエネルギーランスを突きつける。

 

「貰ったぁぁぁぁぁぁーーーっ!!!」

 

エミリアが叫んだ直後、ジスタードのフレシキブルアームが展開され、収納されていた特殊超硬合金剣『ランドグリーズ』を抜刀し、突き攻撃を受け流した。

 

「っ!?」

 

それと同時に、ズィルヴァーンは声変換器を切り替え、接触回線でレオン達にも聞こえないように、エミリアの通信した。

 

「『"勝利へ導く太陽の騎神"…♪』」

 

「!?」

 

ズィルヴァーンはそう言い、エミリアの横を通り過ぎた。ズィルヴァーンはもう一つ収納されていたランドグリーズを抜刀し、片方ずつ攻撃体制、防御体制の構えをする。

 

「その構えは!!」

 

「そうだ……ファランクスの構えだ!」

 

ズィルヴァーンはそう言い、二刀流を突き付ける。エミリアはズィルヴァーンの攻撃を回避しながら、ズィルヴァーンを見る。

 

「(まさか…あの構えを必ずやるのは陽弥様だけ、だとしたらズィルヴァーンは………陽弥様!?いいえ、そんな筈は、陽弥様はドレギアスの所に囚われている筈!?!?)」

 

「何を考えているんだ?……そう思っていると、あの子らに負担を掛けちゃうぞ♪」

 

「っ!?」

 

人の心を読まれていたのか、しかもあの子等と言う言葉によって、ズィルヴァーンの正体が陽弥本人と分かった。

 

「嘘!?だって、体は囚われている筈!?」

 

「義体があるんだよ、カオスと全世界の神々の会議場である…"虚無の空間"で、義体を得た……そして、お前が去った時に3人等を誘拐しようしてきたコーパスからアイツ等を守っていたからなぁ……」

 

「えぇっ!!?」

 

陽弥の言葉に、エミリアは驚く。

 

「それに忠告しておく……もう奴らはグリニア帝国ではなく……五大宇宙帝国ディアヴォリアスだ……」

 

「ディアヴォリアス?」

 

「コーパスを含む数多の宇宙を支配しようとしている帝国が同盟を結んだ銀河帝国の集まりだ……数多の宇宙を守護している神々が殺られている……俺も負けてしまった…」

 

「陽弥様が!?」

 

「だがらエミリア……お前に伝えておく……早急に彼らの龍装光を急がせろそして時空族の根城"カリュプソ"にいる連中に伝えてろ『帝国がお前たちの所に向かっていると…』……俺と銀河共和国、残存している神々で生命を守るついでに時間を稼ぐ…」

 

陽弥の言葉に、エミリアは聞き入れる。

 

「……分かりましたわ!」

 

すると陽弥はポーチから、ある物を取り出し、コンソールに差し込むと。データがエミリアのシグニューに送信された。

 

「これは?」

 

「レオン達の為に、俺が秘かに設計した機体のデータだ……それじゃ、芝居をやって来れ♪」

 

陽弥とエミリアは武器をしまい、陽弥に言われた通り芝居をやる。

 

「さて、姫様……私には任務があるので、これにて失礼致しました♪」

 

「ま!?待ちなさい!!」

 

エミリアはそう言うが、ズィルヴァーンは2機のロブを引き連れて、宙域から去る。エミリアは遠くへ去る愛する夫へ深く祈る。

 

「(御父様(エヴァ)、御母様(ロラーナ)……陽弥様をお守り下さい…)」

 

そして陽弥も見送るエミリアへ深く祈る。

 

「(エミリア…皆を頼む!)」

 

陽弥はそう深く祈り、ハバキリへ戻っていった。

 

 

 

オメガプライムスへ戻ったエミリアは陽弥から貰ったデータを解析する。そのデータの中にはこれから、レオン達のパートナーとも言えるスペクトロブスのデータやレオン達に新たな改造用のパーツや設計図が入っていた。特にレオンの場合はそれ以上のであった。それを見たエミリアと勇人とシンディは驚く。

 

「「「嘘でしょ!!?/おい!おい!?マジ!?/I can't believe it!(信じられない!)」」」

 

それは…ヴェルトサーガ、エグゾディアスやライザーメイル、ローガストメイルに新たな力を与える事になる設計図でもあった。

 


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