俺の個性が知られたらヤバイ。   作:サイヤマンZ

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6話 友人

学校の校庭に出来たクレーターを埋める作業を終えた俺は、誰もいない更衣室で

着替えを行い、誰もいない教室で荷物をまとめて学校を出た。

 

一人、自宅に向かって道を歩いていると見覚えのある人物が人気のない通りで

俺の前に現れた。

 

「久しぶりだな。斉藤」

 

「雷門さん……なのか?」

 

雷門(らいもん)電次郎(でんじろう)。

己の電気を操る個性と尻を愛する180センチを超える大柄な大学生。

彼とは本屋で雑誌(エロ本)を立ち読みしていた時に出会った友人だ。

 

しかし、俺はその友人である雷門さんだとは声を聴くまで、誰だか分からなかった。

 

それは、今の彼と最後にあった時の彼の大きな違いがあったからだ。

誰もいない公園で乳と尻について語り合った彼は、明るい表情で優しい雰囲気だった。

 

だが、現在の彼は髑髏の様な仮面を被り、僅かに見える瞳はどす黒い。

雰囲気もとても冷たいものになっており、雷門さんとわからなければ警察に通報するレベルだ。

一体、彼の身に何が起こったのだろうか?

 

「そうだ。俺はとある悲劇によって敵(ヴィラン)となった」

 

呪詛の様な声色で淡々とした口調で敵となった事を語る雷門さん。

俺は彼の二重の意味で痛々しい姿を見ているのが辛くなり、口を開いた。

 

「一体何があったんだ…雷門さん」

 

「そうだな…お前には聞かせてやろう。

俺を狂気に走らせた地獄の惨劇を……」

 

彼は語り始めた。

彼が遭遇した悲劇を……。

 

去年の4月。

 

彼は俺と出会った本屋で一冊の特別な雑誌(エロ本)を購入した。

外見はなんの変哲もない普通の雑誌(エロ本)。

しかし、価値は中にある神秘的な画像ではなく一枚の応募ハガキ。

 

そう、そのハガキは諭吉を支払うことで美少女(抱き枕カバー)が自宅にやってくる特別なハガキだった。

 

購入するには親の目を誤魔化さねばならなかった彼はその黄金と同等の価値を持つ、ハガキを立ち読みを見逃してくれる心優しい同志である本屋の店長『乳仙人』にお金とハガキを託した。

 

店長はそれを受け取り、品物が届きしだい彼に連絡をすると言って快く承諾してくれた。

 

それから彼は彼女……桜(抱き枕カバーの名前)が家に来た時の妄想楽しみながら生活を送った。

 

桜(抱き枕カバー)と食事。

 

桜(抱き枕カバー)と映画鑑賞

 

桜(抱き枕カバー)とお風呂

 

桜(抱き枕カバー)と蜜月な夜の生活。

 

そして…運命の日がやって来た。

 

店長から彼女(抱き枕カバー)がやって来たと知らされた雷門は学校が終わると同時に飛び出し、本屋のある商店街に向かった。

 

彼は実現する桜(抱き枕カバー)との生活に胸をときめかせ、本屋のある商店街に辿り着いた彼が見たものは……。

黒焦げになった商店街と、その入り口に集まる人々と新聞記者とヒーロー……。

そして……新発売の本(エロ本)が店に出る度にワクワクしながら通った思い出の本屋が瓦礫の山となった光景だった。

 

わけがわからなくなった彼は周りの人に事情を聴こうと視線を動かし、見知った人に視線を止める。

野次馬の中に灰を僅かに被った店長を見つけたのだ。

彼は店長の元に走り事情と彼女(抱き枕カバー)について話を聞いた。

 

突如として出現した泥の敵(ヴィラン)…。

 

人質になった子供の個性により炎上した本屋と商店街……。

 

NO1ヒーローであるオールマイトの拳により鎮火する炎と拳圧により倒壊する本屋。

 

そして…これから彼と同棲生活をする予定であった桜(抱き枕カバー)が炎の中で還らぬ人(灰)となった事。

 

彼女(抱き枕カバー)の最後を聞かされた彼はその場で桜(抱き枕カバー)の名前を口にしながらその場で泣き崩れた。

 

生きる希望を失い、大学にも通わず自室に籠った彼。

 

憔悴した彼の目の前に突然、一人の男が現れて、彼に言った。

 

『君の大事な人を奪ったオールマイトに私たちと復讐をしないか?』

 

そしてあの日の事を男に教えられる。

 

商店街の火災はオールマイトのミスで起こった悲劇であると。

 

「こうして俺は、オールマイトを殺す為に敵になり、奴を殺す為に協力者と仲間を集めている。」

 

話を聞いた俺は、この人の言っている事が理解できなかった。

たかがグラビアアイドルの抱き枕カバーで人を殺す?

何言っちゃってんのこの人?

正直彼が真剣に語った悲劇(笑)よりも俺は、彼の頭の中の方が恐ろしい。

 

「さぁ、本題だ。俺の仲間になれ。

友人で強力な個性を持つお前が味方になってくれればとても心強い。」

 

彼の頭に驚愕している俺を置いてきぼりに、自信満々に俺を勧誘する雷門さん(変質者)。

その断られないのが当然のような自信はどこから来るのだろうか?

 

「断る」

 

「……まぁいい。

お前はヒーローの卵…すぐに答えは出ないだろう。」

 

いや、めっちゃ断ってますから。

めっちゃ即答ですから。

まるで映画のワンシーンみたいなセリフを言わなくていいから。

 

「次に会う時までに答えを決めておけ」

 

奴はそう言うと、体に電気を纏ってとんでもないスピードで空を駆けて行った。

 

………。

 

今日の晩御飯なんだろ?

 

今までのやり取りをなかった事にした俺は、夕飯の事を考えながら自宅へと帰った。

 




復活のFを見た後変なテンションで衝動的に書いてしまった為、無理が出てしまいましたので書き直しました。

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