このすば*Elona   作:hasebe

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第73話 えっちなのはいけないと思います!

 あなたは光と岩が両方備わり最強に見える伝説の聖剣を手に入れた。三万エリスで。

 岩を引き摺ると移動の際に地面に跡が残ってしまうので剣の腹を肩に乗せて担ぎ上げているのだが、これがまた凄まじく目立つ。負荷がかかってぽっきり逝きそうな荒い持ち方だが、頑丈な聖剣はびくともしない。

 

 なお伝説と謳っておきながら、実際は鍛冶屋のるぴょろが作ったものである事をゆんゆんに教えてもらった。お値段は三万エリスだし性能は確かなので文句は無い。

 ゆんゆんの話では聖剣は里の観光資源の一つだったようだが、あなたが回収してしまった以上また新しい物を作るのだろう。

 本来であれば一万人が剣に触る事で封印が解ける予定なのだが、その前に封印ごと回収されてしまい、制作費を鑑みると大赤字に陥った鍛冶屋は今度は物理的に回収されない物にすると泣きながら言っていたのでどんなものを作ってきてくれるのか実に楽しみである。勿論あなたはあらゆる手段をもって合法的に新作の回収を試みる所存だ。

 

「よく持てますよねそんなおっきいの……」

 

 そんな聖剣カッコイワを見上げながら、あなたの隣に立つゆんゆんが恐る恐るそう言った。

 なお隣に立つと言っても彼女は現在あなたから十五メートルほど離れたままである。これ以上近付くと走って逃げ出してしまうのだ。失礼な話である。

 

「だって潰されそうで怖すぎますし……というかそれ、どう処理するんですか? 岩を壊すならお手伝いしますけど」

 

 これを壊すだなんてとんでもない。

 この岩聖剣は岩聖剣だからいいのだ。岩を無くした岩聖剣など、最早ただのありふれた強力なだけの聖剣でしかない。

 あなたはこの岩聖剣から迸っているマジかよお前……みたいなどうしようもなさと投げっぱなしジャーマンを決め込んだ独特の雰囲気に惹かれたのだ。

 

「え、あ、はい……分かりました……」

 

 いかにこの聖剣がネタ的においしい代物なのか熱弁するあなただったが、釈然としない面持ちのゆんゆんは残念ながらあまり理解を示してくれなかった。

 この世界における一般的な感性を持つゆんゆんがこの反応という事は、他の者もそれに準じるのだろう。

 こういう時はノースティリスが恋しくなる。あなたは自身と他の者の間に隔たっている異世界という名のカルチャーギャップの壁が高く険しい事を改めて実感するのだった。

 

 

 

 

 

 

 ダニーとグレッグを預けている馬小屋に聖剣を置き、とても迷惑そうな顔の二頭に見つめられながらあなたは観光に戻った。

 聖剣についてはこの後アルカンレティアに飛んで二頭を返却する際、一緒に四次元ポケットに突っ込んでおくつもりだった。流石にここであんな巨大な物を堂々と収納するのは目立ちすぎるからだ。

 

 そうしてあなたが次にやってきたのは、里の入り口付近に建っているモンスター博物館。

 実際に住んでいる者はアークウィザードばかりだが、見た目だけならのどかな農村らしい紅魔族の里は木造建築が主体である。

 だがこの博物館だけは例外だ。

 

 自然に囲まれた風景の中、壁から柱まで全てが白の大理石で構成されているその建造物は一際目立っており、さながら白亜の神殿を思わせる。

 別の場所、例えば王都からテレポートで建物だけ持ってきたのではないかと疑いたくなる程にここだけ周囲の風景に溶け込んでおらず、見ていて違和感しか覚えない。

 

「やっぱり博物館だから見た目も立派にしようって事で、皆が張り切って作ったらこうなっちゃったんですよね」

 

 入館料は百エリス。

 王都にも存在する博物館と比較すれば破格と呼べる値段だが、入り口に立っている料金箱には蜘蛛の巣が張っていた。

 どれだけ客が来ていないのだろう。採算は取れているのだろうかと心配になってくる。

 

「建物自体は魔法で建てたのでタダですし、中のモンスターも皆が狩ったものを飾っているので実質無料ですよ。まあ里の皆はわざわざ里の周辺に生息しているモンスターを見に来たりしないので、こういう時でもないとお客さんが来ないんですが……あんまりお客さんが来ないので館主さんもいないですし」

 

 確かに僻地な上に周囲に強力なモンスターが跋扈する紅魔族の里はアクセスが最悪だ。

 そんな場所に博物館が目的で足を運ぶような酔狂な者が何人もいる筈がなく、更に紅魔族は独特の感性を持っていて敬遠されがちときている。

 何のために建てたのだろうと思わざるを得ない。

 

「……ほんとなんで建てちゃったんでしょうね」

 

 遠い目でゆんゆんが呟いたが、多分深い理由は無いのだろう。

 観光客であるあなたは思う存分楽しませてもらうつもりだったが。

 

「ですが中に剥製は沢山ありますから。里やアルカンレティアで活動している冒険者の方でもないかぎりは楽しんでもらえると思いますよ?」

 

 ゆんゆんの言ったとおり、この世界にも剥製は存在する。

 存在するのだが、残念な事にそれはあなたの知っている剥製ではない。

 しかし紅魔族であればあるいは、と一縷の望みを託しつつあなたはどうやって剥製を用意しているのか聞いてみる事にした。

 

「え、どうやってって聞かれても困るんですけど……えっと、まずは傷をつけずに仕留めたモンスターの皮を剥がして腐らないように処理をするんです。そしてその後にモンスターを象って作った木像や石膏の像に上から皮を被せたり、他には色んな物を詰め込んで本物そっくりに整形する……んだったかな? 詳しくは覚えてないですけど、大体そんな感じだったと思います。あ、でも剥製は本物そっくりで凄いんですよ? 里の職人さん達が腕を振るいましたから」

 

 どうやらこの博物館に陳列されている剥製の数々もドロップ品ではないようだ。あなたはゆんゆんに礼を言いつつ内心で溜息を吐いた。

 熊程度なら彼女が説明してくれたように手作業で剥製を作ってみてもいいのだが、人体のように毛皮が無く誤魔化しが利かないものやドラゴンのように巨大な剥製を作るのは大変だ。

 製作を委託してもいいのだが、流石に人間の剥製は作ってくれる気がしない。

 人間だけは自作するべきだろうか。しかしそんな技術を持っていないあなたはどうしても二の足を踏んでしまう。

 なまじイルヴァで入手出来る剥製が気味が悪くなるほどに本体と鏡写しな出来なだけに、あなた達の目は非常に肥えている。あなたとしても半端な出来の剥製は用意したくない。

 よってやはり願いで手に入れるか世界法則を書き換える選択肢を選びたいところである。

 

 それにしても異世界だから仕方ないとはいえ、死体から剥製がドロップしないなどやはりこの世界はどこかおかしい。

 

 

 

 さて、肝心の紅魔族の博物館だが、扉を開けて最初にあなたを出迎えたのは躍動感に溢れ今にも動き出しそうなグリフォンの剥製だった。

 先日あなたが撃墜したグリフォンに勝るとも劣らぬ体躯を誇るそれが大きく翼を広げて飛び立とうとする様はインパクト抜群で、入り口で客の期待を煽るのに十分すぎる効果を出している。

 

「ふふ、凄いでしょう? グリフォン像よりおっきいグリフォンなんですよ」

 

 よくぞここまで綺麗に殺したものだと瞠目するあなたにゆんゆんが自慢げに笑った。

 ゆんゆんの言っているグリフォン像だが、これは紅魔族の里の入り口付近に立っている、この博物館と同じように立派なグリフォンの石像の事だ。

 ちなみに里に迷い込んだグリフォンをそのまま石化したものだったりする。

 何かの弾みで石化が解けたら少し騒ぎになりそうな観光名所の事を思いつつ、あなたは剥製の横に置いてある説明書きに目を通した。

 

 ――強敵(とも)よ。黄昏に染まりし我が(かいな)の中で永久(とこしえ)に眠るがいい。そして来世で再び相見えん。……ここに強敵(とも)を屠りし罪過と共に我が名を記す。我が名はるぴょろ。紅魔族随一の鍛冶屋なり。

 

 その内容にあなたは軽い眩暈を覚えた。

 グリフォンの生態やサイズに関しての説明が記されているのは普通なのだが、そこは流石の紅魔族。

 彼ら特有の言い回しと共に仕留めた紅魔族の名前がグリフォンの説明に混じって記されている。

 

 ――私がこいつを仕留めました。by紅魔族随一の鍛冶屋のるぴょろ。

 

 彼ら独特のユニークな言い回しを簡潔に翻訳するとこのようになる。

 最近のノースティリスでは野菜を作った農家の顔と名前が分かるブランド野菜なるものが市場に出回っているが、これもその類だろうか。

 それにしたって自己主張が強すぎである。これはグリフォンの説明文ではなかったのか。というかまさかこの先全ての剥製の説明文にこれが出てくるのではないかとあなたは早くも辟易した。

 

 確かにここは異世界で、その中でも一際特異な風習を持つ紅魔族の里だ。

 異邦人である自分が文句を言うのはお門違いも甚だしいという事はあなたもよく分かっていたが、あなたとてノースティリスでは最大級の博物館を経営している冒険者であり、一家言ある身だ。

 博物館のレイアウトや運営に関してはともかく、あなたからしてみればこれはちょっと眉を顰めざるを得ない。

 武器や宝具の博物館であれば製作者の情報やその由来は記載されていて然るべきだが、ここはモンスター博物館だ。

 客はモンスターを見に来ている以上、それを仕留めた者の情報など不要である。少なくともあなたはそう思っている。

 

 まあこれに関してはあなたの博物館に飾られているものはモンスターも人間も神も全てあなたが自力で殺害しているのでわざわざ書く必要が無い、という血生臭い事情もあるのだが。

 

 腹パンものの説明文はさておき、剥製自体はゆんゆんの言っていたとおりイルヴァのそれと遜色の無い、非常に精巧な出来栄えだった。

 ただイルヴァのものと違ってこの剥製には目に光が灯っておらず、あなたはそれが実に惜しいと思った。あそこさえ何とかなれば完璧だったのだが。

 

「目が作り物っぽい……? 確かに目はそれっぽく彩色したガラス玉ですからね。……あ、先に言っておきますけど、本物のグリフォンの目を抉って交換すればいいのでは、とか言い出したりしないでくださいね? 普通に腐りますから」

 

 言おうと思っていた事を先に封じられてしまった。

 自身の事を理解してきているゆんゆんの成長を喜びつつ、実に無念だとあなたは肩を竦めた。

 

 

 

 

 

 

 その後もゆんゆんに説明を受けながら楽しくモンスター博物館を見物したあなただったが、博物館から出た所でゆんゆんが頭を下げてきた。

 

「ありがとうございました。私、こうして誰かと一緒に博物館を見たり勉強した事を誰かに説明する機会って今まで一度も無かったのですっごく楽しかったです!」

 

 そう言ってニコニコと本当に嬉しそうに笑うゆんゆんだが、これではどちらが案内されていたのか分かったものではない。

 だが喜んでもらえたのならば何よりだ。

 

「次はどこに行きますか? えーっと、ここからだと一番近いのは……」

 

 あなたの持っている観光ガイドを横から覗き込むゆんゆん。

 肩が触れ合うほどの距離に無造作に近づいてきたゲロ甘でチョロQな紅魔族の少女を見ながら、あなたは自分にとって彼女がどういう存在なのか思考を巡らせる。

 最初に会った時から比べるとだいぶあなたに慣れた彼女はあなたのペットではなく、ウィズやノースティリスの友人達のように己の安い命を賭けるに値する特別な存在でもない。

 しかし彼ら彼女らに準じる位置に立っている者、いわゆる()()()()()というものを、あなたはゆんゆんしか知らない。

 

 あるいはゆんゆんもウィズのような、あなたにとって特別な存在になるのかもしれない。

 だがそれは決して今ではない。

 今の彼女では年齢や力量といった観点で、どうしても保護者的な目線になってしまう。

 ゆんゆんとあなたではその隔絶した地力により戦いが成立しない。彼女ではあなたの命に届かない。()()()()()()()()()

 

 にもかかわらずこうしてあなたと関係を持っている彼女は、そういった意味では非常に稀有な存在と言えるのだろう。

 ノースティリスではあまりにも名が売れすぎたあなた達に近付いてくる者などどこにもいない。あなたがゆんゆんやめぐみんになんだかんだいって甘いのはこういった理由があるのかもしれない。

 

「…………」

 

 ゆんゆんの事を笑えない程度には自身も大概孤独を拗らせている事を改めて自覚したあなたが自嘲していると、近くの木陰から何者かの視線を感じた。

 

「……っ!」

 

 足を止めて振り返ってみると、気配は木陰に隠れてしまった。

 しかし黒髪までは隠しきれておらず、木の幹からはみ出た髪が見えてしまっている。

 体隠して髪隠さず。髪の生え際を見るに、恐らくだが隠れている者の身長はかなり低めだ。ゆんゆんはおろかめぐみんすら下回るだろう。

 

「え?」

 

 あなたがゆんゆんに小声でそれとなく伝えると、彼女は観察者の方に視線を向けた。

 

「あの髪型はもしかして……えっと……ふにふらさん? ふにふらさんですよね?」

 

 ゆんゆんの声に髪の毛がびくりと震え、数秒の後、観念するように木陰から姿を現したのは二人の紅魔族の少女達だった。

 ふにふらと呼ばれた勝気な印象を受ける長めのツインテールの小柄な少女とショートポニーテールのどこかヘタレ臭が漂う少女だ。後者の身長はゆんゆんと大差ない。

 発育は圧倒的にゆんゆんが勝っているが、二人ともゆんゆんやめぐみんと同年代だろう。

 

「あ、どどんこさんも!」

「や、やっほー……久しぶり……」

「学校は終わったの?」

「今日はお昼までだったから、ね」

 

 ふにふらはツインテールの付け根に白いヘアピンを付けており、対照的にどどんこと呼ばれたショートポニーの少女は赤いリボンで髪を纏めている。

 

「そうなんだ、でも二人ともあんな所に隠れてどうしたの? もしかしてかくれんぼの途中だったとか? だったら私がオススメの場所を二十箇所ほど教えるけど」

「いや違うから! っていうかなんでそんな場所知ってるのよ!?」

「え? だってほら、誰かとかくれんぼする時の為に先にいい隠れ場所を知っておこうって思って。でもまだ私は誰ともかくれんぼをやった事がないからいっつも日が暮れるまで一人で隠れてたんだけど……でも今まで誰にも見つかった事がないから、ふにふらさんとどどんこさんもそこは安心して!」

「アンタの今の話には安心できる要素が何一つとして存在しないからね!?」

「日が暮れるまで一人かくれんぼって想像したら滅茶苦茶怖いよ!」

 

 突如として暴かれたゆんゆんの闇の一端はあまりにも深く暗いものだった。あまりにもぼっちを拗らせた少女にあなたの目頭が熱を帯び始める。

 このままだとよくない方向に話が進みそうなので、軌道修正がてらあなたは二人の少女の紹介をしてもらう事にした。

 

「あ、すみません。ご紹介しますね。ふにふらさんとどどんこさんです。私の学生時代の……と、友達です!」

 

 嬉しそうに、そして自慢げに二人を紹介するゆんゆん。

 あなたは彼女から里にもめぐみん以外の友達がいるという話を聞いた事があったが、まさか実在する人物だとは思っていなかった。彼女には申し訳ないが、実家のサボテンの事かと思っていたくらいだ。

 

 そんなゆんゆんの紹介を受け、紅魔族特有の例の名乗りをポーズと共に決める二人の少女。

 

「我が名はふにふら! 紅魔族随一の弟想いにして、ブラコンと呼ばれし者!!」

「我が名はどどんこ! 紅魔族随一の宿屋の娘にして看板娘と呼ばれし者!」

 

 ――お兄ちゃん! このふにふらとかいう奴、私とキャラが被ってる!! 許せない、許せない許せない許セナイ!! オ前ハ私達ノ敵ダッ!!!

 

 突然四次元ポケットの中の毒電波がおこがましい台詞を吐いて発狂した。

 頭痛がしてきたので勘弁してほしい。

 

 しかし言われてみれば確かにふにふらは緑色のクリーチャーこと妹に似ている。

 ツインテールでブラコン、外見年齢もほぼ同じで活発そうな外見。

 紅魔族は皆見目が整っているし、妹も見た目だけは悪くない。

 ふにふらの髪の色を緑色に変えたら、最早言い訳などできないくらい妹にそっくりである。

 

 あなたとしてはふにふらが自分の事をお兄ちゃんと呼び始めないか非常に不安だった。

 今は辛うじて抑えている様だが、あなたを兄と呼ぼうものならばその瞬間、ふにふらに向かって包丁が音を置き去りにしてかっ飛んでいく事だろう。

 

「ね、ねえゆんゆん。さっきからそっちの人があたしの事を凄い微妙な目で見てきてるんだけど……っていうかなんか凄く寒気がする……」

「アンタが弟の薬買う為にゆんゆんから小遣い巻き上げてた事を聞いたんじゃない?」

「カンパの事カツアゲみたいに言うの止めなさいよ!?」

 

 とはいえふにふらは弟が大好きなようなのでその心配は無さそうだ。

 四次元ポケットの中の毒電波にも手出しを禁止させておく。

 

 ――チィッ、これだから紅魔族ってやつは! 月夜の晩ばかりじゃないんだからね!!

 

 紅魔族の里に来てから妹のテンションが高すぎて困る。

 自宅に置いてくるべきだっただろうか。しかし誰かが不用意に触って何が起きるか分からない以上、愛剣や聖槍や核と同じくこれだけは手元から離したくなかった。

 

 あなたの予想が正しければ、この妹はノースティリスで妹の日記というアイテムを読んだ際に召喚されるような()()()()ではない。

 本来召喚されるレベル1の妹とは明らかに戦闘力が違うし、日記を読んでいないのに個性を獲得してしまっている。というかこの妹にあなたは覚えがありすぎた。

 

 あちらが名乗らない以上、日記の中身が誰とはあえて問うまい。

 しかし何故すくつで拾っただけの妹の日記に憑いて来ているのか。

 あなたの記憶が間違っていなければ、最初は確かに普通の妹の日記だった筈だ。

 

 ――お兄ちゃんに付いてきた私が時間をかけて私を上書きして私になったのは去年の冬の初めくらいかな! 例え私が相手でも私はお兄ちゃんを渡さないよ! お兄ちゃんと私はいつだって一心同体だからね! 私はお兄ちゃんがどこに行っても一緒なんだから!!

 

 会話にならない。本当に会話にならない。

 

 本気で疎ましいと思っているわけではないし、現状においてこの妹はこの世界において唯一あなたとノースティリスの価値観を共有する相手ではあるのだが、解呪不可能の呪いのアイテムを手に入れた気分だ。

 核やラグナロクのようなオモチャとは比較にならない危険物を世に放つわけにはいかない。

 それにあなたは妹と一心同体など死んでも御免である。拾わなければ良かった。真剣にそう思ったあなたは深い溜息を吐いた。

 

「ところでふにふらさん、どどんこさん。かくれんぼじゃないなら何をしていたの?」

「え、いや、ほら。私達はアンタ達を見張ってたのよ」

「私達を?」

「そうそう。里の皆がゆんゆんがイイ人を連れて帰ってきたって噂話してるみたいだから? まさかそんな事はないよねーって、ほら、ね?」

「うんうん、きっと皆が勘違いしちゃってるんでしょ、みたいな? 正直あたしら、ゆんゆんは悪い男に引っかかりそうだって思ってたし?」

 

 視線をあちこちに彷徨わせるふにふらとどどんこに、ゆんゆんはくすりと笑う。

 それは師匠であるウィズを彷彿とさせる、慈愛に溢れた、陽だまりの様な暖かい微笑みだった。

 

「ふにふらさん、どどんこさん。彼は良い人よ。本当に良い人なの」

「そ、そう……へえ……」

「そうなんだ……」

 

 いつの間にかゆんゆんの中であなたという人間が“変わっているけど良い人”から“本当に良い人”にランクアップしていた。昨日の夜遅くまで語り合ったせいだろうか。

 何故か膝をがくがくと震わせるふにふらとどどんこは今にも崩れ落ちそうだが、必死に笑顔を作っている。

 きっと二人はゆんゆんが里の外で友人を作ってきた事に驚いているのだろう。気持ちはよく分かる。

 思わず笑いながら、あなたはゆんゆんの友人として、ゆんゆんが恥ずかしい思いをしないように努めて朗らかに挨拶を交わした。

 

「こ、こちらこそ初めまして!」

「よろしくお願いします!!」

 

 いかにも好青年といった印象を抱かせる、謎のプロデューサーが太鼓判を押すあなたの良い笑顔を受けて、ふにふらとどどんこの動きが目に見えて硬くなった。

 あなたは里の外の人間な上に、ゆんゆんと同年代である二人から見れば大人の異性だ。緊張してしまうのも無理は無いだろう。

 

「ね、ねえゆんゆん。この人ってどんな人なの?」

「どんな人? うーん……えっと、物静かで(何もなければ)大人しい感じで(平気で無茶な事をするけど)、私の話をちゃんと聞いてくれる(これは本当)優しい(私なんかの友達になってくれるくらい)大人の人(見たまんま)かな」

 

 副音声というやつだろうか。

 あなたはゆんゆんの言葉の裏で語られていない何かを聞き取った気がした。

 

「なんか地味ねえ……いや、なんとなくそんな人っぽい気はしてたけど」

「えっ」

「確かに地味だわね。ゆんゆんの事だからそんな感じなんだろうとは思ってたわよ」

 

 二人の反応を受けて真顔になったゆんゆんがあなたを見つめてきた。

 ふにふらとどどんこが何を言っているのか分からないと言いたげな目だ。

 

「じみ……地味……? 聖剣……地味……? 私が知ってる地味と違う……」

 

 やっていいのなら派手に終末(パーティー)を開催してもいいのだが。

 紅魔族であればドラゴンの駆逐も容易だろうと考えていると、どどんこがあなたに声をかけてきた。

 

「あの、年収はどれくらいですか?」

 

 ふにふらとゆんゆんが噴出した。

 

「年収!? どどんこ、あんた何言ってんの!?」

「いや、だってほら、ゆんゆんの友人としてはそこらへん気になるじゃん!? いい年してぶっころりーさん達みたいに親の脛齧ってたりゆんゆんのヒモとかやってたら色々問題でしょ!?」

「そ、それはまあ、うん、あたしも心配してるけど……だからって普通いきなり年収聞く?」

 

 ゲロ甘でチョロQの友人が見知らぬ男に金を集られていないか心配しているのだろう。

 ゆんゆんは友達思いのいい友人を持っているようだ。

 

 だが心配は無用である。

 肝心の収入の件だが、あなたは先日の税金納入騒動の後も収入の詳細までは調べていない。

 だが督促状の文面を思い出すに、あなたの年収が五億エリス以上に及んでいる事だけは確かだ。あなたはアクセル随一の高額所得者なのだ。

 

「五億!?」

「年収五億以上の大人の男……え、貴族!?」

 

 とんでもないとあなたは否定した。

 あなたはただの冒険者である。貴族など頼まれてもお断りだ。

 

「ま、まあゆんゆんにしては中々イイ人を見つけたみたいだけど? あたしにだって前世で生まれ変わったら次も一緒になろうって誓い合った相手がいるから? だから全然羨ましくなんてないっていうか……羨ましくなんてないし……」

「……? あ、そういえばどどんこさんも、私の運命の相手は世界で最も深いダンジョンの底に封印されてるって言ってたよね!」

「そ、そうね。そんな人がいたらいいなあ……いや、いるんだけどね!?」

 

 二人の紅魔族の少女は引き攣った笑みを浮かべながらゆんゆんから目を逸らした。よく見れば涙目だし冷や汗をだらだらと流している。

 

「もしよかったらダンジョンに潜る時や前世の恋人を探す時には私にも声をかけてね? まだまだ未熟な私だけど、レベルももうすぐ40だし、少しは二人の役に立てると思うの!」

「れべるよんじゅう……」

「よんじゅうでりあじゅう……」

 

 あなたは友人の役に立てる事を心の底から嬉しく思っている様子のゆんゆんの肩に手を置き、無言で首を横に振った。

 聞いているこっちが悲しい気分になってきたのでそれ以上は止めてあげてほしい。ゆんゆんの善意という名の暴力で、最早ふにふらとどどんこの精神耐久値はほぼゼロだ。

 ウィズもそうだが、人が良すぎるというのも困りものである。

 

 

 

 

 

 

 宿題があるからと死にそうな顔で帰っていったふにふらとどどんこと別れ、再度観光に戻るあなたとゆんゆん。

 次にあなたが案内されたのは、聖剣を手に入れた場所からさほど離れていない所に建っている、神社という名の極東の神殿に酷似した建物だった。

 斜めに反った独特の形状の屋根には、三角形の獣耳と思われる飾りが二つ付いている。

 

「猫耳神社です」

 

 神社はともかく、何故猫耳なのだろう。

 紅魔族に猫耳が生えているという話は聞いた事が無い。

 実は猫耳が生えているのだろうかとあなたはゆんゆんの黒髪を凝視した。割と似合いそうだ。

 

「あ、あの……そんなジッと見つめられると恥ずかしいですから……それに私に猫耳は生えてないです」

 

 もじもじと俯いてしまったゆんゆんに不躾だったかと謝罪しつつ建物の中に入る。

 

「これがこの里のご神体です。い、言っておきますけど、私が決めたわけじゃないですからね!?」

 

 建物の中で見つけたそれを視界に収めた瞬間、あなたは電撃を食らったような衝撃を受けた。

 信じられない。何故こんなものがここにあるのか。

 愕然と立ち尽くすあなたはその名を呟く。

 

「いもうとねこ? もしかしてこれが何なのかご存知なんですか?」

 

 お触り禁止の看板と共に仰々しく祭られていたのは水色の髪で猫の耳が生えた少女のフィギュアだった。

 

 妹猫だ。誰がどう見ても妹猫のフィギュアだ。

 妹猫とは妹の日記を読んだら召喚される妹と同様に、妹の秘密の日記を読んだら召喚される幻想存在である。

 速度及び戦闘力は高いのだが、とても生命力が弱く死にやすい。妹と違って狂気的な存在ではないが、速度と戦闘力が極まったペットが普通な廃人にとっては残念ながら弱小の部類に入る種族である。

 

 それにしても、このフィギュアは見れば見るほど妹猫にそっくりだ。

 細部にまで拘った造型に製作者の熱意と腕の良さが窺える。

 

「…………こういうの、お好きなんですか?」

 

 じろじろと様々な角度からフィギュアの全身を舐めるように見つめるあなたをゆんゆんが温度の下がった目で見ていた。

 彼女がご神体と呼んだ推定妹猫のフィギュアは紺色のワンピースと下着が一つになったような、やけに扇情的な衣服だけを着て、招き猫にも似た、人間がやるとコケティッシュなポーズを決めていた。というよりこれは衣服なのだろうか。水着のようにも見える。

 なるほど、こんなものを熱心に見つめる大人の男は控えめに言って変態である。

 しかしどこぞの下賎な者を見ると笑いが止まらなくなる、ストーカーでロリコンでフィギュアフェチの友人と同類扱いされてはあなたとしてはたまったものではない。

 

「え? 異世界には()()()()とよく似た種族がいるんですか!?」

 

 あなたの説明にゆんゆんが大袈裟に驚いた。

 こんなのとは随分な物言いだが、気持ちはよく分かる。

 誤解させておくのも妹猫に悪いので説明だけはしておく。

 幸いにもこの世界にも獣耳が生えている人間は存在するので説得自体は容易だった。

 

「あ、猫耳が生えただけの女の子で格好はちゃんとした普通の服なんですね……すみません、早とちりしてしまって……」

 

 服はともかく、造型自体は本当に妹猫に酷似している。

 この世界に自分以外のイルヴァの冒険者が来ていたのだろうか。

 あなたはゆんゆんにこのフィギュアの由来を聞いてみる事にした。

 

「遠い昔、モンスターに襲われていた旅人を紅魔族の御先祖様が助けた際に旅人がくれたものだそうです。その人いわく、これは俺にとって命よりも大切なご神体なんだ、との事で。残念な事に王都などで調べても何の神様かは分からなかったのですが、何かのご利益があるかもしれないのでこうして大切に祀られてるんです。この神社っていう建物も、その旅人さんが教えてくれたものらしいですよ」

 

 ノースティリスではなく遥か極東の者だろうか。

 しかしイルヴァに妹猫の神がいたという話をあなたは寡聞にして知らない。猫で神とくればおのずと幸運の女神が連想されるが、これはどう見ても違う。

 

 いや、そもそもイルヴァの民であれば、()()()()()()()()()()()()で命よりも大事な物を渡すなどありえない。

 あなたも癒しの女神の剥製やフィギュアや抱き枕をご神体として持っているが、何が起きても他人に渡すなど考えられない。例え相手がウィズであってもだ。

 

 という事はこれは妹猫ではなく他人の空似だろう。最終的にあなたはそう結論付けた。

 あるいはノースティリスに似た国であるニホンから来たニホンジンが齎した物なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 折角の紅魔族の里を一日で全部見て回るのも勿体無いので、あなたは今日の所はこの辺りで観光を終える事にした。

 ちょうど時刻は昼過ぎで小腹も空いてきた頃だ。

 

「お昼は定食屋さんに行きませんか? 里でも人気のお店なんです」

 

 調理器具は持参しているが、観光に来てわざわざ自炊というのも味気ないのであなたはその提案を受け入れた。勿論ハーブもあるが論外である。

 

「店主のお爺さんも凄く優しいんですよ。私は学校が休みの日で両親が忙しい時、一人でお昼ご飯を食べるのも寂しいので、よくお店の前のベンチで人だかりを眺めてお弁当を食べてたんですが、そしたら外は寒いし店のテーブルで食べたらどうだいって誘ってくれたんです」

 

 ゆんゆんの紅魔族の里での思い出話は地雷案件しかないのだろうか。

 あなたとウィズに師事している今はゆんゆんがあなたの家で食卓を囲む機会も少なくなく、ぼっち飯自体は卒業しているのだが、相変わらずあなたとウィズ以外の友人が増えたという話は聞かない。

 しかしこればかりはあなたやウィズが無理に言ってどうこうなる問題でもないだろう。それに今のところゆんゆん本人は満足しているようなのでとやかく言う気も無い。そもそもあなたはコミュ力はともかくとしてゆんゆん以上に友達がいない。

 

「お友達と一緒にご飯って楽しいですよね! 私、ずっとあのお店で誰かと――」

「おーい、ゆんゆーん!!」

「――――!!」

 

 遠方から大声で名前を呼ばれ、満面の笑顔だったゆんゆんの顔色が一瞬で変わった。

 あなた達の方に駆けてきているのは、ゆんゆん以上に発育の良い眼帯を付けた少女だ。

 片目には隈が出来ており、ところどころ髪もぼさぼさになっている。徹夜明けの症状だ。

 

「久しぶりだね! 早速なんだけど紅魔族英雄伝の外伝が書きあがったから見てくれないか!!」

「あるえ……」

 

 地の底から響いてくるゆんゆんの呟きにあなたは彼女の正体を知った。

 彼女こそが族長の手紙と共に傍迷惑な小説を送ってきた作家志望の紅魔族なようだ。

 

「まさか私の小説みたいな事が起きるだなんて思わなかったよ! ゆんゆん、事実は小説よりも奇なりとはまさにこの事だね!」

「…………」

 

 理由はさっぱり分からないが興奮している様子のあるえの瞳は真っ赤に輝いている。

 しかし無表情で原稿を受け取って黙々と読み進めるゆんゆんの目と顔はそれよりもずっとずっと深く、そして鮮烈な紅に染まっていた。

 それはさながらインセクトキングと呼ばれている、伝説の巨大な虫のモンスターが攻撃的になった時の瞳の色のように。あるいは噴火寸前の火山か。

 

 そんな彼女に気付く事無く、あるえはあなたに向き直ってポーズを決めた。

 

「おっと挨拶が遅れてすまない。我が名はあるえ! 紅魔族随一の発育にして作家の卵! 世界一の作家を目指す者! ところで早速だけど二人の子供はいつ頃――――」

「あああああああるううううううううええええええええええええ!!」

「え? ……わあああーっ!?」

 

 怒りと興奮で目を血走らせ、紅の修羅と化したゆんゆんは紙束をそのまま宙にばら撒いてしまった。

 

「ちょっ、ゆん、止めっ!」

「ツイン、ライトッ、オブ、セイバああああああああああーッ!!!」

「きゃあああああああああああ!?」

 

 叫ぶと同時にゆんゆんの激情に呼応した彼女の両手が太陽もかくや、という強い光を放ち、振るった手刀が凄まじい速度で虚空を幾度も奔った。

 そして手刀に遅れる事一瞬。複雑な軌跡を描いた無数の光の筋が空を舞う紙束の中を走り抜けていき、紙束が軌跡に沿って綺麗に断裁されていく。

 

 ライト・オブ・セイバー二刀流による流れるような連続攻撃。

 怒れるゆんゆんの放った必殺技があるえの綴った物語を断裁したのだ。

 風に吹かれて空に散っていく白い原稿。

 結局あるえが書いたものはどういう内容だったのだろう。今となっては永遠に失われてしまった物語をあなたは少しだけ惜しく思った。

 

「あ、ああああああ……わ、私の傑作が……恥ずかしいのを我慢して頑張って告白とキスシーンまで書いたのに……」

「あるえが! あるえがあんな物を書いて送ってくるから私はっ、私はぁっ!!」

 

 崩れ落ちたあるえを見下ろしながら拳を硬く握り締め、怒りと羞恥で顔を真っ赤に染め、わなわなと声と身体を震わせるゆんゆん。

 あなたはそれを見て酷い八つ当たりだと思った。

 

 確かにあるえが同封してきた小説の内容は空気を読みすぎていたせいで紅魔族以外の者に驚愕と混迷をもたらす甚だ迷惑なものだった。

 そのせいで友人であるウィズがぶっ壊れた手前あなたとしても彼女に何も思わないわけでもなかったが、それでも彼女はちゃんと小説だと銘打って送ってきたし、最後まで手紙を読まずに一人で勝手に勘違いして突っ走った挙句盛大に爆死したのはゆんゆんだ。

 にも関わらずゆんゆんは問答無用であるえに襲い掛かっている。これが八つ当たり以外の何なのか。あるえは大いに同情されて然るべきだろう。

 だがそれはそれとしてあるえが紛らわしい手紙を送ってきたのも事実なので、あなたはゆんゆんを止める気は無かった。むしろいいぞもっとやれと心の中で応援したくらいである。

 

「しかもさっきあるえが読ませてきた小説もなにあれ!? よりにもよって私にこの人とあんなえ、え、えっちなキスをさせる話を書くなんて……!! 本当はあるえがあんな事してほしいんじゃないの!? 大人の男の人とえっちなキスがしたいんじゃないの!?」

「ひ、人聞きの悪い事を言うのはやめてくれないか! あれは筆が乗ったから、つい書いてしまっただけであって……そう、深夜テンション! 深夜テンションのせいだよ!!」

「私、キスしながらおっぱいまで触られてた!! びくんびくんってなってた! 何が英雄伝よ! えっち! あるえのえっち!! むっつりスケベ! 紅魔族随一のえっち作家!!」

「えっち……おっぱい……私がえっち……!? ……わあああああああーっ! あー!!!」

 

 気まずい。

 とても気まずい。

 あなたは今すぐこの場から消え去りたい気分でいっぱいだった。

 ゆんゆんとあるえの会話があまりにも思春期の少女丸出しすぎて、ただひたすらに居心地が悪い。

 

 ノースティリスの冒険者であるあなたは面白半分で他人に媚薬を投擲できる人間だし、今更猥談程度では何も思わない。

 街中でドラゴンがバイクと交合してる様を見ても景観を損ねると軽く舌打ちして銃を抜く程度だ。

 

 だが彼女達のように少々過激なキスシーン程度でえっちだえっちだと本気で恥ずかしがって騒いでいるのを見ると、初々しすぎて微笑ましくも逆に気恥ずかしくなるのだ。自分がどうしようもなく汚れた人間に思えてくる。

 性的な事に興味がある年頃というのはあなたも分かるのだが、えっちえっちと連呼する二人の少女はこの場にあなたがいる事を忘れている可能性が非常に高い。

 

 幸いにも今のところ周囲に人はいないが、いつ誰か聞きつけて里中に知れ渡るか分かったものではない。

 なのであなたは自己主張すべく何度か咳払いを行った。

 

「!!」

「!!」

 

 あなたの咳払いにびくりと反応し、えっちの連呼を止めるゆんゆんとあるえ。

 二人はやっとあなたの存在を思い出したようだ。

 更に自分達が今の今までどんなやり取りをしていたのか思い出し、あうあうと声にならない声を発して耳まで真っ赤に染まっていく紅魔族の少女達。

 

 あなたはそんな二人の頭を手の平でぽんぽんと優しく叩き、とある有名なメイドの決め台詞をお見舞いする。

 

 

 

 ――えっちなのはいけないと思います。

 

 

 

「ぴゃあああああああああああああああああああああ!!」

「ひゃわああああああああああああああああああああ!!」

 

 気まずさを全面に押し出して苦笑いする大人の異性(あなた)の発言を受け、二人のえっちな紅魔族の少女達は両手で顔を覆ってその場に蹲るのだった。


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