自由人に真剣で恋する少女達   作:翼ノ樹☆欟

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今年初めての投稿ですなぁ_φ(・_・


今回は小雪と接触


6恋

 

日曜日のとある山奥……木が生い茂り、近くには滝があり、人などあまり踏み込まない場所で俺は適当な岩に腰掛け本を熱心に読んでいた。

 

 

「ふむふむ……なるほど」

 

俺は本を閉じ側に立て掛けある日本刀を手に取り、抜刀し、目の前に水平に構える。

 

「ふぅ……」

 

目を瞑り、深く息を吐き、集中する。

 

「……ふんっ!」

 

数秒が経過し、勢いよく目を開けると刀を握る手に変化が訪れた。

それは黒く変色して右手の肘から指先を覆い、薄く逆光を放っていた。

 

「だぁぁぁぁぁああぁぁっ!!やっぱ駄目か!ちくしょう!」

 

握っていた刀を木に向かって投げ刺し先程まで座ってた岩に乱暴に腰掛け天を仰ぐ。

ん?何してたかって?そりゃああれだ、大和達からの遊びのお誘いを断っていつもの山で武装色の覇気を練習してたんだよ。

いやさ、体とかに覇気を纏うのは余裕でできたけどその他……刀とかに覇気を纏わせなくてさっきから『〜覇気・上級編〜』を何度も読んでは試しての繰り返しで疲れた……もう休んでいいよな?パ◯ラッシュ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまぁ、冗談は置いといて……覇気を体に纏える様になったのだから出せるまで数秒かかるというロスタイムを無くして瞬時に使える様に修行してそれから魔剣技やらなんやらも鍛えてんでもって気と覇気のコントロールを上げて……あぁ、やる事ありすぎだろ……

 

「ふぅ……帰るか」

 

本を片手に岩から立ち上がり家に戻ろうと山を降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日も暮れかけ、茜色の空の下、俺は帰り道も気のコントロールを上げるために河川敷を螺旋丸(・・・)を歩きながらヘディングしている。

普通のサッカーボールでやる様な感覚ではなく、これは螺旋丸が落ちてくる場所に的確な範囲、螺旋丸が炸裂しない程度の武装色と普通の気で作ったガードを交互にタイミングよく切り替えてやっているので結構修行にもなる。

まぁ、最初の方は匙加減間違えて2、3回程地面に頭が減りこんだけどな。えぇ、はい。死にかけましたよ(・_・

 

「よっと」

 

そろそろ家が近くなってきたので螺旋丸を武装色で硬化した足で川に向かってシュートを決め水飛沫が上がる。それを見届けさて、帰るかと思ったら目の前にマシュマロの袋と絵本を持った白いワンピースに白髪赤眼というアルビノの女の子が俺を見つめていた。

「…………」

 

うん。見つめていた。

 

「…………」

 

「…………」

 

俺は何だろうと思い同じく少女を見つめ返す。

 

「…………」

 

「…………」

 

む、無言が辛い!

少女は無言でジーッと俺を見つめて微動だにしない。

 

「………ねぇ」

 

「ん?」

 

「マシュマロ……食べる?」

 

「…………」

 

ま、マシュマロ?

え?マシュマロってあれやんな?フワッと柔らかく優しい味の火で炙っても美味しい俺が大好きなあのマシュマロやんな?

 

「マシュマロ、いらない?」

 

「ん?あぁ貰う、貰うよ。マシュマロ好きなんだ」

 

ちょっと関西弁が出てしまいフリーズしていた俺に少女はマシュマロを袋から1つ取り出し俺に差し出してきた。

 

「あーん……」

 

「……」

 

「?」

 

「えっと……」

 

「あーん……」

 

どうやらこの少女、あーんでしか食べさせてくれないみたいだ。

いつまでも差し出したマシュマロを食べない俺に頭に?を浮かべる少女に戸惑いながらもマシュマロを頂く。

 

「あむ……うん美味しい」

 

「にゃはは〜♪でしょ、僕もマシュマロ好きー!」

 

うん、あれだ、可愛い。

ほにゃりと笑うこの笑顔……連れて帰りたい!ってアカンわ俺今子供やし連れて帰られへん。いや、そもそも犯罪やな、うん。

 

「?……どうしたの?」

 

「………いや、なんでもないよ」

 

ふぅ……真剣で落ち着け俺、取り乱し過ぎだ。

 

「本当に?」

 

「大丈夫だよ。心配かけたな」

 

心配そうに見つめる少女を安心させてやるため頭を撫でようと髪に触れると違和感を感じた。

髪がほんの少しボサボサで彼方此方髪の毛どうし絡み合っている。暫くお風呂に入ってない証拠だ。匂いは、まぁあれだ、女の子特有の甘い匂いしかしねぇ。

服は汚れていて暫く着替えてないみたいだ。

そして……

 

(右肩と左腕に痣、髪で隠れてるけど左頬にも痣)

 

虐め、若くは虐待で殴られた跡が身体中に確認できた。多分服の下はもっと……

 

 

 

「なぁ、え〜っと……」

 

「小雪だよ!」

 

「小雪か、いい名前だな。俺は蓮。それで、だ小雪……友達に虐められたか?」

 

「ううん、僕友達なんていないよ?」

ニコニコと可愛い笑顔で質問に答えてくれる小雪。

虐めではない、となると残るは1つ……

 

「小雪……お母さんは?」

 

「…………」

 

当たりか……

 

「この痣もしかしてお母さんに殴られたから?」

 

「大丈夫だよ……お母さん小雪が笑うと殴るのやめてくれるから…大丈夫だよ……」

 

小雪は質問に答えてくれず大丈夫、と笑顔を返してしてくる。

 

「……辛くはないか?」

 

「……うん。だって小雪にはお母さんしかいないから……だから、大丈夫」

 

今にも壊れそうな儚い笑顔を無理やり作った小雪はまた大丈夫、そう

呟きともとれる言葉を吐く。

 

 

「……時間大丈夫か?」

 

「え、あ、うん大丈夫だよ」

 

「んじゃ、俺と遊ぼうぜ」

 

「ほぇ?」

 

「?」

 

「……いいの?」

 

「いいも何も、俺達友達だろ?」

 

「友達……うん僕と蓮は友達なのだー!」

 

「うっし!んじゃ何して遊ぶ?」

 

俺が小雪に何して遊ぶ聞くと小雪は手に持ってた本を俺に差し出してきた。

 

「んーっと、読んで欲しいの?」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………そして王子様に助けられたお姫様は王子様と幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」

 

木の幹に胡座をかいてその上に小雪を座らせて絵本を読んであげた。

話の内容はあれだ、毒林檎食った姫さんのお話だった。

 

「ほえー、ねぇ蓮ーお姫様はいつまで幸せに暮らしたの?」

 

「ん?さぁね。幸せの価値なんて人それぞれだし、その人が何に幸せと思うかの問題だしなぁ。んーお姫様が死ぬまでじゃないのか?」

 

「へぇー、じゃあ蓮は何が幸せって思うの?」

 

「ふむ……俺が幸せ、ねぇ………そうだなぁ、俺は自由に誰にも邪魔されず生きてけたらそれで幸せだな……小雪は?」

 

「僕は今が幸せ!!」

 

Oh、クッソ眩しい笑顔で答えたよこの子。

 

「そっか、俺もだ」

 

「えへへ〜僕達おそろいだね!」

 

「あぁ、おそろいだな」

 

この子にとってはこんな小さな事でも幸せと感じられるのか……今世の自分と小雪が重なり俺は優しく小雪の頭を下げ撫で続けた。

 

 

「……日が暮れるな」

 

「うん………」

黄昏時が終わりそうになり、それぞれの家に帰らなければいけなくなり、小雪は少し寂しそうな表情を浮かべる。

 

「小雪明日は暇?」

 

「うん、大丈夫だよ?」

 

「じゃあ明日も今日と同じ時間にここで遊ぼうぜ」

 

「本当に!?じゃあ僕、明日もマシュマロ持ってくるね!」

 

先程までの寂しそうな顔から笑顔になりパーっと嬉しそうにする小雪を見てこちらも自然に笑顔になる。

 

「あぁ、気をつけてな」

 

「うん!また明日ね、蓮!」

 

そう言って走って行く小雪の背を見届け俺も自分の家に帰る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余談だが……いつもより帰りが遅いと百代にかわかみ波で出迎えられた蓮がいたとかいなかったとか………

 

 

 

 

 

 

 

 




俺達友達だろ?(ルル風)

さてさて、今年初投稿ですなぁ、ゆっくりとした更新になりますがこれからもよろしくお願いしますm(_ _)m

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