「………は、はは………、ざまあ、み………」
めぐみんの爆裂魔法はヴェッターに直撃すると、大爆発を起こした後、めぐみんは倒れるのをカズマは見た後、そう呟いた後に気を失った。
「カズマ!?しっかりしてください!アクア、カズマの治療をお願いします!早く!」
「任しなさい!それに、たとえ死んでも何度でも蘇らせるわ!」
「その度にカズマは死ぬ事になるのか?できれば死なない様に私達が支えるべきでは………」
そうアクアとダクネスがカズマを治そうと急いで向かっている時だった………。
「………………フフフ」
「「「ッ!?」」」
ヴェッターがいた場所から笑い声が聞こえ、アクア達はそこを見ると無傷の状態のヴェッターがいた。
「倒せてないじゃないっ!?爆裂魔法をまともに受けたのにっ!?」
「それどころか、全くの無傷だと!?」
「そ、そんな!?」
「やはり、この程度ですか。魔王軍の幹部なら十分な威力でしょうが、私を倒すには連発ぐらいしていただけませんかねえ。………しかし、まさか自らを犠牲にするなんてねえ。この男を野放しにすると後々厄介になる。今の内に始末しますか」
爆裂魔法を受けて、無傷の状態のヴェッターを見てアクア達は驚いていると、ヴェッターはそう言った後、カズマの方に歩き始めた。
「させるか!」
「ダクネス!?ってうわあ!?」
「ッ!?」
ダクネスがヴェッターを止めようと向かっていたが、アクアの声を聞いて急いで後ろを向くとアクアの所にだけ物凄い量の雨が降っていた。
「えっ!?どうなっているんですか!?アクアの所にだけ雨が降っています!?」
「私がいくら水の女神だからって雨が私の所にだけ降るのはおかしいわね?あっ!ひょっとして私の女神としてのランクが上がったのかしら!」
「………あなたがバカだという事が分かりました。それも私の能力の一つです。足元を見てみてください」
「えっ?………ッ!?」
ヴェッターの言葉を聞いて、アクアは自分の足元を見ると水が物凄い速さで溜まり出しだ。
「えっ!?ちょっと待って!?このままじゃ溺れ………ごぼぼ!?」
「ア、アクア!?」
「アクア!?………貴様!!」
「人の心配をしている暇はありませんよ。………フッ!」
ヴェッターがそう言うとダクネスの周りに雷雲を発生させた。
「あなたは防御力が異常に高い。ですが、この攻撃は耐えられない!」
ヴェッターがそう言うと、ダクネスの周りの雷雲から雷が放出された。ダクネスは何とか耐えようとしたが、雷の威力が高過ぎて耐えられずに悲鳴を上げた。
「ぐっ!ああっ!あぁあああああああああああああああ!!」
「ダクネス!?」
「………さて、これで邪魔者はいなくなりましたね」
ヴェッターはそう言うと、カズマの近くまで行くと宝石を取り出した。
「さて、まずは一人」
「ッ!?や、止めてください!?」
「あなたは仲間思いのある方ですねえ。安心してください。次はあなたをモンスターに変えてあげますよ。では、カズマさん。我が野望の糧となれ!」
「や、止めろおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ヴェッターが宝石をカズマに埋め込もうとするのを見ていためぐみんが叫んでいる時だった。バシャっと音が聞こえ、ヴェッターが音が聞こえた方を見ると、雨が止んでいてアクアが咳込んでいた。
「けほけほっ!もう、どうしてくれるのよ!!水飲んじゃったじゃない!!」
「………えっ?」
「バカな!?一体どうやって脱出を!?」
「知らないわよ。何かチラッと黒いのが見えたら雨が吹き飛んでいたの」
「何っ?」
アクアがそう言った後、ダクネスを攻撃していた雷の音が止んだ。ヴェッターは急いでダクネスの方を見ると、雷雲が消え、ダクネスが横たわっていた。
「はぁ………、はぁ………」
「な、何が!?一体、何が起こっている!?」
ヴェッターがそう言っていると、カズマが倒れていた場所に黒いのが現れるとヴェッターは急いで視線を戻すが、戻した時には既にカズマとめぐみんが消えていた。
「なっ!?」
「大丈夫ですか?」
「ッ!?」
ヴェッターが驚いていると、離れた所からそう声が聞こえ、ヴェッターは声が聞こえた方を見ると黒いコート、シャツ、ショートパンツ、ニーソに背中に片手剣より少し長い黒剣を装備した黒髪のサイドポニーの女性がいた。
「あ、あの………」
「魔力切れで動けない様ですね。ですが、あなたよりこちらの男性が危ないので少し待っていてください」
女性がそう言うと、一瞬姿が消え、現れるとアクアとダクネスを抱えていた。
「ッ!?」
「えっ!?どうなっているの!?」
「そんな事よりアクア!お願いします!カズマとダクネスを治してください!」
「わ、分かったわ!」
「では、女の子にはこのMP回復のポーションを飲ませてください。では行ってきますね」
「行くってどこに?」
「あのモンスターを排除します」
そう言って女性は消えると、ヴェッターより少し離れたところに現れた。女性は装備していた黒剣を抜いた。
「私を排除するか………、いい気にならないで貰えますか?あなたはどうやら瞬間移動ができるみたいですねえ。興味深いですが、あなたは私の楽しみを台無しにした。その報いは」
そうヴェッターがそう言っていると、女性が喉元に剣を向けていた。
「ッ!?」
「………私の楽しみですか。その楽しみとやらがあの人達を傷つける事に関係しているのですか。なら、私はその楽しみとやらを全否定してあげます」
そう言って女性は離れると。
「それが、私があなたと戦う理由です。それにあなた程度だったら私だけで十分です」
「………ク………クククククク………!ほざけぇ!!この様な奇跡は一度だけ、二度目はないぞ小娘!!」
剣を向け女性はそう言うと、ヴェッターがそう言い無数の雷を放出したが女性はその攻撃を物凄いスピードで躱して突っ込んだ。ヴェッターは何度も攻撃し続けるがすべて躱された。
「(何だっ!?この女の速さは!?私の攻撃が全く当たらない!?)」
ヴェッターはそう思っていると、女性が一瞬消えると、ヴェッターの周りに無数の女性の残像が発生した。ヴェッターはそれに驚いていると。
「どうしました?ついて来れませんか?まだ速くできるのですが………」
「調子に乗るなっ!!」
ヴェッターがそう言うと、自分の周りに竜巻を発生させて女性を空中に巻き上げると、女性の周りに雷雲を発生させた。
「この攻撃は躱せない!黒焦げになるがいい!!」
そう言ってヴェッターは女性の周りの雷雲から雷が同時に放出したが、女性はその攻撃を物凄い速さで全て叩き切った。
「バカな!?全ての攻撃を剣一本で!?」
その後、女性は消えると。
「奇跡は一度でしたよね。では二度目は何ですか?」
「ッ!?しまっ!?」
ヴェッターの背後に現れて、そう言った。ヴェッターは急いで振り返るが、女性が黒剣でヴェッターの腹部を貫いた。
「ゴフッ!?お、おのれ………!」
「これで、終わりです」
そう言うと、女性は黒剣に魔力を溜めるが………。
「うぉおおおおおおおおおおおおおお!!」
「ッ!?」
ヴェッターが自分の周りに雷を何発も落とした。女性は黒剣を抜き、離れた。
「許さん!!許さんぞ!!いつか必ず、貴様を私の手で塵にしてくれる!!」
ヴェッターはそう言うと、霧を発生させた。霧が消えた頃にはヴェッターの姿は消えており、それを見た女性は黒剣を背中に装備した。
◆◆◆
「いやー、助かったよ。ありがとう」
ヴェッターの攻撃を受けた俺はアクアに治してもらって意識を取り戻すと女性がヴェッターと戦っている光景だった。戦いが終わると女性が俺達のところに来たので俺はお礼を言った。
「いえいえ、皆さんが無事で良かったです」
「それにしても、凄い強いな。えっと………」
「ああ、そう言えば名乗っていませんでしたね。私の名前はシズクと言います」
「俺の名前はカズマだ。よろしくなシズク。シズクはもしかしてソードマスターなのか?」
「いえ、私はまだ冒険者ではありません。今は冒険者になるためにアクセルの街に向かっているんです」
「そうなのか」
「………抜け駆けをした。獣女を懲らしめるためでもありますが」
「えっ?」
「いえ、何でもありません」
俺がそう言っていると、アクア達がシズクと話を始めた。シズクはスレンダーなんだなと思っていると………。
「あ、あれ?めぐみん?何でこんな所にいるの?」
「どうやら、間に合った様だな。うん?もしかしてシズクか?」
背後から声が聞こえ、振り向くとゆんゆんとソウガがいた。俺は声を掛けようとするが、その前にシズクがソウガに抱き着いた。
「お久しぶりです。ソウガ先輩」
「ああ、久しぶりだなシズク。元気だったか?」
「えっ?ソウガはシズクと知り合いなのか?」
「ああ、シズクも俺とウィズの後輩だ」
「そうなのか、ティアの他にも後輩がいたんだな」
「カズマ。私をあの獣女と一緒にしないでください」
その言葉に俺は疑問に思っているとシズクはソウガから離れると言った。
「あんな獣女と一緒にされるなんて最大の屈辱です。訂正してください」
「お前達は相変わらず仲が悪いのか?」
「………仲が悪い訳じゃありません。気に入らないだけです」
「それを仲が悪いと言うんだ」
「あっ、そう言えばティアさんが『ソウガ先輩とウィズ先輩には私の他にも、もう一人後輩がいるんだ。でも、実力は大した事無かったな!胸も無いしな!あはははははは!』って言っていたんですけど………」
「………あの女!!」
「まあまあ落ち着け。それにしてもティアは何でも直せる能力でシズクは瞬間移動か………。ソウガの後輩は凄いな」
「うん?何を言っているんだ?シズクは瞬間移動なんか使えないぞ?」
今、何て言いました?
「えっ!?でも、一瞬で移動しましたよ?」
「ああ、シズクの戦闘を見たのか、それで勘違いしているんだな。シズクのそれはただスピードが速いだけだ。瞬間移動と間違えるほどにな」
「あれが、ただ速いだけ!?」
俺達は驚いてしまった。ほとんど一瞬で遠くまで移動していたのがただの速力だって事実に。
「シズクの能力はシズクの家系だけが使えるモンスター化だ」
「モンスター化?」
「ああ、魔力で形成したモンスターの仮面を被り、戦闘能力を数倍に向上させる能力だ。多分だが、仮面を被ったシズクの実力は魔王軍の幹部、数人を圧倒するな」
「マジか!?………あっ、でもティアが自分には能力が使えないみたいに何かデメリットがあるのか?」
「ああ、時間制限がある。しかも魔力の消耗が激しい」
「だから、いざという時の切り札にしているんです」
なるほど、強い力にはそれなりのデメリットがあるんだなと思っていると、シズクがソウガに話しかけた。
「そういえば、ソウガ先輩はどうしてここに?」
「ああ、これから紅魔の里に向かうんだ。魔王軍の幹部を討伐するためにな」
「そうですか。よろしければ私もついて行っても良いですか?役に立てれるか分かりませんが」
「ああ、俺は別に構わない。カズマはどうだ?」
「俺も問題ないぞ。むしろ大歓迎だ」
「ありがとうございます。役に立てれる様に頑張りますね」
そうシズクが微笑みながら言った後、俺達は紅魔の里に向かうために歩き始めた。
次回はやっと紅魔の里に到着します。