私の奇妙な大学生活   作:ganmodoki52

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私はこのおかしな人達との学校生活に楽しみを覚えている。

 

大学に入学してから1ヶ月経ったゴールデンウィーク、特に行く場所の無い私はサークルの部室に来ていた。

「ねえ、先輩。なんでこんなに毎日集まってるのに私達は部室から1歩も出ないんですか?」

「なんでって、外に出るのがめんどくさいから。」

「ねえ、先輩。私がこのサークルに入ってから何回散歩に行きました?」

「ん?0回だな。そもそも昨年も行った記憶ねえぞ俺。」

「ねえ、先輩。じゃあなんでここは散歩同好会なんですか?」

「俺の前の会長が発足人だからな、その人に聞いてくれ。」

この人本当に適当だな・・・。

でも、このサークル前から人が居たのか。と言うかこの人他に人がいるサークルに入れたんだ。

ちなみに葉山先輩は教授の手伝いの為に不在です。

葉山先輩の事は葉山先輩って呼ぶのに何故かこの人は先輩と呼んでいます。名前が難しいから先輩でいいかって聞いたらいいって言ってくれたのでそのままですねー。

ピロロン

不意に先輩のケータイが鳴る。どうやらメールみたいだ。

へえー、メールする相手もいるんだ。

なんでさっきからこんな扱いなのかというと、1ヶ月の間この人を見ていてよくわかった、比企谷八幡という人は基本的に誰かに干渉する気が一切ないらしい。

例外は葉山先輩位だと思う。見た感じだと。

実際この部室に布団とか生活用品持ち込んで暮らしてるし。

ん?メールを眺めている先輩が動かない。そんなに長文メールなのだろうか?

画面から目を離した先輩の顔は真っ青になっています。

「おい!一色、すぐ隠れろ!マジでヤバイ!!」

「隠れるって何処にですか!?」

「じゃあこれにくるまってろ!」

そう言うと先輩はさっきまで自分がかけていた布団を投げてきました。

「ちゃんと敷布団の上でな!それと頭と足、間違っても出すなよ!」

何がそんなに問題なんだろうか・・・。でも、誰か来るって事ですよね。

仕方なく体が出ないようにして布団を被った。

すると

ドンドン

ノックが鳴るとドタドタと慌てて先輩が開けに行きます。先輩をこんなにするなんて、一体どんな人なんだろう。

「やっほー、比企谷くん!遊びに来ちゃった!」

「帰ってください・・・。」

「あら?ここの初代会長にそんな事言っていいのかな〜?」

「初代は陽乃さんでも今の会長は俺なんで。」

へえー、陽乃さんって言うんだ。どんな顔なんだろう、見たいなぁ。でも、隠れてろって言われた以上出るわけにはいかないな・・・。

「相変わらずここで暮らしてるの?」

「ええ、ここなら絶対遅刻しないんで。便利ですよ?」

「あれ?なんか布団膨らんでない?」

ビクッ

露骨に動揺する私と先輩。

私はバレないように息を殺す。

「いやー、最近なんか物寂しくなって抱き枕を買ったんすよ。そのせいで少し膨らんでてー。」

「へえー、比企谷くん私という存在がありながら抱き枕なんて使ってるんだ。へえー。」

あれ?寒っ!部屋の温度が一気に下がった気がする。

しかも、今の言い方って、そういう事?

へ、へえー。

「ところでさ、あと1分でも嘘をつき続けるようならこっちにも考えがあるよ?」

「はぁ・・・。一色、出てきていいぞ。」

先輩にそう言われ、私は被っていた布団を剥がし、敷布団の上にペタンと座る事にします。

初めて陽乃さんの姿を見て胸が高鳴りました。こんな綺麗な人見たことない、まるで女神のようだって感じで。

恋心とかではないですけどねー。

「初めまして、比企谷くんの抱き枕さん。雪ノ下陽乃です。」

「あ、えっと初めまして。このサークルに入らせていただいてます一色いろはです。」

「なるほどー、一色ちゃんね。覚えた覚えた。で、早速なんだけど一色ちゃん、最後に言い残したことある?」

前言撤回、この人ヤバイ。

女神というより魔王って言葉がしっくりくるようなオーラ纏ってますよこの人。

ここは穏便に穏便に

「雪ノ下先輩って今おいくつでしたっけ?年上の嫉妬って見苦しいですよ〜?あー、私より時間的余裕が無いからしょうがないですかね〜。年増、ですもんね。」

あれ?なんで私こんな挑発的に返したんだろう?

「あはははははっ。一色ちゃんおもしろいねー。調子に乗るなよ小娘が。」

「あ、それと私は先輩の事これポッチも好きじゃないので、気にしないで大丈夫ですよ?好きなだけイチャイチャしてください。私の前以外でお願いしますねー。」

何故か全力で挑発しているけど、なんでなんだろう。まあ、どことなくイラッとしたからなんですけど。

「あのー、お2人さん少し穏やかに出来ませんかね・・・。」

「「誰のせいでこうなってるのよ(と思うんですか)!!」」

「ハイっ」

仲介しようとしてくれていた先輩を足早に退場させ、雪ノ下先輩とまた睨み合う。

すると突然死角から教科書らしきもので視界が遮られた。

「はいはい、そこまで。陽乃さんもいろはも落ち着いて。」

教科書を差し出した主、葉山先輩の登場は緊迫した空気を軟化させる。

「あーあ、隼人来たから潰す気起きなくなっちゃった。やめやめ。」

雪ノ下先輩はそう言って先輩の方へ向かって、

「比企谷くん、暇な時はまた遊びにくるから!それじゃ!」

そう言い残して部室から出て行ってしまった。

「あのな、一色。あの人はここの初代会長の雪ノ下陽乃さん。今はここの大学院に通ってる。会長の席は俺に譲ってるけどまだここのメンバーだから。あの人は面白がってるだけだから気にしなくていいぞ。」

先輩は慌てて彼女のフォローに回る。

「先輩、やけに親密そうですけどどういう関係なんですか?」

「ただのサークルの先輩後輩だよ。」

「本当ですかー?」

「チッ、うざい。俺がそう言うからにはそう言うことだ。」

「まあ、比企谷と陽乃さんは本当に仲がいいけどな、勘違いする位には。」

「うるせえ、ほらもう帰れ!俺はこの後レポートやんなきゃならねんだ。」

このサークルに入ってわかった事が何個かある。

比企谷八幡という人は他人に干渉する事もされる事も苦手だと言うこと、葉山隼人という人はそれを面白がってるという事、雪ノ下陽乃という人は本気で先輩に恋心を持ってること、そして一色いろははこの場所にいることが本当に楽しいという事だ。

私はこのおかしな人達との学校生活に楽しみを覚えている。

 


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