SAO <少年が歩く道>   作:もう何も辛くない

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第50話 絶望の運命

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬおおおおおおおおお!!」

 

 

右手の剣でずば───っと薙ぎ払い、

 

 

「りゃああああああああ!!」

 

 

左手の剣でどか───んと切り飛ばす。

 

 

「にぃにー!がんばれー!」

 

 

「…っしゃああああああああああああああ!!!!」

 

 

ユイが声援を送れば、さらに速度を上げて剣舞を踊るキリト。巨大なカエル型モンスターやザリガニ型モンスターなどで構成された、およそ二十体はいるだろう集団を相手に、その数をあっという間に減らしていく。久々に二刀を装備したキリトは、敵陣をもの凄い勢いで蹂躙していた。

 

 

「な、なんだかすみません。任せきりで…」

 

 

「いえ、あれはもう病気みたいなものですから。やらせておけばいいんですよ」

 

 

キリトの戦いぶりを眺めていたユリエールが、同じように後方に立っていたケイ達に目を向けながら申し訳なさそうに言うと、呆れを含んだ苦笑を浮かべてサチが返した。

 

 

「おいおい、ひどいな…」

 

 

すると、こちらの会話が聞こえていたのだろうか。いつの間にか敵集団を全て片付け、こちらに歩み寄りながら苦笑を浮かべているキリト。

 

 

「じゃあ、私と代わる?」

 

 

「い、いや…、もうちょっと…」

 

 

ケイは軽く吹き出し、アスナとサチは顔を見合わせて笑い出す。さらに釣られるように、ケイもまた声を上げて笑い出し、そんな四人の笑い声が響くこの場所は、第一層の黒鉄宮の地下に位置するダンジョン内だ。

 

ユリエールの頼みを受けたケイとアスナは、シンカーが幽閉されているダンジョンへ向かうために外へ出ようとした。

 

だが、そこに二人についていくと呼び止めたのが、今、笑い続けるケイ達を見上げているユイだった。六十層相当の難易度で、ケイとアスナならば特に手こずることなく進めるとはいえ、ユイを連れて行くのは危険すぎる。そのため、ケイとアスナは何とかユイに留守番をしてもらおうと説得を試みたのだが…、結果は失敗。涙をボロボロ流し、ついには声を上げて泣き出してしまった。

 

そこで自分達もと手を上げたのがキリトとサチだった。キリトとサチも最前線で戦うプレイヤーであり、レベルもケイ、アスナと遜色ない。

 

それならばユイをフォローできるだろう、という事でこのメンバーでシンカー救出へと向かったケイ達。

 

 

「シンカーの位置は、数日ずっと動いてません。多分、安全圏の中にいるんだと思います。そこまで到達できれば、後は結晶で脱出できるので…。すみません、もう少しだけお願いします」

 

 

「い、いや。好きでやってるんだし、アイテムも出るし」

 

 

ユリエールがマップを表示させると、シンカーがいる場所を示すフレンドマーカーの光点の位置を確認した。ここのダンジョンのマップがないため、そこへ至る道順は不明だが、ここまでで全体の距離を七割は詰めている。

 

マップを眺めていたキリトは、不意にユリエールに頭を下げられながら言われ、両手を振りながら返事を返した。

 

 

「キリト、何かいいもの出てるの?」

 

 

「おう」

 

 

キリトの言いぶりを気にしたサチが問いかける。それに対してキリトは笑みを浮かべながらストレージを開き、何かを実体化させた。

 

 

「な…ナニソレ」

 

 

どちゃっ、という音を立ててキリトの掌に乗っかったそれは、赤黒い肉塊だった。グロテスクなその質感に、傍にいたサチだけでなく少し遠くから眺めていたアスナも頬を引き攣らせた。

 

 

「スカベンジトードの肉だ!ゲテモノほど旨いっていうからな。後で料理してくれよ」

 

 

「絶、対、嫌!!」

 

 

満面の笑顔で言うキリトから肉を取り上げると、サチは何とも素晴らしいフォームで肉を遠くへと放り投げた。放物線を描いて落下していく肉は、床に激突するとポリゴン片と化し、四散する。

 

 

「ああああああああああああっ!!な、何するんだよ!?」

 

 

「ふんっ」

 

 

「…だったら!」

 

 

悲痛な叫びをあげるキリトと、両手を腰に当ててそっぽを向くサチ。

 

そしてまた、何やらストレージを操作し始めるキリト。また何を始めるんだろう、と気になったサチが、キリトの方を向いたその時だった。

 

 

「これでどうだ!」

 

 

「ひっ…!」

 

 

サチの口から、か細い悲鳴が漏れる。その視線の先には、キリトの両腕に抱かれる、溢れんばかりの量の<スカベンジトードの肉>だった。

 

サチの目が見開き、瞳がわなわなと揺らぎ。キリトは勝ち誇ったように笑みを浮かべる。

 

何故かわからないが、この光景を見ていたケイ達は、本当に何故だろう。勝負は決した、という思いに駆られた。だがここで、サチの目が鋭く光ると、彼女の両腕が動く。

 

 

「きゃああああああああああああああ!!」

 

 

「あっ、ちょっ、まっ…!旨いんだって!絶対!」

 

 

「なら食べてみてよ!ほら!今すぐに!」

 

 

「うわっ、待てサチ!生はだめd…フグゥッ!?」

 

 

悲鳴を上げながら一心不乱にキリトの腕から肉を奪い取り、遠くへと放り投げていくサチ。サチが投げた肉は次々に床へ激突し、ポリゴン片となって四散していく。キリトも肉を盗られまいと逃げようとするが、時すでに遅し。最後の一つも奪い取られ、挙句の果てにその口に肉を突っ込まれる。

 

 

「…ぷっ、くくっ…」

 

 

キリトとサチのやり取りを見てケイとアスナが声を上げて爆笑する中、ユリエールは小さく吹き出した後に声を漏らして笑みを零す。

 

 

「笑った!」

 

 

その時だった。突然、大きな声を上げたユイに痴話喧嘩をしていたキリトとサチを含めて全員が動きを止める。ユイは嬉しそうに笑いながらユリエールを見上げており、さらに続けた。

 

 

「お姉ちゃん、はじめて笑った!」

 

 

(…さっきと同じだな)

 

 

ユイの笑顔を見ながら思い浮かぶのは、先程起きた突然の発作。あれが起きたのは、子供達が一斉に笑った直後の事だった。ユイは周りの笑顔に特別敏感なのか。

 

それとも、今までずっと、何らかの辛い思いをしてきたからだろうか。

 

 

「っ────」

 

 

不意に、アスナがユイを抱き上げて、ぎゅっと抱きしめる。もしかしたら、アスナもケイと同じ考えに至ったのかもしれない。

 

 

「ほら、いつまでも痴話ってないで先行くぞ、二人共ー」

 

 

「「痴話るってなに!?」」

 

 

ちょっとしたツッコミは受けたが、ケイの言葉の通りに再び歩き始め、ダンジョンを突き進んで行く。

 

このダンジョンに入ってからここまで、水棲生物系のモンスターが主に出現していたが、下へ降りていくにつれてゴースト系のモンスターも出るようになっていく。ゴースト系は何の前触れなく現れるため、驚きに体を震わせることも多々あったが、モンスターが出る度アスナの可愛らしい悲鳴を聞けたため、良しと内心で言い聞かせるケイ。

 

しかし、ひたすら暴れ続けるキリトがあっという間に敵を倒していくため、アスナの恐怖心も最低限で済むことになる。

 

 

「あっ、安全圏だよ!」

 

 

キリトが何匹目だったろうか、骸骨剣士を倒して進んだその先に、ついに光が漏れる通路が目に入った。

 

 

「奥にプレイヤーが一人いるな。グリーンだ」

 

 

「シンカー!」

 

 

サチが言った直後、キリトが頷くとユリエールが堪らず駆けだした。ケイ達もユリエールを追って駆けだす。右に婉曲した通路を走っていくと、大きな十字路とその奥に小さな小部屋が見えてきた。あの光は、奥の小部屋から漏れたもので間違いない様だ。

 

その小部屋の入り口に一人、男が立っている。顔は良く見えないが、こちらに向かって両手を振っているのがわかる。

 

 

「ユリエ──────────ル!!」

 

 

こちらの姿を確認すると、男は大声で彼女の名を呼ぶ。呼ばれたユリエールも、左手を振りながらさらに走る速度を速める。

 

 

「シンカ─────────!!」

 

 

涙混じりの叫び、これだけを聞くだけでどれだけユリエールがシンカーの身を案じていたか、窺い知れる。だが、男は、シンカーはユリエールの叫びにかぶさるように再び叫んだ。

 

 

「ユリエール、来ちゃダメだ!その通路は…っ!!」

 

 

シンカーの言葉を聞いたケイ達はぎょっ、と足を止めた。だが、ユリエールはもうすぐシンカーを救えると夢中になっているらしく、聞こえていない様子。

 

ケイがシンカーの言葉を気にして、ユリエールに呼びかけようとしたその時だった。十字路の右側に赤いカーソルが出現した。それを見た瞬間、弾かれるように、ケイは敏捷度をフルに使って前を走るユリエールへと踏み込んだ。

 

一瞬にしてユリエールの背後へと迫ると、ケイは左手で彼女の体を抱えて制動し、そのままユリエールをアスナ達の方へ放り投げると、すぐさま後退。アスナ達から見て左手の通路に飛び込んでいった。

 

そしてケイは刀を抜刀。<抜刀術>を利用した刀ソードスキル<雷鳴>を放ち、凄まじい勢いでこちらに迫る巨大なモンスターが振り下ろす鎌を弾いて、辛うじて一時難を逃れる。

 

 

「ケイ君!」

 

 

モンスターを挟んで奥から、アスナが呼ぶ声が聞こえてくる。恐らく剣を抜いて、自分を助けるためにこちらに駆けこんでくるだろう。だが────

 

 

「ダメだアスナ、来るな!キリト達と一緒に、ユリエールさんとユイを連れて脱出しろ!」

 

 

「え…!?」

 

 

二メートル半はあろう巨大なモンスターのカーソル付近で見える名称、<The Fatal-scythe>。固有名を飾る定冠詞は、ボスモンスターである証だ。

 

 

「俺が時間を稼ぐから、お前らは早く────」

 

 

「バカな!ケイ、お前だってわかってるはずだ!データが見えないって事は、こいつは九十層クラスの強さを持ってる!」

 

 

「っ…!?」

 

 

キリトの言葉に、ケイは返事をする事は出来なかった。

 

ぼろぼろの黒いローブを纏い、フードから覗く瞳がぎょろりと回ってからケイを見下ろす。瞬間、悪寒がケイの全身を奔る。

 

途端、死神はケイに向かって動き出した。ケイと同等か、はたまたそれ以上のスピードで迫る死神は、裾から漏れる瘴気を纏わせた刃をケイに向かって振り下ろす。ケイはその場で横にステップする事で斬撃からは回避。

 

だが、刃が床に突き刺さり、それによって撒き散らされる石の破片がケイの体を掠り、HPを僅かに減らす。

 

 

(こんな小さな破片で…っ)

 

 

掌にちょこんと、それこそ小指の幅よりも小さな石がプレイヤーのHPを減らしたことにケイは戦慄する。どれだけの勢いで撒き散られたのか。そして、その勢いを生み出した斬撃の威力がケイを震え上がらせる。

 

 

「ユリエールさん!キリト君とサチも、ユイちゃんを連れて下がって!」

 

 

「あ、アスナ!?」

 

 

死神が鎌を担ぎ、再びケイに向かって迫ろうとした時、置くからそんなアスナの声が聞こえてきた。直後には、驚愕するサチの声も聞こえてくる。

 

 

「なっ…」

 

 

その瞬間だった。本来、一人に狙いをつけた場合、他のプレイヤーに攻撃や大ダメージを受けない限りはその対象をモンスターのAIは変える事はない。だが、死神は、まるでアスナの声に反応したかのように振り返り、血走った瞳でアスナを見下ろした。

 

 

「アスナぁああああああ!!!」

 

 

叫びながら駆けだしたと同時に、眼前の死神もアスナに迫る。直前まで、キリト達とやり取りをしていたせいか、アスナは僅かに反応が遅れてしまった。回避は出来ないため、防御態勢をとるしかなくなる。

 

細剣を縦に構えるアスナに向かって、死神は担いだ鎌を横薙ぎに振るう。

 

その時、ここでケイはアスナの前に躍り出た。そして再びソードスキル<雷鳴>を使い、少しでも鎌の威力が落ちるように全力を以てぶつけに行く。

 

刀と、死神の鎌がぶつかった瞬間、浮遊感を覚える。そこから、一秒間の間にケイの全身に何度も衝撃が奔る。自分が何度も壁にぶつかりながら床を転がってるんだと悟った時に、ようやく回転が止まる。

 

何度も強い衝撃を受けたせいか、意識がはっきりしない。それでも、アスナが無事かどうかを何とか確認しなければ、と目を開ける。

 

アスナはケイの目の前で倒れていた。顔を上げ、HPを確認するとアスナのHPは辛うじて半分、まだ安全域の分は残っていた。だが、ケイのHPは半分を超えて注意域に迫っている。

 

上位ソードスキルで威力を落とした上でのこのダメージだ。状況は絶望的としか言いようがない。

 

 

「アスナ…っ」

 

 

「ぁ…っ。ケイく…っ」

 

 

アスナと無事を確かめ合うが、視界の向こうで再び死神が鎌を担いでいるのが見えた。またあの薙ぎ払いが来る。そうわかっているのに、立ち上がることができない。

 

 

「くそっ!」

 

 

「ケイ!アスナ!」

 

 

キリトとサチが叫ぶのが聞こえる。そして、先程のアスナの時と同じように、死神はその声に反応し、振り返る。

 

キリトとサチは死神に向かって飛び込んでいくが、死神の圧倒的な力に薙ぎ払われてしまう。二人は死神のHPを減らせたのだろうか、気にはなったがそのデータすら見る事はできない。

 

 

(そうだ…。ユイは安全圏に逃げれたか…?ユリエールさんも…)

 

 

これまた何故か、先程攻撃してきたキリトとサチではなく、死神はこちらを向いて寄ってくる。血走った瞳がケイとアスナを見下ろす。

 

 

「ケイっ…!アスナ…っ!」

 

 

「う…、あっ…!」

 

 

再びキリトの叫び声、だが今度は死神は反応しない。まるで、二人はもう動けないとわかっているかのように。

 

 

(くそ…!せめて…)

 

 

アスナだけでも。

そう、心の中で決意して、力を込めて立ち上がろうとした時だった。

 

この緊迫した状況に不釣り合いな、とことことあどけない足音。はっ、と顔を上げて見れば、桃色のセーターにスカート、そして赤い靴。安全圏に逃げたはずのユイが、こちらに歩いて来ていた。

 

 

「何してんだユイ!早く逃げろ!」

 

 

ユイの小さな足音にすら反応し、振り返る死神に絶望を感じながら、ケイは叫ぶ。

あの範囲攻撃に巻き込まれれば、間違いなくユイのHPは消し飛んでしまう。

 

だが、信じられない事が起きた。

 

 

「大丈夫だよ。パパ、ママ」

 

 

その言葉と同時に、ふわりとユイの体が宙へ浮かぶ。そのまま上昇し、死神と頭を並べる地点で停止した。ジャンプしたのではなく、まるで空を飛んだかのように。

 

そしてユイは右手を宙へ掲げて、掌を死神へと向ける。

 

 

「ダメ!ユイちゃん、逃げて!!」

 

 

アスナもユイに向かって叫ぶ。しかし、それをかき消すように死神の鎌は振るわれ、刃がユイへと迫る。

 

すると、ユイは掌を移動させて、迫る鎌の方へ向けた。そして────刃は鮮やかな紫色の障壁に阻まれた。

 

 

「っ!?」

 

 

ケイは大きく目を見開いて、その障壁にかかれている文字を凝視する。

 

<Immortal Object>

不死存在、と、確かにそこにはそう書かれていた。

 

死神の目がぐるぐると動く。まるで、今起きた現象に戸惑いを覚えたかのように。

だがそれだけでなく、続いてさらに驚愕する現象が起こる。

 

ごうっ!!と轟音が響き渡ると、ユイの右手で炎が燃え上がる。燃え上がった炎は渦を巻き上げると、細長い剣の形に収まっていく。剣はさらに伸びていき、ユイの背丈を超える巨大な大剣へと姿を変える。

 

大剣の刃からは炎が漏れ、ユイの冬服を燃やし落とす。だが、元から着ていた白いワンピースが下から現れ、さらに黒く長い髪もそのままの状態を保っている。

 

大剣を手に、ユイが空中を駆けて死神へと突っ込んでいく。

激しく巻く炎を纏った刃を死神に向かって振り下ろす。それに対し、死神は鎌を横に倒して防御の体勢をとると、直後にユイの刃と鎌の柄がぶつかり合う。

 

一瞬の硬直。だが、すぐに均衡は崩れ、ユイの刃が鎌の柄に食い込んでいき、遂に鎌を真っ二つに切り裂く。斬撃の勢いはそこで止まる事はなかった。炎の剣は死神の顔面へ叩き付けられ、そのまま死神の体に斬り入っていく。

 

 

「GOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA」

 

 

これまで決して声を上げる事がなかった死神が、苦悶に満ちた叫びをあげる。刃が斬り込まれた死神の脳天からさらに振り下ろされ、鎌と同じように死神の体も真っ二つに切り裂かれた。直後、二つに分かれた死神は炎で包まれ、次の瞬間にはそれらは燃え尽きる。

 

 

「っ…」

 

 

だが、これらの光景のほとんどはケイ達は見る事ができなかった。炎の眩しさに目を開けられず、ユイが剣を振り下ろす所までしか見られなかったのだ。

 

それでも、次に目を開けた時にはボスの姿がなかった事。そして、ユイの剣がまだその手にあった事。先程まで死神がいた場所で、ちりちりと炎が燃えていた事から、ユイが死神を倒したのだという事はハッキリとわかる。

 

 

「ユイちゃん…」

 

 

「ユイ…」

 

 

何とか辛うじて、立ち上がれる程度に力が戻ったケイとアスナが、それぞれの武器を床に立ててよろよろと立ち上がる。

 

床へ降り立ったユイは、俯いたまま。手の中の剣は、再び炎を巻き上がらせるとボロボロと崩れていった。

 

その後、ゆっくりと振り返ったユイの瞳には涙に濡れ、その目でケイとアスナを見上げたまま口を開いた。

 

 

「パパ…、ママ…」

 

 

ユイは悲しそうに笑みを浮かべる。

 

 

「全部、思い出したよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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