SAO <少年が歩く道>   作:もう何も辛くない

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第35話 終結

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ…ぁぁっ!」

 

 

「はぁぁぁぁぁ…」

 

 

歯を食い縛って力を込めるケイと、息を吐くように声を漏らすPoH。二人のぶつかり合いは未だ続いていた。ぶつかり合う刃からは閃光が上がり、二人が踏み締める土が沈み始める。

 

 

「「っ!」」

 

 

互いがさらに力を入れ、相手を押し込んでやろうとしたその時だった。

ぶつかり合う刃、閃光を上げる二つの刃から謎のノイズが奔る。ザザザッ、とラジオでチャンネルが合わない時によく聞く音が響いた瞬間、ケイとPoHは弾かれるようにして同時に距離を取る。

 

そして、ここまでの流れなら、体勢を整えてすぐ相手に向かって行ったはずのケイは戸惑いのせいかすぐには身動きを取れなかった。

 

だが、先程の謎の現象の理由を考察する暇も無く。戸惑うケイとは違い、即座に立て直したPoHがケイに向かってきていた。

 

ケイは思考を切って、目の前のPoHに意識を向ける。

 

ソードスキルは使わない。純粋な剣技を以てケイとPoHは交錯を続ける。

 

 

「はっ!」

 

 

「ちっ…!」

 

 

スキル皆無の戦闘ではケイが優勢だった。POHの斬撃を弾きながら、隙を突いて反撃を入れていく。

 

 

(現実での経験が、こんな所で役に立つなんてな!)

 

 

内心で、現実で続けていた趣味に感謝しながらケイは体勢を崩したPoH目掛けて刀を突く。

 

 

「がっ…!」

 

 

ここで、戦闘が開始されてから初めて、PoHの表情が苦悶に染まった。PoHの胸、現実ならば心臓があるだろう所に向かって刀を突いたケイだったが、それに反応したPoHの回避行動によって狙いは外れる。

 

だが、それでもケイの突きは命中し、PoHの左肩にはケイの刀が貫通していた。

 

SAOでは、どんな力で殴られても、剣で斬られても痛みは感じない。だがその代わりというべきか、痛みではないのだが形容し難い不快感を感じるのだ。特に、今のPoHのように、武器が体を貫いている状態は。

 

 

「武器で貫かれるのは初めてか?別に痛くはないだろ」

 

 

「くく…。痛くはない…が、良い気持ちにはならねぇなぁ!」

 

 

皮肉の笑みを浮かべながら問いかけるケイに、PoHもまた笑みを返す。

 

直後、PoHは肩を貫いた刃に切り裂かれることも厭わずに、体を翻してケイの刀を抜く。

 

 

「!」

 

 

PoHの左肩からその首元にかけてケイの刀が切り裂き、傷跡から赤いライトエフェクトが零れる。そのHPが削れるのも厭わないPoHの強行に目を見開きながらも、直後のPoHの反撃に対し、ケイはすぐに距離を取る。

 

しかしPoHは距離を取るケイに向かって追い縋り、再び黒のライトエフェクトを灯した<友切包丁>を振るう。

 

暗黒剣上位重単発攻撃スキル<ヴェンジェンス>

 

 

「…」

 

 

PoHの一撃が迫る中、ケイは目を逸らすことなく、視線を動かすこともなく、黒の軌跡のみを追っていた。

そして、このコンマ一秒の遅れも許されないこの状況で、ケイは刀を鞘へと戻す。

 

<抜刀術>の使用。この状況の中で、ケイが選んだ選択肢はそれだった。それもただの、<抜刀術>の恩恵を受けたソードスキルではない。

 

 

「っ!?」

 

 

PoHの目が見開かれる。彼の視線の先には、鞘をも巻き込んで白く発光するケイの刀があった。

 

<抜刀術>カテゴリにおいて、唯一のソードスキル。<瞬光>

 

ケイは、神速の一撃を<友切包丁>を握るPoHの手首目掛けて打ち放った。

 

 

「Wow…」

 

 

PoHの口から驚愕の声が漏れる。そのPoHの頭上では、先程ケイが斬り飛ばしたPoHの手首から先と、手から離れた<友切包丁>が飛んでいた。

 

ケイはソードスキル使用後の、PoHはソードスキル強制中断による硬直が訪れる。

そんな中、ケイが斬り飛ばしたPoHの手の破砕音が響き渡った。

 

 

「っ────」

 

 

その直後、硬直から解き放たれたケイが動く。左薙ぎで振り切った体勢から、袈裟気味に刀を振り下ろす。

 

PoHは硬直でまだ動けない。これで残ったPoHの左腕を切り落として決着。

そうなる、はずだった。

 

 

「HAaa…っ!」

 

 

「は…!?」

 

 

これまでに聞いてきた、愉悦に満ちた叫びではない。もっと、何かに縋る、必死さに満ちた叫びだった。

 

呆けた声を漏らすケイの目の前で、未だ硬直から抜けられないはずのPoHが、動いた。

後方へと跳躍し、頭上から落ちてくる<友切包丁>を残った左手で掴み取ってケイを見据える。

 

 

(やっ…ば!)

 

 

左手で掴んだPoHの<友切包丁>。それが、見た事がない程に強烈な光を発したのを見て、ケイは本能的に危機を感じた。光の色が黒のため、目が眩んだりという事にはならない。

だが…、PoHが使おうとしているスキルを受ければ、一瞬で終わるとケイは確信した。

 

刀最上位九連撃スキル<獄炎>

 

暗黒剣最上位十連撃スキル<ディストラクション>

 

最大級の威力を誇り、連撃数もそれぞれの最大の数を誇る必殺のソードスキル。

だが、ケイもPoHも確信していた。

 

勝負は、初撃の一撃で、全てが決まる。

 

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!!!」

 

 

「Fooooooooooooooooooooooooooooooooooooo!!!」

 

 

喉がどうなろうと構わないとばかりに叫び、自身に喝を込め、相手を潰すべく一撃を繰り出す。

 

一撃のぶつかり合いは、先程の様に長い物にはならなかった。二人の考え通り、一瞬で全てが決した。

 

互いの刃がぶつかり合った瞬間、轟音が鳴り響く。二人が立つ地面が割れ、周りにある木のオブジェクトが折れ、何もかもを破壊する轟音が二人を呑み込む。

 

 

「っ…」

 

 

刃から伝わってくる衝撃に吹き飛ばされないように踏ん張った…気がする。よく覚えていない。

 

ケイの意識は、ここで途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、アスナ!待てって!」

 

 

背後からキリトの声が聞こえてくる。自分を呼び止めようとしているのはわかるが…、アスナは止まらない。止まることができなかった。

 

先程見た、空に上がっていく閃光。今はもう消えてしまったが、あれは恐らく…。

 

 

(ケイ君…!)

 

 

いつもそうだ。何でも一人で背負い込んで、人を相棒と呼びながら、結局は一人で片付けようとする。

あの時、自分とキリトの言葉に従って素直に下がったケイを見て、少しは落ち着いたのだろうかと思った自分が馬鹿だった。

 

ケイは何も変わってない。放っておけば、手が届かない場所まで突っ込んでいって、いつかは────

 

 

「「!」」

 

 

そこまで思考が進んだ時だった。かなり近くの方からだろうか、凄まじい轟音が二人の鼓膜を揺らす。

 

思わず足を止めたアスナとキリトは、一度目を見合わせた後に再び走り出す。

 

あの閃光が打ち上がった方へ。先程、轟音が聞こえてきた方へ。

 

そうして走っている内に、視界の中で不自然に開けた場所が見えてきた。アスナとキリトはその光景に僅かな疑問を浮かべつつも、スピードを緩めずにその場所へと足を踏み入れる。

 

 

「な、何だよ…これ…」

 

 

そして、そこで広がる光景に、思わず二人は立ち止まった。信じられないように、呆然と言葉を漏らしたのはキリト。

 

アスナもまた、言葉には出さないものの驚愕を顔にありありと表していた。

 

割れ目がまるで蜘蛛の巣の様に描かれた地面に、周りでは斬り倒されたのかはたまた別の理由か、切り株のみになった木がたくさんある。

 

まるで、小規模な爆弾がその場で炸裂したかのような、そんな光景がアスナとキリトの目の前で広がっていた。

 

 

「っ、ケイ君!」

 

 

光景を見回したアスナが、ふと切り株に背を置いてぐったりと座り込むプレイヤーを見つけた。それを見たアスナは、何かを考える前に名前を呼び、そのプレイヤーへと駆け寄った。

 

 

「ケイ君!しっかりして、ケイ君!!」

 

 

「…っ」

 

 

プレイヤーの、ケイの体を抱えて揺らしながらアスナが呼びかける。ケイは気を失っているのか、アスナの呼びかけに少しの間、何の反応も示さなかったのだが、少しすると、苦し気に眉を顰め、瞼がゆっくりと開いていく。

 

 

「ケイ君!」

 

 

「ケイ!」

 

 

両目を開いたケイに、アスナと彼女に続いてケイに駆け寄っていたキリトが呼びかける。

ケイは自分を抱えるアスナと、その後ろにいるキリトと視線を動かして見回した。

 

 

「アスナ…、キリト…。お前ら、どうしてここに…」

 

 

「どうしてじゃないわよ!そんなの…、こっちのセリフよ!」

 

 

アスナの手から離れながら問いかけてくるケイに、思わずアスナは激昂してしまった。どうして、と問いかけてきたケイに対して、アスナは両拳を握る。

 

 

「どうして…どうして、ケイ君は…!」

 

 

「…っ、アスナ!」

 

 

アスナがケイに対して疑問を投げかけようとした時、ケイが突如勢いよく立ち上がり、アスナの前へと躍り出る。

 

アスナは目を丸くし、ケイの姿を目で追う。

 

 

「ぁ…」

 

 

目の前にはケイの背中が見えるが、それだけではない。ケイの奥、ケイが座り込んでいた場所と丁度対面側に位置する場所。そこで、奴はケイと同じように座り込んでいた。

だが、奴はゆっくりと立ち上がり、だらりと左腕を下ろすと奴を見据えるケイに笑みを向けた。

 

 

「PoH…!」

 

 

ケイが対面側にいる人物の名前を口にする。アインクラッド内、最大最悪の犯罪者であり、ここまでケイと死闘を繰り広げたPoHが、そこに立っていた。

 

ケイが斬り飛ばした右腕は未だ戻っておらず、残った左手には何も持っていない。ケイもまた得物を手放しており、どうやら同じようにPoHもまたどこかに得物を飛ばされてしまったのだろう。

 

 

「ククク…。ざまぁねぇなァ…、お互いボロボロになって、結局、決着は着かず終いかよ…」

 

 

どこか自嘲気味にも聞こえるPoHの呟きに、真っ先に反応したのはキリトだった。

 

 

「バカを言うな。武器を持たないお前を捕まえるのは簡単だ。逃げられると思うなよ」

 

 

まるで、ケイ達三人から容易く逃げられると言わんばかりの口ぶりで言うPoHに、キリトが言い放った。

 

いくら武器を持っていない状態とはいえ、目の前にいるのはPoH.。キリトは警戒を緩めず、<エリュシデータ>を構えてPoHと対峙する。

 

 

「…お前ぇじゃダメだ、黒の剣士。お前ぇじゃ、おれの相手は務まらねェ」

 

 

「…試してみるか?」

 

 

警戒は緩めないが…、素手の状態のPoHに負ける気はしない。キリトは、まだ自由には体を動かせない様子のPoHと向き合う。

 

 

「私のことも、忘れてないでしょうね」

 

 

キリトだけではない。アスナもまた、ケイの前から歩き出て、キリトの隣でPoHと対峙する。

 

 

「閃光…」

 

 

アスナが前に出てもなお、顔に浮かべる笑みを崩さないPoH。

 

 

「…やめておくか。ここで無茶する必要もねェ。それに────」

 

 

だが、さすがにキリトとアスナの二人を相手取るのは辛いと考えたのか、キリトへ吐いたセリフとは正反対のセリフを言うPoH。

するとPoHは、ぐったりと曲げていた背を真っ直ぐに伸ばし、通常の体勢に戻してから言葉を続けた。

 

 

「もう、時間切れみたいだしな」

 

 

そう言いながら、PoHが懐から取り出したのは転移結晶。どうやらここで戦闘を諦め、逃げ出す算段の様だ。

 

 

「逃がすと思うか?PoH」

 

 

「逃げられないと思うか?黒の剣士。それに…」

 

 

キリトの挑発に対し、PoHは挑発で返す。そのPoHの余裕な態度にケイは内心怪訝に感じる。

転移結晶はすぐに取り出せるように用意していたみたいだが、転移する対象の街の詠唱中に取り押さえられる自信はある。そしてそれは、ケイだけでなくキリトとアスナも同じだろう。

 

この攻略組の中でもトップと言われる三人のプレイヤー。…自分に関しては不本意ではあるが、それでもこの状況でも余裕を保っていられるPoHに怪しさを感じる。

 

ケイの怪訝な視線を受けながら、PoHは言葉を続けた。

 

 

「時間切れと、言っただろう?」

 

 

「?」

 

 

PoHがその言葉を言った時だった。ケイはある奇妙な光景に気付く。

 

 

(霧、か?)

 

 

それはまだ薄く、比較的距離が離れてるPoHの顔もはっきり見えるほどではあるが、ケイ達がいる場所で霧が発生していた。そして同時に、ケイの脳裏である光景が思い出される。

 

 

(そういえば、ここに来てすぐも霧が出てたな…。それも、少し離れた程度でも他の人の顔も見れなくなるくらいの…)

 

 

ケイが内心で呟いている間にも、異常なペースで霧がどんどん濃くなっていく。ケイの視界に映る光景と、脳裏で蘇る光景がだんだんと一致していく。

 

 

「なぁ…、どうして俺達の奇襲に、お前らが気が付かなかったと思う?幻影と黒の剣士は、索敵スキルがかなり高いってのになァ?」

 

 

すると、急にPoHが話し始める。それは、キバオウが真っ先に被害に遭ったあの奇襲について。

 

 

「何を…」

 

 

「あの時も、こんな風に…霧が濃かったなァ?」

 

 

そう、確かにPoHの言う通り、あの時は今と同じく霧が濃く広がっていた。

だがそれが、一体何だと────

 

 

「…なるほど、そういうことか」

 

 

「…キリト、お前も気付いたか」

 

 

「あぁ」

 

 

そこまで思考を進めていた時、ケイの思考はある事実に辿り着く。

そしてそれはあまりに単純で、簡単で、どうしてここまでそれがわからなかったのかと不思議に思えるほどだった。

 

 

「この霧は、プレイヤーの索敵スキルを無効化する」

 

 

「え…!?」

 

 

索敵スキルを基本、使わないアスナはわからなかったようだ。まぁ、実際に索敵スキルをあの場で使っていなければ異変にすら気が付くことも出来ないだろうから仕方ないのだが。

 

 

「そうだ。つまり、俺の逃走が成功する確率が格段に上がるわけだ…っ!」

 

 

「!待て!」

 

 

突如、PoHが体を翻し、こちらに背を向けて駆けだしていった。それを、キリトが慌てて追いかける。

 

 

「くっ!」

 

 

「あっ!ま、待って!ケイ君!」

 

 

それに続いてケイが、アスナが駆けだす。

 

 

(ダメだ!ここであいつを逃がしたら、結局何も変わらねぇ!)

 

 

追いかけながらケイは心の中で焦りを募らせる。

ここでPoHを捕らえなければならない。<ラフィンコフィン>という組織は、これで壊滅状態にはなるだろうが、PoHを捕らえなければまた、どんな形であろうと、殺人ギルドは復活する。

 

それがわかっているからこそ、ケイはここで何としてもPoHを捕らえたかった。

<ラフィンコフィン>という組織に関しては、あわよくばという気持ちでここに来ていた。ケイの本命は、PoHの捕獲─────

 

 

「くっ…!視界が…!」

 

 

だが、白く濃い霧がケイの視界を奪う。さらにここは深い森の中。おかげで、視界が利かないせいで上手く走れず、PoHに追いつくことができない。

 

 

「あばよ、幻影。…また、会おうぜ」

 

 

「っ、PoH!」

 

 

逃げられる

 

この一言が脳裏を過った瞬間、ケイの耳元で何者かが囁いた声がした。ケイはすぐにその正体を悟り、声が聞こえてきた方へと振り向く。

 

そこには…、何もいない。見えるのは視界を覆う白い霧のみ。だが、ケイが振り向いた直後に、再びあの低い男の声が耳に届いた。

 

 

「転移、────」

 

 

「待…!」

 

 

聞こえてきたのは、転移結晶を使用するための詠唱。そして直後、転移の光に包まれる際に響く涼やかな音。

 

転移した先を聞き取る事は出来なかった。…完全に、PoHの行方を、見失ってしまった。

 

 

「…くそ」

 

 

「ケイ君!」

 

 

PoHを逃がしてしまった事の後悔が籠った悪態を漏らす中、霧の中からアスナが姿を現す。

ケイがこちらに駆け寄ってくるアスナに視線を向けると、アスナは立ち止まって恐る恐るといった感じで口を開いた。

 

 

「…PoHは」

 

 

「…悪い、逃がした」

 

 

簡潔なアスナの問いかけに、簡潔な答えを返すケイ。だが、この短い言葉にどれだけの悔いの思いが込められてるか。

それを感じ取ったアスナは、視線を外して空を見上げるケイに何も言わない。

 

ケイとアスナはその場で動かず、再び霧が晴れ始めた頃にキリトが戻ってくるまで沈黙が流れ続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後に、ラフコフ討伐戦と呼ばれる事となるこの戦争は、攻略組の勝利という形で終わった。だがその裏で、攻略組側に七人の死者が出るという被害も負ってしまった。

 

特に、アインクラッド解放軍のキバオウの死は、生き残っている全プレイヤーに衝撃を与えた。さらにキバオウの死がきっかけとなってしまったのか、軍はキバオウを含めて四人の死者を出してしまった。それも、攻略組の最前線プレイヤーを。

 

ラフィンコフィン側で出た死者は、ケイが手をかけたプレイヤーも含めて四人。皮肉にも、勝利したはずの攻略組の死者よりも少ない人数になっている。

しかし、幹部のザザとジョニーブラックに、戦場から逃れた数人を除いてほとんどを捕獲し、牢獄エリア送りにしている。

 

実質、<ラフィンコフィン>という組織は壊滅した。

しかし、まだ元ラフコフリーダーのPoHが逃亡中という事実が攻略組内部でしこりとなって残っている。

 

プレイヤーのほとんどが、これで終わったのだと考えている。小規模な犯罪者ギルドは残っているものの、<ラフィンコフィン>のような大組織に怯える日々はもう来ないと考えている。

 

だが、この時のケイは、まだどうしても【これで終わり】とは思えなかった。<ラフィンコフィン>は壊滅し、PoHといえども、また大規模で活動する事は難しくなってるはずなのに。

 

嫌な予感がしてならなかった。

 

 

 

 

 

その予感は、後に、ずっとずっと後に。それこそ、ケイがこの事件を忘れかけた頃に、当たってしまうという事を、当然この時のケイは知る由もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これにて討伐戦は終了です。次回からはまたほのぼのが始まります。

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