やはり俺が意識不明の重体なのはまちがっている。 作:世間で言うジョージさん
まだ足りなかったよーな、
そんな宙ぶらりんの気分です。
感想どしどし、お願いしまっす!
現在は屋上。
時刻は昼休みになったところだ。
ここで昼食を摂りながらの最後の打ち合わせとなる。材木座は口達者ではないし、緊張だってするだろう。だから過度の期待は出来ないし、強制も出来ない。なのにコイツは無償で動いてくれている。一度コイツに言ったことがある。前世とか今の俺達には関係ないことなんだから、気にしなくていいぞと。すると、
「我が前世の因縁に縛られてるだと?フッフッフ、見損なうな!八幡よ!我を動かすのは、如何なる時も我の意思なり!」
とは、材木座の弁。暑苦しいけど嬉しいことを言ってくれる。雪ノ下も由比ヶ浜にユルユリされてる時は、こんな気分だったのだろうか?いや、違うな。まず、俺らでやると絵面がキモすぎる。
話を戻そう。放課後に奉仕部へと向かう。そこで材木座は紙とペンを取り出す、俺が簡単に筆談する。この時、持続力が続かないので、手短にする。これで信じてもらえたなら良し。無理ならスペアプランを実行する。その為の準備もしてある。
もしも、スペアプランも駄目だった場合の保険もある……が、あまり使いたくはないけど、いざというときは実行する予定だ。早いか遅いかの違いしかないからな。ちなみに材木座にはスペアプランまでしか言ってない。保険は俺だけが知るところとなる。
「時に八幡よ。スペアプランも駄目だった場合はどうするのだ?我、何の策もないぞ?」
『その時になってみないと、わかんねーよ。また別のプランでも考えればいいだろ?』
「ホムン。お主にしては少々穴がある作戦だな。我も早く終わらせて、次の作品のプロットを手掛けたいからな。」
嫌なことをキッチリ聞いてきやがるな。本当に良い相棒だ。話もそこそこに昼休みも終わり、教室へ戻った。そして迎えた放課後。材木座と二人で奉仕部へと向かう。材木座にノックをするように促して、返事を確認してから中へ入っていった。
「あいや、失礼する。今日は昨日の非礼を詫びに来た!」
最初にお詫びから入るように仕向けてある。これならまずは邪険にされる事はない。
「いえ、昨日は私もカッとなってしまったわ。冷静ではなかったのだから、別に構わないわ。」
「中二も悪かったけど、あたしらも言い過ぎたと思うし。ゴメンなさい。」
「いや、我も軽率な発言であった。今日は誤解のないよう、これを見てほしいのだ。」
ここで材木座は打ち合わせ通りに、紙とペンを取り出す。それを長机の上に置いて、一歩下がる。ここからが俺の出番だ。
「いったい何をしたいのかしら?これは見たまま、紙とペンね。」
「これより先は、語るよりも、見た方が早い。八幡よ、出番だ!」
すかさずペンを持ち、紙に言葉を書いていく。内容は、俺だ、話がしたい、だ。
「…どうやっているのか知らないけれど、あまり感心が出来る内容ではないようね。」
「待って、ゆきのん!昨日の夜にあたしの家でも同じことがあったよ!これって、幽霊さんだよね?」
「幽霊さんではない。八幡だ。これは奴がゴーストとなって書いたものだ。」
「ゴースト?馬鹿馬鹿しい。そんな子供騙しで私達を騙せると思っているのなら、もはや手遅れね。貴方のその病気…嫌いだわ。」
俺はすぐにまた書き込む。
雪ノ下、落ち着け、と。
「…貴方が何の目的でこんな事をしていのかわからないわ。だいたいそのヒゲは何なのかしら?不愉快極まりないわ。帰ってくれないかしら?」
「ムウゥ!八幡よ、スペアプランを発動するぞ!部長殿に話が通じぬ!」
今ここでヒゲをツッコむのかよ!俺も忘れてたけど。それにしても、雪ノ下は確かに頑固で意固地になりやすいが、ここまでだったろうか?何かがおかしい……だが、今は考えている時間も惜しい。
材木座がバッグよりパンさんのヌイグルミを取り出す。そう、スペアプランとはこれなのだ。八幡、いっきまーす!
パンさんは丁寧にお辞儀をすると、雪ノ下の前にテクテク歩いていく。そして、雪ノ下に握手を求めるように、ソッと手を出す。雪ノ下は、はわわ~と嬉しそうな顔をして眼を輝かせていた。これはいけると、手応えを感じていた。すると、雪ノ下は伸ばそうとした自分の右手を掴んで、唇を噛み締めてグッと我慢していた。
「こ、これがどうかしたのかしら?なかなか精巧な玩具ね。こんな物で私は騙されないわ。さぁ、帰ってちょうだい。」
これでも堕ちないだと?あの雪ノ下が?信じられん。やはり何かがおかしい。これ以上は進展もなさそうだ。それに気がかりもできた。ここは一旦、退いた方が得策だろう。
『もういい、材木座帰るぞ。少し調べたい事がある。』
「ヌヌヌ!わかった、八幡よ。それではさらばだ!」
部室を後にする俺達二人を見送る視線が一つあった。俺はそのことに気づかずに、材木座と屋上へと行ってしまった。その視線の主は奉仕部へと足を踏み入れていた。
「やっはろー。こんにちはです。雪乃さん、結衣さん。」
「小町さん……」
「やっはろー!小町ちゃん。もしかしてヒッキーの事で来たのかな?」
「そうですよー。お二人にどうしてもお話ししたい事がありまして!や、おにーちゃんの事なんですけど。」
二人は明らかに顔が暗くなった。
小町は部室の外から一部始終を見ていたから知ってる。客観的に見た雪乃さんの気持ちにも当たりがついている。さっきは信じられないものをたくさん見たけど、それよりも聞きたい事があった。
「小町さん。私達に比企谷くんのことで話しがしたいとは、何の話かしら?」
「単刀直入に言いますねー。雪乃さん、さっきの本当は解ってるんじゃないんですか?」
「え?ゆきのん、わかってたの?じゃあ、なんであんな態度をとったの?」
結衣さんは驚きを見せて、雪乃さんに詰めよっていた。雪乃さんは思い詰めた顔で一息フゥーと吹くと、意を決したのか少しずつ話してくれた。
「さすが小町さんね。とても彼の妹とは思えないわ。いくら頭の堅い私でもあれだけの現象を眼にしてしまったら、認めざるを得ない。けれどね、恐かったのよ。」
「ゆきのんは恐いの苦手だもんね、仕方ないんじゃないかな?」
「そうじゃないのよ、由比ヶ浜さん。私が恐かったのは、比企谷くんに会ってしまうことよ。今更だけれど、どんな顔して彼に会えばいいのか解らなかったのよ。彼に託された命には、彼の大事な者を守る責任がある。その責任を果たせなかった事に対して、私は彼に合わせる顔がないと言ったのよ。貴女達も身に覚えがあるはずよ?そんなことを彼なら望むはずもないわ。」
小町には解ってしまった。結衣さんも理解したみたいだ。きっと雪乃さんは、小町達が学校を辞めて働くと言ったことを指しているんだ。そしてそれをおにーちゃんが望んでないことも。だからこそ現実を認めない。認めてしまえば、おにーちゃんがそこにいると認めることになるから。雪乃さんをここまで追い詰めてしまったのは小町だ。結衣さんに決断させてしまったのも小町だ。
「雪乃さん、結衣さん、まずはお二人に謝らなければなりません。小町のせいです。ゴメンなさい。」
「あたしもヒッキーの気持ちとか考えれてなかったし。お互い様だよ。小町ちゃん、ゴメンね。」
「小町さん。浅慮だった事を恥じるわ。ごめんなさい。折角、彼と会えたかもしれなかったのに、本当にごめんなさい。」
「いえいえお気になさらずに。小町はおにーちゃんの妹ですから。だから、おにーちゃんには必ず会えるのです。今からでも遅くはありませんよ?お二人もご一緒にどうですか?小町一人だと寂しいので、付いて来てくれると嬉しいのですが?」
二人には今までのような暗い雰囲気はもうない。
三人で探しにいこう。おにーちゃんは小町が見つけてあげるね!こんな可愛い女の子を三人も泣かせるなんて、もぉ本当にごみぃちゃんなんだから。謝るまで許してあげないからね。
小町視点への入り方が雑かったよーな。
上手く描写を書けたかわかんねっす。
そろそろ最終パートに加速していきます。