やはり俺が意識不明の重体なのはまちがっている。   作:世間で言うジョージさん

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今回は長く書いてしまったよーな、
まだ足りなかったよーな、
そんな宙ぶらりんの気分です。

感想どしどし、お願いしまっす!


第19話 錯綜する想い

 

 

 

現在は屋上。

時刻は昼休みになったところだ。

 

ここで昼食を摂りながらの最後の打ち合わせとなる。材木座は口達者ではないし、緊張だってするだろう。だから過度の期待は出来ないし、強制も出来ない。なのにコイツは無償で動いてくれている。一度コイツに言ったことがある。前世とか今の俺達には関係ないことなんだから、気にしなくていいぞと。すると、

 

 

「我が前世の因縁に縛られてるだと?フッフッフ、見損なうな!八幡よ!我を動かすのは、如何なる時も我の意思なり!」

 

 

とは、材木座の弁。暑苦しいけど嬉しいことを言ってくれる。雪ノ下も由比ヶ浜にユルユリされてる時は、こんな気分だったのだろうか?いや、違うな。まず、俺らでやると絵面がキモすぎる。

 

話を戻そう。放課後に奉仕部へと向かう。そこで材木座は紙とペンを取り出す、俺が簡単に筆談する。この時、持続力が続かないので、手短にする。これで信じてもらえたなら良し。無理ならスペアプランを実行する。その為の準備もしてある。

 

もしも、スペアプランも駄目だった場合の保険もある……が、あまり使いたくはないけど、いざというときは実行する予定だ。早いか遅いかの違いしかないからな。ちなみに材木座にはスペアプランまでしか言ってない。保険は俺だけが知るところとなる。

 

 

「時に八幡よ。スペアプランも駄目だった場合はどうするのだ?我、何の策もないぞ?」

 

 

『その時になってみないと、わかんねーよ。また別のプランでも考えればいいだろ?』

 

 

「ホムン。お主にしては少々穴がある作戦だな。我も早く終わらせて、次の作品のプロットを手掛けたいからな。」

 

 

 

嫌なことをキッチリ聞いてきやがるな。本当に良い相棒だ。話もそこそこに昼休みも終わり、教室へ戻った。そして迎えた放課後。材木座と二人で奉仕部へと向かう。材木座にノックをするように促して、返事を確認してから中へ入っていった。

 

 

「あいや、失礼する。今日は昨日の非礼を詫びに来た!」

 

 

最初にお詫びから入るように仕向けてある。これならまずは邪険にされる事はない。

 

 

 

「いえ、昨日は私もカッとなってしまったわ。冷静ではなかったのだから、別に構わないわ。」

 

 

「中二も悪かったけど、あたしらも言い過ぎたと思うし。ゴメンなさい。」

 

 

「いや、我も軽率な発言であった。今日は誤解のないよう、これを見てほしいのだ。」

 

 

 

ここで材木座は打ち合わせ通りに、紙とペンを取り出す。それを長机の上に置いて、一歩下がる。ここからが俺の出番だ。

 

 

 

「いったい何をしたいのかしら?これは見たまま、紙とペンね。」

 

 

「これより先は、語るよりも、見た方が早い。八幡よ、出番だ!」

 

 

 

すかさずペンを持ち、紙に言葉を書いていく。内容は、俺だ、話がしたい、だ。

 

 

「…どうやっているのか知らないけれど、あまり感心が出来る内容ではないようね。」

 

 

「待って、ゆきのん!昨日の夜にあたしの家でも同じことがあったよ!これって、幽霊さんだよね?」

 

 

「幽霊さんではない。八幡だ。これは奴がゴーストとなって書いたものだ。」

 

 

「ゴースト?馬鹿馬鹿しい。そんな子供騙しで私達を騙せると思っているのなら、もはや手遅れね。貴方のその病気…嫌いだわ。」

 

 

俺はすぐにまた書き込む。

雪ノ下、落ち着け、と。

 

 

「…貴方が何の目的でこんな事をしていのかわからないわ。だいたいそのヒゲは何なのかしら?不愉快極まりないわ。帰ってくれないかしら?」

 

 

「ムウゥ!八幡よ、スペアプランを発動するぞ!部長殿に話が通じぬ!」

 

 

今ここでヒゲをツッコむのかよ!俺も忘れてたけど。それにしても、雪ノ下は確かに頑固で意固地になりやすいが、ここまでだったろうか?何かがおかしい……だが、今は考えている時間も惜しい。

材木座がバッグよりパンさんのヌイグルミを取り出す。そう、スペアプランとはこれなのだ。八幡、いっきまーす!

 

 

パンさんは丁寧にお辞儀をすると、雪ノ下の前にテクテク歩いていく。そして、雪ノ下に握手を求めるように、ソッと手を出す。雪ノ下は、はわわ~と嬉しそうな顔をして眼を輝かせていた。これはいけると、手応えを感じていた。すると、雪ノ下は伸ばそうとした自分の右手を掴んで、唇を噛み締めてグッと我慢していた。

 

 

「こ、これがどうかしたのかしら?なかなか精巧な玩具ね。こんな物で私は騙されないわ。さぁ、帰ってちょうだい。」

 

 

 

これでも堕ちないだと?あの雪ノ下が?信じられん。やはり何かがおかしい。これ以上は進展もなさそうだ。それに気がかりもできた。ここは一旦、退いた方が得策だろう。

 

 

『もういい、材木座帰るぞ。少し調べたい事がある。』

 

「ヌヌヌ!わかった、八幡よ。それではさらばだ!」

 

 

部室を後にする俺達二人を見送る視線が一つあった。俺はそのことに気づかずに、材木座と屋上へと行ってしまった。その視線の主は奉仕部へと足を踏み入れていた。

 

 

「やっはろー。こんにちはです。雪乃さん、結衣さん。」

 

「小町さん……」

 

「やっはろー!小町ちゃん。もしかしてヒッキーの事で来たのかな?」

 

 

「そうですよー。お二人にどうしてもお話ししたい事がありまして!や、おにーちゃんの事なんですけど。」

 

 

 

二人は明らかに顔が暗くなった。

小町は部室の外から一部始終を見ていたから知ってる。客観的に見た雪乃さんの気持ちにも当たりがついている。さっきは信じられないものをたくさん見たけど、それよりも聞きたい事があった。

 

 

「小町さん。私達に比企谷くんのことで話しがしたいとは、何の話かしら?」

 

「単刀直入に言いますねー。雪乃さん、さっきの本当は解ってるんじゃないんですか?」

 

「え?ゆきのん、わかってたの?じゃあ、なんであんな態度をとったの?」

 

 

 

結衣さんは驚きを見せて、雪乃さんに詰めよっていた。雪乃さんは思い詰めた顔で一息フゥーと吹くと、意を決したのか少しずつ話してくれた。

 

 

「さすが小町さんね。とても彼の妹とは思えないわ。いくら頭の堅い私でもあれだけの現象を眼にしてしまったら、認めざるを得ない。けれどね、恐かったのよ。」

 

 

「ゆきのんは恐いの苦手だもんね、仕方ないんじゃないかな?」

 

 

「そうじゃないのよ、由比ヶ浜さん。私が恐かったのは、比企谷くんに会ってしまうことよ。今更だけれど、どんな顔して彼に会えばいいのか解らなかったのよ。彼に託された命には、彼の大事な者を守る責任がある。その責任を果たせなかった事に対して、私は彼に合わせる顔がないと言ったのよ。貴女達も身に覚えがあるはずよ?そんなことを彼なら望むはずもないわ。」

 

 

 

小町には解ってしまった。結衣さんも理解したみたいだ。きっと雪乃さんは、小町達が学校を辞めて働くと言ったことを指しているんだ。そしてそれをおにーちゃんが望んでないことも。だからこそ現実を認めない。認めてしまえば、おにーちゃんがそこにいると認めることになるから。雪乃さんをここまで追い詰めてしまったのは小町だ。結衣さんに決断させてしまったのも小町だ。

 

 

「雪乃さん、結衣さん、まずはお二人に謝らなければなりません。小町のせいです。ゴメンなさい。」

 

 

「あたしもヒッキーの気持ちとか考えれてなかったし。お互い様だよ。小町ちゃん、ゴメンね。」

 

 

「小町さん。浅慮だった事を恥じるわ。ごめんなさい。折角、彼と会えたかもしれなかったのに、本当にごめんなさい。」

 

 

「いえいえお気になさらずに。小町はおにーちゃんの妹ですから。だから、おにーちゃんには必ず会えるのです。今からでも遅くはありませんよ?お二人もご一緒にどうですか?小町一人だと寂しいので、付いて来てくれると嬉しいのですが?」

 

 

 

二人には今までのような暗い雰囲気はもうない。

三人で探しにいこう。おにーちゃんは小町が見つけてあげるね!こんな可愛い女の子を三人も泣かせるなんて、もぉ本当にごみぃちゃんなんだから。謝るまで許してあげないからね。

 

 

 

 




小町視点への入り方が雑かったよーな。
上手く描写を書けたかわかんねっす。

そろそろ最終パートに加速していきます。

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