東方携帯獣  ~ポケット・モンスター |幻。夢。|~   作:キョウキ

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シロナさんふつくしいです!
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ポケモンのチャンピオンや悪の組織のボスはみんなかっこいい&ふつくしい!


ただしサカキ、てめーはだめだ。


8ページ目 旅人は空腹を満たしたい その①

午後。昼下がり。

 

射命丸達が妖怪の山にて巨神兵を打倒した後、すぐに射命丸は倒れた巨神兵の写真を撮り

新聞を作り上げた。

その速さはまるで疾風のようで、新聞を配る速さもまさに「風神」のごとしであった。

 

その出来立てほやほやの新聞をさも食い破らんばかりに読み入っている一人の少女がいた。

 

名前は「本居 小鈴」(もとおり こすず)

貸本屋、「鈴奈庵」(すずなあん)を営んでいる「人間」の少女である。

 

しかしこの少女。人間であるにも関わらず、一つの危険な「趣味」を持っている。

それは「妖魔本」という妖怪が書き記された書物のこと。

その変わった本を集める。これが小鈴の趣味である。

 

ではなぜ、この趣味が危険なのか?それを今から説明しましょう。

 

妖魔本とは、主に三つの種類に分けられる。

 

まず、「妖怪が書き記した書物」のこと。

 

二つ目は、「術や魔法がかけられている書物」のこと。

この二つはまだ安全な方である。

 

問題は「三つめ」。

 

 

「妖怪が封印されている書物」。これはたいそう危険なのである。

 

あっという間に封印されていた妖怪が解放され、持ち主を襲いかねないからである。

小鈴自身だって、手紙に憑りついていた幽霊に操られたこともあったし

泥棒扱いされかけたこともあったのである。

 

こんなに危険な目にあったのになぜか彼女は妖魔本集めをやめない。

巫女に注意されたとしてもやめようとしない。

 

 

それは麻薬のようにスリルの中毒性にはまったからなのか、単に反省する気が無いのかは

彼女自身にしかわからないのである。

 

 

さて、この日。この少女は、買い物を頼まれ大通りを歩いていた。

もう春は終わり、夏の日差しのように熱された光線が肌を照り付ける夏日。

 

 

 

小鈴は、偶然出会った友人、「稗田 阿求」(ひえだの あきゅう)と共に

大通りを親しく話しながら歩いていた。

 

 

 

小鈴「ねえ、見た?あの新聞」

 

阿求「ええ、見たわ。なかなか事例の無い異変であったから興味を惹かれたのよね」

 

小鈴「ほんと、驚きだよね。しかも最近に起こったことらしいし」

 

阿求「それにも驚きだけど、私はこの巨神兵。間近で見たくなったわ!」

基本的に、幻想郷の少女たちは好奇心旺盛である。

 

小鈴「私だって見たいけど、」

阿求「分かってる、分かってるって!」

そこまで言いかけたところで阿求が突然口をはさみ、ペラペラと愚痴をこぼしだした。

 

 

阿求「そりゃあ、私だってできればいち早く取材にもいきたい気分なのよ!

   でも現場は「妖怪の山」!!行くには霊夢さんの力が必要になるし

   それに、封印した巨神兵を見せてくださいって言って、『いいですよ』って

   いう訳もない!あーもう!本当に悔しいわー!」

 

小鈴「はは・・・」

悔しさのあまり早口で愚痴をこぼした彼女の様子を見ていた小鈴は、ただただ笑うしかなかった。しかし。その小さな笑いも、ブツブツ流れる愚痴さえもかき消される

ざわめきが鼓膜に響いた。

 

 

阿求「あら?なにかしら?」

阿求はもう愚痴を言いきってスッキリしたらしく、ざわめきの方に興味が引かれたらしい。

その阿求の変わりようを見て小鈴は多少ビクついたが、自分もざわめきに興味がわく。

 

 

ざわめきは、米屋の前で起きているようであった。

ここからではよく聞こえないが、米屋の店員が何かを叫んでいて、ざわめきを作り出していた取り巻きの人間たちも、何かを叫んでいる。

 

阿求「なにかしら?行ってみる?私は行くけど」

そう問いかけたにもかかわらず阿求はどんどん米屋に向かって歩いていく。

小鈴はもう米は買ったのだが、置いてきぼりにされるのが嫌なので、仕方なくついていくことにした。

 

その米屋の前のやじ馬たちの横をすり抜け、やっとのもいでざわめきの中心へとたどり着いた。

 

そこでは、米屋の店主が誰かと言い合いをしていた。

いや、言い合いという言い方はやはりふさわしくないだろう。

 

なぜなら、米屋の方が一方的に相手に向かって怒号を発していたからである。

また、相手は相手で米屋の怒号とは対照的に落ち着き払った声で対処していた。

 

 

米屋「ふ、ふざけんじゃねぇ!こんなものでう、(うち)の米を渡せるかってんだ!」

米屋の震えた怒号が飛ぶ。

 

???「すまない。私は今、これくらいしか持ち合わせていないのだ。

    だが私と、私の「ポケモン」達はかなり飢えているのだ。

    ここはどうか、これと交換してくれ」

外来人が怒りに対処し、交渉を持ちかける。

 

相手はどうやら「外来人」のようで、幻想郷では見ない服装をしていた。

そして、外来人はコメを買う金が無い、ということで「物々交換」を迫っているらしい。

普段ならお金のない外来人になら無料(ただ)で提供してくれるのが情けであり

周知のルールであることは人里に住むものなら誰でも知っているはずである。

 

しかし、この外来人。ただの外来人ではないということは小鈴にも阿求にも、米屋の主人でさえ分かっていた。

 

普通の外来人であったなら、外の世界の通貨を出し、それで買い物をする。

この幻想郷にも外の世界の通貨はある程度回っている(一部コレクションとして)。

 

 

しかしこの外来人は、お金の代わりに「木の実」を差し出している。

それもこの外来人が差し出している木の実はどれも見たことが無い色や形のものばかり。

 

これでは不気味がって交渉を受け入れられないことは分からないでもないが、米屋の店主が

交渉受け入れられない理由はもうひとつあった。

 

 

それは、この外来人の「身長」であった。

 

 

外来人の男はしゃがんでいる。しゃがんでいて、立ち上がっている店主と同じ目線の高さ。

この外来人、「身長」が高すぎる。

 

小鈴や阿求と比べても、圧倒的な差があり、小鈴たちが見上げ、外来人が見下ろす、という

状態になることであろう。

 

その約3mはある大男はその恐ろしい風貌とは裏腹に、非常に冷静で物静かであった。

 

 

米屋「くっ・・・そんなに飯が食いたきゃ他へ当たれ!(うち)は絶対お前には売らん!」

 

大男「・・・そうか、分かった。では他にあたるとしよう」

大男は納得したようで、他に米屋が無いか探しはじめた。

 

 

 

小鈴「なんか、すごい人に会っちゃったね・・」

阿求「行くわよ」

 

 

小鈴「え?」

突然の阿求の誘いに動揺を見せる。

 

そんな小鈴の様子を見て阿求はため息をつきこう言った。

 

阿求「いいかしら、小鈴?私達、稗田家は代々幻想郷の歴史や妖怪のことについて書き記していることは小鈴(あなた)も知っているはずよね?」

その声は少し震えていて、新しいおもちゃをもらった子供のように興奮していた。

 

ああ、またこれだ。阿求は何か面白そうなことが目の前にあるとそのことに夢中になる。

こうなった阿求はもう止められないだろう。

 

阿求「さ、行くわよー!」

阿求は小鈴の静止なぞ気にせず、グングン大男に向かって歩いて行った。

 

小鈴「う、うう~・・・もう、分かったわよッ!」

 

小鈴も小鈴で一人になるのは嫌なので、仕方なくついていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「博麗神社」

 

霊夢「いい?イーブイ。これから弾幕をある程度放つから、できるだけ避けてみてね」

 

イーブイ「ぶいぶい!」

場所は変わって博麗神社。

霊夢は、「イーブイ」と共に訓練を行ったいた。

 

異変解決に向けての行動は、紫がまだ傷の修復が出来ず、行動ができないため

仕方なく訓練をしていたのである。

 

彼女自身は訓練なんかしなくとも、十分に強いのであるが、訓練していたのは

彼女のイーブイの方である。

 

まだ異変解決に向けて行動をするのは、できないので。

出会ったイーブイにも異変解決の手伝いをさせてみようという思い付きから、訓練を

行っていた。

 

 

霊夢「いい?いくわよー」

そう軽く言い、弾幕を放つ。イーブイはそれをかいくぐって避ける。

なかなか上手い。

 

霊夢「すごいじゃない!上出来よ!」

そう霊夢が褒めるとイーブイも「ぶいぶーい!」と嬉しそうに鳴いた。

 

 

霊夢「さあ、もう一回行くわよ!」

イーブイ「ブーイ!」

 

昼下がりの神社に、少女の声と彼女の「ポケモン」の声がこだまする。

 

 

 

To be continued・・・


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