東方携帯獣  ~ポケット・モンスター |幻。夢。|~   作:キョウキ

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すいません、遅れました。
七話目です。
多分あと少し、ギガス戦は続くと思います。

あと、私はポケモンのプラチナが一番好きです。


7ページ目 巨神兵と3000年の旅人

心を落ち着かせ、微かな空気の振動で気配を探る。

 

まず、視認できる人数は、1・2・3・4・5・・・

では、洞穴の外はどうだろうか?

 

 

1・・・5・・・15・・・35・・・70・・・100・・・

 

 

多い。多すぎる。これはあまりにも人数が多すぎないか?

それほど、私は警戒され、危険と判断されているのだろうか?

 

 

・・・しかし、そんなことは関係ない。

今、目にし、感じ取っている気配の全ては敵対すべき「相手」であるには違いない。

 

私の主はこう言っていた。

 

『我々は王族。しかし、ギガスよ。王だからと言って魔獣達を殺してはならないし

 悪政を行ってもいけない。必要なものは相手を敬い、感謝することだ。

 ある国では、感謝のしるしとして桃色の花を渡したりもしている。

 敬う行為は、どこの国でも必要であり、感謝という「感情」にも感謝するべきなのだ。

 いかなる相手でも侮辱などしてはならないぞ。それを忘れるな』

 

さっき、奴らはかなり高圧的な態度をとっていた。

それは敬いの態度ではない。侮辱だ。

 

私が知る中では、侮辱をする人間は、わるいおうさまくらいしか知らない。

きっと、奴らは。そのわるいおうさまの意志を継ぐ者達だろう。

 

 

 

 

ならば根絶やしにしなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文さんと白狼天狗団のみんなが助けに来て、そのまま戦闘に入って約20分。

 

戦況は、イイとは言えない。

 

ほとんどの者が傷を負い、対する相手もかなり疲弊している。

 

これ以上の戦闘は不可能。それは分かりきっていることだったが・・・

 

 

椛「こうも暴れまわってしまっては・・・手が付けられない!」

 

巨神兵は文字通り、暴れまわっていた。

 

暴れまくって、約5分は経つ。

暴れている理由はきっと、文さんの弾幕のせいだろう。

 

~5分前~

 

文「いきますよー!   岐符「サルタクロス」!」

高密度の光弾が文さんの団扇から大量に打ち出され、その全ての光弾が巨神兵へと向かう。

巨神兵、その図体の割には意外に素早かったが、これは避けられず、まばゆい光を放つ

光弾に体をもだえる。

 

「あやしいひかり」

 

 

文「おっ、結構効いてますねえ」

 

そう文さんがのんびり呟いている間にも巨神兵はフラフラと立ち尽くし、他のみんなは

その隙を逃さず追撃に回っている。

 

いける。このままいけば生け捕りにし、労働力として扱ってもいいだろう。

その時はそんなことを考えていた。そのせいで行動が一瞬遅れた。

 

巨神兵が腕を素早く振り上げる。

そして・・・・・・

 

 

思いっきり振り下ろす。

 

 

「ギガインパクト」

 

 

一瞬何も見えなくなる、何も聞こえなくなる。

微かに一瞬、衝撃で吹き飛ばされたみんなが見えた気がしたが、そのまま意識はどこかに

吹っ飛んでしまった。

 

 

 

 

目が覚めたのは、意識を失ってそんなに経ってない頃だろう。

あたりには砂煙が立ち込め、深夜のように静まり返っている。

 

そこに、巨大で黒い影が、疲れ切ったように眠っていた。

 

 

 

・・・今しかない・・・

 

文さんほど力はないが、弾幕で追撃すれば倒せるかもしれない。

そうすれば私も・・・

 

そこまで思考を巡らせたところで巨大な影が起き上がる。

その影が起きるとほぼ同時に、みんなもふらふらと立ち上がる。

 

 

もう、戦える力はほとんど残っていない。

文さんは、どこにいるだろうか?

 

気付けばさっきまで上空にいたはずの文さんの姿が見えない。

うまく逃げたとは思うが・・・

 

 

そんなことを思っていると突然。

 

 

巨神兵「ズズズズズズズズズズゥゥッ!!」

 

まるでこの世の全てを呪わんばかりに怒りに燃えた、巨神兵の咆哮が洞穴を揺らす。

 

そうしたかと思ったら、今度は急に自分のことを攻撃し始めた。

かと思うと突然あらぬ方向に拳を打ち出す。

 

 

まるで混乱したかの如く、いや、確実に混乱していた。

 

 

椛「・・・・・」

私はしばらく動けず、巨神兵があらぬ方向に攻撃をする様子を黙ってみていた。

 

 

 

その攻撃パターンをよく見ていると、かなり技が多彩であるということが分かる。

 

 

自らを多数に分裂させたかのように見せる分身術や、繰り出した拳にあたった岩のコケが

その拳に吸い取られるように枯れていくということもあった。

 

 

椛「・・・」

私は、「もうこのまま眠ってしまおうか」、とか、「文さんが何とかしてくれる」

などそんなことを思い、洞穴内で暴れまくる巨神兵のことを眺めていた。

そのときに、突然後ろに気配を感じ、振り向く。

 

 

そこに立っていたのは、巨神兵と同じように疲れ切っていた文さんの姿であった。

 

無事だった!

 

文さんの無事が確認でき心の底から安心している自分に驚く。

いつもだらしが無く、嫌な仕事も押し付けられるのに、なぜだろうか?

 

この状況を何とかしてくれるはずだから?

 

単に文さんのことが好きだったから?

 

安心したことについて深く考えるが、思考を巡らせることが難しくなっていき

目の前が真っ白になっていき

 

私の体は地面に倒れ伏せた。

 

 

 

その様子を無表情で見つめていた射命丸は、椛の頬に手をのせて優しく語りかけた。

 

 

文「椛、お疲れ様。後は私に任せといて」

そう眠ってしまった椛に呟くと、懐から一枚のカードを取り出し、叫ぶ。

 

 

文「 『無双風神』 」

 

 

そう叫ぶと同時に突風が巻き起こり、射命丸自身も突風のごとく飛び廻り、弾幕を

ばらまく。

 

 

その弾幕に打ちひしがれた巨神兵は大きな音を立てて背中から崩れ去った。

巨神兵が地面に倒れ、意識を失ったのを確認して、

 

文「名も知らぬ巨神兵・・・貴様は我々が代々守ってきた「妖怪の山」に無断で

  侵入したことに飽きたらず、私たちの同胞を傷つけたこの報い。

  目が覚めたら思いっきり晴らしてやる、覚悟しておくといい」

 

そう巨神兵に捨て台詞を吐き、意識が戻った白狼天狗団と共に、負傷した仲間の介護に

尽くした。

 

 

 

 

数日後・・・

 

この天狗たちと巨神兵との戦闘は瞬く間に新聞で幻想郷中に広まり

 

巨神兵は眠ったまま山の神や巫女に封じられ。

 

巨神兵の存在をいち早く発見し、的確な行動をした椛たちには、給料アップとしばらくの

休暇をもらい。

 

戦闘に勝利した射命丸に至っては、今まで以上に新聞の購買数が伸び

大天狗様から様々な恩赦を受け取ったという。

 

 

しかし、山の天狗たちが思いがけないボーナスにうかれている間。

人里ではもう一つの事件が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人間の里・・・大通り」

肉屋、八百屋、酒屋、雑貨屋・・・

 

様々な店が路上に面して客引きを行っているはずの真昼間。

この日の昼間は、とてつもなく騒がしかった。

それは客引きをしている店員の声でもなく、盗賊に荷物を盗まれた被害者の怒号でもない。

 

 

それは、「動揺と恐れの声」と、「焦りと畏怖の声」であった。

なんとか喉から絞り出すような震えた声は、里の住民たちの口から発せられていた。

 

 

 

人間・A「なっ!なんだおまえはぁ!」

人間・B「化け物かっ!?」

 

人間・C「女子供は家の中へ!」

人間・D「でかい・・・本当に、「人間」なのか?!」

 

 

 

人間の里・・・

 

幻想郷の中で最も人間が住む集落のことを指すのだが、人間以外の者達、妖怪も住んでいる

幻想郷の中でも最重要地域の一つに数えられるほど大切な地域であった。

 

 

そこに、ゆうに3Mはある大男がのそり、のそりと通りを歩いていた。

 

 

赤色のニットキャップをかぶり、その帽子の中から白色の長髪が肩まで下がっていた。

服はボロボロで、袖や裾が合わないのか、アームカバーやレッグウォーマーで

継ぎ足されている。そのボロボロの服の胸部には、何の用途に使うのか、妙な「鍵」

がぶら下がっている。

 

 

 

大男の名は「AZ」(エーゼット)

一匹の魔獣のために破壊の神となり、その魔獣を探して3000年も世界を彷徨う

かつての国の国王である。

 

AZ「・・・・・・」

 

人間・A「おい!てめぇに聞いてんだぞ!?」

大男はそう大声で問いかけてくる声に耳も傾けず通りをゆっくり歩いていく。

 

 

AZ「・・・フラエッテ・・・心配するな、私がついている」

 

大男は、愛した魔獣の名を呟き、腰につけていた紅白の球に手を添え、またゆっくりと

大通りを歩きだした。

 

 

 

 

To be continued・・・




ポケモントレーナー、「AZ」のポケモンについて。

・ヌケニン  Lv60

・コータス  Lv60

・ゴルーグ  Lv60

・シンボラー LV60

・フラエッテ LV100




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