東方携帯獣  ~ポケット・モンスター |幻。夢。|~   作:キョウキ

6 / 56

私は、初めてやったポケモンシリーズがDPtなので、若干シンオウ組が多く
出ることがありますが、基本的に伝説・幻のポケモンは全て出すつもりでいます。


5ページ目 白狼天狗の災難 その③

喋った。

 

確かに今、この巨神兵は人間の言葉を発した。

 

この巨神兵のことを舐めまわすように観察したといううのに、「口」にあたる部分が

見当たらないのだ。

いったいどこかに口や声帯があるのだろうか?

 

そんな疑問が頭の中にポツリと浮かぶ。次々に浮かんでくる。

 

こいつは何者なのか?

いつからここにいるのか?

この洞穴の遺跡は何なのか?

なぜ、誰にも気づかれずこの「妖怪の山」に侵入できたのか?

 

これらの疑問はすぐに解消するだろう。

 

 

 

なぜなら、目の前にいる「当事者」であり「現行犯」であるコイツに直接聞けばいい。

人の言葉を話せるということは、当然人の言語を聞き、理解することもできるだろう。

 

そうと分かったら早速質問である。

 

 

 

椛「ねえ、微意」

 

微意「なにかしら?」

 

椛「あいつは確かに、「ここはどこだ」と人の言葉を使ったわね?」

 

微意「そうね。見た目とは裏腹に知能は高いのかしら」

 

椛「知識があるというのなら、当然人の言葉も理解するはず。だから」

 

そこまで言いかけて微意の顔に目を向ける。

その顔は何かを察したような表情をしていた。

どうやら言いたかったことを理解してくれたらしい。

 

微意「・・・なるほどね。それはいいアイディアね。でもそのまえに

   ちゃんと質問には答えてあげたら?」

 

椛「そうね・・・ちゃんと理解してくれればいいんだけど・・・」

 

そう不安そうに応えると巨神兵の方を向き喉を裂かんばかりの大声で質問に答えた。

 

 

椛「ここは、幻想郷という地の、「妖怪の山」!

  我ら天狗と鬼が古来より積み上げてきた妖怪達の要塞であり社会だ!!

  

  さあ、質問に答えたぞ!今度はこちらから質問させてもらおうか!」

 

 

巨神兵「・・・・・・・・・・・・」

反応はない。だが構わず、さっきよりも声を張り上げて疑問をぶつける。

 

椛「貴様はいつから!この妖怪の山にいるのだ?」

 

巨神兵「・・・・・・・・・・」

反応はない。次の質問に移る。

 

椛「この洞穴と遺跡は何だ?」

 

巨神兵「・・・・・・・・・・」

反応なし。次へ。

 

椛「貴様はいったい何者なんだ!」

 

巨神兵「・・・・・・・・ズッ・・・」

 

ここで初めて反応を示した。

機械的な鳴き声を小さく上げ、その巨大な腕を挙げる。

 

椛「ッ!」

すぐさま警戒し、腰にかけてあった盾と太刀に手をかける。

その動きは目にもとまらぬ速さで、無駄な動きが無い。

 

無論、この動きは全ての白狼天狗ができうる訓練された動きである。

 

横に目を向ければ微意も腰に手をかけ、臨戦態勢を取っている。

特別力が強いわけではないが、こういった状況だと力の強い者が一人で前線に出るより

自分が信頼できる仲間が背中を守ってくれる。

 

それだけで少し安心するし、緊張感で動きが鈍るということも無くなる。

 

今はたった二人だけだが、これが10人、20人にもなると強大な力を持つ

妖怪相手にも互角以上に戦えるのである。

 

 

その二人の戦闘態勢を見た巨神兵はその腕を挙げたことが原因だと察すると

その腕を降ろす前に、洞穴の出口を指さす。

 

 

椛「・・?出口がどうしたんだ?」

 

巨神兵「・・・ズッズッズズ・・・ズズッ」

 

椛「何を伝えたいんだ?話せるだろう。ちゃんと言ったらどうだ?」

 

話せる。確かにある程度話せるが、話せる単語は。

「ここはどこだ?」

「あなたはだれだ?」

「近くに燃える山はないか?」

 

この程度である。基本的に疑問文しか教わってない。

理由は知らないが、まあ何か深い意味があるんだろう。

 

 

だから教わってない言葉は話せないので、仕方なく「ジェスチャー」で伝えるしかない。

 

しかし・・・

 

椛「だからなんなんだ!いい加減自分言葉で伝えるんだな!」

 

 

まったく伝わってない。

 

 

 

そもそも、なんでこんなところにいるんだ?

目の前の人間(?)は何者なんだ?

 

それにさっきからこの人間たち。妙に高圧的だ。

なぜこんなに偉そうなんだ?

 

 

 

ハッ・・・まさか!?

 

 

あの「わるいおうさま」の仲間なのかっ!?

だからこんなに偉そうで高圧的だったのか!!

 

だとしたらとっても許せない!きっと魔獣達もひどい目にあわされてるに違いない!

 

だとしたらやることは一つだけ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

情け無用、握りつぶす。

 

 

巨神兵「・・・ ・・・ ズッ ズッ!!」

 

椛「ッ!・・・来るか!」

 

微意「まったく・・・栄は何してんのよ~ッ!!」

 

 

突然巨神兵が怒り始めた。

その姿は荒ぶる軍神のようであり、その妄執は祟り神のようでもあった。

 

戦闘が開始する。

そう思ったときに栄が助けを呼んできた。

 

 

栄「椛!微意!大丈夫?ケガはない?」

 

???「あやや~・・・ネタがないから戻ってきてみれば・・・

    とてつもなくいいネタの匂いがプンプンするじゃあないですかッ!!」

 

???「もうすでにこの洞穴は!我々白狼天狗警備団が包囲した!

    逃げ場はないぞ!!」

 

 

その助けにきた物達は、以下の通りである。

 

助けを呼び行った栄と、逃げ出したはずの椎もいる。

白狼天狗団のみんな。そして・・・・・・

 

 

???「うふふふふ・・・あまりのネタのすごさに気持ちの悪い声出しちゃいましたよ」

 

そう浮かれた様子で栄の後に洞穴内に入ってきた人影は、私のよく知る人物・・・

 

 

椛「・・・「文」(あや)さん・・・」

 

そこにいたのは今朝見送ったばかりの胡散臭い上司。

 

「射命丸 文」(しゃめいまる あや)であった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。