東方携帯獣  ~ポケット・モンスター |幻。夢。|~   作:キョウキ

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夢の対決(?)

そして、ちょっと短めです。


48ページ目 鬼神VSギガインパクト

萃香「ほらほらほらほらほらぁ!」

ガゴン!ドゴン!ガゴッ!ドゴッ!

 

甘かった。そして見くびっていた。

圧倒的な拳の威力、そして手数。無数のいわなだれのような猛襲。

 

この戦闘方法は、『彼』が地下に行った過程の途中で耳にした。

 

額からそびえる猛々しい朱色の角。

細身で、軽いように思える肉体からは想像がつかないほどの破壊力。

そしてこの好戦的な態度。

 

間違いなく、『彼』が地下で玉砕した者と同じ・・・。

 

素早さで言えば、私と同程度。

拳の威力は、私よりは弱い。

 

だが、その小さな体躯では、こちらの攻撃が当たらない。

 

 

拳を打ち当てて、体力を吸い取ろうとするも躱され。

光線で焼き払おうとしても、発射前に拳を叩き落とされる。

高速で動き、分身を生み出しても、片っ端から光の玉でかき消される。

 

「ズズッ!ズズゥ!」

 

私は、その拳やら蹴りやらを身に受けるたびに呻いた。

 

萃香「ほらっ!ほらぁ!どやぁ!どりゃあ!」

 

攻撃は休まる気配がない。

向こうの体力が減っている様子もない。

 

『このままではジリ貧だろう』

 

そう判断し、思いっきりそこから跳んで場を離れた。

 

萃香「・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

向こうは、さっきまでこちらを攻撃していた現場から私を見ていた。

私も、その無尽蔵の体力を誇る怪物を見ていた。

 

萃香「あぁ~・・・これじゃあつまらないねぇ」

「?」

 

 

萃香「やっぱり・・・まぁ、これだけやっておいてなんだけど、さ。

   純粋に『力比べ』をしないかい・・・?」

「ズズゥ・・・」

 

それは、提案・・・もとい、『ちょうはつ』だった。

 

その言葉の中には、「好奇」と「怒り」の『感情』があり。

「打倒」と「勝利」への強固な『意志』があり。

「相手をよく知る」という、何十年も何百年も過ごしてきた『知識』があった。

 

要は、「戦いの仕切り直し」・・・。

 

萃香「さぁ・・・やろうか・・・

   

   最終ラウンドだ!」

 

その言葉をゴングに、こちらへ駆け出してくる。

 

 

ならば、迎え撃つ。

向こうが、こちらの攻撃を真正面から受ける覚悟と意志があるのならそれに応える。

私は、握り固めた拳を天空に掲げ、さらに力を籠める。

 

そうしている間も、怪物は向かってきくる。

すると、怪物はどこからか取り出した一枚の紙・・・カードを右手で包んで握りつぶし

私と同じように天に掲げた。

 

萃香「鬼神『ミッシングパープルパワー』!」

 

呪文を詠唱した直後、その小さな体躯が一回りも二回りも大きくなり

ついには私と同程度に。

 

そのことに驚愕。しながらも、集中は切らさず。

 

自分が今できうる限りの。最大威力の技を・・・・MAXで!

 

 

:ギガインパクト:

 

 

お互いの巨大な拳が迫る。

 

圧倒的な衝撃を纏う巨拳が。

鬼神の妖術によってさらに強化された鉄拳が。

 

ひび割れ、大量の砂塵を発生させる妖怪の山の麓で。

 

幻想郷最強の『拳』を求めて衝突した。

 

 

・・・

 

「妖怪の山 中腹」

 

そこでは、修羅場が巻き起こっていた。

 

にとり「ゴルダック!『ハイドロポンプ』!

    エイパム!『なげつける』!」

 

河童。河城にとりは、自分の持つポケモンを使い、何をしているのだろうか?

彼女がポケモンに技を命じる方向。

 

そこには、鋼色の怪物。蛇のような岩。腕が生えた岩石のようなもの。

つまり『ポケモン』達。

 

唐突に起こり静まることのない大地震に驚き、傷つき、混乱したポケモン達が

互いを傷つけあって暴れていたのだった。

 

それはもはや二次災害。

木々に移った火炎や、地面から突き出る岩石。

 

にとりは、それを止めるべく自らと自らのポケモンを駆使して孤軍奮闘をしていた。

しかし・・・

 

にとり(うう・・・ヤバイかも・・・)

 

その圧倒的な量と、ここの戦闘能力ににとりのポケモン達は押され気味であった。

にとり自身も、弾幕とスペルカードを駆使し押留めていたが、今持っているカードが

『最後の一枚(ラストスペル)』。

 

それを失ってしまったら、打開策がない。

 

にとり(もう・・・『この子』しか・・・!)

 

そう。にとりが隠すように持つモンスターボールの中にいるのはポケモン。

言う事を聞かない、暴走「オノノクス」。

 

下手をすれば、自分もポケモンも攻撃されかねないが、今持っているポケモン達は

既に瀕死寸前。

 

これが、最後の希望であり、賭けだった。

 

にとり「え・・・ええい!ままよ!

    私の言う事を聞けえええい!」

 

もうやけくそとなり、そのモンスターボルを投げる。

 

そのボールは地面に触れた途端に開き、中から刃の如き牙を備えたドラゴンが飛びだした。

 

「・・・・・」

 

にとり「う・・・うう・・・えと・・・言う事を聞いて・・ね?」

 

そう震ええながら話かけるが、無視。

 

すると、「メキメキ・・」と音を立てて、消化しきれなかった炎により

一本の木が音を立てて崩れ落ちた。

 

それにより、少し落ち着いてきたポケモン達も興奮し始めた

それを『水を操る程度の能力』で消火しようとするが、オノノクスが混乱するポケモン達

の前に立ち、息を大きく吸い・・・

 

「ゴガララララララァ!」

:ほえる:

 

竜の声帯から出される大音声で、辺りは一瞬にして静かになった。

まさに「鶴の一声」・・・もとい「龍の一吠え」。

 

吠えたオノノクスは、ゆっくりと燃える木々に近づき。

頭を少し揺らした。

 

にとり「・・・?」

 

私は、急に吠えたオノノクスに怯えながらもその様子を眺めていた。

 

すると、燃えている木々は次々に、綺麗な切断面を晒して地面に崩れた。

それを見ていた私に向かってオノノクスは、何か言いたげにこちらを振り返った。

 

にとり「・・・・・・」

 

私は、向けられた視線に目を合わせ・・・・・・

 

『早く消化したらどうだ・・・?』

 

にとり「!?えっ・・・」

 

急に頭の中に、成人男性のような鋭い声が響いた。

私は、その言葉に命じられるように水の弾幕で、倒れた木々を素早く消化した。

 

すると、オノノクスはさっきよりも小さな声でポケモン達に吠え。

その斧のような牙で木々を切り倒しながら道を作って進んでいった。

 

それを見ていたポケモン達は、何かを察したのか、オノノクスの後を急いでついて行った。

 

にとり「え・・?ええ?ちょっ・・・待って・・・」

 

私は、畳みかけるように起きた事態に困惑しながらも

そのポケモン達の後をついて行った。

 

と、その時・・・・

 

 

ドォン!ドカァン!ガガァン!

 

背後・・・玄武の沢から爆音が響いた。

 

 

見れば・・・「何か」が三体いる。

 

一匹は水色の氷山のようで。

もう一匹は鋼色の壺をひっくり返したようなもの。

もう一匹は、石を適当にくっつけて作った人形のような・・・。

 

そいつらは、玄武の沢付近。妖怪の山の岩壁を滑って降りてきたらしい。

岩壁に、三つの線(うち一本は凍っている)があったからそう判断した。

 

私は、そいつらの正体も何も知らないが。

 

『私が勝てる相手ではない』と直感で判った。

 

 

私は、そいつらが追いかけてこないかを確認しつつ、ポケモン達の後を追って

駆けて行った。

 

To be continued・・・


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