東方携帯獣  ~ポケット・モンスター |幻。夢。|~   作:キョウキ

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少しPCがトラブりましたが無事投稿。


36ページ目 河童の工房 鋼と歴史

ギュイー・・・バチバチッ・・・シャー・・・

 

ここは、「妖怪の山」。

その中腹に位置する河川。「玄武の沢」。

 

川の妖怪。「河童」達が独自の社会を築いている、不可侵の場所。

 

 

今はもう深夜。にもかかわらず河童の少女・「河城にとり」は妙な機械を使って

作業を進めていた。

 

にとり「ふぅー・・・ん~・・・ん!よし、できた!」

 

彼女が今、何の作業をしているのかというと「モンスターボール」という道具の生産に

取り掛かっている真っ最中なのである。

 

 

にとり「あー・・・疲れた。もうかれこれ19時間は作業台と向かいっぱなしだよ・・・。

    もうーやだ。働きたくなくなったでござる」

 

紫「頑張りなさい。あなたの技術力が幻想郷を救うカギになってるんだから」

 

にとり「ひゅぃっ!い、いたのかい・・・」

 

紫「さっきからいたわよ。それで、どう?」

 

にとり「ああ。今のところ一日で三つが限界だからね。

    これが今日の分の三つめ」

 

そう完成したばかりの紅白球を指で叩きながらにとりは誇らしく言っていた。

 

紫「そう。完成したばかりなのね。・・・突然だけど質問があるわ」

 

にとり「おう、なんだい藪から棒に」

 

紫「いいから答えて頂戴。

 

  私に敵う存在って、いると思うかしら?」

 

 

にとり「うう~ん・・・まぁいるとは思うね。

    例に挙げるなら鬼・花の妖怪・神・天人・月の民・・・

    あとはポケモンの中にいるとんでもないやつらかね」

 

紫「とんでもないやつら?」

 

にとり「そう。こういう人間の寄り付かないところなのか、それとも別の何かがあるのか

    分からないけれど。ここら辺には他より強いポケモンが寄り付くらしいんだ」

 

紫「・・・例えば?」

 

にとり「うごく鉄塊みたいなやつ。岩の蛇みたいなやつ。

    白い一角獣っぽいやつ。・・・沢山だよ」

 

紫「そんなに多くの強力なポケモンがいても尚、ちゃんと社会を保てているのね」

 

にとり「ああ。私らはその強力なポケモンを捕まえられる道具を持っているからね。

    それで捕まえたポケモンに命じて、寄り付くやつらを追っ払ってもらってるんだ」

 

そう言いながら、にとりは帽子を上げ。帽子の中から紅白球を取り出した。

 

にとり「こん中には・・・ま、「エイパム」って名付けた奴がいるんだが・・・

    小さい割によくやってくれてるよ。ま、監視係みたいなもんだけどね」

 

紫「じゃあ、その腰につけているボールには?」

 

にとり「こいつは、「ゴルダック」って呼んでいる奴なんだが・・・。

    割と強くってね。重宝しているよ」

 

紫「・・・その隠すように持っているボールには?」

 

にとり「ゲゲッ。バレた・・・」

 

紫「中身は?」

 

にとり「・・・言わなきゃダメ?」

 

紫「ダメ」

 

にとり「・・・コイツはぁ・・・山で大暴れしていたんだよ。

    顎のあたりにある斧みたいな牙を振り回して。

    ナワバリを作っていたんだと思う」

 

紫「で?」

 

にとり「そんで、私は不幸にもそいつと出会ってしまってね・・・

    弾幕で攻撃したんだがひるみもしなくて。突っ込んできたんだ。

    それでダメもとでボールを投げて当てたら」

 

紫「捕まえた、と?」

 

にとり「でも、全く言うことを聞いてくれない。

    一応持ってはいるが多分お蔵入りさ・・・」

そう言ったにとりの顔はとても暗いものだった。

 

紫「ふぅーん・・・じゃあ」

 

にとり「譲らないよ?」

 

紫「チッ・・・・・じゃあボールを一つ頂戴」

 

にとり「え?何故?」

 

紫「私のポケモンを捕まえることにしたの。

  今の私は手負いだけれど。逆にこの異変を解決するには異変の元凶であるポケモンを

  利用するしかない、と思ったのよ」

 

にとり「ふぅ~ん・・・じゃあそこらへんに在庫あるから適当に持って行って」

 

紫「ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「じゃあこの山で適当に捕まえておこうかしら」

 

 

 

 

慧音「・・・・・」

 

???「・・・・・」

 

 

どうする・・・。

 

私は自らに問う。

 

どう、この状況を切り抜ける?

今できうる限りの選択肢をいくつか頭に浮かべてみる。

 

 

1、逃走。出来る限り遠くへと逃げる。

2、戦闘。打倒し、被害が出ないようにする。

3、会話。和解を求める。

 

できるなら2は回避したい。

一番いいのは1・・・いや、3か?

 

何しろ向こうは何をしてくるか分かったもんではない。

今私が持っている多くの歴史の記憶を辿っても

「鉄のような化け物を倒す方法」なんて浮かんでこない。

 

会話にしても言葉が通じるかどうか・・・

 

なら、できる選択肢は1。

 

逃走。

 

慧音「離脱!」

 

私はその怪物と向かい合ったまま爪先に力を籠めて、後ろに大きく跳ぶ。

 

人間状態とは言っても、それなりに鍛えている。

私は背中にCさんを担いだまま、遠くへ遠くへと逃げ出した。

 

 

 しかし にげられなかった ! ▼

 

何やら後ろの方でゴロゴロ重い音が聞こえてくる。

私は走りつつ後ろをチラッと見た。

 

 レジスチル の ころがる ! ▼

 

ゴロゴロゴロゴロゴロ‼

 

とてつもない速さでさっきの怪物が転がりながら追いかけてきたのである。

 

 

慧音「誰かぁー!助けてくれぇ―‼」

私もいつもの冷静さを失い、大声を出しながら人里を超えて森まで逃げていった。。

 

 

「魔法の森」

 

慧音「くっ・・・うぅ・・・はぁ、はぁ」

 

 

結果から言うと。追いつかれた。

 

いや、森の途中で私を追い越して行って、今はこの森のどこかにいる形となっている。

 

慧音(どうする・・・どうすれば逃げられる・・・)

 

 

私は半パニック状態に陥ってしまい、どうすればいいのか分からなくなってしまっていた。

 

 

それに人をおぶりながら全力疾走してきたので、心臓がオーバーヒートしそうなほど熱い。

慧音「兎に角、ここから離れなければ・・・」

 

 

そう足を踏み出すと、何やら背後で音がする。

 

さっきの怪物かと思えば、そいつは普段顔見知りの妖怪であった。

 

妖怪1「やあ。先生。どうしたんですかこんな時分に」

 

慧音「いや。少し追われていてな。大丈夫だ、すぐに出ていく」

 

妖怪1「いや、センセ?分かっていると思いますがここは人里の範囲外の『魔法の森』です。

   ルールでは人里から出た人間は里の者であっても・・・『食べてもいい』と・・・」

 

慧音「・・・私を食べるつもりか?」

 

妖怪1「まさか。あなたがおぶっている人間を渡してほしいのです」

 

慧音「無理だ。おとなしく手を引け」

 

妖怪1「そう言ってももう遅いんですよ。ねぇ?慧音せんせぇ・・・」

 

慧音「?・・・・・!?」

 

 

しまった。

しかし時すでに遅し。

 

周りを別の妖怪に数匹、囲まれてしまった。

全員私の顔なじみである。

 

妖怪1「ね?分かったでしょう?弾幕を放ったとしてもこの人数。

   二人倒せたとしても後ろから襲い来る者までは対処できますまい・・・」

 

慧音「くぅ・・・卑怯だぞ!」

 

妖怪1「妖怪は卑怯なものですよ。さぁ、速く・・・」

 

そこまで言ったところで目の前で話していた妖怪が吹き飛んでいった。

 

「アイアンヘッド」

 

見ればさっきの怪物が突っ込んできたのである。

 

妖怪2「なっなんだ・・・」

そう言っている妖怪も怪物が放つエネルギーレーザーで吹っ飛ぶ。

 

「ラスターカノン」

 

妖怪3「ひっ・・・ひいいいいいいい‼」

 

三匹目の妖怪に怪物が攻撃の準備をしている途中で妖怪は逃げ出し

それに続いて他の妖怪達も逃げていった。

 

慧音「あっ・・・えっ・・・え?」

???「・・・・・」

 

私には一体何がどうしてこうなったのかは分からないが。

どうやら私は、この怪物に助けられたらしい。

 

何故?

 

何故この怪物は私を助けたのか?

 

この怪物に対する恐怖は疑問の念へと変化し、私の脳を麻痺させていく。

 

???「・・・・・」

 

怪物は何も言わず。ただこちらを七つの目でジッと見つめていた。

この怪物には感情なんてものは無いと思っていたが。

 

よく見ればその赤い瞳からは何かしらの意志と感情と知恵が感じられた。

 

 

慧音「・・・あぁなんだ。言葉が分かるとは思わないが・・・そのぉなんだ・・・

   感謝する。ありがとう」

 

???「じじぜじぞ」

 

まるで私の言葉に答えるように鳴き声を発する怪物を見て私はこう思った。

 

なんだ。意外と意思の疎通はできるんだな。と。

 

 

慧音「・・・さてと。さっさと人里へ帰るとするか」

???「・・・・・」

 

 

やはり。というかやっぱり。

 

私が歩き出したのと同時に怪物・・・いや、この子も歩き出してきた。

この子?いや、いい。

 

兎に角、この子は私に危害を加えるつもりはないことが分かった。

それにさっきのように面倒くさく立ちふさがる奴らも蹴散らしてくれるだろう。

 

彼らとは顔なじみだが、やはり妖怪だったということだ。

今度頭突きの刑に処そうと考えているところに。

 

???「おっ慧音じゃないか。こんな時間に森なんかにいてどうしたんだ?」

 

慧音「おっ、『妹紅』じゃないか」

 

そこに立っていたのは私の友人。「藤原妹紅」であった。

 

妹紅「んで・・・なんだ。妙な奴を連れているな」

 

慧音「まあ・・・いろいろあってな」

 

妹紅「そうか・・・まあ、あまり深掘りはしないぜ」

 

慧音「ありがたい」

 

妹紅「おう。ところで・・・こっち方面にデカい鳥が飛んでこなかったか?」

 

慧音「デカい鳥?」

 

妹紅「ああ。なんでも虹色の羽をもつ巨鳥らしいんだが・・・。

   少し興味があってな。まあ、見てないならいいんだ」

 

慧音「すまない。見てないな。力になれなくてすまない」

 

妹紅「まぁ、見てないならいいんだ。それより、最近すごいもの聞いちまってな」

 

慧音「?」

 

妹紅「永遠亭で聞いた話なんだが、そのうち紅魔館の方へ隕石が落ちてくるんだとか」

 

慧音「それは物騒だな。悪魔の館だから無事だとは思うが」

 

妹紅「私達には関係がないしな」

 

???「じじぜじぞ」

 

妹紅「で、こいつは何なんだ?」

 

慧音「それは、人里についてから話すよ」

 

 

そう話しているときに東の方からピカッと朝日が差し込む。

 

 

それは、これから加速してゆく異変の強大さを全く感じさせないほど

清々しい朝日であった。

 

 

 

「守矢神社・封印の巨像」

 

 

???「いやしかし・・・大きいですね」

???「そうだね」

 

 

???「あら?この人のここの部分・・・」

???「どうした・・・って・・・なんか光ってるね」

 

???「水色と・・・灰色ですねぇ・・・あっ、もう一個光りましたよ!

    これは・・・赤色ですね。何なんでしょう?」

 

???「明日の天気とかじゃない?」

???「あー!人里の龍神像みたいなものですね!きっと赤なので晴れですよ!」

 

???「いや。『早苗』は知らないと思うけど、赤は晴れじゃないんだよ」

早苗「えっ?じゃあなんですか?」

 

???「赤はー・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異変が起こる前兆なんだよ」

 

To be continued・・・




うろ覚えキャラクタープロフィール。:河城にとり
能力:水を操る程度の能力
人柄:基本的に温厚で、人間のことを『盟友』と言う少し変わった妖怪。
   技術力に長けており、基本的にいろいろ作れる。(設計図があれば)。
   この小説ではモンスターボール開発の第一人者。
   霊夢たちが使っているのもMAID in にとりのボール。
ボール:最初は設計図を見ただけではとても作れないように思えたが
    紫の協力により必要なレアメタルやらなんやらが手に入り、作れるように。
    なお、この設計図は大図書館に置いてあった本から破ったものを
    紫の道具:拡大「複製紙印刷機(コピー機)」によってできたもの。
容姿:ツインテールの青い髪に緑の帽子をかぶった少女。
   河童独自の皿は帽子で隠れているからなのかそもそも失われたのか
   誰も見たものはいない。服装は耐水性抜群の合羽のような物を着ている。
   胸にはなんかの『鍵』がある。
きゅうり:何物にも代えがたいにとりの大好物。

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