東方携帯獣  ~ポケット・モンスター |幻。夢。|~   作:キョウキ

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遅れて申し訳ありません。



何というか、忙しかったんです。ハイ。すいません。
そのせいで3週間?2週間ばかり遅れてしまいました。

で、もう年末も近いんでまた遅れるかもしれません。
ご了承ください。



33ページ目 VS! AZ その①

レミリア「さて・・・全員、外へ出たわね?」

 

時はすでに夜。

 

空には黄金色に輝く月と大きく横たわる天の川が荘厳な景色を称えている。

季節は夏。まだ夏なのである。

 

紫「今年の夏は忙しくなるわ。もちろん、忙しくても「夏の大宴会」は開くけど」

 

と、紫は言っていた。

 

確かに、この夏は忙しい。

多分、私が直面した異変の中でも最も危険で最も深刻な異変。

 

ーまだ名称はないけどーこのポケモンと呼ばれる生き物が幻想郷に入り込む『異変』。

 

まあ、普通なら「もうだめだ・・・おしまいだぁ・・・」と言ったりして落胆するんでしょうけど。

この館の『普通』じゃないチビ吸血鬼はこの異変を合理的に楽しもうとしている。

 

やっぱり妖怪とは言っても多少の違いはあるのね。

 

 

魔理沙「おーい。霊夢。早く準備しておけよー」

 

霊夢「分かっているわよ」

 

 

で、今から何が始まるのか?

 

正直言って私にも理解なんてできていない。

 

最近は理解できないことが起きすぎるから脳が勝手にフリーズしちゃっていたみたい。

 

 

まあ、よく分かっていないけど分かることはある。

 

 

 

それは、かなり向こうにいるのに圧倒的な存在感を放つ『大男』。

名前は確か・・・・「エー・ゼット」?「エーゼ・ット」?

 

まあ、確かそんな名前。で、外来人。そしてポケモンを持っている。

 

 

まあ、私と魔理沙もポケモンを持っているんだけど。

なぜかチビ吸血鬼の娯楽に半ば無理矢理、半ば承諾して付き合ってやることにした。

 

その娯楽は「ポケモンバトル」。

しょうがないからやらざるを得ない。

 

 

魔理沙「で、どうする?」

 

霊夢「なにが?」

 

魔理沙「何って作戦だよ。どう攻撃するかー・・・とか」

 

霊夢「正面突破。臨機応変。一撃離脱ってとこかしら?」

 

魔理沙「・・・本当にお前は雑だよな・・・」

 

霊夢「じゃあ、あんたが作戦を考えなさいよ」

 

魔理沙「う・・・・・・じゃあもうそれでいいよ。

    なんだっけ?正面突破に、臨機応変だったか?」

 

霊夢「それと一撃離脱ね。相手がどんな攻撃や能力を有しているか

   分らない今。探りを入れるのは大切よ」

 

魔理沙「臨機応変は?」

 

霊夢「相手がよく分からない攻撃をしてきたら、何が何でも避けまくる。

   そして隙を見て攻撃、そして離脱」

 

魔理沙「正面突破は?」

 

霊夢「言っちゃえば策無しの文字通り。

   どうしようもなかったら重い一撃喰らわせて派手にぶっ飛ばすわよ」

 

魔理沙「・・・オマエな・・・慎重なのか投げやりなのか、丁寧なのか雑なのか

    よく分からないぜ・・・」

 

霊夢「私だってあんたのことよく分かんないわよ」

 

魔理沙「えっ?」

 

霊夢「えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AZ「・・・・・」

 

どうするべきか・・・私は悩む。

相手は見たところ一体づつしかポケモンを持っていない。

 

そうすると必然的に「ダブルバトル」の形を取らざるを得なくなる。

 

しかしあのレミリアは言っていた。

「連戦しろ」と。

 

そうなると一人づつ私と戦うことになるのか?

それともいつも通りの「ダブルバトル」か?

 

 

 

・・・いや・・・それとも・・・

 

すでにこの世界における独自のルールが決められているとしよう。

だとしたら非常に厄介だ。

ルールを知らない私はすぐさまルール違反による自滅だってありうるかもしれない。

 

 

・・・だとしても、だ。

私は勝たなくてはならない。

 

二度と虐待による惨劇を起こさないためにも、この戦いは勝たなくては。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「さて・・・両者。用意はできたかしら?」

 

霊夢「バッチリよ」

魔理沙「OKだぜ」

 

レミリア「そっちは?」

 

AZ「無論。準備はできている」

 

 

 

レミリア「えーコホン。コホン。

     ・・・こういう時ってどうやって始めたらいいか分かんないんだけど・・・

     まっ、いいわ。兎に角始めっ!」

 

 

 

AZ「始まったか・・・」

 

ついに戦いの火ぶたが切られた。

     

 

まずは・・・・・・!?

 

 

なんだこれは。話に聞いていないし、見たこともないぞ。

私は困惑した。

しかし、これでよく分かったこともある。

私は理解した。

 

それは・・・・・

 

 

AZ「空を飛んで、攻撃しようとしているぞ・・・・ 

  成程。これは普通ではない戦いということか・・・」

 

この戦い。まともなルール、常識が通じないというのならば致し方なし。

 

私もこの非常識的な常識に染まらざるを得ないのだろう。

 

 

 

霊夢「イーブイッ!」

魔理沙「行ってこい、ゲンガー!」

 

イーブイ「ぶいぶい!」

ゲンガー「げぎゃあああん‼」

 

二人とも空に浮遊しながらボールを投げる。中から出てくる。

 

AZ(手持ちはゲンガーに、イーブイか・・・。

  あのゲンガー・・・メガストーンを持っていないところを見ると

  メガシンカはしないな・・・・・あのイーブイは・・・

  なんだ?あのブローチは・・・見たことがないな・・・)

 

AZ「・・・行け、シンボラー、コータス」

 

タイプ相性的にはこちらのシンボラーが不利。

しかし、こればかりは「ヌケニン」や「ゴルーグ」を出しても変わらない状況。

 

ズバリ言うと、私のチームはゴーストとの相性が悪い。

 

だが受け入れるしかない。

この戦いを勝って、必ず救い出す。

 

 

 

 

魔理沙「ゲンガー!シャドーボールを食らわせろ!」

 

ゲンガー「ぎゃああ・・・あああん‼‼」

戦いは始まった。

私も覚悟はできた。

 

つっても、別に命を落とすとは・・・思いたくない。

まあ、こっちには自慢の弾幕とゲンガーがいる。

 

とは言っても、相手は弾幕を扱えない外来人。

まともに当てたら危ないからな。

 

ちょっぴり威力と破壊力も抑えている。スペルカードばかりは外せないがな。

 

 

さて、戦いは始まった。のだが・・・

 

 

なぜか霊夢は動こうとしない。

 

魔理沙「どうした?霊夢」

 

霊夢「・・・ヤバイ。今までほとんどの戦いイーブイ任せだったから

   イーブイがどんな技使えるかが分からない・・・」

 

魔理沙「おい・・・マジかよ?ここまで来て?」

 

霊夢「しょうがないじゃない!まだイーブイについて全然わかったもんじゃないん

   だから‼」

 

魔理沙「~~~ッ‼・・・ふぅ、分かったよ。少し下がってろ」

 

霊夢「あ・・・うん。イーブイ。一回ここに・・・って・・・・あ」

 

 

ピカッ‼‼

 

 

 

 

AZ「‼・・・なんだ・・・・「フラッシュ」か?」

 

急な光が辺りを包む。少しばかり紫がかった色の光。

その光と共に砂煙も舞い上がる。

その煙の中からシャドーボールが飛んでくる。

 

 

AZ「ぬっ!シンボラー、「エアスラッシュ」!」

 

シンボラー「ぼらー‼」

 

急な光に、急な攻撃。

どうやら相手はこちらを撹乱するつもりらしい。

 

だが、私だってポケモントレーナーの端くれ。

どんな状況にも対応し、適応し、応えるのみ。

 

 

シンボラーが放った風の刃は影の球を切り裂き、煙を貫き、彼方へと飛んでゆく。

当然、当てて倒すつもりで撃った。

 

あの紅白の少女にもあたるかもしれないが・・・・・そんな心配は無いだろう。

 

・・・この世界に来てから、私は少しばかり冷酷になったかもしれない。

 

 

 

そう考え、苦笑していると、砂煙の向こうから途切れ途切れで声が聞こえてくる。

 

 

霊夢「・・ラッキ―。あ・・の・・・どう‼」

 

 

 

ラッキー?まさかもう一体ポケモンを持っていたのか?

 

いや。途切れ途切れではあったが、彼女は確かに「あくのはどう」と言った。

ラッキーはその技を覚えない。

 

ということは・・・イーブイ⇒・ラッキー⇒あくのはどう⇒ブラッキー?

 

AZ「‼‼、上へ避けろっ!シンボラー‼‼」

 

だが遅い。

 

光に押されて舞い上がった砂煙の中から黒い影が飛び込んでくる。

 

どうやらエアスラッシュは躱されたらしい。

 

「ぎゅおおーん!」

 

 

煙の中から飛び出してきたのはブラッキーだった。

 

そしてブラッキの口から、黒紫色の渦が放たれる。

 

 

「あくのはどう」

 

 

上へ避けろとは言ったが、遅かった。

 

直撃。強力。

 

その攻撃の前にシンボラーは倒れ伏してしまった。

 

 

AZ「くっ・・・しかし・・・何故。

  何故進化を・・・?」

 

すでに進化条件を満たしている状態だったのだろうか・・・

 

いや、にしてもあの尋常じゃない光と砂煙はおかしい。

ただの進化にあれほどのエネルギーが使われるなんて・・・

 

AZ「あれはもはや・・・メガシンカ!」

 

私は仕方なく、倒れ伏したシンボラーをボールに戻し、ヌケニンを繰り出す。

 

 

・・・私は、この戦い。

負けるかもしれないと思い。

 

かなり緊張した。

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「げほげへっ・・・今のは、前にも見たあの・・・」

魔理沙が砂煙にむせつつこちらに聞いてくる。

 

霊夢「魔理沙・・・私、理解したのよ。

   このイーブイの真の力とブローチの意味!」

そう、本当に理解した。

 

魔理沙「ブローチが・・・おほっ・・・なんだって?」

 

霊夢「ま、見てなさい。

   いつも通り、私とイーブイだけでこの戦い勝っちゃうから」

 

魔理沙「ふざけんなよ!最近の私は全く活躍できてないんだ!

    ここで一気に力を上げる!」

 

 

そう粋がる魔理沙を横目に、私は笑っていた。

 

うっすらと微笑を浮かべていた。

 

 

 

・・・私はこの戦いを。

勝てると思って。

 

少し鳥肌が立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

射命丸「おー!なんかやってますねぇ!」

 

阿求「霊夢さんと魔理沙さんもポケモンを持っていたなんて・・・」

 

小鈴「う~ん・・・ここはAZさんに勝ってほしい気もするけど・・・

   霊夢さんと魔理沙さんには異変を解決してくれこともあるし・・・

   う”~ん・・・どっちを応援するべきか・・・・・」

 

 

射命丸「・・・ところで、あなた誰です?」

 

???『・・・気にするな。ただの傍観者だ』

 

射命丸(・・・ボロイローブと、汚れたフード。  

    フードで隠れているから顔は見えないけど、たぶん人間じゃないわね。

    でも、なぜかしら?なぜ阿求さんと小鈴さんはこの異端者に恐怖や

    疑心を抱かないのかしら?)

 

 

夜も紅く染まる悪魔の館。

 

その館の属する時計台。

 

その前に留まる鴉と人間。

 

その人間にすらも認識されず。

吸血鬼の魔眼にも捕まらず。

 

人によって生み出され、人によって傷つけられ、また人によって救われた。

 

『逆襲』の彼は、何を思うのか?

 

 

 

To be continued・・・


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