東方携帯獣  ~ポケット・モンスター |幻。夢。|~   作:キョウキ

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映画見ました!

何の映画かって?
「時間神VS空間神VSダークライ」っすよ!

注:今回のお話に時間神も空間神もダークライもでてきません。


28ページ目 感情神の霞み影

気温が少し上がってきたか。

ほんの少しだが、汗が額に浮き出てきている。

 

だが、その汗も。うだるような暑さも。

夏特有の爽やかな風によって消え去ってしまう。

プラス、そこに木陰が加わり避暑において完全に隙が無くなっていた。

 

 

私・・・AZは。阿求、小鈴、射命丸と共に

「魔法の森」を歩いていた。

 

 

 

阿求「この森に入ることは、もうないと思っていたけど・・・」

小鈴「うう~・・・薄暗い、怖い・・・ヒャア!?なんか動きましたよ!?」

 

AZ「落ち着け。小鈴。恐らくポケモンか、動物だろう」

射命丸「いや~『妖怪』って選択肢もあるんですけどね~・・・」2828

小鈴「ヒ~~‼‼」

 

私は、今までの旅の中で「森」と言う物は数えきれないほどに通ってきた。

 

「ハクタイの森」「トキワの森」「ヒワダの森」「ハクダンの森」・・・・・

名称がある森だけを言うのなら簡単だが、名称の無い。

 

いわゆる「名無しの森」なんかは何十・何百と通ってきた。

 

 

 

 

だからだろうか。

この「森」の空気。

入ってみただけで分かる。

 

ここは、何やら澱んだ、穢れた、死骸の溜まる湖の底のように濁った力が

渦巻いていた。

 

 

射命丸「阿求さんはご存知だと思いますが、ここには様々な毒性を持つ

    魔法のキノコが群生しているところなンですよ。

    あ、あと下級妖怪もそれ相応に出てくるので御用心を」

 

小鈴「うう・・・いくら里の人達に見せないほうがいいとは言っても・・・

   こんな森の奥深くにまで行くなんて・・・お父さんになんて説明しよう・・・」

 

 

ふふふ・・・

 

またあの天狗の笑い声だ。

 

射命丸「ご安心ください!小鈴さんも阿求さんもAZさんも!皆さんまとめて

    私が守ってあげます!」

 

そう言ってはいるが、さっきの気味悪い笑いのせいで少し信用できない。

 

阿求たちと射命丸。

人間と妖怪。

 

種族の違いか、それか性格の違いか。

 

 

 

・・・なんだかんだ言って、私が射命丸を信用できないのは

恐らく人間にとって命を脅かす「妖怪」だからだろう。

 

この幻想郷では、人間と妖怪が共存関係にある・・・と、言っている者がいるらしいが。

(八雲 紫・・・と、言う者だっただろうか?)

 

私個人の考えでは、共存とは言っても人間は常に妖怪のことを恐れている。

酒屋や店では夜に妖怪と人間が酒を飲みかわし、協力している。

 

だが、妖怪側では恐らく。どんなに仲良くなろうと捕食対象であることに

変わりはない。

 

人間側からしてみれば、こちらには妖怪を退治できる「博麗の巫女」がいる。

それだけで安心しているわけではないだろう。

 

第一、阿求の話によると「人間の味方も妖怪の味方」もするあやふやな存在。

それだけでは、妖怪の恐怖を心からぬぐうなんてことはできないはずだ。

 

 

それに、この前の「私」に対する人々の反応。

 

 

「化け物め‼‼」

「女子供は中へ‼」

「なんだろうと(ウチ)の米はやらねえ‼‼」

 

 

「妖怪」と完璧な共存関係であり。かつ博麗の巫女への信頼もあれば

あのような反応は無いだろう。

 

 

 

・・・この世界は・・・本当に・・・「平和」なのだろうか?

 

 

 

 

射命丸「・・・もうそろそろ着きますよ!」

AZ「!」

 

思案に暮れ、足は動いていたが目の前は見ていなかった。

 

長い時間。頭を下に向けていたため、首が痛い。

 

その痛みを確かに感じつつ、ゆっくりと顔を上げた。

 

 

AZ「・・・ここは・・・随分と「霧」が深いみたいだが・・・」

小鈴「わあ・・・話には聞いていたけど・・・こうゆうところだったんだ・・・」

阿求「ここに来ることも、また随分と久しぶりね」

AZ「確か、新聞にも載っていたな」

 

射命丸「ハイ!ここはこの幻想郷数少ない湖の一つ。

    「霧の湖」です」

 

辺り一帯霧の中。

その視界の不鮮明度にはちょっとした恐怖を感じずにはいられない。

 

しかし、完全に目の前が見えないというわけではなかった。

ぼんやりとだが、遠くの物の影も見える。

 

湖を見れば、濁った霧と湖に反射する太陽の光が美しい景色を称えている。

(いささか、氷がそこら辺に浮いてるのが気になるが)

しかし、湖の上の孤島の上に建物があるのが少し気になる。

 

AZ「あの建物は何なんだ、阿求?」

射命丸「あの孤島ですか?」

 

私は確かに、阿求、と名指ししたのだが。

まあいい。説明できるというのならもういっそこの妖怪でもいい。

 

射命丸「あの建物は、幻想郷の中でかなり有名な建物ですよ。

    名前は「紅魔館」。名前の通り趣味の悪い紅で統一された

    毒々しい館ですよ」

 

AZ「そうか・・・では、あの孤島は?」

今度は紅魔館が立っている孤島ではなく、それよりも小さい島を指して聞く。

今度は阿求が答えてくれた。

 

阿求「あの島は、何の変哲もないただの島ですよ。

   特徴を言うなら、ちょっとした「氷の花畑」があるくらいかしら」

射命丸「おお!さすが阿求さん。そのような名所ポイントも知っているとは!

    いや~恐縮です」

 

小鈴「・・・ううーん?」

どうしたのだろうか?

 

小鈴が湖の方を凝視して唸っている。

AZ「どうした?」

私は気になって聞くことにした。

 

小鈴「いやですねぇ・・・あそこだけやけに霧が濃いんですよ」

阿求「あら?そんなところがあるのかしら?」

射命丸「・・・あ!確かにあそこだけやけに霧が深いですねぇ」

 

AZ「何なのだろうか・・・」

 

 

私も霧の方を見つめてみる。

成程。

 

紅魔館寄りで、花畑の孤島よりは離れているところ。

「そこだけ」やけに霧が濃い。

 

射命丸「飛んで見てみましょうか?それとも風で霧を払ってやりましょうk・・」

阿求「あっ!待って!あそこ!」

小鈴「?・・・」

AZ「どうしたのだ?・・・・・・!?」

 

 

私は・・・聞いたことがある。

たしか、シンオウ地方の伝承だったか。

 

 

三つの湖。

そこには、三匹の神が宿るらしい。

 

一匹は「感情」の神。

もう一匹は「意志」の神。

最後の一匹は「知恵」の神。

 

それぞれまるで妖精のような姿をしており、その姿を明確に見たものは少ないとされる。

 

 

その伝承が真実ならば。私たちは今。

 

『神の影』を目撃したことになる。

 

 

AZ「今・・・見たか?」

阿求「・・・・・・・・」

小鈴「見、見ました・・・」

射命丸「(無言のシャッター連打)」

 

深い深い森の中の、深い深い霧の中。

その霧の中で透明の者が確かに動いた。

 

そこだけ、周りの霧が濃い分明確に見えたのだ。

 

姿かたちの輪郭はハッキリとしていなかったが。

間違いない。私が伝承に聞き、本で読んだ姿そのもの。

 

もっと見ていたかったが、その影は音もしぶきもなく湖の中に潜り

見えなくなってしまった。

 

普通なら、この幻想的な光景が頭に焼き付いて離れず、何も考えられなくなるのだろうが

 

今の私は、ただただ疑問でいっぱいだった。

 

AZ(何故だ・・・本来はシンオウにいるはずの神のポケモンがなぜ幻想郷に?)

 

阿求「なんだったのかしら・・・?今のは・・・」

小鈴「妖精のイタズラにしては手が込みすぎだし、霧を操る妖精なんて・・・」

射命丸「う~む・・・これは予想以上の収穫・・・AZさんのことをメインにするか・・・

    あの不可思議な影をメインにするか・・・うーむ・・・・・・

    幸せすぎる悩みですわぁ・・・」

 

皆それぞれが、悩み、疑問、考察に暮れ、私の疑問に勘づく者はいない様だった。

 

 

AZ「・・・さて、取材とポケモンの披露会の前にいいものを見ることができたな」

とりあえず、このままでは話が進まない。

 

私が本来の目的を話すと三人は、

阿求「あっ。そうでした」

小鈴「あ~・・・忘れてた・・・」

射命丸「私は別に忘れてはいなかったんですがね」

 

と、ちゃんと二人は目的を思い出してくれたようだった。

 

 

AZ「さてと、少し下がっているんだ・・・それじゃあ、出てこい!」

阿求たちを少し、今の場所から大股五歩くらいのところまで下がらせ

私は腰につけている五つのモンスターボールの内四つを空中に投げた。

 

 

その様子を見ている三人の瞳がそれぞれの色を持って輝く。

 

 

四つのボールから伸びる四本の光も輝く。

 

それぞれが形を創りだしてゆく。

 

 

 

その様子はまるで、一つのおとぎ話の一ページのようであった。

 

 

 

To be continuedo・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 




うろ覚えキャラクタープロフィール:八雲 紫

能力:境界を操る程度の能力
式神:八雲 藍(橙は藍の式神のため除外)

現状:下半身、上半身を左斜め下に向けて切断されている。
   そのため、能力を使う際、能力が不安定になってしまう。
   スキマは、全盛期ならヒ―ドランだろうとレジアイスだろうと
   一瞬で閉じ込めることができたが、今はそれほど大きなスキマも使えない上に
   使う程体力と妖力を消費してしまう。
   今は相手に隙があった時か、衰弱している時のみに相手を閉じ込めることが可能。
   レジアイス戦の時に霊夢たちをスキマで運んだのはなかなかスゴイこと。
   境界を操ることは全盛期の50%以下くらいしか使えない。
   何気にこの異変の元凶でもある(黒幕ではない)。

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