東方携帯獣 ~ポケット・モンスター |幻。夢。|~ 作:キョウキ
勉強と宿題のレポートに追い回されているせいで小説が遅れてしまいました。
はい、いい訳ですね。すみません。
それでは今回も始まり×2。
・・・・・・
やはり、この本を読んでいる間は押し黙ってしまうように喋れなくなる。
それはなぜなのかはわからない。
けど、それは多分「いい意味」ではないと思っている。
仮にいい意味だったら、胸が締め付けられるような寂しさも
息苦しくなるほどの集中も得られないはず。
「やぶれた世界」
そう黒い革で覆われた分厚い本に金の文字で刻まれていた。
その内容は、
創造神から生まれた神があまりにも他の生物や神を殺すというので
その肉体を「半分」焼き、もう半分に残された魂を焼け残った肉体と共に闇の世界へと
送った、と言う物である。
その送るまでの経緯、その後の神の後悔と怒り。
闇の世界の中の絶望。
それらが余りにも強烈に、そして大胆に、かつ憂いの感情を含んでいる表現。文法。
黒く彩られた挿絵の悲壮的な神の姿。
ここまで「完成」された、そして「圧巻」された本を読んだのはこれが初めてだった。
・・・あの氷塊がこの紅魔館に現れてまだ数時間しか経っていない。
だが、その数時間は私にとって彼らの正体を調べるに十分な時間だ。
でも、一つ疑問がある。
私はこの図書館にあるすべてのジャンル、置いてあるところ、巻数、タイトル。
それら全てを暗記しているはずなのにいつの間にかこのような本が増えている。
いや、増えているというよりも「出現」していると表現したほうがいいかもしれない。
それ程のスピードであの氷塊と同じであろう生物たち・・・ポケモンに関する
本が増えてきた。
「やぶれた世界」の本の他にも、
「第二版携帯獣:超の書」
「ポケモン生物工学」
「ゲノセクト育成レポート」
「ゴーストタイプを生物と認めるか否か」
「ビーダル:私を支えてくれた125日」
「電気タイプの理化学研究」
小説や論文、レポートや教科書といった様々な本が現れている。
・・・その中に出てくるポケモンを見たこともない私にとっては
あまりピンとこないけど・・・
それらの本は私を久しぶりに沸き立たせてくれた。
いつも通りの研究書や魔導書で研究というのも少し疲れてきた。
これはちょうどいい。
ここに贅沢な研究対象がある。研究の休憩代わりにこちらを研究してみよう。
ガタっ・・・ばさばさ、ドサッ
・・・でも、その前にここに来た「泥棒」を対峙しないと。
魔理沙「お~い!パチュリー?いるんだろー?いなくても構わないが―!」
仕方ない。研究は後回しにして泥棒を追い払うとしよう。
パチュリー「ここにいるわよ。で、何の用よ?」
魔理沙「ああ、そのことなんだが。ま、簡単に言っちまうと本を借りに来た」
パチュリー「・・・あなたの「借り」はまるで「狩り」ね。
ガサツなあなたのことだから今まで私が貸した本達もきっと
酷い仕打ちを受けているんでしょうね」
魔理沙「い、いや?ちゃんと大事に扱っているぜ?」
パチュリー「・・・あなたも少し良心的になったか、それとも頭の動きが鈍くなったか
知らないけど・・・さっさと本を奪いに来ないところを見ると
私から聞きたいことでもあるのかしら?」
そう言ってやると魔理沙は少し驚いたような顔をして、
魔理沙「へえ、よく分かったなぁ。まあ、なんだ、あれだ。
あのポケモンに関する本がないか少し立ち寄ってみただけだ。
ついでに貴重な
まったくもって罪悪の表情・感情もなく言ってくる。
いつも通りだ。
パチュリー「・・・ええ、確かに今。ポケモンとかいう生き物の本があるわよ」
魔理沙「よしよし。やはりあったか。それじゃあ早速それらの本をいくつか
借りさせてもらうかな」
パチュリー「本当にいつも通りだけど、そのいつも通りの日常に
終止符を打つ時が来たようね」
魔理沙「お?
パチュリー「・・・と、思ったけどやっぱりやめとくわ。
だって、あなたのポケモンや八卦炉は動いてもあなた自身はまだ
ボロボロじゃない」
魔理沙「まあ・・・そうだが・・・」
パチュリー「この図書館内でなら別に読んでも構わないわよ。
ただ、無断で持っていこうというのなら話は別だけどね」
そう警告めいた口調で言うと当の魔理沙は、
魔理沙「どうしたんだ?お前が図書館内の本を好きに読んでもいいっていうなんてな」
パチュリー「緊急事態みたいだしね。あ、それと」
魔理沙「ん?どうしたんだ?」
パチュリー「あなたのポケモンに本を持ち出させようという考えはすでにお見通しよ」
魔理沙「あ、あはは・・・な、なんのことやら~・・・」
(なぜだ!?なぜバレた!?)
パチュリー「あなたの考えるこすずるい考えなんて大方予想がつくのよ」
私の言葉を聞いて、魔理沙は諦めたのかモンスターボールのボタンを押して
ゲンガーを戻した。
パチュリー(本当はあてずっぽうで疑ってみただけだけど)
目の前の魔理沙の反応や行動から実際にそう考えていたのだろうということは理解した。
魔理沙「・・・ああー・・・図書館内でおとなしく読むしかないのか・・・」
パチュリー「そうしなさい」
魔理沙「うう・・・」
魔理沙は残念そうにうなだれた。そこに・・・
紫「たっだいま~。まりちゃ~ん、愛しの霊夢が起きたわよ~」
魔理沙「あああああああああ・・・・・」
そこに紫が現れた瞬間に、魔理沙は地面に沈みこもうとするくらいの勢いでうなだれた。
紫「そろそろ霊夢はレミリア、咲夜と一緒にここに来るはずよ」
パチュリー「あらそうなの。こあ。紅茶を6人分用意してくれるかしら」
そうパチュリーは自らの使い魔「小悪魔 こあ」に命じ、こあも
こあ「はーい!すぐに淹れてまいります~」
と、合点招致にそそくさと図書館から出ていった。
魔理沙「ああ・・・ほんとに最近いいことがなさすぎる・・・」
パチュリー「運気を上げる魔法なんてこの世にはないわ」
魔理沙「そんなことを言ってるんじゃないぜ・・・」
紫「図書館でみんな集合って、なんだかお勉強会みたいね」
パチュリー「ああ、こあ。悪いけど紅茶の他にケーキも用意して」
パチュリーは、そう戻ってきたこあに言うと、こあは、
こあ「そういうと思っていましたので、途中で会った咲夜さんに頼んで
作ってもらいました」
気付けばこあの横にはケーキをのせたお盆を持っている咲夜が立っていた。
咲夜「もうすぐレミリアお嬢様も霊夢と一緒にここに来るはずです」
そのことを言っている間に、図書館に入る出入り口が大きく開き、
レミリア「待たせちゃったかしら?」
霊夢「ああー・・・頭が痛いわー」
カリスマを意識して出そうとしているレミリアと、頭痛に頭を抱える霊夢が入ってきた。
紫「全員集まったわね。それでは」
紫「『お勉強会』という名の会議を始めましょうか」
To be continued・・・
なんか・・・最近ポケモン要素が減ってきている気がする・・・