東方携帯獣  ~ポケット・モンスター |幻。夢。|~   作:キョウキ

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言い忘れていたことが一つ。

私はポケモン廃人と言うほどやりこんでおりません。


あともう一つ。

しばらく投稿が劇的に遅れそうです。


24ページ目 長く冷たかった夜

早朝。

 

少しづつ、少しづつ。

東の空と地平線が白み始めるこの頃。

 

凍り付いた霧の湖では。

明け初めの太陽の暖かな白い光とは逆に、大気も凍らすほどの白い冷気が

立ち込めていたのだが・・・

 

それは今や一変。

 

暖かな、を通り越してむしろ「熱い」熱気がもうもうと立ち込めていた

白い霧と氷を溶かし始めている。

 

 

その熱源は幻想のステキなシャーマンの相棒。「ブースター」。

 

そして、相反するは凍湖異変の元凶。「レジアイス」。

 

 

いまだ、この楽園の住人達は彼らの正体も生態も何も知ってはいないが

一つだけ理解していることはあるだろう。

 

それは「どんなことが起きようとこの幻想郷と愛するものを守り抜くということ」である。

 

そう・・・それは、異変に加担した「あの妖精」であっても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたいは、ひとりぼっちだった。

 

今は違うけど、そのころのあたいは孤独だった。

 

 

 

 

この幻想郷。その中の「妖精」と言う種族としてあたいは生まれた。

妖精。それ自体がこの幻想郷の中でもかなり浮いた存在なのに。

 

あたいはそれ以上に浮いていた。

 

 

なにせ、陽気を好む妖精なのに冷気を操る妖精として生まれてしまったのだから。

仕方ないと言っちゃえば仕方がないんだけど・・・・・・

 

問題は周りの妖精たちの反応。なによ。「冷たいから嫌い」とか「凍傷になる」とか・・・

 

あなたたちと、あたい。いったい何が違うってのよ。本当に腹が立った。

 

そんなあたいでも、優しくしてくれた妖精が一人いた。

それが今の友達、大ちゃんだ。

 

大ちゃんはあたいなんかよりずっと頭が良くて、優しくて、あと「カリスマ」があった。

その大ちゃんが周りの妖精たちにあたいと仲良くして、って言ったら

 

態度は一変。あたいと一緒に遊んでくれるようになったけど、それでもあたいの中に

くすぶっている黒い何かは冷えていくばかりで消え去りはしなかった。

 

 

一緒に遊んで、一緒に話して、そのあと別れる。その別れる時の顔。

 

あー・・・なんであんなに嬉しそうなのかな・・・。

しかも、さっきまで手を繋いでいた右手を必死にこすってるじゃない。

 

もしかしたら、ただの被害妄想かもと思ったけどやっぱりあたいはイライラしていた。

 

 

 

そして今日。

 

 

あたいを避けるいけすかない生き物が森に入り込んできたけど、その代わりに

あたいと同じ悩みと喜びを共有できる仲間ができた。

 

大ちゃんにも話せなかったあたいの本当の気持ちも何もかも受け止めてくれた。

 

姿はただの氷っぽかったけど、あたいにとっては大ちゃんと並ぶ大切な

友達になってくれた。

 

 

でも・・・今日できたばかりの新しい友達を「連れていく」とあの紅白と白黒は言った。

それは許せなかったし、今のあたいならこの場所と「友達」との力を合わせれば・・・

 

 

今までやられ続けた「仕返し」ができると思った。

 

白黒は、結構苦戦したけどちゃんと倒した。・・・と、思ったけど・・・

 

 

 

え?なにこれ?まだ魔理沙は倒れていない上に、目の前に霊夢と赤い動物が立ちはだかっている。

 

 

その時、あたいは心の中に一つの疑念が生じた。

 

「あたいは・・・もしかして間違っていた・・・??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「・・・それじゃあ・・・遠慮なく行かせてもらうわ‼‼」

ブースター「フシュウ!」

 

そう啖呵を切り、一気にチルノとの間合いを詰めてお祓い某で薙ぎ払う。

チルノも、少し遅れたがそれをギリギリで躱して氷柱でお祓い某を受け止める。

 

 

ブースターもそれに続き、レジアイスとの間合を詰めていく。

レジアイスも十数センチ空中に浮くと、『冷凍ビーム』で氷の壁を築き

ブースターの動きを遅らせる。

 

 

その間にも、霊夢とチルノは払い棒と氷柱との突っ張りあいが続いていたが

それにしびれを切らしたか、チルノは空中に跳び、弾幕で攻撃するパターンに切り替えてきた。

 

霊夢も、それに順応し弾幕を撃つ。

 

 

 

 

霊夢(弾幕でのパワーなら私の方が上・・・だけども)

  (あの魔理沙との戦いで見せた集中力・・・それをなんとかして塞がなくちゃ!)

 

霊夢は、一気に弾幕を放ち、チルノの弾幕を相殺。上がる粉塵。奪われる視界。

そこに・・・

 

 

ぶわっ!

 

 

その粉塵の中から陰陽球の力によって加速した霊夢がチルノに向かって突っ込んでいった。

 

完全に隙を突いた攻撃。チルノは、この攻撃に対応できずあっけなく倒せた。

かと思っていたが・・・

 

チルノはそれを「読んでいた」らしく、霊夢が突っ込んできた時にはすでに

 

 

 

ー両手を上に上げ、巨大な氷石を創りだしていた。

 

 

 

驚愕により切れる集中力。確信した妖精の笑い。数秒遅れる判断。

 

 

ブースター「‼‼・・・ふしゅう!?」

ブースターも、主人の異変に気付き上を見上げるが。それがまた隙を作る。

 

その隙を見逃さず、狙いを定めてレジアイスが『電磁砲』を当てる。

鈍る動き。追撃の攻撃。

 

ちょっとした隙が連鎖し、なおかつ遅れた判断により勝敗が喫する。

 

 

それが、「弾幕ごっこ」であり。

それが、「ポケモンバトル」である。

 

 

霊夢は、重なる「弾幕ごっこ」での勝利により余裕を持っていたらしい。

彼女自身は、そんな気はなかったのだろうが・・・

 

 

しみついた勝利の感覚は。一瞬の油断と隙を作った。

 

 

 

霊夢(・・・あー、こりゃ。つぶれたら死ぬかなー・・・)

 

彼女は、こんな状況になっても目には光が宿っていた。

そんな絶望的なことを思っているにもかかわらず、彼女は冷静そのものだった。

 

 

それはなぜか?

それは・・・

 

 

霊夢「私は、無駄に「運」が強いからね」

 

そう呟くと同時に巨大なレーザーが氷塊を砕き割る。

 

 

チルノ「えっ!?」

 

チルノも唐突なことに理解が追い付かず、思わず「集中」を霊夢ではなく

レーザーが飛んで来た方向に向ける。

 

 

 

そこには、「ミニ八卦炉」をこちらに向けた息を鳴らす魔理沙がいた。

 

 

魔理沙「チルノ・・・いい加減学習しろよ・・・

    これは遊びであって・・・「殺し合い」じゃないってことをな・・・」

 

チルノ「ッッ‼」

 

その時、魔理沙に対するどす黒い「殺意」が沸いたが実行には移せない。

 

 

理由は二つ。

 

まず、自分の心が完全に乱れていたこと。

 

そしてもう一つ。

 

すでに霊夢に両腕を掴まれ、弾幕が放てなかったこと。

 

 

チルノ「うっ・・・く・・・」

 

霊夢「おとなしくしてなさい。暴れると痛いことするわよ?」

チルノ「・・・・・・」

 

こうなってしまっては、弾幕も氷柱も防御も回避もできない。

 

 

 

 

・・・・・完全に敗北である。

 

 

 

 

 

 

その様子を攻撃の手をやすめ見ていたレジアイスは、ハッと思い出し、ブースターに

意識を向けるが、遅すぎたのかもしれない。

 

 

ブースターは自分の体内の熱量を一気に放出し、自分を縛っていた氷の壁や

氷塊を溶かしていく。

 

当然氷は水となり、その水がブースターにかかって少し嫌な気分になるが

再度、思いっきり間合いを詰めてゆく。

 

その時である。

 

レジアイスは氷の粒子で作った霧に隠れ、その中で自分によく似せた氷の『みがわり』

を構築、しようとするが失敗。

 

 

体が人知れず傷ついていゆく。

 

そのダメージの存在にはすぐ気づいた。

 

 

これは『呪い』である。

 

周りを見渡し、ボロボロに傷つきながらもゲンガーがこちらを見据えて

レジアイスに呪いをかけていた。

 

そのことに気を取られる。そして、すぐさまブースターに向けて『冷凍ビーム』を

放とうとするが、できない。

 

ブースターの姿が見えないのである。

 

 

「・・・フシュッ」

 

そんな鳴き声が自分の足元から聞こえる。

だが、足元を見ることはできなかった。

 

 

至近距離での大の字に燃える強炎が視界を奪っていたからである。

 

『だいもんじ』

 

その威力は絶大であった。ゲンガーの『シャドーボール』ですら難なく受け止めていた

レジアイスを大きく吹き飛ばしたのだから。

 

 

しかし、止めを刺すには至らなかった。

 

 

 

お札でチルノを縛っていた霊夢がブースターとの戦闘に気付き、すぐさまそちらへ向かって飛ぶ。

 

 

それを見ていたレジアイスは、最後の力を振り絞り

 

『だいばくはつ』の準備を進める。

 

 

 

それに気付いたブースターは、すぐさま牙に炎をまとわせ、爆発するであろう瞬間に

牙を氷に砕き入れた。

 

『ほのおのキバ』

 

レジアイスは、そのダメージにより爆発を起こすこともできず、その場に倒れ伏した。

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「・・・・終ったぁ・・・」

 

霊夢は、倒れたことを確認すると思いっきり氷が解けて間もないビショビショの草原

に身を任せ、ゆっくりと寝息を立て始めた。

 

 

魔理沙「やっとかよ・・・あ~・・・」

 

魔理沙は、霊夢が眠り込んだと同時にその場で共に寝入ってしまった。

 

 

 

 

紫「ただいま~・・・って、寝ちゃってるじゃない」

 

紫は、紅魔の主と話をつけ終わり。今しがた帰ってきたところだったが

先に確認したのは異変が終わったかではなく、寝込んでしまった二人であった。

 

それは、この二人が異変を解決することを確信して信頼していたからであろう。

 

 

紫「あ~あ~・・・霊夢は服がびちょびちょだし、魔理沙はところどころ凍傷になりかけて

  いるし・・・。

  スキマで紅魔館にでも送ってあげましょう」

 

紫「当然。チルノ(あなた)とアレもね」

 

 

チルノ「うう・・・」

レジアイス「・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

紫「さてと・・・これでひと段落つけるかしらね」

 

そう紫は言うと、一人づつ、体の傷が開かない程度に紅魔館の客室へと運び込んでいった。

 

 

 

 

 

確かに。これはひと段落である。

 

しかし、世の中と言う物は不思議なもので。

「二度あることは三度ある」とか「過ちは繰り返す」ということが多々ある。

 

 

 

当然、「ひと段落」あるというのはそれまでの「文章」がなければいけないのである。

 

 

 

 

 

 

・・・彼女たちは、一体何回「ひと段落」つくことになるのだろうか?

 

 

To be continued・・・




私もようやくこれでひと段落・・・。

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