東方携帯獣  ~ポケット・モンスター |幻。夢。|~   作:キョウキ

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はい、ドーモ、ドクシャノミナ=サン。
アホノキョウキデス。

勉強に飽きたので投稿しました。


本編
1ページ目  八雲の挑戦、迫る異変


暗い、暗い闇の中。

それこそ果ても見えない闇の中。

 

しかしその闇は完全な真っ暗闇というわけではなく、少し赤みがさしていた。

獣の腹の中のような赤黒い闇。

その中に、派手な服装を身にまとった女性が立っていた。

 

その女性は、とてつもなく美しかった。

白く透き通るような肌。

長く、整った黄金色の長髪。

 

その派手な色彩と模様で彩られたロングドレスはその女性の醸し出す

雰囲気や怪しい色気、美しい顔立ちに至るまですべてを邪魔しないように

作り出されたとしか思えないほど整い、美しい輝きを放っていた。

 

 

彼女の名前は「八雲 紫」(やくも ゆかり)

東方にあるとされる異世界、「幻想郷」を創った大賢者の一人である。

 

彼女は当然、人間ではない。

外の世界で幻となった存在、いわゆる「妖怪」と言うやつである。

だから、年も取らないし、よっぽどのことが無い限り死ぬこともない。

 

怪しい色気も妖怪故なのである。

 

 

そんな彼女は今、とてつもなく悩んでいた。

 

 

彼女はその場を行ったり来たりうろうろしたかと思えば

急にブツブツつぶやいたりもしていた。

 

そんなことをしていたときだった。

 

???「紫様」

 

背後から急に声をかけられたのは。

 

紫「・・・・・」

彼女は答えなかった。

別に無視しているわけではないが、今は一人で考えに耽りたかったのだ。

 

しかし、紫の背後にいる相手はそんなことはお構いなしにどんどん話しかけてきた。

???「・・・紫様、情報を集めてまいりました」

 

紫「・・・あら、そうだったわね」

今度はちゃんと反応を示した。

そういえば情報を集めてもらったんだっけ、と自分が命じたことを

忘れる程考えに夢中だった彼女は、以前背後にいる従者にねぎらいの言葉をかけた。

紫「ありがとう、藍。助かるわ」

藍「いえ、私は式神ですので、主の命令に従うのが当然ですので」

紫「フフ、そうね。でも、あなたはとても優れた式神と私は思うわよ」

藍「ありがとうございます」

 

彼女の名前は「八雲 藍」(やくも らん)

紫が式神として遣わしている、狐の幼獣。

 

九つの金色に光る尾を持ち、数式にとてつもなく強い。

そして、力も紫が認める程強い。

 

藍「・・・で、紫様。本当にやるんですか?」

紫「愚問ね、やらないんだったら最初からあなたに情報を集めさせてないわ」

 

藍「・・・失礼しました・・・」

紫「なんで謝るのかしら?謝る必要なんかないわよ」

藍「・・・はい」

 

藍がそう返事するのを聞くと、紫は藍が持ってきた資料を手に取った。

 

紫「それで、これが資料ね。

  まさか、幻想郷中探してもたったこれだけとはね」

 

藍が持ってきた資料はたった三冊の本だけであった。

これは藍のミスでも、私の命令の仕方が悪いわけではない。

 

そもそも幻想郷には「外の世界」の本が極端に少ない、だからいくら藍でも

たった三冊しか持ってこれなかったのだ。

 

それも、この三冊の本はただの外の世界の本ではない。

外の世界とはまた別の世界の本。

これを何とか探させたのだ、三冊でも大漁といえる価値はある。

 

 

紫「さて・・・どれどれ?」

紫はその三冊の内の一冊を手に取りパラパラとページを軽く見ただけで

すぐ閉じて、他の二冊も同様に軽く内容を見ただけに見える

短すぎる読書は終わった。

 

別にこれらの資料のことを疑ってるわけでも、読むのがめんどくさいわけではない。

 

あくまでこの三冊は保険のために持ってこさせたといっても過言ではない。

なぜなら、今よりはるか昔から「その世界」に関する情報を集めていたからである。

 

この三冊は今までの情報が間違っていないかの確かめであり、答え合わせだったのだ。

 

紫「そろそろ始めましょうかね」

藍「えっ・・・すぐ・・・ですか?」

紫「当り前じゃない。とにかくあなたは時間を計っていればいいのよ」

 

藍「あ・・・ハイ、分かりました。すぐ始めますね」

紫「よろしく頼むわよ」

藍は紫の声を聞く前に時計の準備を始めた。

その時計は特別なもので、「神」の動く時間を計れるらしい。

 

どういう仕組みなのかは、また今度時間が開いてるときにでも話ましょう。

 

紫「藍・・・あと何秒?」

藍「あと19秒です・・・18・・・17・・・

  16・・・15・・・」

今、藍が時間を数えている間、私が追い求めていたもののことを思い浮かべる。

私が追い求めてきたもの、それは「空間神」。

別に神の力を手に入れようということではない。

 

藍「10・・・9・・・8・・・7」

 

私は、その空間神に協力してもらいたのである。

この幻想郷にその世界の生き物、「ポケモン」と呼ばれる魔獣を呼び寄せるために。

 

藍「3・・・2・・・・・」

その、理由は・・・・・・

 

 

藍「1!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

面白そう。ただそれだけ。

 

 

 

 

藍「0!」

藍が残り秒数を言い終わるか終わらないうちに目の前の空間が少し揺らいだ。

私はその瞬間を見逃さずに素早くその揺らぎに手を突っ込む。

 

空間が手を突っ込んだところからぐにゃりとゆがみ

 

そして・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「・・・で、今そんな状態ってわけ?」

紫「情けないことにね・・・」

 

時と場所は移り、幻想郷の神社。

「博麗神社」

 

私は、空間のゆがみに手を突っ込んだ経緯とその後のことを話した。

 

???「・・・それにしても・・・フー・・・ひどい状態ね・・・」

 

紫「・・・正直言って、何でこうなったかは全然わからないのよ」

今、私の体の状態はこうなっている。

 

 

下半身は上半身と離れ離れになっており、上半身も左肩から斜めに切断されている

といった状態である。

こんな状態でも生きていられるのは妖怪の力のおかげであるが・・・

 

それでも分からないことがある。

 

切断されたはずの左半身、下半身が少しの間を開けて空中に浮かんでいるのである。

 

???「・・・で、私にどうすればいいのよ?」

紫「・・・ちょっと・・・言いにくいことなんだけど・・・」

???「なによ?さっさと言いなさいよ!めんどくさいんだから・・・」

 

紫「・・・分かったわよ」

どうやら観念したようでやっと口を開いた。

しかし、その言葉は小さく、先程の彼女とは思えないほどか細い声だった。

 

 

紫「あのね・・・ちょっと面白半分で空間神に・・・

  えと・・・その・・・ちょっかい?を・・・

出したら・・・怒らせちゃって・・・それで・・・」

 

 

???「・・・はぁ~・・・イヤよ」

紫「まだ何も言ってないのに!?」

 

???「だってあんたが勝手に呼び込んだトラブルでしょぉ~?

    自分のことは自分でやりなさいよ・・・」

 

紫「自分でもどうすることがもできなくなったからあなたを頼っているのよ~・・・

  お願いだから、「霊夢」~・・・私に協力してよ~・・・お酒おごるから・・・」

 

紫が「お酒」というう言葉を放った瞬間、彼女の体がピクリと動き

気だるそうに、しかし嬉しそうに承諾の言葉を言った。

 

霊夢「はぁ~・・・まったくしょうがないわね~・・・

   いいわ、協力してあげる代わりに・・・おごるお酒は三倍ね・・・」

 

紫「う~ありがとぉ~、一生分感謝してもしたりないわ~」

 

霊夢「・・・そこまで言うほど深刻なのかしら?その「異変」は?」

 

紫「そうなのよ、まだ大きく広がってないないけど・・・

  まず初めに出現したのは「妖怪の山」の洞穴。

  次に「霧の湖」。

  そして旧都の「地霊殿」からね」

 

霊夢「結構多いのね・・・こりゃ「魔理沙」にも手伝ってもらおうかしら?」

 

彼女の名は「博麗 霊夢」(はくれい れいむ)

博麗神社の巫女であり、妖怪の味方も人間の味方もする変わった少女だ。

 

紫「とにかく、本格的に活動するのは明日からね。

  私はこの体をちゃんとくっつけなきゃだし・・・」

紫の痛々しい体を見て霊夢は顔をしかめながらも紫の意見に同意し

活動は明日からすることにし、今日は解散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「妖怪の山・とある洞穴」

 

低級妖怪A「な・・・なんだ?この石像は・・・?」

低級B「気味が悪いな・・・宝も何にもなかったしよ・・・早く帰ろうぜ」

低級A「ああ・・・そうだな・・・帰ろう」

 

 

「文々。新聞」一部より抜粋。

突如として現れた妖怪の山の巨人像。

壁には点字がちりばめられており、そちらの解読も急ぎたいところである。

(中略)

この洞穴にいると、誰かに見られているような不思議な気分も味わえるので

興味のある方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?

 

 

 

To be continued・・・


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