東方携帯獣  ~ポケット・モンスター |幻。夢。|~   作:キョウキ

16 / 56
すごく長くなっちゃいました\(^o^)/オワタ


15ページ目 旧都噴火警報 その③

さとり「・・・私のペットを傷付けたことを、後悔する間もなく

    息の根を止めてやるんですよ!」

 

お燐「さとり様!」

 

そう言った途端、私は部屋を離れ間欠泉に向かい、相対した。

 

 

私は、気が付いたらむせかえるような熱気の中、目の前の「害虫」のことを

ゴミを見るような眼でにらみつけていた。

 

 

???「ごぼぼぼっ、ごぼぼぼおおお!」

目の前の「害虫」は、想像していた以上に醜く、予想以上に汚らわしかった。

しかし、「強い」ということは分かったし、その「覚悟」もしてきた。

 

さとり「・・・ふん、なんて醜く、なんて愚かで、なんて汚らわしい生物なんでしょう」

私は、鼻で笑いつつ、目の前の害虫のことを罵った。

 

???「ごぼぼぼぼぼぼぼぼぼお!」

私が馬鹿にしたことを理解したかは分からないが、この害虫、いや、怪物は

まるで鉄が溶けるような聞くに堪えない鳴き声を発した。

 

 

さとり「・・・私は、あなたがどこで生まれて、どうやって生きてきて、どーやって

    ここに入り込んだか。そんなことはどーでもいいんですよ・・・

 

    私はおまえに、地獄で罪を償ってほしいだけですから!」

 

そう私は、ほぼ半狂乱状態ともとれる冷静さを失った口調で滅茶苦茶に弾幕を打ち込んだ。

 

???「ぐぉぼおおお!」

さとりの弾幕は、お燐やお空とは比較的にならないほど強力で、お空の弾幕のように

怪物の体に吸い込まれることもなかった。

 

怪物は弾幕を体で受けるのは無意味だと思ったのか、弾幕を避けて反撃を狙う作戦に出た。

 

しかし私も負けてはいない。

右に動くなら右に。左に避けるなら左に。上へと逃れるのなら上方に向けて弾幕を

打ち込んだ。

 

だが怪物にもある程度の知恵はあるらしく、少しづつ弾幕の避け方も上手くなってきた。

 

でも所詮は弾幕ごっこをしたこともない怪物。

私は即座に怪物の行動パターンを『読み』弾幕の雨を浴びせた。

 

 

怪物が弾幕のダメージにもがき苦しむ。

 

その様子を見ていた私は、一つあることを思いついていた。

 

私は、怪物の心の中を読んで見ることにしたのだ。

なぜなら、知りたかったから。

 

なぜ、お燐たちに攻撃を仕掛けたのか。

 

その理由を、私は急に知りたくなった。

 

なんで知りたくなったのか、それは分からないが。

兎に角、私は弾幕に打樋がれる怪物の心を読んでみた。

 

さとり(・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痛い

 

苦しい

 

一人、独り

 

なぜみんな僕のことを否定するの?

ただ遊びたかっただけなのに

 

 

ああ、もうゆるさない。許せない。

 

ぼくのことを分かってくれる人も生き物もいないのなら

 

どこでだって否定されるのなら

 

こんな世界も生き物も全部要らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全て、灰と化してしまえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さとり「・・・ハッ!」

 

私は、怪物の心の中を読むのに夢中だったため、気づけなかった。

怪物は、陽光の色にも似た炎の竜巻を口から発射していた。

 

 

『マグマストーム』

 

 

 

さとり「ッ!?」

 

私は、空気中の水を音を立てながら燃やしていくその炎の渦を横っ飛びでかわす。

怪物が向きを調整し、また当てに来る。

 

今度は完全に避けきれず、左足首を燃やされてしまった。

 

さとり「ううっ!ああああっ!」

足首を焼いた獄炎は、一瞬で靴を焦がし、靴下を溶かしてしまった。

 

さとり「ううっ・・・熱いぃ・・・」

思わずその熱さと火傷の痛みにうめきがもれる。

 

私は、片足の痛みに耐えつつ、怪物と距離を取った。

 

 

さとり「あの炎の渦巻き・・・狙いは大ざっぱだが強力・・・すぎる・・・

    次あの攻撃を受けたら間違いなく・・・」

 

さとり(死ぬ!)

そう直感的に感じ取った。

 

 

さとり(これから来るあいつの攻撃は!一撃たりとも受けてはならない!)

さらに怪物と距離を置く。

 

自分の弾幕の射程範囲ギリギリまで離れ、相手の様子を窺がう。

 

 

???「・・・・・」

怪物は、急に黙り込んでいた。そして、さとりのことを、まるで案ずるかのような

目で見つめていた。

 

さとり「・・・?」

私は、その怪物と目が合ったとき。ふと違和感を感じた。

痛いと感じた。熱いと感じた。

 

いったい、どこが?

 

 

さとり「・・・!?これはっ!」

怪物の攻撃は、すでに『終了』していたのである。

 

 

足首を燃やして消えたはずの炎が、さとりの足首を渦のように取り巻いていた。

 

さとり「・・・う・・・うわああああああああああああああ!」

そのことに気付いたとき、瞬時に足首から神経へ、神経から大脳へと激しい熱さと痛みが

体を貫いてきた。

 

どうやら火傷がまるで炎に応じるように痛み出したのだ。それも、炎のような熱さを

まとって復活していたのだ。

 

さとり「う!うわ!わああああ!」

私は、あまりの暑さと痛みと衝撃に叫び、もがくことしかできなくなっていた。

 

足首の炎が巨大化する。

足首の炎は瞬く間にすねを、ひざを、太ももを、腰を、両足を、そして上半身までもが

炎に包まれた。

 

その炎は、私を中心に、まるで竜巻のごときパワーとスピードで全身を覆った。

 

 

さとり「・・・・・・」

もはや服は燃え尽き、髪も焦げ始めている。

 

さとり(・・・ごめんなさい・・・お燐・・・お空・・・

    私は・・・いい飼い主にはなれなかった・・・わ・・・)

 

私は、体の反応故かとてつもない寒さに襲われ、ゆっくり目を閉じて諦めようとしていた。

 

そのとき、

 

 

 

バ―――ン!

扉を蹴り明ける音。

 

お燐「さとり様っ!」

愛しい飼い猫の声。

 

お空「さとり様ー!」

愛らしい飼い鳥の声。

 

 

霊夢「あつ!、まさかこれほどとは思ってもみなかったわ・・・」

いつか聞いた巫女の声。

 

魔理沙「ヤバいぞ!霊夢!さとりが燃えている!」

どこかで聞いた魔法使いの声。

 

紫「藍!橙(ちぇん)!急いでさとりの体を回収して治療を施しなさい!」

藍「了解しました!橙、行くぞ!」

橙「分かった!」

 

様々な声が入り交じる。様々な心が頭の中に浮かんでくる。

でも、もはやどういった気持ちかは分からない。

 

ただ、一つだけ理解できたことはある。

 

 

『あの怪物は敵じゃない』

 

 

あの怪物は、さっきの私と同じように怒りに任せて攻撃してきた。

そして、あの炎の竜巻を当ててしまったことを後悔していた。

 

 

私は、思いっきり弾幕を当てたことに、みじんも後悔の念を覚えなかったのに・・・。

そんなことを思っていると、怪物の声が聞こえてくる・・・・・・・・・・。

 

 

 

『・・・ごめんなさい・・・・・・』

 

『なんてことを僕はしてしまったんだ・・・』

 

『僕のせいだ・・・僕が遊びたいなんて思ってしまったから・・・・・』

 

『ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・・・』

 

 

あの怪物は、謝ってくれていた。

私が、ペットを傷付けられたときも。あの怪物は謝っていたんだろうか?

 

それはもう分からない。けど・・・。

 

 

 

次起きたときに、生きていたら・・・こちらからも謝らないと・・・。

次の瞬間、私は誰かに抱き上げられ、意識は完全に闇へと吸い込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊・「さと・・・助か・・・よね?」

・理沙「ああ・・・藍・・・ひどいやけど・・・ったが・・・今は、回復してるってよ、

    ・・・ん?あ、霊夢!さとりが目を覚ましたぞ!」

 

気が付いたら私は、自分の部屋のベッドに寝かせられていた。

さとり「・・・・・」

 

私の体は、普段ペットたちの寝巻用の青い簡素な和服を着せられ、

腕や首筋、足の先に至るまで白い包帯でぐるぐる巻きにされていた。

 

私は、この状態で体を動かしたらまずいと思い、目だけ動かして状況を確認する。

不意に、頭に氷が載せられていることに気付いた。

また、その氷は、いや、正確に言うと氷が入った革袋が、足にも腕にも

載せられていることに気付き、完全に焦がされていた体に冷気が心地よく流れてくるのを

感じていた。

 

さとり「・・・助かったのね・・・?」

 

私は、ベッドの横で心配そうにこちらを見ていた霊夢に、問いかけてきた。

すると霊夢は、

霊夢「・・・そうね・・・あのやけどで生き延びるなんて・・・本当、妖怪って

   丈夫ねー・・・」

 

絶対私のことを皮肉ってあるだろう言い方。しかし、その言葉の中に安心感が含まれて

いるのを、私は聞き逃さなかった。

 

魔理沙「実はコイツさ~、さとりが起きる前まで、『ああ~起きなかったらどうしよ~

    死んじゃったらど~しようー』なんて、泣いt(霊夢「魔理沙、殺されたいの?」

 

魔理沙「お~怖い怖い。・・・さ、て、と。私は疲れたからちょっとこのソファ

    借りさせてもらうぜ」

 

そう、魔理沙は言うと、私の返答も待たずにソファに倒れこみそのまま寝てしまった。

 

その様子を呆れた顔で見つめる霊夢。

そしてまた、その様子を見てまた少し落ち着きを取り戻していた。

 

そこに、空間を裂いてあの大妖怪が姿を見せる。

 

紫「・・・あら、起きていたのね。・・・それで、どうかしら体調の方は?」

 

さとり「・・・だいぶ回復してきたわ・・・あいにく、私の『第三の目」(サードアイ)

はまだ、回復していないから心は読めないけどね・・・」

 

紫「あらあら。心が読めない。それって新鮮で、むしろ楽しんでいるんじゃない?」

 

さとり「・・・どうかしらね・・・それでだけど、お燐とお空は無事よね?」

 

紫「ええ、今は私の家で、封じ込めた「あの子」についての話し合いがされているわ」

 

さとり「・・・あの子って・・・ああ、あの怪物のこと・・・」

 

紫「そうよん♡。・・・で、あなたに決めてもらわないといけないことがあるのよ」

 

さとり「・・・なにかしら?」

 

紫「あの子、『ヒ―ドラン』のことについてなのよ・・・。

  あの子についてのことなんだけど、私がこのまま封印しておくか、それか殺処分に

  してしまうか・・・。それとも・・・・・・・・・・?」

 

さとり「・・・・・」

私は、あの子のことをどうするのか。それはもうすでに心の中で決まっていた。

でも、なかなか言い出せないでいた。

 

紫「・・・・・・・・・・」

沈黙の時が流れた。

そしてまた、霊夢もこの空気を感じ取ったのか、黙っていた。

 

長い沈黙を破ったのは、紫であった。

 

紫「・・・ま、どうするかはあなたに任せるけど、どうしてもめんどくさいんなら

  私が勝手に殺処分でも(さとり「・・・います・・・」

 

紫「・・・え?」

 

さとり「・・・私、あの子のことをここで飼います!」

 

私は、震える声でそう答えていた。

何しろさっきまで殺されかけ、自分のペットを傷つけた犯人を自分の家で飼う 

と言ったのだ。

怖かった。が。

 

それ以上に助けたいと思った。

あの怪物は、あの子は独りだと言っていた。

 

それは、かつてのお燐やお空と同じ。

そのことを理解した途端、私は絶対、この子を一人にはさせないという決心がついていた。

 

 

 

紫「・・・フフッ・・あなたなら、絶対そう言うと思ったわ~・・・

  いやね、私としても殺したくなかったし、封印もめんどくさかったから

  ありがたいわ~・・・。それじゃ、明日になったらここに届けることにするわ。

  

  ・・・あ、あとこれ」

 

そう言い、紫は一冊の本をさとり見せる。

 

さとり「・・・それは?」

 

紫「『第二番携帯獣:炎の書』っていう本よ。参考までに見ておきなさい」

 

さとり「あ、あの・・・・・」

 

紫「?」

 

さとり「ありがとう、ございます・・・」

 

紫「・・・あなたが素直に謝るなんて・・・明日はどこかで爆発でも起きそうね・・・

   それでは、私はそろそろ向こうへ戻ることにするわ。

  あ、あと、宴会の会場はここで、開始時間は明日ね。

  それじゃ、4649~」

 

そう言って、またこちらに来たように空間の隙間へと消え去っていった。

 

 

さとり「・・・宴会・・・かあ・・・」

私はそう呟き、また目を閉じようとして気が付いた。

 

霊夢も、魔理沙のように寝息を立てて、ベッドに寄り添う形で眠っていたことに。

巻いていたことに。

 

さとり(・・・・・)

私は軽く、霊夢の頭をなで、霊夢たちと同じように深い眠りについた。

 

 

To be continued




どんどん文章は長くなる・・・。
どんどん誤字は多くなる・・・。

Q、これでいいのか?

A、いいんです!

と答えられるような度胸の持ち主になりたい。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。