東方携帯獣  ~ポケット・モンスター |幻。夢。|~   作:キョウキ

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ガンガン遅れてしまってますね・・・

そして、ズンズン遅れていくのです・・・

スイマセン!


10ページ目 見知らぬ土地、腐れ縁の仲

阿求「それでは、AZさん。あなたにいくつか質問させてもらいますね」

 

AZ「ああ、構わない」

 

阿求「では質問させてもらいますね!」

 

私は、質問に答えるのには慣れているつもりだ。

なにしろこの身なりでこの背丈。質問されない方がおかしい。

今まで何度かポケモントレーナーやジュンサ―さんに職務を質問されたこともある。

 

ある程度の質問に対してはすぐに答えられるはず。

何を質問されるか分からないが、なるべく答えるようにはしよう。

 

 

阿求「その腰につけている紅白の球はなんですか?」

 

 

困った。

いきなり困った質問が来た。

 

 

「その腰の紅白の球はなんですか?」ごく簡単な質問だ。ごく簡単な質問だが返答に困る質問だ。

 

 

「この紅白の球の正体は『モンスターボール』

正式名称『シルフカンパニー製 ポケットモンスター捕獲用ボールカプセル』

 

これらの名前を縮めて『モンスターボール』と呼ばれる代物だ」

 

 

こう答えてやればいいわけだが、この少女に対する疑問が返答するのを邪魔している。

 

この少女は・・・この少女達は「モンスターボール」のことを知らない?

この疑問について、どう切り出せばいいか・・・

 

阿求「あの、すいません」

 

AZ「!・・・なんだ?」

 

阿求「その紅白のボールは何なのかまだ答えてもらってないんですが」

 

AZ「・・・・・知らないのか?」

やっと口を開き返答する。

阿求「・・・はい、私の記憶にはない道具ですね」

 

AZ「・・・この紅白の球は、『モンスターボール』と言う名の道具だ。

  聞いたこともないのか?」

 

阿求「はい、知りません」

 

AZ「シルフカンパニ―という名も?」

 

阿求「いえ、全く聞いたこともないです」

 

AZ「・・・そうか」

この少女たちの服装。モンスターボールのことを知らない。

ましてや世界的大企業の会社名も知らない。

 

これらのことから私はある結論にたどり着いていた。

 

 

 

AZ「失礼だが、ここは『ランセ地方』、という土地では?」

 

 

 

 

ランセ地方

 

 

 

 

他の地方とはなるべく関わらず、明確な支配者も定まっていない特殊な土地だという。

 

なにせ、ポケモンを出したまま連れ歩くという。

 

少し前、ジョウト地方でも同じようにポケモンを外に出し、連れ歩くという

ことをやっていたようだが、それは言うならばコミュニケーションを深めるための

方法の一つに過ぎないが、ランセ地方では違う。

 

 

 

ランセ地方では、モンスタボールを使わない。

ジョウトではちゃんとモンスターボールを使って、自由に出し入れできるため

外に出したまま連れ歩けるが。

 

ランセではボールを使わずに、トレーナーの「想い」のみでキズナを深めるらしい。

そのため、ボールは必要なく、キズナのみでポケモンを自由に行動させ、操ることもできるらしい。

 

そのため、モンスターボールを知らない=ボールを必要としない=ランセ地方?

と考えたのである。

 

かなり信ぴょう性は高いだろう。

 

しかし。

阿求「らんせ・・・いえ、ここは「幻想郷」という土地です」

 

全く違った。

 

 

・・・本当に、ボールもシルフのことも知らない未開拓の土地があるのだろうか?

 

 

AZ「・・・『ゲンソーキョウ』?ゲンソーキョウ地方?知らない名だが・・・」

 

阿求「やはり、あなたは『外来人』でしたか・・・」

そう言ったこの少女の顔は、まるで太陽のような眩しい笑みを顔に張り付けて

 

「絶対この大男からなんとしてでも情報を聞き出す」

と言ったような決意とヤル気に満ちあふれた眼をしている。

 

 

阿求「ここはですね・・・」

 

 

 

 

~少女説明中~

 

 

 

AZ「ヨーカイに、ケッカイ、か。かなり長く生きているが

  今まで聞いたこともない単語だな」

 

阿求「そうでしょうね、あなたがいた世界では忘れ去られた存在、「幻想」となったものな   ので、あまり信用できないような話でしょうけど・・・」

 

AZ「・・・ふむ・・・いや、これは信じらざるを得ないようだ」

 

阿求「!!、あっさり信じてしまうんですか?」

 

AZ「この世の中には不思議なことがある。

  だいたいはそれで片付くもんだと私は思うがね。

  

  実際、私のような存在もいるわけだしな」

 

 

阿求「あっ・・・そういえばあなたが何者か、という質問をまだしていませんでしたねえ」

そのことに気付いたこの少女はまた私の目を見据えて訪ねてきた。

 

阿求「あなたは、何者なんですか?」

 

 

AZ「・・・私は・・・」

実は一国の王だった、なんてこと軽々しく言えないだろうし、嘘をついていると思われる。

ここはやはり、偽りの身分を語っておくべきか・・・

 

そこまで考えたところ、阿求の隣に座っていた少女が口を開いた。

小鈴「あ、阿求?私・・・そろそろ帰らないとだから・・・」

 

この少し気まずい空気に気圧されたからか、お使いの途中というのを思い出したのか

阿求の友人、小鈴、といっただろうか?

その少女はこの客間をそそくさと出ていこうとしたとき。

 

急いで帰ろうとする小鈴を阿求が呼び止め、

 

阿求「小鈴、もう帰っちゃうの?面白そうな情報が手に入るかもしれないのに?」

そう言った。そう言えば小鈴は間違いなくこの大男に質問の雨をぶつけると考えており、

 

なるべく興味をそそるように、かつここから離れれば次はないと思わせようと思ったのだ。

 

しかし、小鈴は口元をゆがませて面白そうにクスクス笑い、すこし早口で阿求に言った。

小鈴「そんなわけないでしょ?この「荷物」だけ置いてまたすぐここに来るつもりよ。

   また来るまで、話を進めないでおいてよ!」

 

そう言い残し、小鈴はいそいそと廊下を走っていった。

その様子を、私は唖然とした感じで眺めていたのを阿求に気付かれてしまい、

少し阿求の口元が緩む。

阿求「まあ、そんなこんなで、小鈴のわがままに付き合ってもらえないでしょうか?」

 

AZ「いや・・・構わないが」

 

正直、あの少女のおかげで緊張が解けた。

あの少女が帰ってきたら、嘘などつかず全てを語ろう。

 

この二人は信用できる。

 

そう思い始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「博麗神社~境内」

 

 

霊夢「あぁ~、疲れたー」

 

イーブイ「ぶい~」

 

先程、イーブイと共に境内の掃除をし、ついでに弾幕を避ける訓練なども行ったので、二人ともかなり疲れていた。

 

霊夢「明日は来るかしら、紫・・・

   いつまで待たせんのよ、まったく~」

 

そう愚痴を言いつつ縁側で寝そべっているところに

???「お~い、霊夢ー!遊びに来たぞ~」

 

一人の訪問客が。(主にお茶や菓子を喰いにくる)

 

霊夢「あら、『魔理沙』(まりさ)。何しに来たのかしら?」

 

魔理沙「いやー、霊夢に見せたいものがあってな」

 

霊夢のことを「空飛ぶほうき」の上から見ている「魔法使い(?)」のこの少女の名は

「霧雨 魔理沙」(きりさめ まりさ)

 

いかにも「魔法使いです」、とバリバリ主張をしてくる黒白の服と、これまた黒白の

大きなとんがった帽子。

 

普段人間があまり立ち寄らない「魔法の森」に、「霧雨魔法店」という変な店を構えている

霊夢の友人の一人で、古くからの腐れ縁である。

 

 

霊夢「なによ?見せたいものって?」

 

魔理沙「いやな、魔法の森で調合の素材を探していたところ見つけた奴なんだよ。

    お~い、もういいぞ。出てきても」

 

そう魔理沙が木立の方へ声をかけるとそこから濃い紫色をした奇妙な生き物が顔を出す。

 

吊り上がり、赤く染まった悪そうな眼ツキ。

頭や背中には尖った棘のようなものが生えており、腕と足はずんぐりした体に

似合わないくらい短く、太い。

ニヤケている口元から真っ白な歯が濃い紫色の体に映えて映り、より白く見える。

 

 

魔理沙「さっき森であった奴なんだが、名前は『ゲンガー」っていうんだ。

    いや、名付け親は私だがな」

 

その『ゲンガー』と呼ばれた生物は、さっきからイーブイのことをジロジロ見てきており

イーブイはその視線が嫌なのかゲンガーに目を合わせないようにしている。

 

霊夢「私にも、あんたに見せたいものがあるのよ」

魔理沙「ほう!どれどれ?」

 

霊夢「このコよ」

そう言い、縁側で一緒に寝そべっていたイーブイを抱きかかえ魔理沙に見せる。

 

魔理沙「へ~、可愛いじゃないか。もっとも、少し弱そうには見えるが」

その言葉を聞いた瞬間、私の心がざわめきだした。

 

霊夢「弱そう?じゃあ、あんたのゲンガーは「強い」のかしら?」

そう挑発的な態度で言ったら、どうやら魔理沙もすこしイラついたらしく。

強い口調で、自慢をするように、大声で言った。

 

魔理沙「ああ、強いさ!もっとも、お前のその小動物は、弱そうに見えるけどなぁー!」

 

そう言われた瞬間、自分の中の何かが切れた。

 

霊夢「いいわ!この果し合い、スペルカード勝負に則って善悪を付けてやるわ!」

 

そう言い、勝負を始めようとしたとき、魔理沙からこんな提案がった。

 

魔理沙「あー、待て待て。ただのスペカ勝負じゃ恐らく私が負ける可能性が

    ほんのちょっぴり高いな・・・そこで、だ。

    

    少し変わった方法で決着をつけないか?」

 

霊夢「・・・変わった、方法?」

 

魔理沙「そ。そーゆーこと。だから少しルールを決めるから神社に上がらせろ」

 

霊夢「縁側でならいいわよ」

 

魔理沙「縁側かー、まあ、よしとするぜ」

 

 

先程までは、一触即発の危険な空気だったのが、ガラリと変わった。

それは友ゆえか、はたまた好敵手という特別な扱い故か

とにかく、危険な空気が去ったことで、魔理沙のゲンガーも霊夢のイーブイも

心なしか安心しているように見えた。

 

 

To be continued・・・


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