分岐点 こんごうの物語   作:スカルルーキー

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「だまらっしゃい!!」

「私もそう思います」

「私も負う 共に耐え忍ぼうではありませんか」




16.もう一つの戦い

 

 

東京 皇居内 大本営御前会議

 

 

 

パラオ西部海域で、こんごう達が激戦を戦っていたこの日、皇居にある大会議室に 今上天皇のご臨席を賜り、大本営御前会議が開かれた。

主な議題は「深海凄艦に対する報告 及び近隣諸国に対する軍事方針」であった。

 

大本営御前会議であるので本来なら出席者は、陸、海軍大臣、参謀総長、軍令部総長、参謀次長、軍令部次長、参謀本部第一部長、軍令部第一部長などであるが、

今回は、今上天皇より諸外国への軍事方針も含むとの事で首相、外相、が呼ばれていた。

 

そして もう一人場違いな巫女服をまとう、しなやかな黒髪を腰まで伸ばし、それを後で結っている、齢14歳程度に見える女性。

艦娘 戦艦三笠の実の双子の姉であり、海軍神社 宮司でもある大巫女である。

 

真っ白な皺一つない、テーブルクロスがかけられた大机に、陛下から向かって左に陸軍大臣、参謀総長、参謀次長、などの陸軍関係者。

 

向って対面の上座から 大巫女、海軍大臣 軍令部総長などの海軍関係者。

そして首相、外相と連なった。着席位置は 事前に陛下御自身がお決めになられた。

 

 

陸軍大臣は 顔をしかめた

陛下の御前であるので、我慢するが、なぜこの女がここにいる!

それも海軍の上座だ!

俺と同格とでもいうのか!

やつは予備役扱いであるが、妹の三笠と同格の海軍大将。

先の日本海海戦のもう一人の功労者!

まして陛下のご指南役である陸の乃木大将、海の東郷大将、その東郷の懐刀 やり辛い!

 

 

既に 戦いの先手は 大巫女がその存在で 一手を打った。

 

 

 

会議室のドアが静かに開き、今上天皇が侍従長を伴い入室されてきた。

 

一同起立し、陛下がご着席されるのを待つ、一同 一礼し、陛下が答礼。

ご着席された事を確かめると 皆着席し会議が始まった。

 

まず会議では陸軍参謀長、海軍軍令部総長から南太平洋地域における深海凄艦の活動について報告があった。

 

 

皆、現状報告の間、陛下の方を向き姿勢を正し説明を聞き入っていたが、大巫女だけは 腕を巫女服の袖に組み入れ 腕組みをしながら 瞑目していた。

もしこれが、普通の大臣や大将なら〝不敬である“と一喝されたであろうが、彼女は別格である。

 

目が開けば、間違いなく陸軍大臣を睨んでいただろうが 瞑目しているので分からない。

 

 

陸軍大臣は

くそ ああも 睨まれてはたまらん!

そこに居るだけで凄まじい圧力だ!

奴を呼んだのは海軍大臣か!

しかしこちらも負けてはおられん!

今日こそはなんとしても陛下から、南進政策の御裁可を頂かなくては、これ以上内部を押さえる事は出来ん!

 

 

陸軍首脳部は焦っていた。

清朝滅亡後 日露戦争を経て満洲国建国までは上手くいった。

満州国には国内企業や欧米の企業も支店などを出し、これから陸軍を主体とした軍政統治を行い その利権を得る事ができるはずであった。

しかし、1930年代後半から事態は一変した。

 

日本海に深海凄艦が現れ始めたのだ。

朝鮮半島済州島の一部に巣を作られ、電光石火の勢いで上陸され占領されたのだ。

それ以後 朝鮮半島と日本海の海の航行が阻害されはじめた。

 

海軍は当初から、本土防衛に基準を置き対馬を防衛線にすえ佐世保を拠点に活動し 満州に残る民間人の帰国に重点を置いていた。

 

陸軍は これとは対照的に深海凄艦への積極的な殲滅作戦を画策。

数度に渡り関東軍、本土陸軍の部隊を済州島へ上陸させるが、手酷い反撃にあい海に追い落とされる事態が続いた。

陸軍内部ではこの海軍の消極的な対応に批判が相次いだが、海軍の「邦人保護が第一優先である」という考え方には変わりはなかった。

 

海軍内部でも、積極的に深海凄艦を撃破すべし、と参謀達の意見もあったが、もしシナ大陸からの脱出が間に合わない場合、海は深海凄艦、北はソ連、西は中華民国と行き場を失いかねないとの懸念があった。

特に中華民国では 中国共産党と中国国民党がにらみ合いを続けており、内戦寸前であった。

もし内戦になればその余波は間違いなく満州へ及ぶ、そうなれば間違いなく漁夫の利を得ようと ソ連が動き満州を中心に大規模戦闘になりかねない。 

 

そうすれば満州にいる邦人は脱出するには海に出るしかない。

しかし 今は深海凄艦がいる。

事態が悪くなる前に 満州からの早期撤退を進言する海軍、満州の利権にこだわった陸軍との間で戦略の相違が出来てしまった。

 

そこに、欧米各国から 満州で日本が占領政策をとっているとの指摘を受け始めた。

事実上 日本の傀儡国家であった満州であるが、表向きは独立国家である。

軍事に関しては関東軍という日本の進駐軍が占めている。

満州国内での利権争いに不利と見た欧米各国では、満州における利権確保の為、日本との不可侵通商条約の締結を打診しはじめた。

しかし、それと同時に日米間の満州、引いてはアジア全域における権益確保の為、経済戦争状態となってしまった。

そこへ拍車をかけたのが深海凄艦の跳梁だ!

 

深海凄艦は 海上交通路の要所に巣を作り、地球規模で海上交通路を阻害し始めた。

 

日本は窮地に追い込まれた。

日増しに先細る石油備蓄量、一時期は1年分の量を確保するのがやっとの時期もあった。

 

そこに追い打ちをかけたのが ハルノートと呼ばれる アメリカの対日強硬政策だ。

その頃になると陸軍内部では「外交の目途なし。速やかに開戦決意の御前会議を!」との声が出始める、

 

しかし アジア地域では少しずつ風向きが変わり始めていた。

東インド植民地のインドネシアやマレーシアが海洋交通路確保の為、積極的に日本海軍の保護を求めてきたのだ。

それに伴い日本企業が海軍の保護下 東アジアへ進出、パレンバン油田開発も進み、なんとか日本は首の皮一枚で持ちこたえた。

 

これには 三笠が長門に乗艦し積極的に各地域を訪問したと言われている。

彼女は日本海海戦で強国ロシアを打ち砕いた英雄。

その彼女が各地の要人を回り「石油を分けてほしい、その変わり海の安泰はこの儂が守る」と頭を下げてまわったのだ。

無論 国内の根回しは大巫女が 行った。

 

地道な説得により、日本は武力ではなく、「対話と交渉」により南方資源確保を成し遂げた。

陛下は、「あの二人なら 間違いはない」とこの事をたいそうお喜びになった。

 

 

しかし 逆に米国の満州、アジア地域における対日政策は強行さを増していった。

強硬な経済制裁、ついには禁油政策と留まる事を知らなかった。

ついに1941年9月6日 御前会議にて「対米開戦止む無し」と御裁可された。

 

それをトラックで聞いた三笠は、

「大本営は何をしておる!!」と 怒鳴り!

「陛下は いつも国民の安泰を第一に考えておられるのに それを補佐する大本営が戦に走って何と心得る!!!」と怒り狂い 執務室のドアを蹴破った。

 

同じく 海軍神社でその事を聞いた大巫女は静かに、使いの従者に、

「扶桑の国は 道を踏み間違えようとしているのか」とだけ答えた。

 

しかし 日本の真珠湾攻撃は 深海凄艦の妨害により失敗。

同時に行うはずのフィリピンなどの侵攻作戦も中止となり、対米開戦は一旦仕切り直しとなった。 日本はまたしても首の皮一枚でつながっていた。

 

陸軍内部では、海軍の真珠湾攻撃の失敗により、対米開戦が出来なかった、という意見が大半を占め、「臆病者の海軍」という風潮が蔓延し始めていた。

 

 

対米開戦失敗の報を聞いた今上天皇は、即座に 御前会議を再度招集し

外務大臣から「再度 外交をもって米国と交渉にあたる」という意見に賛同を示された。

 

ここに対米開戦は、保留となり今一度「対話と交渉」による解決を目指す事が確認された。

 

 

しかし 納得いかないのが陸軍であった。

振り上げた拳の降ろし先がないのである。

当初は南進し、フィリピン、インドを落とし、その後アフリカを占領したドイツと手を組み オーストラリアを攻め落す。

という壮大な計画を練っていたが、すべて水の泡となりつつある。

ここは資源確保の名目で「陸軍南進の御裁可」を勝ち取る必要があった。

いくら統帥権があるとはいえ 陛下の御裁可なく、兵を進軍させる訳にはいかない。

もしそんな事をすれば 「反逆行為」と思われてしまう。

陸軍首脳部としては、なんとしても 陛下に“うん”と言ってもらう為の大本営会議であった。

 

陸軍参謀長、海軍軍令部総長からの現状報告の後、外務大臣よりアジア周辺各国の動向についての報告へと移ったが...。

 

大巫女は変わらず腕を組み、じっと瞑目し 陸軍首脳部へ圧力をかけていた。

 

外務大臣からは

「ご報告いたします」

「まず 満州を中心としたシナ大陸につきましては、現在 ソ連、中華民国との間で不安定要素があり 予断を許さない状況であります。」

 

すると、ここで初めて 陛下からお言葉があった。

「外務大臣 具体的にはどのような事なのです。」

 

「はい ソ連は表面的には、我が国に対し 不可侵条約を締結し、満洲国の利権について 一定の譲歩を求めてくる事を画策しております。」

「現在、水面下での折衝が続いております、しかしながら、とてもこちらの言い分を聞いて貰えるとは考えにくく 恫喝に近いものであると考えております。」

 

陛下は 大きく頷かれた。

 

外務大臣は 報告を続け、

「中華民国につきましては、満州国の利権は本来、中華民国にあるとの主張を崩しておりません。」

「またアメリカ合衆国政府が支援する中国国民党と、ソビエト連邦政府が支援する中国共産党の国内対立が激化しており、地方では小規模な内戦状態であるとの報告を受けております。」

「しかし、ここ数ヶ月、深海凄艦の跳梁によりアメリカ政府の支援を受けにくくなりつつある中国国民党が、不利な状況であると外務省では認識しております。」

 

すると陛下は

「では、中国共産党が 勝利すると?」

 

「はっ 現在は拮抗しておりますが、米国の支援を受けられない国民党は厳しい立場であると推察しております。」そう外務大臣は返答した。

 

首相が、

「陛下、現在、ソビエト連邦が我が国や近隣諸国に対し 非常に強い態度で接している背景には アジア地域における米国の影響力の低下があげられます。」

「米国内には依然として、アジア地域における利権確保の為、積極的に経済、軍事の両面での介入を画策しているとの情報もあり 対米政策についても 緊張状態である事には変化ありません。」

 

「政府と致しましては、満州国につきましては ソビエト、中華民国の介入を避けると共に 早期の安定化を目指したいと考えております。」

「また、対米政策につきましては経済力の面からも慎重に対話路線を継続し、スイスの国際連盟機関等を通じ 打開策を検討致したいと考えております。」

 

すると 陸軍大臣から

「それでは 日本は干上がってしまうぞ!幾らインドネシア等の東アジアからの油の提供があるとはいえ 不安定すぎる!」

「ここは干上がる前に、フィリピン、インドから欧米の脅威を排除し、オーストラリアまでの陸路を確保、資源確保の安定化を図るべきと本職は考えるが!」と捲し立てた

 

 

即座に 海軍大臣から

「それでは 陸軍はフィリピンなどの米国統治領へ侵攻するという事ではないか!」

 

陸軍大臣は 威勢よく、

「その通りだ、満州国の安定化の為には 我が国の国力の安定化が第一条件。」

「我が国が安定化する為には 大東亜共栄圏確立が前提である!」

「東アジア圏域からの欧米勢力の排除なくして 我が国の安定化はないと陸軍は進言いたします。」

 

それに対し 海軍大臣は、

「しかし 例え統治領とはいえ、他国の領土に侵攻すれば 本格的戦闘は避けられない!」

「もし、対米開戦となれば、我々は太平洋上で米国、深海凄艦との三つ巴の戦いになるぞ!」

 

陸軍大臣は 挑発的に、

「ほう 海軍は、深海凄艦などと言う、国家でもない武装集団に恐れをなしますか?」

 

海軍大臣が 反論しようした所 大巫女が手で制した。

 

そして また腕を組み、瞑目し、じっと待った。

 

海軍大臣は 落ち着きを取り戻し

「海軍と致しましては、対米開戦は 厳に慎むべきであると進言致します。」

「深海凄艦の勢力を排除しつつ東アジア圏域の通商路の確保を最優先に考え“対話と交渉”をもって あたるべきであると進言いたします。」

 

すると陸軍大臣は

「それは 海軍軍令部も同じ意見なのか?」

 

軍令部総長が起立し発言しようとした時、不意に大巫女が、

大きく姿勢を正し、席に座り直した。その際 ちらりと軍令部総長を睨んだ!

 

その瞬間 軍令部総長は背筋に冷たい物を感じた。

無言で威圧された 暫し 起立したまま動けない!

 

陸軍大臣は 急かすように、

「どうした 総長!」と声を掛けるが、

 

軍令部総長は 声を詰まらせながら、

「ぐっ ぐっ 軍令部も海軍大臣と 同意見であります。」と言うのが精一杯であった。

 

 

陸軍大臣は 顔をしかめた、切り札が一つ 不発だったのだ

 

海軍大臣は ちらっと陛下を見るが、落ち着き、穏やかな表情で聞き入っておられると見た。

 

“もしかして 陛下の思惑通りに進んでいるのか?”

 

陸軍大臣は

「では 海軍は、この国難を耐え忍び、ひいては滅亡しろと言うのか!」

 

陛下はそこに割って入った

「首相 我が国はそこまで危機的なのか?」

 

すると首相は

「陛下 確かに 国内備蓄は少ないというのは事実でございます。」

「しかし決して国力が低下しているわけではありません。」

「質素倹約を常とすれば十分に持ちこたえると考えております、また現在 海軍が実施しております東アジアを中心とした 深海凄艦の通商破壊に対する掃海作業も進んでおり 徐々にではありますが、アジア周辺諸国からも連合艦隊、特に艦娘艦隊の寄港を打診される機会が増えつつあります。」

「確実に信用を得ており、外交上も大変有利に働いております。」

 

陛下は

「海軍は実績を上げているという事だね。」と問いただされた。

 

それに 首相は、

「はい 陛下、それも“平和的に”です。」

「確かに海軍が動けば、その分 我が国の資源を消費する事には変わりありませんが、それで得る物、すなわち“信用”の価値はそれを上回ると、考えております。」

 

すると 陸軍大臣が、

「それでは 我が国は まるで大損ではないか!」

「確実な占領統治こそ、大東亜共栄圏樹立の近道である!」

「第一 艦娘などという物に頼らなければならん海軍などあてにはできん!」と再度捲し立て、そして 陛下に対し、

「陛下 ぜひ陸軍に南進政策の御裁可を頂きたい。この国難 陸軍が救って見せます!」

 

 

 

「だまらっしゃい!!」 静かに そして威圧的な声が会議室に響いた。

ついに 大巫女が動いた!

 

 

目を見開き 陸軍大臣を睨みながら、

「先程から聞いておれば 大東亜共栄圏などと言っておるが、その様な他国を踏みにじる行為をすれば 神々が黙っておると考えるか このうつけ者!!」

「満洲国とて政策的には失敗しておるではないか、身の程をわきまえよ!」と一喝した。

 

そしてゆっくりと立ち上がり、静かに陛下に一礼すると、

「陛下、先の大戦で 砲火をくぐり抜けた、この老体の言葉を聞いて頂けますか。」

 

すると陛下は

「お伺いしましょう」と姿勢を正された。

 

すると大巫女は

「歴史に名だたる、ナポレオンもビスマルクも 戦略家で 攻撃的ではあるが、彼らは決して国際法を犯さなかった。」

 

「日本には武士道という 古来からの精神があるが、昨今 我が国は急速に軍事力を強化した、これをむやみに使う事は 隣人愛の欠如、日本武士道の退廃であると言える、決してそのような事が起こらぬよう道を正す、これが我が日本海軍の使命であると考えておる。」

 

「指導的地位とは 決して押し付けるものではなく、その行いをもって、他の国々が我が国を指導者として認めて初めてできること、それをご理解して頂きたい。」

 

 

すると陛下は 暫しの沈黙のあと、

「私もそう思います。」

「後世 我が日本の行いが世界から 後ろ指を指されるような事があれば、今まで我が国を支えてきた国民に申し訳がない。」

 

それを聞くと、大巫女は静かに着席し 眼前に座る陸軍大臣に、

「陸軍大臣 これは先達として忠告しておくぞ!」

「もし、そち達が邪心をもって海を渡らんとするなら、もうそれは深海凄艦と同じじゃ、その時は 儂と我が妹、三笠が全力をもってお相手するぞ、その覚悟があるなら 好きにするとよい。」といい鋭く睨んだ。

直後、 凄まじい霊力の嵐が室内を覆い彼らに圧力をかけた。

 

 

陸軍大臣は思い出した。

この女は先の大戦で、砲火をくぐり抜けて生き残った、最古の艦娘の一人!

その容姿に騙されてはいけない、経験も能力も我々とは違うのだ!

 

 

海軍大臣は、陛下を見ていたが、お顔はいつもと変わらず穏やかであった。

“ふう なんとか収まったか。あと始末が大変そうだが、これは意外に早く尻尾を出すかな?”などと考えていた。

 

結局、その後 陸軍は一切の発言はせず、陛下の「対話と交渉をもって万事あたるように」というお言葉を頂き 閉会となった。

ここに、対米政策は、「武力」ではなく、「和平」への道を一歩 歩みだした。

大巫女の完全勝利であった。

 

陛下は 退室する際、大巫女にお声を掛け 隣室へ招いた。

それ以外の者は解散となり、皆従者をつれて皇居を後にした。

 

隣室は 皇居内の中庭が見える小さな部屋であった。

 

普段は 皇室の方々の控室として使われている部屋である。

円形のテーブルにご着席された陛下は、対面に大巫女を招いた。

 

二人は静かに、時間が流れるまま中庭を見た。

侍従長と女性職員が、ワゴンにティーセットを乗せ現れた。

女性職員が手際よく紅茶を入れ、陛下と大巫女の前へ差し出し、二人とも退室していった。

 

陛下は、

「以前 英国王室から贈って頂いた物が、少し残っていましたので 入れてもらいました。」

 

すると大巫女は、

「これは」といい 一礼したが。

 

陛下は 静かに、

「大巫女、私にとって貴方は今でも指南役です。」

「恩師に報いたいと思うのは当たり前では?」

 

 

「恐れ多いことです」

大巫女は 恐縮しつつも紅茶を楽しんだ。

 

陛下は 紅茶を楽しみながら、

「流石に 金剛が入れた紅茶には 敵いませんね。」

 

「まあ、あ奴は そこにはこだわる女子ですから。」

 

「あれは、私の即位の大礼特別観艦式の時の事ですね。」

 

すると大巫女は、

「陛下の即位の大礼特別観艦式、榛名が御召艦となりましたが、陛下にお出しする紅茶は自分が用意するといい、わざわざビッカースへ手紙を書き、英国王室の紹介状を貰い、インドの東インド会社に最高級のリーフティーを用意させましたからな。」

 

陛下は驚き、

「そうだったのですか。」

 

「ええ、困ったもので、ビッカースには“我が君主である新しいエンペラーに 相応しい紅茶を、親愛なる英国王室に紹介してほしい”といったそうで。」

 

大巫女はそう言うと 姿勢を正し、

「陛下、儂も三笠も金剛もそして比叡達も、英国には多大なる御恩がある。」

「我が国の海軍は、英国の協力なくしては 存在出来なかったといってもよい。」

「対米開戦となれば英国との戦闘は必死、本心としてはそれだけは避けたいのじゃ、責めはこの儂と三笠が負う。 ここは、耐え忍んで頂きたい。」

 

すると陛下は 静かに、

「大巫女よ、私は先達である 乃木大将と東郷大将から、統帥権を有する者として 両軍を諫めるのが 我が職責であると教わった。」

「責めを負うのは貴方達だけではなく、私も負う 共に耐え忍ぼうではありませんか。」

と優しい声で お答えになった。

 

 

「恐れ多きお言葉、我が妹 三笠はじめ 皆に伝えます。」

といい 深く一礼した。

 

陛下は 暫し間を置き、

「金剛は、雷撃を受けたと聞き及びましたが、その後息災ですか?」

 

「はい、先日パラオ近海で深海凄艦の雷撃を受けましたが、パラオ泊地艦隊の救助が間に合い、無事パラオへ入港し 現在は休養しております。」

 

「大巫女 それは表向きにはですね。」

 

「ご存知でありましたか?」

 

「ええ 先日 貴方より“南の島で時が動き始め 新しき道を示す巫女が現れた”と文を頂き こちらで思い当たる所をあたらせました。それに私も“青葉”は読みますから。」

 

「陛 下」

 

「真実というのは、見極めが大変難しいと感じております。」

「一つの事象に対して 一方から見て真実としても、反対側から見れば虚実という事は 多くあります、その点 青葉はよく出来ています。大本営発表と合わせてみれば、真実と虚実が見えてきます。」

 

大巫女は

「その点で言えば、青葉... いえ 彼はよく考えておると言える。」

 

「彼は策士ですか?」

 

「ええ、陛下 博打打ちに仕える、意地の悪い策士でありましょう。」

 

「それは、頼もしいですね。」と笑顔でお答えになる陛下。

「大巫女、貴方はパラオに現れた その未来の艦隊をどう見ておられます?」

 

大巫女は、

「はい陛下、 彼女達は古の言い伝えにある“扶桑の国が迷える時、海神使い七人の巫女 白き輝ける船に乗り現れ、この国の道標とならん” その七人であると。」

 

「では 道は開けるという事ですか?」

 

「はい、しかしその指し示す道は険しく、厳しい道かもしれぬ、それでも歩まねばならんのです!」

 

「大巫女、ではその道を 国民と共に歩んでいきましょう。」

 

「はい 陛下」

 

「しかし、大巫女 それまでには大掃除を済ませておく必要がありますね?」

 

「陛下、今日の会議で相手に先手を打ちましたからな、乗ってくれば叩き潰し、乗らなければ燻りだす どちらにしても 矢は放たれましたぞ。」

 

「出来れば、国民に迷惑が掛からぬようにお願いしたい。」

 

「承知いたしました、もしもの時は 儂を始め陸奥、武蔵と刺し違えてでも お守り致します。」

 

「大巫女、守るべきは私ではなく 国民であると私は思います。」

 

「いえ陛下、両方でございます、国家は人、人が集まれば国家 その国家を治める陛下あってこそ。」

「我ら艦娘艦隊、海神の巫女 この扶桑の国を守ってみせます!」

 

「期待しております。」

 

 

皇居の午後はゆっくり流れていた

 

 

皇居内 従者待合室

 

横須賀鎮守府提督は やや不機嫌ぎみに椅子に座り待っていた。

対面には高雄がいる。

「遅い! 大巫女様は何をやっているのかな?」

 

「提督、会議が終わるまでここで待つように言われましたから。」

 

「でもよ高雄、何も無く もうかれこれ2時間近く待たされてはかなわんぞ。」

 

「仕方ありません、これもお仕事です。第一、従者として指名されたのは私だけで 提督は“暇だから付いていこうか?”なんて言うからですよ!」

 

すると ドアがノックされた。

高雄が返事をすると ドアの向こうから 長身の男性が入ってきた。

 

「よっ 提督!高雄嬢ちゃん。やっぱりここか」と 長身の男性が挨拶してきた。

 

 

すると鎮守府提督は、

「海軍大臣、会議は終わったのですか?」

 

「ああ、先程な」

 

「あの~、大巫女様は?」と高雄が問うと

 

「陛下が 別室にお招きされて、ご歓談中だ。」

 

「はあ、これだとまだ待たされそうだな。」と諦め顔の鎮守府提督

 

すると 鎮守府提督は気を取り直して、

「それで、どうでした?」

 

海軍大臣は、

「ああ、大巫女様の完全勝利だ! 見せたかったね、あの陸軍大臣の慌てた顔。」

 

「では、対米開戦は?」

 

「無しだ! 陸軍提案の南進政策もな。」

 

鎮守府提督は、

「また、首の皮一枚で繋がりましたね。」

 

「ああ、まるで薄氷の上を歩く気分だよ、軍政を預かる身としては 厳しい事には変わりないけどな、まあ今日の晩飯はゆっくり食えそうだよ。」

 

再びドアがノックされた、

高雄が再び席を立ち ドアを開けると、そこには侍従長と女性職員がいた。

二人は入室すると 海軍大臣へ、

「暫し、大巫女様とご歓談するので 従者の方にと 陛下からのお志です。」

といい 紅茶を入れてくれた。

 

女性職員が紅茶を入れ、高雄がそれを、海軍大臣と提督の前に置いた。

「では、他の皆様はみな帰られましたので 残るは皆様だけです。」そう言うと、

侍従長と女性職員は退室していった。

 

鎮守府提督は、

「陛下からのお志だ、冷めないうちに頂くとしようか。」といい3人で紅茶を楽しんだ。

 

海軍大臣は、

「俺は 紅茶の味ってのが分からんが、これは良い物なのか?」

 

すると高雄は、

「非常に高級な葉だと思います。雑味が少なくてストレートで楽しめる葉は少ないですから。」

 

すると大臣は、

「山本なんか、これに砂糖山盛り一杯いれるからな、見てるこっちが胸やけしそうだよ。」

 

すると鎮守府提督は、

「自分もやられましたよ。呉に会議でいった時に、長門で郷土から水まんじゅう貰ったとか言って、出してくれましたが、氷水で冷やした蒸饅頭に砂糖をかけて食べるんですよ。」

 

高雄も、

「それ私も愛宕と頂きましたけど、結構 甘くて美味しかったですよ」

 

「知ってるか?金剛なんか山本に紅茶を入れる時は、絶対に砂糖はださんそうだ」と大臣

 

「そうなんですか」驚く高雄

 

「ああ、以前山本が“砂糖はないのか?”と聞いたら、金剛の奴、“砂糖を入れる位なら私に燃料を入れてクダサイ!”って突っ込んだそうだ。」

 

あきれる高雄。

 

「しかし、本音は 山本の体を心配しているみたいだ、あれだけ激務が続けば体調管理も大変だろう、何事も程々にせんとな。」

 

すると鎮守府提督が、

「では海軍大臣、夜遊びも程々にして頂かないと。」

 

「おっ 鎮守府提督はそう来るか!」といい 大臣は笑って答えた。

「でっ その金剛だが具合はどうなんだ、魚雷2本も食らえば かなりだろ?」

 

「休養中らしいですよ、詳細は 軍令部から回ってますよね。」と提督が答えると

 

大臣は、

「そりゃ 表向きだろ」

 

 

鎮守府提督は 表情を少し険しくし、

「高雄 大丈夫か?」

 

すると、

「はい、周囲には人の気配はありません、安全かと」

 

「金剛自体の損傷は、中破以上で当初はかなり危険な状態だったらしいです。本来ならパラオまで 持たない可能性が高かったはずです。」と提督は答えた。

 

「でも、未知の艦隊がそれを救った?」と海軍大臣が問うと

 

「ええ、そうです、雷撃の後 金剛に止めを刺そうとした、40機近い深海凄艦艦載機を数分で撃破、金剛を襲った潜水艦を一撃で撃沈した特殊爆雷、追撃してきた艦隊を2隻の重巡で一方的に壊滅ですよ!」とあきれ顔で話す鎮守府提督。

 

「なあ、高雄嬢ちゃん どう思う?」と海軍大臣が問うと

 

高雄は、

「現状の私達の装備では、無理です。」

「対空能力の高い、秋月がいたとしても、40機近い艦載機相手では被害もでます。」

「対潜活動が得意な由良さんがいたとしても、潜水艦を砲撃で撃沈はかかなり難しいはずです。」

「まして、追撃艦隊は重巡、軽空母、駆逐艦3隻。これを無傷で、撃破なんて!」

「おまけに、海中から現れるなんて前代未聞です!」

海軍大臣は、

「という事は、軍令部の報告は、やっぱり彼奴の作文なのか?」

「それでよ、金剛を救ったっていう、未知の艦娘は結構ベッピンさんだっていうのは、本当か?」

 

高雄は呆れて、

「大臣、どうしてそんな事ばかり詳しいのですか?先日は私と愛宕の胸部装甲はどちらが厚いかなんていう話をしてましたよね!」

 

「まあ、怒るなって高雄嬢ちゃん、省内なんて男ばかりで色気もないからな。こんな話でもしてないと、気が滅入るよ」

 

「では、大臣 その情報は何処から?」と鎮守府提督が問うと

 

「本当なら秘密なんだが、出所はお前達と同じだ。」

「こちらからは内局にまつわる話を流す代わりに 向こうからは前線での詳細な情報を貰っている、特に艦娘さんの噂話は大歓迎だ!」

 

「噂話ですか?」と高雄

 

「ああ そうだ 噂話の8割は実態がない。単なる思い込みだが、残り2割は真実が混ざっている、要は火の無いところには煙は出ない、実態のない物には噂がないという事だ。」

 

「では、パラオの件も噂に?」と鎮守府提督

 

「いや、そこまでは無い、ただパラオ提督が 少し盛っているのではと言われているがな、彼奴の事を知る連中は 薄々勘づくと思うがな。そこは俺が何とかしておく、軍令部内部では 比較的肯定的にとらえられているよ。まあ久しぶりにまともな戦果だしな。」

「で、どうなんだい? その金剛の孫ってのはよ?」と再度聞く大臣

 

「はあ、まあ接触したうちの情報員によれば、まあ日本語の流暢な金剛、優しい感じの方だそうですよ、紅茶の腕は金剛と同じ位、パラオ来島初日に晩御飯をご馳走になったらしいですけど、カレーライスと新鮮な野菜の盛り合わせをご馳走して貰って、食後は紅茶と不思議なお菓子を出して貰ったそうです。」

 

「ほう、それは 期待大だな」と嬉しそうに話す大臣

そして真顔になり、

「という事は、艦に乗ったという事か?」

 

「はい、装備はすべて新品同様、床に塵一つない綺麗な艦内だそうです、艦内規律は非常に良く、兵員は駆逐艦といえど 上官にはきちんと敬礼し道を譲る。おまけに冷房完備だそうです。」

 

海軍大臣は、

「益々会ってみたいもんだな」といい そして、

「鎮守府提督、今後彼らの情報の管理は慎重にしてくれ、山本と三笠様がお帰りになったら 宇垣経由で情報整理を急がせろ!内局は俺が抑えるいいな! 絶対に、参謀本部、軍令部には悟らせるな。」

 

「高雄、嬢ちゃん達の方は任せていいか?」

 

「はい大臣 既に呉、佐世保、舞鶴の各中核鎮守府の秘書艦には、パラオ艦隊についての検閲強化を申し送っています。」

 

大臣は二人に対し、

「二人とも、彼女達は“鍵だ”!」

 

「鍵?」

 

「そうだ、 この閉塞された世界を開く 鍵だよ。」

 

すると高雄は、

「では大臣、その鍵で開いたドアの先には、何があるのでしょうか?」

 

「さあ 分からん、しかし このままドアの前でじっとしている訳にはいかん。」

 

そう話していると ドアがノックされ 女性職員に付き添われた大巫女が現れた。

「おっ、大臣残っておったか」

 

「大巫女様、先程は助かりました」と一礼する海軍大臣

 

「なに 気にするでない、今日は暇つぶしに来ただけじゃ」

 

「で、潰されたのは 陸軍大臣ですか?」と鎮守府提督

 

「ふふ、まあ見ておれ」と不敵に笑う大巫女

 

「大巫女様、意地悪な事、考えていますね。火消しに回る海軍省の身にもなってもらいたいのですが。」と海軍大臣

 

「まあ、詫びと言っては何だが、皆で蕎麦でも食べて帰るか?」

 

「おっ 大巫女の奢りですか?」と大臣

 

「まあ よい、では 提督、高雄 参ろうか」

 

「「はい」」と二人は返事をし、皇居を後にした。

 

東京の静かな戦いは ひとまず終わりを告げた、しかしそれは次の戦いの序盤戦であった。

 

 

 

同日 パラオ泊地 夕刻

 

 こんごうは 夕刻迫るパラオ泊地へ帰還してきた。

泊地内部では、こんごう達の艦隊が見えた時、桟橋は手すきの兵員妖精で一杯になった。既に先に帰還した鳳翔、はるなにより、深海凄艦の潜水艦撃沈、戦艦を含む通商破壊艦隊の撃滅という朗報が伝えられていた。

久しぶりの大戦果である、おまけに長波の初戦果 皆じっとしていろと言うほうがおかしい。

 

こんごうの艦隊は結局、最後まで三笠が指揮をとり帰還した。

こんごう自体の体調は悪くはないのだが三笠が、

「まあ これも儂の教練の一つじゃ 任せておれ」といい 指揮を譲らなかったのだ。

三笠は 湾の入口に入る前に艦隊を解き 任務は終了となった。

こんごうはそのまま湾外の自衛隊泊地へ向い 錨泊した。

 

陽炎と長波は 機関極微速で 桟橋へ近づき、停泊準備に入った。

艦橋から接岸準備の為 見張所へ出てきた陽炎と長波は驚いた。

桟橋に、たくさんの兵員妖精が万歳をしながら 自分たちの名前を呼んでいるのだ。

「なっ なんか凄いわね 副長」と陽炎が言うと

 

「まあ艦長、久しぶりに暴れましたからな」

 

「でも、それは私達の力じゃないわ。こんごうさん達がいて初めて出来た事よ」

 

「そうですね、まあ今日は無事帰れた事を祝いましょう。」

 

「ええ、そうね」そう答えながら 長波をみると同じ様に接岸準備に入っていた。

 

簡易桟橋へ係船索を投げ、甲板員が係留作業に入る。

静かに接舷する、簡易桟橋であるので接舷を無理に行えば、桟橋自体を損傷しかねない。

甲板員から、

「艦長 接舷作業終了です」と報告が上ってきた。

 

陽炎は、

「副長、弾薬と燃料補給 主計局と打ち合わせて、またいつ出撃するか分からないから」

 

「はい、艦長!」

 

「それと、酒保開けは 早めにしていいわよ」といい 司令部への戦果報告の為、下船した。

 

陽炎はラッタルを降りると、桟橋には先に下船した長波に加え、皐月と睦月が待っていた。

皐月は、

「お疲れ 陽炎!」といいなら陽炎の肩を叩いた。

「ありがと」と手短に答え、

長波を見た陽炎は、

「長波、貴方、髭先生の所で、傷見てもらいなさい!」

 

すると長波は、

「いえ教官、これ位平気です」と返事をしてきたが、少しいつもの元気がない。

 

「いい長波、身体的な傷がなくても 艦に損傷があれば霊体的には損傷してるわ、放置しておけば、艦に思わぬ不具合を起こす事もあるのよ、司令部への報告は私がしておくから」といい

 

「睦月、ゴメン、長波お願いできる?」

 

すると睦月は、

「睦月にお任せ」といいながら、長波の手を引いて 治療施設へ向った。

 

陽炎は司令部に 報告する為、皐月を伴って歩きだした。

すると皐月が、

「はい、これ」といい新聞を一部手渡した。

 

「何? 週刊青葉 最新号?」と聞く

 

「そうだよ、パラオ艦隊大活躍だよ。」

 

陽炎は立ち止まり、

「それ、どういう事?」といい 新聞を見開いた。

 

すると 一面には、

「戦艦 金剛 パラオ近海で深海凄艦に雷撃される!!」という見出しで一面記事が載っていた。

 

その横には、

「パラオ泊地駐留艦隊 金剛救出作戦決行 深海凄艦追撃艦隊 撃滅」と載っていたのだ!

 

それを見た陽炎は、

「なにこれ! 金剛さんが雷撃された件は分かるわ、でも救出作戦って!」

 

すると皐月は、

「金剛さんを助けたのは “自衛隊”じゃなくて 僕達になってるみたいだね。」

 

陽炎は新聞を握りしめると、

「ちょっと 司令部行ってくる!」といい すたすたと歩きだした。

 

その後ろ姿をみた皐月は、

「あらら、だいぶ怒ってるね。」といい その後ろ姿を見送っていた。

 

陽炎は 司令部の建物へと入る

1階の事務所も 今日の戦果で持ち切りである、陽炎の姿を見た職員から、

「お疲れ様でした」と声を掛けられて

 

「ありがとうございます」と返事はしたが、異様に浮かれている職員を見て

溜息をついた

 

「あの戦果も、今日の戦果も、すべて“彼女達”がいて初めて出来た事なのに!」

 

2階の提督執務室へ通じる階段を上がり、部屋の前まで来て ドアをノックした。

中から、秘書艦の由良の声で 「どうぞ」と返事が帰ってきた。

 

静かにドアを開け 中に入る。

泊地提督は執務机に向かい書類を見ていた。

横には由良が立っており、ソファーには山本長官と戦艦金剛さんが、雑談しているようであった。

 

一礼し、

「駆逐艦 陽炎、長波 帰還いたしました。」

 

すると 泊地提督は、

「ご苦労!戦果については、先に帰投した鳳翔とはるなさんから聞いているから、長波はどうした?」

 

「はい、第2砲塔部分に1発被弾したようですので、念のため髭先生の所へ行きました、睦月が同行しています。」

 

「うむ、今日はご苦労だった、明日は由良を旗艦として睦月、皐月が 鳳翔、はるなさんの護衛に着く、明日は休養日として後日に備えてくれ。」

陽炎は

「了解しました」といい 数歩前へ出て、

 

「提督! これはいったいどういう事ですか!」と言い青葉新聞を執務机に投げ出した。

それを拾い上げる泊地提督、

「陽炎も大活躍だな、深海凄艦艦載機、撃墜多数、追撃艦隊の駆逐艦2隻撃沈 うん 上出来だな。」

 

「提督! 笑いごとではありません、これではまるで!」

 

「まるで?」

 

「こんごうさん達が 無視されているじゃないですか!」

 

すると ソファーに座る 山本長官は、

「その通りだ! 陽炎、その記事は私が指示させて書かせた。」

 

「長官!!」

 

「陽炎、君の言いたい事は分かる。しかし、前にも話したが今 彼女達の事を公表すれば、大本営が動く。我先に 彼女達を接収にくるぞ!」

 

「しかし!」

 

すると静かに執務室のドアが開いた。

陽炎が振り返ると そこには自衛隊司令が立っていた。

「陽炎さん、お気持ちは有難いですが、ここは長官の言われる事が正しい。」

 

「自衛隊司令! 悔しくはないのですか⁉︎」

 

自衛隊司令は 落ち着いて、

「はい。自分達は自衛隊です、国民の生活を影で支える部隊です。日陰者の生活には慣れていますよ。」

 

「これでは・・・」と声を詰まらせる陽炎。

 

静かに金剛がソファーから立ちあがり、陽炎の前までくると そっと彼女を抱いた。

「陽炎ちゃん、ここは耐えましょう、辛いのは皆同じデス。」

 

陽炎は静かに、

「はい 金剛さん」とだけ返事をした。

 

 

廊下で、事の成り行きを聞いていた いずもであったがどうやら収まったようだ。

ふと後に視線を感じ、振り返ると こんごうから下船した三笠が立っていた。

 

「三笠様、お帰りなさいませ」と一礼すると

 

三笠は、

「うむ いずも殿も今日は、ご苦労であったな。」

 

「あの こんごうは?」

 

すると 三笠は、

「実はな、戦闘の直後に気を失ってしまった。今日は無理せぬように 命じて来た。」

 

「やはりですか。」

 

「お主、気がついておったか?」

 

「はい、彼女達の腕輪には 特殊な装置が内蔵されています。その装置で彼女達の精神波形や体調を、この画面で確認する事ができますから。」といい タブレットを取り出した。

 

「その件も含めて話があるのじゃが」

 

「では、こちらで」といい 会議室へ向った

 

会議室に入り 二人して座った。

 

三笠は ふと思った、

“いずも殿達と出会って、まだ数日しかたっとらんが、もう何年も一緒にいる様な気がする。これも出会いの成せる業か...”

 

「いずも殿、今日の戦闘で初めて本格的な“光の障壁”を使うこんごう殿を 見せて頂いたが、素晴らしい力じゃの」

 

「はい、あの力を使えるのはこんごうと私だけです。以前にもお話いたしましたが、実戦レベルでは こんごうのみです。」

 

「まさに、古の神々が使ったとされる“光の障壁” そのものじゃ」

 

「自分たちの次元では、クラインフィールドと呼んでいます。」

 

「クラインフィールド?」

 

「はい、三笠様はクラインの壷というのをご存知ですか?」

 

「しっておるぞ、ヘンテコな形をした表も裏も繋がったような壷じゃな」

 

「このフィールドは、この壷の理論を応用したもので、艦霊力を使い防御壁を構成し、防御壁に対する攻撃エネルギーを別方向へ転化させます。」

 

「では、この障壁は壊れる可能性があるのか?」

 

「構成する艦霊力の耐久値以上の攻撃エネルギーを 一カ所に集中的にうければ理論上はあると言われています。」

「しかし、こんごうの場合 この艦霊力の強さが、通常の艦娘とは比較にならないほど強く、事実上 この時代の兵器では突破は難しいかと。」

 

「大和や武蔵でもか?」

 

「厳しいかと、以前テストで ひえいの127mm砲を打ち込んでみましたが全く刃が立たちませんでした、90式誘導弾もです。」

 

「あの砲や誘導弾が効かぬとは」

 

「ただ問題もあります、非常に艦霊力を集中的に使うので、使用に制限を設けています 今の所10分程度です、まあ相手の砲が大きければその分 使用時間も短くなります。」

 

「実はな、その事なんじゃが、こんごう殿の艦霊力の精神同調に不自然な物を感じるのじゃが?」

 

いずもは暫し黙り そして静かに、

「三笠様、これは自衛隊の機密に抵触する部分ですので、他言無用に願えますか?」

 

「ああ、秘密は守ろう。」

 

「はい、確かに こんごうの艦霊力には、制限をかけています。」

 

「制 限?」

 

「はい、この時代では 艦娘の艦霊力と、艦魂の精神同調を図る為 装着艤装をつけますよね?」

 

「そうじゃが」

 

「私達は この腕輪がその役割をします。」

「すなわち これが装着艤装と同じで、艦霊力を強化するアイテムなんです。」

「しかしこんごうの場合、艦霊力が強すぎて、通常の方法では危険な為 彼方の次元の大巫女様が 私達とは逆の調整、すなわち霊力を制限する調整を施しています。」

 

「なんじゃと!」

 

「私やひえい達にとっては、このリングは能力を増幅させる物、しかしこんごうの場合は 能力を制限する枷です。」

「こんごうの士官候補生時代の成績が 思わしくなかった事はご存知ですか?」

 

「聞いておるが」

 

「彼女は数度にわたる適性検査でも、合格値すれすれでした、士官候補生時代に使用した訓練艦も 艦霊力で基本操船するのですが、それも合格値ギリギリでした。」

「それもそのはずです、あまりにも 艦霊力が高過ぎて機材が反応できないのですから」

 

「では 成績が振るわなかったのではないのじゃな。」

 

「そうです、彼女の実力は数値化できないほど高いです、まあそれを本人が意識していないのですけど。」

 

「では こんごう殿はその腕輪をする事で 並の艦娘になっているということか?」

 

「ええ その通りです。」

 

「もし こんごう殿がその腕輪を外せばどうなるのじゃ?」

 

「正直 未知数です、たた一度だけ事件がありました。」

 

「事件?」

 

「防衛省の艦娘運用課内部では “相模湾事件”と呼んでいます。」

 

「相模湾事件とは いったい?」

 

「こんごう達が士官学校を卒業後、船体の設計と建造が始まりました、潜水待機機能の付加など 技術的に革新的な物をかなり含んだ船体建造になりますので、まずこんごうの船体を試作として建造し、その後ひえい達の船体を建造する事になりました。」

 

聞き入る三笠、

「艦体が完成し、竣工後 公試を繰り返す日々、しかし 艦霊力との同調が上手くいかず、なかなかいい成績が出せない日々だったそうです、思い詰めるこんごうを見かねて ひえい達が 休養日に横須賀の町へ連れ出して、一席設けて飲んだそうですが、事件はその夜に起きました、突如 こんごうの艦と本人が消えたのです。」

 

「消えたとは?」

 

「まあ、まさにその通りですよ、酔ったこんごうが艦へ戻り、自室に入った事までは記憶にあるそうですが、その後彼女は 無意識のまま 所属の隊員妖精を使役し、艦を出港させ、3時間後 相模湾の東300㎞の地点で、漂っている所を 警戒中の対潜哨戒機に発見されました。」

「問題なのは、彼女が無意識のまま艦を支配下に置き、妖精を使役でき、考えらない速度で、その場所まで行った事、そして彼女が移動している最中 全く私達が 気がつかなかった。」

「発見した航空機の機長は 突然、こんごうが現れたと言っています。」

 

「その様な事が可能なのか? 速力でいけば50ノット以上でていなければそんな所まではいけないはずじゃ。」

 

「艦に搭載されていた各種の記録装置も全く作動していませんでした、正確に言えば 停泊中から、いきなり相模湾沖の記録になっていて その3時間の記録はありません。」

「事態を重く見た、防衛省艦娘運用課と大巫女様は こんごうの艦霊力を制限する事で

“並の艦娘”として運用する事になりました。」

 

「なんとも 不憫じゃ」

 

「ただ話はこれだけではありません、艦娘運用課がひた隠しにしていますが、この時127mmの砲弾 十数発と90式誘導弾数発が 使用された形跡がありました。」

 

「誰かと戦闘をしたという事か?」

 

「実は そこがはっきりとしない所でして、甲板上に127mmの空薬莢と 90式も発射痕はあるのですが だれと戦ったのかはっきりしないんです。」

「こんごう自身は記憶が全くないようで、また 同乗していた妖精隊員も使役されていたようで記憶が無く 色々と調べたようですが 不明のまま事件は隠ぺいされました。」

 

「ただその一件以後、彼女はクラインフィールドを使いこなせるようになったそうです 本人曰く、誰かに夢の中で コツを教わったと言っていますけど。」

 

「では いずも殿もか?」

 

「いえ、私は深海凄艦の北の群体の古代資料の中にあった物を研究して身につけました、別の手法ですが、出来上がった物は非常に似通ったものです。ただ出力、強度ともこんごうの方が 数十倍上ですけど。」

 

三笠は、

「では、こんごう殿の事は 分かった。」

「いずも殿、話は変わるが“七人の海神の巫女”という話は聞いた事があるかな?」

 

「”七人の海神の巫女”ですか? 彼方の次元では 聞いた事がありませんが。」

 

「こちらの次元の日本の神話の一つじゃよ、“扶桑の国が迷える時、海神使い七人の巫女 白き輝ける船に乗り現れ この国の道標とならん”」

「こんごう殿の力を感じた時 もしかしたらと思ってな。」

 

「しかし三笠様、私達自衛隊の艦娘は、6人しかおりません。」

 

三笠は暫し考え、

「そうじゃな、自衛隊の艦娘はそなた達“6人”だけじゃ、 だがあの光輝けるこんごう殿の艦を見た者は皆、“海神の七人の巫女”と思うじゃろうな。」

 

「あのもしよろしければ、どの様な話なのでしょうか?」

 

「まあ、神話の一つなのでな、色々と分派して複数、話があるが大まかに言えば、古の神々の時代、北の海に住む神の一人が 邪神に心奪われ、大地に住む人々の生活を荒らし始めた。」

「それを危惧した扶桑の神が、七人の巫女を選び、その邪神の討伐へ向わせた、彼女達は全身全霊をもって邪神と戦い自らの命と引き換えに、これを討ち果たした。」

「巫女達の死を聞いた高天原に住まう海神の神々は、それを大いに悲しみ、扶桑の神に “扶桑の国が迷える時、海神使い七人の巫女 白き輝ける船に乗り現れ、この国の道標とならんと”伝え 巫女達の霊を敬ったという言い伝えじゃ」

「以来 国難が訪れる度に、七人の巫女の話が国民の間でささやかれておる。」

 

 

いずもは

「そのような話があったのですね、初めて聞きました。」

 

三笠は

「まあ、神話であるからな真実とは限らん」と言いながら 夕日に映し出されるこんごうを見て

「しかし、こんごう殿達が 今の日本の道標である事には変わりない。」といった

 

 

こんごう 艦橋 見張所

こんごうは沈む夕日を ただぼーと眺めていた

戦闘中に気を失うという、前代未聞の大失態を犯してしまい、落ち込んでいたが、三笠から

「あれだけの霊力を使えば 致し方ない」と言われ、

「今日は、ゆっくりする事じゃぞ」と念押しされてしまった。

 

帰港後の艦内作業も、副長以下の幹部が取り仕切っており、甲板上では 主砲の点検や CIWSへの給弾、そしてあかしの作業船から伸びたロボットアームを使い、90式の補給作業がおこなれていた。

 

いずも副司令からは、

「今日はお疲れ、戦闘詳報は明日でいいから 休みなさい。」と言われた。

 

「なんか、情けないな〜」などと思っていたが 

ふと 誰かに言われた事を思い出した。

「私の枷か? なんの事だろう?」とつぶやきながら、左手のブレスレットを、クルクルと手で回しながら、沈む夕日を眺めていた。

 

 

 

同日 陸軍省

陸軍大臣は皇居から帰ると、大臣室に入るなり室内に待機していた参謀達に、

「和平だ、動くな」と一言いい、大臣席へ座った。

 

詰め寄る若手の参謀からは

「何があったのです、軍令部も問題無く、南進政策に賛同していたはずです。」

 

すると 陸軍大臣は、

「海軍大臣め、不利と見て“大巫女”を担ぎだしおった!」

 

若手参謀は、

「予想はしていましたが、よく陛下が 参加をご許可されましたね?」

 

「ああ、予想はしていたがな。それも海軍の最高位として上座におった。」

 

「では、陛下からは?」

 

「“対話と交渉をもって万事あたるように”とのお言葉だ、こうなると陸軍としては動けん! やられた」

 

すると ソファーに座る 参謀本部付の中将が、

「では、大巫女には 退場して頂きましょう。」

 

「退場だと?」

 

「そうです、まあ見た目はお若くても 既に予備役扱いです、いつまでも 海軍内部にいても邪魔なだけですし、予備役らしく一線から退いて頂きましょう。」

 

「しかし、相手は艦娘艦隊の長の一人だぞ、そうは上手くいくまい、陸軍が手を出せばそれこそ 内戦になりかねんぞ!」

 

「大臣、そこは我々が やらなくとも 既に海軍と交戦状態の彼らを煽れば済むこと。」

 

大臣は暫し考え

「では、策でもあるのか中将?」

 

「まあ、海上からの攻撃で 皇居に爆弾の一つでも落ちれば海軍の失態は必死、海軍大臣ごと こうですよ。」といい 首を切る仕草をした

 

「可能なのか?」

 

「ええ、伝手はありますが、暫し時間がかかります、なんせ相手は 彼らですから」といい 陸軍中将は 不敵な笑いを見せた。

 

陸軍大臣は、沈みゆく夕日を背中に浴びながら、

「見ておれ 大巫女!」と呟いた。

 

夕日は沈み 東京を深い闇が包み始めた。

人の心の中の深い闇の中ような 黒い世界が包み初めていた。

 

 

 

トラック泊地 連合艦隊司令部 参謀長室

 

トラック泊地は既に闇に包まれ、今日の課業も終了間近となっていたが、この机の主は 眼前の書類に埋もれていた。

 

「大淀、決済が必要な書類は これで終わりか?」とやや不機嫌に問いただす

 

すると 彼女はメガネを掛け直し、

「参謀長、“今日”の分はこれで最後です。 明日の分はあちらです。」と 別の机を指さした、そこには 今日と変わらぬ量の書類があった。

 

「なあ大淀、本当に長官はこんな量の書類の決裁をしてたのか? どう見てもいつもの倍以上の量があるぞ!」

 

「そうでしょうね、長官と三笠様が揃ってお出かけしたのは、公然の秘密ですですから、今なら決済が甘いとみた輩が あれこれ出してきていますから。」

 

やや呆れ顔の宇垣は、

「もう! やってられるか!、これじゃ公務も出来ん、すまんが秘書課で分類して 緊急の奴だけ回してくれ それ以外は 無視だ!」

 

すると大淀は、

「では、これだけです。」といい 数枚の書類を出した

 

「大淀、お前 俺を虐めて楽しんでないか?」

 

「いえ、別にそう言う訳ではありませんが、いつも仏頂面では 面白くありませんから。」

 

「お前ね・・」 そう言いかけた所へ 部屋のドアがノックされた

 

大淀が返事すると

ドアが開き

「ども、恐縮です、青葉ですぅ」と 青葉が元気に入ってきた

 

「どうした青葉、 機嫌が良いな?」と宇垣

 

「はい参謀長、週刊青葉 売上2割増しです。」

 

「ほう、それは良かったな 金剛の件か?」

 

「気になります? まあそうですね、それにパラオ艦隊の記事もいい感じで注目を浴びてます。」

 

すると 大淀がドアの前に立ち

「大丈夫です。」といった

 

青葉は 先程までの気楽な姿勢から きちんと姿勢を正し、

「パラオ艦隊については、数カ所から問い合わせがありましたが、とくにルソンの北部警備所は詳細を求めてきています、いまの所 大淀さんの作文を送り付けておきました。」

 

「ルソンか? そう言えば間宮がルソンの各地の警備所を回っていたな?」

 

すると大淀が

「あたりますか?」

 

宇垣は暫し考え

「すまんが電波傍受させてくれ、特に北部警備所は重点的にあたらせろ!」

 

「参謀長、それともう一つ」と青葉

 

「なんだ?」

 

「少し気になったので、現地の地元特派員に無電連絡をとりましたが、ここ1ヶ月ほどの間に 複数回にわたり秘書艦 鈴谷が単艦での出撃を繰り返しているそうです。」

 

「単艦で?」と宇垣

 

「はい、警備所内の特派員ではないので 外部からの観察ですが、補給や休養も不十分な状態で 出撃を強要されているようだとの事です。」

 

「大淀 どう思う?」

 

「通常の作戦行動ではありません、それほど出撃を繰り返す必要はないはずですが?」

 

「精神的に 痛めつけているか・・・」と唸る宇垣

 

「大淀、あそこの提督は 確か?」

 

「はい、参謀長 陸軍の中将の御親戚ですね、元軍令部で“開戦派”です、確か女癖が悪く、それを あの海軍大臣に咎められて2か月前に左遷されたと聞きましたが。」

 

暫し考える宇垣

「当たりかな? 大淀 ルソン北部警備所への資材搬入を調べろ、青葉は情報収集を継続だ!」

 

「はい 参謀長」と敬礼した青葉

そして

「あの~参謀長、それで私のパラオ取材は いつ頃ですか?」

 

「まあ待て、長官と三笠様があと1週間程で帰ってくる、意外にいいネタをもってくるかもしれんぞ。」

 

大淀は

「参謀長、それは新聞ネタでは なくて 悩みのタネでは?」

 

「おっ、上手いね」といいながら 自らの頭を撫でながら笑っていた

 

静かにトラック泊地の夜は更けていった

 

 

 




こんにちは スカルルーキーです
分岐点 こんごうの物語を読んで頂きありがとうございます

さて 以前東京に住んでいた事があるんすが、休みときは 皇居周辺をよく散歩していましたが 皇居はいいですね、落ち着きます


2016年6月20日
文章が 読みずらいとのご指摘を受け 一部修正致しました、今後も逐次修正予定です

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