分岐点 こんごうの物語   作:スカルルーキー

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違う歩みを進んだ、二つの世界、迷い込んだ彼女達が進むべき道とは


11.会 談

 

「みっ 三笠様!」固まる 由良

 

「由良 久しいの、元気にしておったか? どうした、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして?」

 

「いえ、トラックからは 参謀の来島と聞いておりましたので、司令長官に三笠様まで来られるとは 予想しておりませんでした」と由良

 

「あんな 石頭どもより、イソロクと儂が話す方が決めごとも早い」と三笠

 

「まあ、色々と面白そうな物が来たと聞いたのでな、急ですまんな由良」と山本

 

「いえ、司令部へご案内いたします」と 車を呼んでドアを開いた

 

迎えの車に乗り込むと山本は

「由良、先に金剛の所へ案内してくれんか」

 

「はい 長官、金剛さんは今 入渠中ですが、……あの、その……」と言いながら

 

「どうした、由良?」と山本

 

「はあ、本当に雷撃受けたのかと思う位 元気でして、“出渠させろ”と うるさくて」

 

「ほう、しかし 艦体の方は損傷が激しいのだろ?」

 

「はい 長官、中破以上の判定です、当泊地の施設での本格な補修は無理ですので 応急修理をして トラックへ回航、明石さんの修理を受ける必要があるかと」

 

「そんなに酷いのか?」

 

「はい、2発の魚雷を左舷艦首と2番煙突下の缶室に受けました、バイタルパートを突き抜けたそうです」

 

「よく 転覆しなかったな」と山本

 

「はい、所属不明艦隊の工作船が航行中に臨時修理して浮力を稼ぎました」

 

「航行しながらか!」

 

「はい、特殊な船を使ったそうです。詳細が報告書として金剛の参謀より提出されておりますので、後ほど御覧ください」

 

「しかし、それなら 金剛の霊体も損傷を受けているはずじゃ」と三笠

 

「それにつきましても、金剛の孫娘と名乗る艦娘が、金剛に乗船 治療を行ったとの報告が上がっていますが……」と言葉を詰まらせる由良

 

「由良?」

 

「いえ 三笠様、信じられ無いのですが、その時、その艦娘は空中を歩いて来たと言っています」

 

「なに? 空中をか?」

 

「はい、副長以下、その他大勢の妖精の前で 空中を歩いて艦橋に直接乗り込んで来たそうです」

 

「ほう、それは 面白い」と三笠

 

「三笠、そんな事が可能なのか?」と山本

 

「儂も、そんな事が出来る艦娘など聞いた事が無いな。まあ実際に見てみようじゃないか、イソロク」と面白がる三笠

 

車は、司令部近くの 艦娘治療施設へ滑り込んだ

由良に 案内されて病室の前まで来ると 中から声がする、どうやら金剛が誰かと話しているようである。由良がノックし、ドアを開けた時、そこにはベットに腰掛けている 白い制服を着た金剛そっくりな女性と、その横に立つ巫女装束の金剛が居た

「おっ、予想より元気そうだな金剛、安心したぞ」と山本は声を掛けるが、金剛は 顔を引きつらせている

 

「どうした金剛?」普段なら “お久しぶりデ〜ス 長官!”とか言いながら 抱き着いて来るのであるが、様子がおかしい

 

その内、プルプルと震えだし顔も真っ赤である

「金剛?」と言おうとした瞬間

 

「しっ 失礼しました、山本連合艦隊 司令長官、三笠様」と金剛が敬礼してきた

 

「おっ?」いつもと反応が違う。どういう事だ!

ふと 横を見ると、白い制服を着た 金剛そっくりな女性が ニヤニヤしているのが分かる

 

「おっ お姉さま、すぐに着替えを! 三笠様と 連合艦隊 司令長官ですよ!」と慌てる金剛

 

そう言えば、金剛にしては日本語が流暢だ? 雷撃のショックで まともになったか?

 

すると、後ろから三笠が前へ出てきて、白い制服を着た女性に げんこつを食らわせた

「お主は またこんな悪戯をしおって! 孫娘が困っておるではないか!」

 

「OH! 三笠様、もう バラしては勿体無いです、もう少し長官の反応を見たかったデス!」

 

目を白黒させる山本と由良に対して三笠は

「イソロク まだ分からぬか、この白い制服を着た方が戦艦金剛、そして この巫女装束の娘が 金剛の孫じゃな」

 

「失礼いたしました、海上自衛隊 佐世保基地 第三護衛群第一艦隊 護衛艦 こんごうです」と、その そっくりな女性は名乗った

 

確かに、言われて見れば少し違う、金剛より背が高い、容姿も少し大人の様だ

だが、違いと言えば それ位で、それ以外は双子と言って良いほど よく似ている と言うか、全く同一だ、区別が付かない

 

「まったく 紛らわしい、直ぐに着替えてこい!金剛!」と怒る三笠

 

「はい、三笠様」と素直に従う こんごう、渋々顔の金剛

 

部屋の端にある ついたての向こうへ消えた

「彼女が、金剛さんのお孫さんですか? 初めて見ました」と驚く由良

 

「初対面か?」と三笠

 

「はい、所属不明艦隊 自衛隊と言うそうですが、先程その艦隊司令と秘書艦が挨拶に来ました、長官機擁護も その際に自衛隊側から申し出があり、此方が要請した次第です」

 

「やはり、あれは その“自衛隊”と言う組織の機体だったのか」

 

「はい長官、それに付いては鳳翔さんと瑞鳳ちゃんが発艦、着艦の様子を見ておりました。私達も特殊な方法で拝見しました」

 

「特殊な方法とは?」

 

「それは、なんと言うか、言葉では説明しにくいので、後ほどお話します」と由良

それほどの事なのだろうか?

 

 

 

不意に ついたての向こうから、金剛達の声がした

服を脱ぐ 衣擦れの音がした

「こんごうちゃんは 着やせする方デスネ」

 

「えっ!?」

 

「OH! なんて見事な胸部装甲ナンデショウ!」

 

「おっ お姉さま、何処をっ触っているんですか!」

 

「触り心地も、Goodデス!」

 

「あっ、そんな」

 

すると、つかつかと ついたての向こうを覗き込む 三笠

「ほほ~、これは素晴らしい! どれ儂も!」

 

「みっ、三笠様!」

 

「成程、この腰の線も立派であるな」

 

「三笠様、何処を、やん!」と声を出す こんごう

 

すると、慌てて 由良が

「お二人とも、長官がいらしゃいます! いい加減にしてください!」

 

「由良も触りますか? 気持ちいいですよ! まあ貴方の胸では物足りないデスケド」と金剛

 

「なっ、なんて事を、私の胸でも可愛いと提督は言ってくれます!」と真っ赤になりながら反論する由良

 

「パラオの提督さんは、薄い装甲がお好みのようですネ」

 

「薄いは余計です!」と由良

「金剛さんの様に、後から改修してデカくなるよりマシです!」と反撃する由良

とうとう、女(艦娘)の戦いに発展してきた!

 

いかん、こうなると男の出る幕は無い、早々に退散するのが一番だ、戦場で判断を誤ると それこそ火の粉が此方に来るかもしれん!

 

「由良、俺は軍医殿と話があるので、鎮圧したら呼びに来てくれ」と そそくさと部屋を後にした

部屋を出る時、由良が ついたての向こうへ消えるのが見えた

火中に三式弾を投げ込んだ気分だ、“すまんな こんごう君、ああなると三笠は止まらん”

部屋に こんごうの悲鳴が響いた

 

隣室の医務室へ向い、ドアをノックして 返事が来る前に開けた

心情的には、いち早くこの部屋に逃げ込まなければ、危険であると警告している

「ご無沙汰しております、軍医殿」

 

その部屋の主である軍医は 白鬚を蓄えた初老の男性、目が優しいのが特徴的だ

「やはり、山本長官でしたか。お声がしておりましたので、お出迎えもせず失礼いたしました」と ゆっくりとした動作で立ち上がった

 

「おっ、構わんでください」と手で制した

 

軍医の対面の椅子に腰掛けて

「軍医殿、そう言えばまだ 夕立のお礼を言っておりませんでしたな」と山本

 

「いえ、あれは自分より三笠様のお手配が良かったから助かっただけです」

 

先月 ソロモン沖で、深海凄艦と夕立を含む機動艦隊の小競り合いがあった

完全に待ち伏せされた機動艦隊は 当初混乱を起こし、あわや壊滅と思われたが夕立が 単艦で敵艦隊へ突入、攪乱することで体勢を立て直し、かろうじて脱出に成功したが、突入した夕立は、海戦の混乱で錯乱状態となり敵、味方 お構い無しに撃ちまくり 精神崩壊寸前までいった、急を聞きつけた三笠と 艦娘外科治療の権威である この髭軍医が2式飛行艇で駆け付け、何とか難を逃れた

 

「その後は、彼女は如何ですか?」と軍医

 

「順調に回復して、今は時雨や春雨と行動を共にしています」

 

「まあ、三笠様が付いておりますから、大丈夫でしょう」

 

「それで今日は、金剛のお見舞いですか?」

 

「まあ それも有るのですが、色々と面白そうな物が来たと聞きましたので」

 

「相変わらず、新しい物 好きですな」と笑いながら言う軍医

 

「早速ですが、金剛の容体は?」と山本が聞くと

 

「まあ 見ての通りですよ、いつもの金剛です」と にこやかに答えた

隣の部屋では“ドン!”と大きな音がした

 

「今日は一応安静ですが、まあ問題ないでしょう。船舶艤装は専門外なので工廠妖精にお聞きください」

 

「分かりました、それと……」

 

「ええ、彼女達の件ですね」と軍医

 

「先程、金剛の孫娘 確か平仮名で こんごうと書くそうです、挨拶に来ましたが まあ 驚きましたね、ああも そっくりな艦娘は居ませんから」

 

「軍医殿の見立ては?」と真剣に聞く

 

「骨格の位置、目鼻の位置や間隔など 同一と言えます、単純に似ているでは無く 同一です、間違い無く血縁者ですよ」

 

「あと」と山本が言いかけて

 

「80年後の未来から来た話ですね、では これをご覧いただきたい、先程の孫が 金剛が雷撃された直後に使った 医療品です」

「この白い容器の中身は、艦娘の霊体補修用の高速補修材です。噴霧式になっていて携行できます」

 

「携行式の“バケツ”ですか?」と山本

 

「はい そうです。長官 なぜバケツが貴重品なのかはご存知ですね、あれは一種の霊気の塊で バケツの容器が その霊気を保全しているから保管が可能なんです、ですから普通の容器に入れて運搬すれば 霊気が霧散し使い物にならない、しかしこの容器はバケツと同じ施術が施されています、今の技術では再現は難しい、でもこれは“難しい”という程度ですが」と言い、今度は横の白い箱を取り出し中から、透明な布のような物を取り出した

 

「それは?」と山本

 

「これは、艦娘専用の人工皮膚と言うそうです」

 

「人工皮膚?」

 

「まず、雷撃や被弾等で損傷した艦娘の霊体を先程の携行バケツを使い 傷口を塞ぎ霊力保全を行います、次に この人工皮膚を患部に張ると、霊力に反応して完全な霊体保全を行うそうです、その後 1時間でもお風呂に入れば完全治癒するそうです」

 

「では、金剛が あれ程 元気なのは、やはり」

 

「ええ、この艦娘専用の医薬品と 孫娘の高度な治療技術のおかげです」

 

「コレばかりは、現在の技術では再現できません。まあ発想自体が無かったと言うべきです」

 

「分かりました、ありがとうございます」と言い 山本は席を立とうした時

 

「長官、コレを」と1枚の折りたたまれた紙を差し出した

「金剛の戦闘装束の中に入っていました。内容が内容なので、長官に直接お渡しします」と軍医

 

紙を開き、中を確認する山本。表情が厳しくなる

「アイツらめ、いい気になりおって!」と語尾が荒くなった

 

「軍医殿、この事は」

 

「さあ、なんの事ですか?」と知らん顔をした

 

「ありがとうございます」と言い、席を立った

 

 

隣の部屋では、由良がどうやら鎮圧に成功したようで、静かになった

山本は そっとドアを開けて 中入るとそこには 先程の白い制服を着た金剛そっくりな女性、戦艦金剛、満足げな三笠、そして息の荒い由良

 

「長官!鎮圧終了しました」と言う由良

 

「うむ、ご苦労」

 

制服を着た女性は、きちんとした姿勢で 山本に対し敬礼をし

「改めまして、海上自衛隊 佐世保基地 第三護衛群第一艦隊 イージス艦総括 護衛艦こんごうです」と名乗った

 

凛々しい立ち姿、真っ直ぐな眼、動作、作法も軍人として非常に優秀だ

「後世の日本海軍は 艦娘士官の教育が素晴らしいな」と感心した

 

現在の海軍の艦娘は まず数を揃える事を重要視した為、艦娘適性者の年齢を選ぶ余裕が無い、その為 駆逐艦級の子などは国民学校高等科程度の子すら艦娘として所属している有様である、その為 人としての人格形成が出来ておらず、時折気分や雰囲気で行動する子がいる、しかし この子は艦霊を憑依させた年齢は成人してからだろう

艦娘としての完成度が高い様に感じる、三笠のように憑依後 一定期間過ぎれば艦娘としての人格が定着し、落ち着くのだが この子はそれに似た 落ち着いた雰囲気がある

 

 

「連合艦隊の山本だ」

「存じ上げております、お会いできて光栄です」と返事をする こんごうは

 

「現役時代の三笠様にお会いできて光栄です」と 三笠にも敬礼して挨拶した

 

「うむ、戦艦 金剛の孫娘か 出来た女子だ、お主とは顔は同じでも中身はえらく違うな」と三笠

 

「三笠様、それでは 私がまるで子供の様ではアリマセンカ!」と反論する金剛

 

「大体、こんな悪戯をする祖母がおるか!」と怒る三笠

 

「まあ、それ位にしてやれ 三笠、お前も楽しんだろう。さて戦艦 金剛 少し話を聞きたいのだが、良いか?」と言いながら、山本はチラッと こんごうを見た

 

「では お姉さま、私は そろそろ艦隊の皆と合流する時間ですので失礼しますね」と こんごうは言い、部屋を退室していった

 

「時節の判断も良いな、引き際をわきまえている」と山本はつぶやいた

 

 

「金剛、時間が無いので手短に聞くが、昨日の件だが、一応 パラオ司令部経由で簡易報告を貰ったが、間違いないか?」

 

「はい 長官。深海凄艦の艦載機も、私を雷撃した潜水艦も、追撃艦隊も全て彼女達がやっつけてくれました、長官 どうか彼女達の話を聞いてあげてクダサイ!」と金剛が真剣に話してきた

 

「分かった」と短く答え

 

「金剛、イソロクと儂に任せておけ、とにかくお主 今日は安静じゃぞ」と三笠が付け加えた

 

「え〜」と言いながら、ふて腐れる金剛を尻目に部屋を退室した

 

 

 

パラオ司令部 2階の司令官公室に入ると、パラオ泊地提督が直立不動の姿勢で待っていた

「お出迎えもせず 失礼いたしました、山本連合艦隊 司令長官、三笠様」

 

「ああ 仕方ないよ、色々忙しかっただろ」と ねぎらいソファーに着席するように勧めた

泊地提督が座り、その後ろに由良が立った

 

「由良 主にも話がある、横へ座れ」と三笠

提督の横に座る由良

 

「色々と忙しくなる前に、そちら二人に先に話がある」と三笠

提督と由良の表情が厳しくなった

 

「そちら 二人から申請の出ておった“ケッコンカッコカリ”の件じゃ」と三笠が切り出した。緊張する二人

 

「イソロクと儂の決済はもう降りておる、安心せい、あとは姉の大巫女の決済だけじゃ」と にこやかに言う三笠

二人の表情が 緩んだ

 

「それと、立会い証人の件じゃがな、泊地内の証人として鳳翔、外部の証人として一航戦の赤城」

「まあ それだけで十分なのだがな、お前達の事を聞き付けて長良姉妹が全員で署名して来よった、良い姉、妹を持ったな由良」

やや目が潤む由良

 

「それとな、金剛だ。あやつは横須賀で自身の改修中に どこでこの話を聞き付けたのか分からんがな、お主たち二人の名前を書いた申請書を持って、こともあろうか、姉の大巫女の所へ行き“パラオは遠い、今すぐ この書類に署名して送れ”と押し掛けたそうだぞ。余程、お主たちを婚約させたかったようじゃな」

 

「金剛さんがですか?」と驚く由良

 

「提督、由良よ、あやつは不器用な女子だ、自身の幸せより回りの幸せを優先する」

 

「三笠様、分かっております」と提督

 

「まあ、ここまで条件が揃ったのだ 姉にも嫌とは言わせん、本来なら良き日を選んで 横須賀の海軍神社で 婚礼の儀を行うがよいのだがな」と言いかけ

 

「提督、由良、済まないが 現在の戦況では二人にパラオを離れてもらうのは厳しい、もう暫く 辛抱してくれんか」と山本が頭を下げた

 

「ちょ、長官、頭を上げてください!二人で居れれば それで十分です」

 

「提督、すまぬな」

「まあ、儂ら二人が既に認めておる 泊地内部も問題なかろう、十分新婚生活を味わうとよいぞ」と笑いながら三笠が答えた

 

「さて、本題に移ろうか」と山本

 

「あの自衛隊と言う艦隊は 本当に80年後の未来から来た艦隊でしょうか? それに金剛の孫や 比叡達の孫と名乗る子もいるそうですが」

 

「提督! まことか! やはり金剛だけでは無かったか」と三笠

 

「どういう意味だ、三笠」

 

「イソロク、先程 空から あの艦隊を見たが、重巡4隻は 間違いなく金剛姉妹と同じ波動を感じたぞ、空母のうち 1隻は明石と同じじゃ、大型の空母は見た事がない 新造艦ではないか」

 

「しかし 三笠様、波動が似ているだけなら姉妹艦でもありますが、孫と言うのは いかがでしょうか?」

 

「由良 分からぬか、先程あった護衛艦 こんごうと名乗ったあの女子、金剛の巫女装束を着ておったぞ!」

 

「あっ、そう言えばそうです!」

 

「由良 どう言う事だ」

 

「提督さん、私達の戦闘装束、衣装は各艦娘専用に 大巫女様に調整して頂いたものです。ですから 私の衣装を他の子、そうですね 陽炎ちゃんが着る事は出来ません、袖を通した段階で 弾かれます。この服は各々の艦霊の霊力と装備する艦体艤装の大きさにより調整されます、姉妹艦でも少しずつ違うのはそのせいです。ですから余程近親者の艦娘でないと着る事は出来ません」

 

「由良よ、それにあの女子は髪飾りも付けておったろ」

 

「それなら、尚更です」

「提督、私の髪飾りやブローチなどの艦の装備を模した物は本来の艦の装備と精神同調できるようにする為の物です、金剛さんの髪飾りは艦体の電探と精神同調する触媒ですから他の子が付ければ、処理できなくて酷い場合には失神してしまいます」

 

「それを付けて、平然としていましたから。彼女の能力は、金剛さんと同等か、それ以上となります」

 

「では、あそこに居る艦隊は」

 

「そうじゃ。見た目は重巡じゃが、能力は金剛級戦艦を上回るそれが4隻じゃよ。儂の見立てでは、長門、いや大和でもかなうまい。とてもここの戦力では太刀打ちできんな、警戒するだけ無駄じゃよ、陽炎を引き上げさせるがよいぞ」

 

「では三笠様、未来から来たと言うのは?」

 

「まあ、間違いはなかろう。但し、その未来とやらが儂らの未来と同じとは かぎらんぞ」

 

「どう言う事でしょうか?」

 

「提督、彼女達が知識として知っている過去は、儂らと同じ過去ではないはずじゃ。もし同じならば、彼女達は同じ次元に二人存在する事になる、今の自分と過去に現れた自分じゃ」

 

「それでは、説明が付かん。彼女達は、似て非なる歩みを進む時代から来た と言うのが正解じゃよ」

 

「では、彼女は金剛さんの孫では無いと?」

 

「正確に言えば違うかの、でも間違いでは無い。向こうの次元では金剛の孫、こちらの次元では、もう一人の こんごうと言う事じゃな。まあ面倒臭いから孫か妹と言う事にしておけ」と三笠

 

「よろしいのですか?」

 

「由良よ、細かい事を気にし出すと、老けるぞ」

 

「えっ!」と驚く由良

 

「ああ、それがいいな、今後の事を考えるとな」と山本

 

「どう言う事ですか、長官」

 

「提督、いいか、彼女達が知識として知っている歴史は、彼女達には過ぎた話であるが、我々には これから血をもって行う、厳しい道のりだ。多分、彼女達が現れた事で既に そこに齟齬が生じているはずだ、彼女達の知識の歴史は参考程度にしかならんよ」

「彼女達にとっても、これから自身で新しい未来を切り開く、それは我々と同じ道だと言う事だ。彼女達の過ぎた過去ではなく」

 

「だから、我々 海軍と話をしたいと言う事でしょうか?」

 

「提督 多分な。このままジッと隠れていても何時かは燃料、弾薬、食料が尽きる。そうなる前に、協力できるのは海軍だけと踏んだのだろう」

 

「まあ、その辺りも じっくり話そうじゃないか。暫くパラオにいる予定だ。由良、宿を頼むぞ」

 

「何分、田舎の泊地で 何もありませんが、よろしいでしょうか」

 

「ああ 構わんよ。なあ三笠」

 

「お主と寝るのも久しぶりじゃな」

 

「では、その未来から来た艦娘とやらに会おうではないか」

 

「ご案内いたします。長官、三笠様」

長官と三笠は提督と由良を伴って別室へ向った

 

 

 

 

パラオ泊地 司令部 会議室

自衛隊司令と いずも、そして こんごう達は、この会議室で泊地提督たちを待っていた

既に こんごうから、来島者が 連合艦隊 司令長官と三笠である事を知らされていた司令は いずもと対策を考えていた

 

「しかし、いきなり山本長官とは参った」

 

「長官なら、三笠様はセットで来るでしょう」

 

「こんごう、どんな風だった?」と司令が聞くと

 

「山本長官は、歴史評価通りの方だと感じました。洞察力の深い方です、三笠様は……」

 

「三笠様は?」と いずも

 

「やっぱり……、三笠様です」と こんごう

 

「もしかして、やられた?」と いずも

 

「こんごう、また?」と ひえい

 

「それは、災難でしたね」と はるな

 

「私、行かなくて正解だったわ」と きりしま

 

「私も、パスです」と あかし

 

 

「いずも副司令、私これで2回目なんです。もう勘弁してください!」と涙目の こんごう

 

「なんの話だ?」と司令

 

「司令。艦娘の世界では、決して殿方にお話し出来ない事もありますから。これ以上聞かないでやってください」と睨む いずも

 

「ああ」と答えて、話を逸らした

 

こんごうは、どうしてこうなったか、思い出していた

今朝の輸送機擁護のドタバタから解放され、面会予定時刻まで少し時間があるので、金剛お姉さまのお見舞いに行こうと思い、ひえい達を誘ったが。なぜか「まあ、家族でゆっくり話せば」と来なかった、もしかしたら、ひえいの直感、はるなの洞察力、きりしまの計算が危険を察知したのかもしれない

桟橋まで行くと、皐月さんが 何故かカメラを持って歩いていたので、声を掛けて、お姉さまの所まで案内してもらった。部屋の中に入ると、ベットに患者用の寝間着を着ているお姉さまがいた。

「こんごうちゃん、オハヨウ」と挨拶され

「お姉さま、おはようと言うには少し遅いですよ」と笑って答えて、お見舞いに持参した間宮のフルーツゼリーを出した

間宮と言えば、羊羹なのだが。私達の時代はフルーツゼリーだ

 

皐月さんの時と同様に、物凄く喜んで貰えて嬉しい。お母さん、感謝です

ふと、ついたてを見ると。お姉さまの巫女装束の洋服が掛かっていた

「やはり、いつ見ても綺麗ですね」と巫女服を触ってみる

 

「着たことは無いのデスカ?」と聞かれ

 

「はい有りません。私の次元のお祖母様は海軍を除籍されてから、一度もこの服を着た事がありません」でも、あの時は着ていた。なぜ?

 

すると、金剛姉さまに

「着てみますか?」と聞かれた

 

「えっ!?大丈夫なのですか」

 

「ダイジョウブデス。私と同じ艦魂なら、問題ないデス。さあ着てみましょう」と服を脱がされた

そっと巫女装束に袖を通してみた。何か不思議な懐かしい感覚がする。カチューシャを付けて、お姉さまの前に立つ

 

「OH! ナイスデス! 比叡達にも見せてあげたいデス」

 

「では、お姉さまは私の制服を着てみますか」と冗談で言ってみたが、本人は乗り気で、私の脱いだ服を、さっさと着てしまった

 

やはり、二人並ぶと そっくりである

タブレットを取り出して、早速写真を撮ってみたりしていた所、ドアがノックされて、由良さんや長官が入って来たのだ

最初は 自分の姿を見て、山本長官が 「予想より元気そうだな金剛」と話し掛けられた

一瞬、えっと思い。お姉さまを見ると、ニヤニヤしている。悪だくみをしている時の顔だ

“えっ、お姉さまと勘違いされている”と焦ったが後の祭りだ

三笠様まで居るじゃないですか。つい女の感で、危険を察知して、直ぐに着替えをとお姉さまを急かしたが、結局 着替えの途中で、三笠様に乱入されて、艦娘恒例の身体検査をされてしまった。それだけじゃ済まなくて、どうして女の戦いまで、発展したのか?……

やっぱり、お姉さまと由良さんには何かあるのか。あの事件は冗談では無く、本当だったのかなと思考を巡らせていると

ドアがノックされる音がして、静かにドアが開いた

 

自衛隊司令が起立するのと同時に、いずも以下の全員が起立した

先程の泊地提督、秘書艦由良、そして連合艦隊 司令長官 山本イソロク、その秘書艦 戦艦三笠が入室してきた

 

対面の上座、丁度自衛隊司令の対面に、山本が立つ感じで順次並んでいった

自衛隊司令が一礼、それに倣い全員が一礼

「日本国 海上自衛隊 佐世保基地所属 第三護衛群第一艦隊 司令です。山本イソロク 連合艦隊 司令長官、戦艦三笠様にお会いできて光栄です」とまず、挨拶した

 

「同じく、ヘリコプター搭載型護衛艦 いずもです。副司令を兼任しております」

 

「同じく、イージス艦 こんごうです。先程は失礼いたしました」

 

「同じく、ひえいです」

 

「はるなです」

 

「きりしまです」

 

「工作支援艦 あかしです」と一通り、自己紹介をした

 

 

 

山本は、一瞬驚いた

こんごう君に会っていたから、多少は予想はしたが。金剛以外にも比叡、榛名、霧島、明石にそっくりなのだ。もし事前に情報がなければ、混乱していたかも知れない

「連合艦隊司令長官 山本だ」

 

「儂が三笠である」

 

「まあ、座りたまえ」と山本が椅子を進めたが、まだ全員立ったままだった

こちらが座ると漸く、全員着席した

先程の こんごう君もそうだが、この艦隊の規律、練度はかなり高い。士官としての教育がしっかりとしている。うちの連中にも見習わせたいものだと、山本は関心した

 

「さて、色々と話をする前に、まず金剛救助の件について、連合艦隊を代表して御礼申し上げる。ありがとう」と山本が切り出した

 

「いえ、こちらは隊内の規則に従ったまでです」と司令

 

「規則とは?」と山本

 

「自衛隊の行動規範です。分かりやすく言えば、我々は海軍ではなく、“国防専任の組織”、国民生活の平和と秩序を守る。これが我ら自衛隊の全てです」

「2025年、金剛さんは軍籍離脱、艦娘保護法により日本国民に復権しています。ですから、深海凄艦に雷撃された時点で保護すべき対象であると判断しました」

 

 

 

山本は暫し考え、こう問い質した

「では、日本は負けたのだな」

 

「はい、自分たちの次元で、1945年8月15日、アメリカ主導の連合国に無条件降伏いたしました」

 

「海軍が負けるだと⁉︎」と怒鳴る提督

 

「静かにせんか!」と一喝する三笠

 

「しかし、いくら未来から来たとは言え、失礼にも程がある!」

 

しかし、山本は驚く様子もなく

「よいか 提督、もしこのまま日本がこの戦いに勝ったとしよう、そうなれば海軍が解体される事も無い、さらに増大、肥満化して組織として機能しなくなる。彼らのような立派な士官が生まれるか怪しいもんだ。それに提督、先程の話を忘れたか?これは彼らの過去の話であって我々の未来の話ではない」

 

「三笠、どう思う?」

 

「イソロク。このまま戦局が進めば どうなるか、お主が一番よく知っておろう。今のままだと もって後1年が限界じゃよ。それ以後はじり貧で、結局押し込まれていくじゃろ」

 

「やはり、似たような結果か」

 

「はい 山本長官、我々の戦争は310万柱の犠牲をもって終わりました」と司令は静かに語った

 

「310万人だと!」と提督

 

 

暫し黙る 山本

「では俺はいつだね」

 

「1943年 4月18日 ブーゲンビル島上空で前線視察中に陸攻が深海凄艦の待ち伏せを受け、その際に」

 

「ほう、あと1年か。よくもったな」と山本

 

「では、儂はいつだ」と三笠

 

「三笠様は、2025年までお元気ですよ。1944年11月に 長門に座乗されて本土へ帰還されています」

 

「結局、お前はしぶとく生き残ったか。三笠」と山本

 

「まあ、悪運だけは強いからな」

 

 

「しかし、先程、山本司令長官が おっしゃった通り、これは飽くまでも我々の歴史、すでに経過した時です。でも今は違います、同じ時を別の道で歩く必要があります」と自衛隊司令

 

「ほう、それは どう言う意味だね?」と山本

 

「例えば、金剛雷撃ですが。我々の歴史では、1944年11月 台湾沖で日本への回航中に起こりました。そして今日の長官機襲撃は 1943年4月です」

 

「では、やはり」と山本

 

「はい。この世界、いえ次元は我々の居た次元とは似て非なる歩みを進む別次元だと考えられます。ですから我々は正確には未来から来たのではなく、別の次元から迷い込んだが正解です」と自衛隊司令

 

「いずも、説明できるか?」

 

「では、失礼します」と言い席を立ち、前方にあった黒板に向かい、そして、大きくアルファベットの Yの字と波長の違う二つの波を書いた。その波は一点で接していた

「では、簡単にご説明致します。我々の2025年では 時間の経過に関する研究もかなり進みました。その中で次元の分岐点と言う論文があります、あくまで まだ仮想論文です。本来 この様に時間が進んでいたとします」と言いながら、Yの字の下から指を進めて来た。そして二股に分かれる部分を指した

「皆様も経験あるとは思いますが、人生の二つの選択肢のうち一つを選ぶ事案です。仮に右に進めば、本来 左は消滅します、しかし この分岐点で非常に強い力が働き、本来 消滅する筈であった左の事案が独立した次元として動きだすと言うものです。我々はこれを、次元の分岐点と呼んでいます」

 

「では、似たような要素を持った 全く違う次元が動きだすと言う事か?」と山本

 

「はい そうなります、ですから我々の居た次元と この次元は元は同じ流れであった可能性があります。金剛さんの件等、非常に似通っているのはその為だと思われます」

 

いずもは 次に横に書いた2つの波長の違う波を指した

「しかし、問題もあります。分岐した時の衝撃で 時間軸がずれ、この様に全く違った波長の流れになります。すなわち我々の次元は波長が短く経過時間が長い。そして この次元は、波長が長く同一距離の経過時間が短い。この差が80年という時間差を生んだ原因だと考えられます。ここまで よろしいでしょうか」と いずも

メガネを掛け直しながら問う姿は まさに学校の先生である

 

 

「本来であれば、分岐した この次元の流れはお互いに影響を与えないように進みます、干渉しあえば 消滅する危険性があるからです。しかし 波長の違う波が時折 この様にぶつかる瞬間があります」と言い、波長の違う波が接した部分を指した

「我々は この点を門、またはゲートと呼んでいます。時間的には、ほんの一瞬しか接しないと言われています。そして我々は偶然にも、このゲートが開いた瞬間にその場所に居合わせ、こちらへ飛ばされて来た、と推測されます」

 

「これは、飽くまでも まだ時間経過に関する論文の段階です」と いずもが説明した

 

「そのような、論文を書く もの好きもおるのだな」と三笠

いずもは “その論文を書いた もの好きは、退役後に大学に入り直し博士号を取得した 三笠様ですよ”とは言えなかった

 

 

「なるほどな、まあ君たちが こちらへ来た理屈は大体つかめた」と山本

 

「山本長官、できれば こんごう達を退室させたいのですが、よろしいでしょうか」と自衛隊司令

 

「構わんが」と山本

 

「では、こんごう達は 退室してよい。各艦へ戻り 通常業務へ復帰せよ」と司令が命ずると いずもは

 

「こんごう達は 先日の戦闘詳報を 本日中に提出。あかしは ひえいと はるなの破損個所の補修と 各艦への弾薬の補給、整備をお願い」

 

こんごう達は起立すると、指示内容を復唱して 退出していった

 

「自衛隊司令、自衛隊とは非常に士官の教育が良いようだな」

 

「山本長官、お褒め頂きありがとうございます。我々は いつも国民の厳しい目に晒されてきましたから、自らを研鑽する事を忘れないようにしております」

 

「国民の厳しい眼とはなんじゃ」

 

「三笠様。我々の次元では、この戦争を遂行する為に大本営軍部は 統帥権を乱用し無理な作戦を数多く強行し 多数の軍属、一般市民の犠牲を出しました。戦後その事を強く反省した日本政府は 軍部独裁による戦争遂行が出来ないように統帥権を廃止 完全な文民統制としました。まあ 我々自衛隊は、内閣総理大臣の命令がない限り 1発の銃弾も撃てない組織となりました」

 

「それでは、敵が見えても、向こうが撃ってくるまで何も出来ないではないか!」

 

「はい、三笠様。しかし、それが自衛隊と言う組織です。これを約80年 守り続けてきました」

 

「不憫な組織じゃ。では 自衛隊司令、金剛の件などは例外か?」と三笠が尋ねると

 

「いえ。金剛さんは日本人ですから、邦人が海外で武力により攻撃された場合、それを保護できるように法律が改定されました。まあそれまでは無理でしたが」

 

「それに、実は自分たちが 海外演習航海へ出発する直前に、統合幕僚監部 艦娘運用課 課長より、航海中に何等かの異変があった場合の指示書を渡されております」

 

いずもは“そんな話、聞いてませんよ!”と言いたそうである

 

「統合幕僚監部 艦娘運用課とは、どんな組織なんだい」と山本

 

「この時代の海軍省、陸軍省の軍令部に相当します。艦娘運用課長とは、この時代の三笠様に相当します」

 

「ほう、そんなに偉いのか」と三笠

 

「はい。ちなみに その方は戦艦金剛さんの娘 護衛艦こんごうの母親です」

 

「では 艦娘が参謀格なのか!」と三笠

 

「はい。我々の時代、国防には 艦娘の力なくてはならないものです」

 

「で、その指示書には なんと」

 

「はい 山本長官。速やかに 横須賀の大巫女さま、もしくは三笠様と接触する事、行動に関しては自衛隊員としての規律を守る事、現場判断を優先すること、火器の使用に関しては 随時認める事、そして来るべき時に備える事と記載されております」

 

「ほう、儂に接触しろとは、どういう事だ」と三笠

 

「実は、指示書に同封されておりました大巫女様、三笠様宛の文が御座います」と自衛隊司令は、内ポケットから1通の古風な文を取り出した

 

「封印がしてありますので 自分達には開封は出来ません」と三笠に差し出した

 

「ほう」と言いながら、古風に折りたたまれた文を受け取った

パチンという音がして、紙帯が弾きとんだ

 

「姉の封印じゃな。他の者が開封できんよう呪詛が仕掛けてある。まあ姉らしい しかけじゃ」

中から 書状を出し 読みだす三笠

 

「なんと 書いてある 三笠」

 

「なに、こやつらの次元の姉からだ。海神の神々との約束に従い、6人の海神の巫女と 一人の男を 生贄としてこちらへ送る、よしなに頼むと」

 

「生贄ですか?」と いずも

 

「まあ それにしては豪勢なお供えだな 三笠」

 

「イソロク、そう言うがな こやつらにしてみれば いい迷惑じゃぞ、家族とかおろうに」

 

「それについては、まあ心配するだけ無駄でしょう」

 

「司令?」

 

「なあ いずも、大体 今回の演習航海自体 装備が余りに豪華すぎるじゃないか。そもそもお前の建造にしても、当初 通常型ヘリ搭載艦としての計画が急遽 アングルドデッキまで備えた 一歩間違えば攻撃型とも取れる艦に変更された、こんごう達も打撃力強化、防空能力を強化された、あかしは 工廠開発能力の付加、自己完結力の強化、これは事前にこちらへ来る事を想定されていたと考えられる、まだあるぞ こんごう達の訓練だ、陽炎主席教官は徹底的に砲戦を叩き込んだ、何故だ 言い出したらキリがない」

 

「では まさか!」

 

「そうだ、俺たちは偶然に ゲートをくぐり抜けたわけではない」

 

「計画的な犯行じゃな」

 

「三笠 どういう事だ」

 

「こやつらは 別次元の姉たちにハメられたんじゃよ」

 

「はい、今のところ そう考えるのが一番妥当です。大巫女様、三笠様、戦艦金剛さん、母親の運用課長、艦娘士官学校だけでなく 一種の国家プロジェクトとして進められたと考えるべきです」

 

「司令 思い当たる節はあるのじゃろ」

 

「はい 三笠様、日本海海戦です」

 

「ほう、儂が最初に覚醒した海戦か?」

 

「司令!あの話は都市伝説ではなかったのですか⁉︎」

 

「いずも、作戦課内では 極秘戦史資料として記録が保管されていた」

 

「どういう事じゃ?」

 

「はい 三笠様、こちらの世界の日本海海戦はどの様になりました?」

 

「ロシア バルチック艦隊を 日本海で激闘の末撃滅、その際 操艦不能になった三笠は 儂の体に憑依することで 海戦を戦い抜き 東郷に勝利をもたらしたぞ」

 

「自分たちの日本海海戦も 表向きはそうですが、実際は違います 確かに日本海軍は戦域に到達しましたが そこには既にロシア艦隊はなく 代わりに米国の最新鋭艦を模倣した深海凄艦が待ち受けていました、ロシア艦隊は彼らに叩き潰されていました」

 

「なんじゃと!」

 

「東郷閣下は 深海凄艦との戦闘の為 丁字をきり 果敢に砲戦を挑みましたが、逆に深海凄艦に 中央突破され 戦列を分断される事になり 戦場は混乱、三笠は航行不能となり その際に当時 口寄せとして乗艦されていた海軍神社 巫女である貴方に憑依し 何とか 機能を回復、戦線を再構築するも圧倒的に押されもはや壊滅寸前までいきました」

 

「ほう それでどうなった」

 

「はい 長官、あわや全滅かと思われたその時 海域全域に 濃霧が発生、そしてその濃霧の中から 出てきたのは、2連装の砲を4基備えた 弩級戦艦だったそうです」

 

「戦艦じゃと!」

 

「その戦艦の艦首に立つ 一人の女性が 三笠様に “呼んだのはお前かと”問い、三笠様が “そうだ”と答えると “面倒くさいが手を貸してやろう!”と言い、見たこともない兵器で 深海凄艦を瞬殺したそうです」

 

「瞬殺じゃと!」

 

「はい、言い伝えでは」

 

「それで どうなった?」

 

「はい、その女性は “来るべき時に備え 7人の生贄を用意しろ” と言ったそうです。そして 霧が晴れる頃 その艦も消えていた、と言うのが極秘資料でありますが、当の本人の三笠様が だんまりを決め込んでいましたので、真相は謎のままですよ」

 

「では、その7人の生贄とは」

 

「長官、それが自分たちの事です」

 

「これは 余談ですが、戦艦金剛を建造する際 三笠様は、その時の記憶を元に色々とデザインの注文を付けたそうです、改修の度に理想の戦艦を目指したと言われています」

 

 

暫く沈黙が部屋を 包む

「では 自衛隊司令、今後はどうするつもりだ」

 

「はい 長官、自分たちとしましては、このパラオに暫く停泊して今後の対応を検討し、来るべき時に備えたいと思います」

 

「来るべき時とは なんじゃ?」

 

「三笠様、一つお聞きししたいのですが。もしかして この次元では、真珠湾攻撃が失敗したのでは?」

 

「どうして そう思う?」

 

「山本長官、自分たちがこちらへ来て今日で三日目になりますが、短波ラジオや 昨日接触した艦娘の話から総合的に判断すると、米国や連合国側との積極的な交戦の話がありません、まだ緊張状態が継続していて、現在は深海凄艦を中心とした通商破壊対策が主たる作戦内容ではないかと推測致しますが?」

 

しばし 腕を組み考える山本

「流石だ! 短期間でよくそこまで情報を集め分析したな」

「その通りだよ。我々は真珠湾攻撃が出来なかった、昨年11月の御前会議にて可決され 12月7日ハワイの真珠湾に停泊中の米国機動艦隊を 南雲君の機動艦隊にて奇襲、破壊し太平洋上の行動を阻止する作戦を実行したが、6日 ハワイ沖にて事前偵察機を飛ばした所、既にハワイには 米機動艦隊はおらず、代わりに深海凄艦の機動艦隊がハワイ全島を封鎖しておった。南雲君は 作戦の前提条件が違うと 赤城以下の艦隊を転進させ日本への帰路についたが、そこへ深海凄艦の空母機動艦隊が強襲をかけてきた、赤城、加賀が中破、それ以外も大なり小なりの被害を受けて、散々な作戦だったよ。おかげで危うく首が飛ぶ所だったがね」

 

「その後、米国は 音沙汰なしだ。あれほどハルノート云々と言っておきながら、いざ横やりが入ると 自国防衛に必死のようだね」

 

「では、宣戦布告も?」

 

「寸での所で回避した。要は我々は、昨年夏以降の状態を今も保持したままだ」

 

「まだ 間に合うか」と自衛隊司令

 

「間に合うとは なんじゃ」

 

「三笠様、自分達の次元では、真珠湾攻撃は成功、南雲艦隊は奇襲後 日本への帰路へ付きましたが、その途中 深海凄艦の打撃艦隊と遭遇、赤城以下の空母群に大打撃を受け、半年は 航空機動艦隊が動けない状態となりました。日本は 太平洋で 米国、深海凄艦の2面作戦を 強いられる結果となり、次第に戦局は悪化、特に南方では 深海凄艦と激戦となり 数多くの諸島で玉砕が多発、艦娘も数多く撃沈される事態となり 次第に戦線が押し込まれました。トラック、パラオと度々 大規模空襲にさらされ、1943年後半には 組織的作戦行動がとれない所まで 押し込まれました」

 

「なんだと、このパラオまで空襲されるだと」と泊地提督

 

「要は 深海凄艦は必死だったんですよ。前面の日本海軍、後面の米国海軍、米軍に追い立てられて 日本海軍と必要以上の消耗戦を繰り広げた、そして」

 

「弱った 2匹を、米軍が叩き潰したか」

 

「はい。長官、米軍は賢く立ち回り、最小の被害で 最大の利益を得ました」

 

「ふん。奴等らしいの イソロク」

 

「では 自衛隊司令、どうするべきだと思う」

 

「現状では、まず米国、連合国の参戦を絶対阻止することです。彼らは負け方を知りません、勝つまで 徹底的に戦います」

 

「次に、深海凄艦と和睦する事です」

 

「深海凄艦と和睦だと、そんな事ができるのか!」と泊地提督が叫んだ

 

「落ち着け 馬鹿者!」と三笠が諫める

 

「皆様は、深海凄艦について どの程度ご存知ですか?」

 

「自衛隊司令、実はあまり実態を把握できておらん」

 

「まあ、突然現れ、見境なく我々を攻撃する所属不明の武装船団と言った所ですか?」

 

「ああ、それも最近は 組織的になっておる」

 

「彼らが群体で動く事は ご存知ですよね」

 

「ああ いずも君。それも承知している、南の南方棲戦姫、 北方棲姫等だな」

 

「その群体間に温度差があるのはご存知ですか?」

 

「温度差?」

 

「はい 長官。すなわち、好戦的、保守的な群体などが存在する という事です」と いずも

 

「我々の次元では、1943年 とある事件が起こりました」

 

「事件?」

 

「深海凄艦 亡命事件です」

 

「亡命事件だと」と慌てる山本

 

「1943年 夏頃、北の群体の内部で 姫クラスの内紛が発生、好戦派と保守派で内紛となり 劣勢となった保守派は一族を連れて 群体を離脱 一路南下しました。トラック泊地近くまで来たそうですが、その時にはすでに 一族はほぼ壊滅、幼き姫が一人保護されたそうです、日本海軍は保護した姫を秘匿しました」

 

「なぜだ? 研究すれば逆転の要素も あった筈だ」と泊地提督

 

「大巫女様のご指示だそうです。1944年 戦局悪化の為、その姫を連れて三笠様は 長門、大和、金剛 以下の艦隊で日本へ向かいました。その際、台湾沖で 待ち伏せしていた深海凄艦の潜水艦に雷撃されたそうです。本来は三笠様が座乗していた長門を狙ったものでしたが、それに気が付いた金剛さんが身代わりに被弾したそうです」

 

「では、金剛は その時に」

 

「はい、船体傾斜は回復せず、そのまま転覆、沈没しました、金剛さんご本人は 沈没寸前に 艦橋から投げ出されて救助されています」

 

「しかし、後年その時の傷が原因で、霊体保全が出来ずに衰えていらしゃいます」

 

「1945年 初頭に日本に迫った深海凄艦群体は その姫の説得で 動きを鈍らせ、侵攻速度が遅くなりました。業を煮やした米軍は 用済みとばかりに深海凄艦と我々に対し侵攻作戦を開始、沖縄まで占領され、本土でも長崎、広島と大規模な被害が出て、これ以上の戦争継続は不可能と判断され、連合国の無条件降伏を受け入れ終戦となりました」

 

「その後、その姫はどうなった?」

 

「はい 長官。横須賀の大巫女さまの元で 養女として育てられました」

 

「大巫女さまは、保護した姫を霊的に研究されて 彼らが元は我々 艦娘と同種の霊体である事を発見されました。深海凄艦とは、悪霊化した艦娘と同一だという事です。ただ 悪霊と言っても 悪さをするわけではありませんから普段はおとなしい種族だったそうです、それが人類の海洋進出により縄張りとしていた海を荒らされ始めた事で 人類を敵視するようになり、小規模な戦闘から 段々と本格的な戦闘へと発展していった」

 

「そして 最後には “人類 艦娘は 敵だ!”と言う刷り込みにより無差別攻撃を開始したと言う事です」

 

「ならば、話し合いで誤解を解けばよいと言うことじゃな」

 

「戦後、深海凄艦はどうなったのだ」

 

「はい 長官、戦後 世界各地に点在した群体の拠点は、日本を中心とした国連加盟国の説得を受け 太平洋上の無人島地帯へ集結、国連の監視下へおかれました。その後独立国家を樹立、21世紀に入り、多発する地域紛争への海上牽制力として国連平和維持部隊として再編しています」

 

「深海凄艦が 人類の味方だと。信じられん!」

 

「しかし提督、この世界でも 第1次大戦で敵国だったドイツと 同盟を結ぼうとしたのではないですか?」

 

「立場が変われば 見方も変わると言うことじゃな」

 

「はい 三笠様、自分たちの次元では それに気が付くのが 遅かった為に最悪の結末を迎えました」

 

「しかし、こちらは これからです、まだ間に合うかもしれません」

 

「希望が持てると言う事じゃな」

 

「はい、但し コレは飽くまでも、あちら側の次元の話で こちら側がそうとは限りません」

 

「要は 彼らとの交戦を避けつつ、必要な海上輸送路を確保できるかが当面の課題です」

 

「しかし、南方の姫は好戦的なようだな。活動が活発化している」

 

「とにかく、相手をテーブルへ引き出す必要があります」

 

「自衛隊司令、話し合いに乗らなかったらどうするのだ」

 

「泊地提督、致し方ありませんが こちらも被害は出したくありません、やりたくは無いのですが、テーブルへ出てきやすいように 誘導する必要があるかと思います」

 

「誘導とは?」

 

「長官、深海凄艦の強硬派の排除、もしくは殲滅です。穏健派に主導権を握らせ、交渉のお膳立てをする事です」

 

「それに長官、もうひとつ問題があります、米国を中心とした連合国の動きです。先程の話では 本格的な戦闘に至って居ないとの事ですが」

 

「ああ、その通りだよ司令」

 

「米国政府は、世論に敏感です。米国内の世論を味方に付ける方策を検討する必要があるかと」

 

「難題だな」と天井を眺める山本

 

「はい 長官、自分もキツイ宿題を渡された学生の気分です」

 

「あら。貴方昔から その手の事は お得意じゃなかったかしら」と いずもに突っ込まれる

 

「当面 現状維持のままで良いかと思いますが、軍内部の意思疎通を図り、今後の方針を決定するには 一苦労しそうです 長官」

 

「それでも やらねば、我々は その内自滅だよ 提督。軍令部上がりの君の手腕とコネを期待するよ」

 

 

 

 

暫く ずっと いずもを眺めていた三笠は突然

「なる程じゃな、それで納得が行く。いずも殿」と三笠

 

「なんの事でしょうか、三笠様」

 

「お主、儂を誤魔化せると思ったか」と鋭く いずもを睨んだ

 

「司令 やはりバレましたよ」

 

「嫌な予感がしたんだ。三笠様が来た時から」

 

「では 見せてもらえるのだな。深海凄艦との和睦の行きつく先を」

 

「司令?」

 

「仕方ない、君自身がその証拠だ。嫌な気分になるかも知れんが ここは頼む」

 

「では あの…、由良さんを 下げて頂きたいのですが」

 

「由良を下げろだと!」 司令を睨む提督

 

「はい 提督。これからお見せするのは普通の艦娘にはキツイものです」

 

「では お断りします!」と由良はハッキリと答えた

 

「何時 いかなる時も提督を お守りするのが秘書艦の職務です。危険なら尚更です」

 

「では 由良さん、気をしっかり持ってください」と言いながら

 

「司令、一応 念の為フィールドを張っておきます」

 

「ああ、済まないが 頼む」

 

「では 失礼します」と言い 席を立ち上着を脱いだ、予想以上の胸部装甲だ

 

呼吸を整え、一言

「フィールド展開」そうつぶやくと、部屋全体が青白い光に包まれた

 

「ほう、光の障壁か 見事な結界じゃ」と感心する三笠

 

「光の障壁? なんの事だ三笠」

 

「イソロク、古の神々が使ったとされる、どんな剣も跳ね返したと言う防御壁じゃよ。儂も初めて見たぞ」と興奮気味の三笠

 

「いずも殿、これは そち達皆使えるのか?」

 

「三笠様、残念ながら私と こんごうだけです。正確には、実戦レベルに使えるのは こんごう ただ一人です」

 

「では 失礼します」と言いながら、いずもは まず長く腰まで伸びる黒髪を束ねた髪飾りのリングを外した

すると毛先から 黒い髪は急速に白く変色していく、そして 特徴的なメガネを外し、髪を整えた

黒い瞳は赤く変色し、そして元々色白だった肌は透き通るのではないかと思えるほど 真っ白になった

由良は その姿を見たとたん、体の震えが止まらない。今にも失神しそうなほどの高圧的な霊気、気が遠のく、そして喉の奥から出た言葉は

 

 

「ほっ、北方棲姫!」

 

 

 

「成程、邪気の抜けた深海凄艦 北方棲姫か」 三笠も言葉少なげである

イソロクも提督も ただ黙って いずもを見た

 

「いずも もういいぞ、それ以上は体に障る」

 

「はい 失礼します」と言い、さっとメガネを掛け 髪飾りを付けた

見る見るうちに、髪は元の艶やかな黒髪に戻り、目の色も黒い瞳に戻った

 

「これが 姉の出した答えじゃな」

 

「はい 三笠様。私達、旧深海凄艦は この精神反応金属を使い 邪気を払い 艦娘と同じ道を歩み出しました。私はその2世代目になります」

 

「世代を重ねる毎に 邪気が薄くなり,最後は艦娘と変わらない世代が来ると言われています」

 

いずもは フィールドを解除して 席に座った

そっと 由良を見るが、顔色が悪い

 

由良は 体の震えが止まらない

あの北の強敵 深海凄艦の北方棲姫が目の前に居るのだ

隣に座る 提督がそっと手を握ってくれた

小さな声で

「大丈夫だ 俺がいる」と言ってくれた

 

「はい 提督」と返事をするのが精一杯だった

 

「この事は、こんごう君達は?」

 

「はい 長官。艦隊の全員が知っています。これが原因で差別される事はありません」

 

「では 提督。この事は 泊地の海軍には、秘匿としてくれ衝撃が大きい」

 

「分かりました」

 

 

「では 自衛隊司令。とりあえずは 暫くは ここパラオを中心に活動すると言う事でよいな」

 

「はい 長官」

 

「しかし、タダでとは行かんぞ」

 

「解かっております。いくら深海凄艦との和睦を目指すとは言え、いきなり話を聞く相手でもありませんし、こちらは生存権の問題もありますから。まずはパラオ周辺域の安全確保のお手伝いをさせて頂きます。」

 

「ほう、具体的には」

 

「補給路確保の為の掃海作業、船団護衛のお手伝いと言った所でしょうか」

 

「では、その見返りとして食糧、燃料等の兵站の提供か」

 

「まあ そんな所が妥当な線であると思います」

 

「いずも 資料を」

そう言われると、いずもは持参した鞄の中から、少し分厚い資料を取り出した

「これは、自分たちが歩んだ歴史資料を簡潔に纏めたものです。それに戦後に制定された日本国憲法、自衛隊法、各艦艇の基本性能諸元書です」

 

「ご参考にと、持参しました。お読みください」

 

「本来であれば、我々 自衛隊は内閣総理大臣の許可がなければ戦闘行動がとれません。しかし、それは2025年の憲法、すなわち彼方の次元の憲法で こちらの次元の憲法ではありません、今後の行動については指示書により現場判断を優先する旨が記載されていますので、今後 戦闘行動規範については、協議をもっていきたいと思いますが、如何でしょうか」

 

「まあ司令、暫く俺たちも ここに留まる、ゆっくり話をしようではないか」

 

「はい 長官、よろしくお願い いたします」

「それと 長官。ご相談なのですが、戦艦金剛さんの艦体修理の件ですが。当方でお引き受けします、幸い工作支援艦の あかしが居ますから 十分な修理が出来るでしょう」

 

「なに 引き受けて貰えるのか? 司令」

 

「まあ 泊地使用料の手付金とでも思ってください。いずも あかしの見積りは?」

 

「はい、昨日中に出ています、4日もあれば出来るそうです」

 

「中破判定の艦の修理が 4日間だと!」と驚く泊地提督

 

「あかしの機能を 全力で使えば丸二日ですね」

 

「どんな手を使えば 出来るんだ!」

 

「泊地提督、それは 秘密です」と いずもは笑顔で答えた

 

 

 

 

「それより 司令、あの“こんごう”には 乗せてもらえんのか?」

 

「三笠様、乗船見学が ご希望ですか?」

 

「そうじゃ。上から見た時から気になっておる、出来れば航行しておる時がよいぞ」

 

「司令、如何いたします?」

 

「まあ、午後から少しデモでもするか?」

 

「では 司令、こんごうさんに “リベンジ”してもらいましょう」

 

「リベンジね~」

そう言いながら 午後からの予定を 楽しそうに組み上げていく いずもであった

 

 

 

 

 

 

波乱のパラオの午後は、そうして始まった

 

 




こんにちは スカルルーキーです
えっ いきなりですか、色々 艦これにはない設定盛り沢山となってしまいましたが、まあ お許しください

次回は 演習だぞ! です


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