俺が綾辻さんの彼氏か   作:杉山杉崎杉田

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第40話

 

 

那須対来馬対伊佐。来馬がアステロイドで伊佐を撃つ。それを建物を盾にして避ける伊佐。その真上から、那須から放たれたトマホークが降って来た。

 

「っ」

 

アステロイドで撃つと、その弾は大きく爆発した。

 

(バイパーの威力じゃない……)

 

見たことのない弾に、逃げながら宇佐美に聞いた。

 

「宇佐美さん。なんですか今の?」

 

『変化炸裂弾っていって、バイパーとメテオラを合成した奴だよ』

 

「合成?そんなこと出来るんですか?」

 

『うん。出水くんとか得意だね』

 

「そうですか……。ありがとうございます」

 

お礼を言いながら退がる。それを追うように誘導弾が飛んで来る。それをアステロイドで全部撃ち落とした。

 

(狙われてるな……。まぁ、乱戦にした以上は強い奴を狙うのは当たり前だよね。………あれ?ってことは、俺って強い奴なんだ)

 

そう自覚した直後、少し嬉しくなりながらも伊佐は両手にハンドガンを構えた。

 

(………しかし、合成弾か。とことんガンナーってのはシューターが有利に出来てるな)

 

那須と来馬の攻撃を避けながらそんなことを思った。その直後、那須から飛んで来た弾が変化した。

 

「ッ‼︎ って、ヤベッ……!」

 

それを慌てて回避したものの、左足を吹き飛ばされた。さらに後から続く来馬からの誘導弾。

 

「エスクード!」

 

地面から盾を出して凌いだ。が、そのおかげでトリオンはもう残り僅かだ。そのエスクードに近づいて来る那須と来馬。

 

「今」

 

直後、千佳砲が飛んで来た。それが来馬と那須の近くのマンションを思いっきりぶっ壊した。

 

「ッ……⁉︎」

 

直後、那須も来馬も引き気味にシールドを構えた。ビルをぶっ壊し、こちらの射撃を止めたことで、伊佐の変態精密射撃が通ると思ったからだ。そう予測した通り、伊佐は来馬に両手のハンドガンを向けた。

自分が狙われてないと分かった那須は、伊佐を逃がさないよう囲むように変化弾を飛ばした。

二人と射撃はほぼ同時だった。伊佐はギリギリ避けようとしたものの、変化弾は炸裂、さらに左腕が死んだ。

伊佐のアステロイドは、来馬のシールドに当たる直前、二つぶつかり合い、融合した。

 

(………⁉︎ これは、徹甲弾……⁉︎)

 

それが来馬のシールドをぶっ壊し、左腕を吹っ飛ばした。

 

『トリオン露出甚大、戦闘体活動限界』

 

伊佐の耳元からそんな音がした。もう落ちる。その直前、残った右手で来馬にアステロイドを放った。

 

『緊急脱出』

 

伊佐は飛び、最後のアステロイドは来馬の腹を見事に貫通させた。

 

「ッ! あの体勢から……⁉︎」

 

そう驚いてると、那須から飛んで来る変化炸裂弾。それが来馬に直撃する。

 

「まだだ………‼︎」

 

そう呟くと、空中に向かって誘導弾を放った。

 

『戦闘体活動限界』

 

来馬は緊急脱出した。直後、那須の身体に来馬の誘導弾が突き刺さった。

 

「‼︎」

 

これで、残りは那須と千佳だけ、そう思った那須はフラフラと歩き出そうとした。が、目の前に、空閑が立っていた。

 

「!」

 

「…………」

 

「……残念、せっかく来てもらったのに……もう、トリオンがないみたい……」

 

パキパキと体がひび割れていく那須。そのまま緊急脱出した。

 

玉狛第二3+2=5点

那須隊2点

鈴鳴第一2点

 

勝者、玉狛第二。

 

 

『暴風雨の河川敷という特殊な舞台。それを跳ね返した玉狛第二の勝利となったこの試合』

 

三上の声が試合会場に響いた。

 

『改めて振り返ってみていかがでしたか?』

 

『あんまり予想が当たんなかったな〜。やっぱ東さんみたいにはいかない』

 

なはははと笑って返す太刀川。それに三上が言った。

 

『もうちょっとマジメに』

 

『マジメに?OK』

 

で、本当に切り替えて太刀川は解説した。

 

『一番でかいポイントはやっぱ橋が落ちたところだろ。身を切って那須隊の作戦を阻止した玉狛の思い切りはなかなか。あれがなかったら多分、那須隊が勝ってた。最初の転送位置が良かったからな』

 

『橋が落ちることですべての部隊が東西に分断される展開になりました。ではまずは西岸の方からお願いします』

 

それに答えたのは迅だ。

 

『個人的に西岸のポイントは、那須隊の二人が逃げなかったことですね。熊谷・日浦両隊員は点は取れずに退場しましたが、それぞれちゃんと時間を稼いでるんですよね。二人が即逃げで緊急脱出してたら、その分西岸の勝者が川を渡る時間が早まるわけで。そうなると、おそらくどちらかの部隊がもっと無双することになっていたでしょう。上位陣に追いつくには、失点より得点が大事。玉狛と鈴鳴に1点ずつ取られましたが、トータルでは悪くない判断だったと思います』

 

そして、次は村上と空閑の方に行った。

 

『……続く玉狛と鈴鳴のエース対決は、村上隊員が常に優勢に見えましたが、味方が一人落ちた対岸を気にしてから相手の誘いに最後の最後であと一歩待てなかった。そのあたりに敗因がありそうです。一方の玉狛は東岸のことは頭にないくらいの捨て身っぷり。多分、そういう指示が出てたんでしょう』

 

そして、解説は東岸の対決に移った。

 

『さて、次は東岸の対決ですが……』

 

『いやー驚いたな。印象的だったのは伊佐だなやっぱ。最初に相性の悪い那須を退けて、後半もそれに来馬が付いた段階で粘ってた。結局、二人に集中的に狙われて一人しか落とせなかったが、あの変化弾の使い方と徹甲弾にはマジビビった』

 

『そうですね。戦術的なところと言えば、那須隊長と来馬隊長がお互いを無視して伊佐隊員を取りに行ったところでしょうか』

 

その台詞に、迅が答えた。

 

『あれは、「強いから二人がかり」というより「他の奴を狙うと撃たれる」というのがデカかっでしょうね。それだけ、伊佐隊員の射撃は正確でしたから。けど、それでもあそこは伊佐は勝たなきゃいけなかった。来馬隊長と那須隊長が相討ちにならなかったら負けもありましたからね』

 

『そうですね。それでは、ただいまの順位は、五得点を上げた玉狛第二は夜の部の試合結果次第ではありますが、上位グループ入りの可能性が高いとみていいでしょう。A級予備軍と言われるB級上位部隊にどう挑むか。次の試合にも期待が掛かりますね。以上を持って、B級ランク戦ラウンド3昼の部を終了します。皆さんお疲れ様でした』

 

とのことで、解散になった。

 

 

「あー疲れた……」

 

玉狛の四人と宇佐美が作戦室から出た。直後、伊佐に飛びついて来る影。

 

「ケンくーーーーーーーんッッ‼︎」

 

ガバッと綾辻が抱き付いてきた。

 

「だ、大丈夫⁉︎怖くなかった⁉︎生きてる?生きてるよね⁉︎」

 

「大丈夫だから落ち着けハルちゃん。浣腸するよ?」

 

言われて、落ち着く綾辻。

 

「まぁまぁそう言うなよ。お前が落とされるなんてな、伊佐」

 

後ろから来たのは出水と国近のいつものメンツだ。

 

「お疲れ様〜」

 

「あ、どうも」

 

「ねっ、ねっ、賢介くん」

 

「はいはいゲームね」

 

「じゃ、行こ〜!」

 

伊佐は国近に連行され、その後ろから綾辻と出水もついていった。

 

 


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