俺が綾辻さんの彼氏か   作:杉山杉崎杉田

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第37話

 

 

B級ランク戦第3戦試合当日。玉狛第二は作戦室で作戦会議をしていた。

 

「那須隊が選んできそうなマップはこの三つ、展示場、河川敷、工業地区。開けた場所があって射撃の的になりやすい」

 

「なるほど」

 

空閑が適当に相槌を打つ。

 

「那須隊は多分、中距離戦メインで来るはずだ」

 

「ふむふむ、どうしてそう思う?」

 

宇佐美が試すように尋ねた。

 

「まぁ、そもそもエースの那須先輩が射手ってのもありますけど、先週土曜の試合で、鈴鳴第一が諏訪隊に負けてるんです。前回、諏訪隊の対策してる時に記録を見ました」

 

「ほう?すわ隊がむらかみ先輩を……」

 

「近付かないで距離を取って撃ってたんだろうね」

 

「そうだ。村上先輩がはっきり封じられたのは、最近の記録ではそのときくらいだ。中距離戦に分がある那須隊がそれをやらない手はないし……。僕が那須隊の立場だったら、射撃に徹した戦い方をすると思います」

 

「うんうん、なるほどね」

 

宇佐美がウンウンと頷く。

 

「前回と違って僕たちは対応する側、可能な限り4人揃って相手に当たる。どのステージが選ばれても、まずは全員で合流だ」

 

「「「了解」」」

 

 

『B級ランク戦第3戦、昼の部が間も無く始まります。実況担当は風間隊の三上、解説は……ナンバー1攻撃手太刀川さんと、「ぼんち揚げ食う?」でおなじみの迅さんです』

 

『『どうぞよろしく』』

 

その後ろの方では、やっぱり出水、国近、綾辻の3人が見に来ていた。

 

「いやー始まったね〜」

 

「河川敷か〜。まぁ伊佐ならどっちに残っても平気だろ」

 

「いやいや、ケンくん泳げないから」

 

「「……えっ」」

 

「うん」

 

「え?だって前に海に行ったんじゃ……」

 

「水着透けたんでしょ?」

 

「殺すよ出水くん」

 

「………さーせんした」

 

そんな話をしてると、三上の声がした。

 

『さあ、スタートまであと僅か。全部隊転送!』

 

それを聞いて全員がモニターを見た。

 

『各隊員、転送完了!マップ「河川敷A」!天候「暴風雨」!』

 

そう言う通り、風と雨がすごくて、川面には波のようなものができている。

 

『おっとマジか、こりゃ川を渡るのは難しくなったぞ。落ちたらヤバイ』

 

『さぁ、すべての隊が川によって分断された!各隊まずは合流を目指す様子!悪天候を仕掛けた側の強みで、那須隊の動き出しがやや早いか!』

 

そう言った通り、那須隊の動きは周りに比べて若干早かった。

 

「……大丈夫かな、ケンくん」

 

「? なんで」

 

綾辻の呟きに出水が反応した。

 

「ケンくん、雷ダメなんだよね」

 

「…………」

 

意外な弱点二つ目に出水も国近も邪悪に笑った。

 

「………ケンくん、いじめたら許さないから」

 

黙らされた。

 

 

全員が動き出す中、伊佐は通信した。

 

「雨取さん、橋壊して」

 

『………へ?』

 

「はやく。那須隊がこっちに来る前に」

 

『千佳、撃て』

 

修からも言われ、千佳は「了解」と呟いた。

 

「それと、三雲くん」

 

『どうした?』

 

「鈴鳴は頼んだよ」

 

そう言うと、伊佐は目の前の那須にハンドガンを向けた。

 

「………合流はさせない」

 

「……勝つ、一点でも多く獲って」

 

 

一方、反対側。那須隊狙撃手の茜が橋に向かう。だが、おそらく追い付かれると判断した熊谷は孤月を抜いて息を吐く。その直後だ。

橋が千佳によって破壊された。

 

「⁉︎ 橋が……!」

 

二発目の砲撃で、完全に落ちる橋。

 

『先輩……!』

 

「来るな、茜!」

 

すでに熊谷の元に村上が来てしまっていた。

 

(さすがに、そう都合よくはいかないか……)

 

『今撃っちゃダメだよ茜!クガくんに捕まる!』

 

茜の耳元に小夜子からの指示が入る。

 

『那須先輩!橋が落ちました!二人は来れません!』

 

『……そう、わかった。じゃあこっち側は、私が全員倒す。だからそっちも、二人で点を取って』

 

「了解」

 

熊谷が村上と相対した。

 

 

一方、伊佐と那須。お互いに黙って睨み合った。那須の周りにトリオンが浮かび上がった。伊佐に変化弾を飛ばす。伊佐はそれをアステロイドで撃ち落とした。

 

『伊佐隊員対那須隊長!激しい銃撃戦が繰り広げられています』

 

『おお……マジか。那須と正面から撃ち合ってるぞ。伊佐って強いのゲームだけじゃないんだな』

 

『何、太刀川さん賢介とゲームやったの?』

 

『ああ、ボコボコだった』

 

『二人とも。解説中です』

 

三上に注意され、二人揃ってコホンと咳払いする。

 

『にしても、やるなぁ伊佐の奴。変化弾が変化した直後を予測して攻撃を相殺してる』

 

『しかも、シューターの複数の弾丸をハンドガンで追い付いてる所が気持ち悪いですね』

 

太刀川、迅と言ったところで、新たな動きがあった。那須の足元からエスクードが現れた。

足元が崩れた直後、さらにアステロイドで襲撃、那須は退がりながら牽制の変化弾を放った。

 

『おお……那須を退けた。やるなぁ、伊佐の奴』

 

『那須隊員は他の隊員を狙いに行きましたね。こちらに一人で残った以上、取れる点から取りに行こうとしてるのでしょう』

 

その那須は、伊佐を鈴鳴にぶつけようとしてるのか、小夜子の指示に従いながら撤退した。

 

 


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