俺が綾辻さんの彼氏か   作:杉山杉崎杉田

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第34話

『さあ転送完了!各隊員は一定以上の距離を置いて、ランダムな地点からのスタートになります!』

 

ランク戦が開始、モニターでは狙撃手四人のアイコンが薄暗くなる。

 

『そして狙撃手四人がバッグワームを起動!レーダー上から姿を消した!狙撃手三人の荒船隊、やはりまっすぐ高台を目指します!半崎隊員が良い位置に転送されたか?』

 

モニターの選手達の動きを見ながら武富が実況する。

 

『諏訪隊もそれを追う!玉狛第二も……おっと、追わない!部隊の合流を最優先したようだ!』

 

そう言う通り、四人とも合流していた。

 

『転送直後は一番無防備な時間帯ですからね。合流するのはありです』

 

一方で諏訪隊。笹森が慌てた様子で街の階段を上がる。

 

(このままじゃ荒船隊に上を押さえられる……!急げ……!)

 

心の中でそう言い聞かせながら壁から出た直後、後ろから服をグイッと引っ張られた。

 

「⁉︎」

 

後ろに座り込み、直後目の前を弾丸が通る。

 

『笹森隊員間一髪!穂苅の牽制ですね。躱されましたが諏訪隊は進みづらくなった。いい仕事です』

 

『この隙に荒船隊長も脇をすり抜けて登っていく!荒船隊が完全に上を取った!』

 

荒船が狙撃位置を取った時だ。下から光が見え、その直後に自分の隣のビルがブッ壊れた。もはや砲撃ともいえる狙撃の飛んで来た方を見ると、4人集まった玉狛が見えた。

荒船隊の3人とも、玉狛に集中狙撃する。遊真と修と伊佐がシールドとレイガストで何とかガードする。

さらに千佳が荒船の立っていた位置を砲撃。

 

『この威力!もはや砲撃!玉狛第二意外にも撃ち合いを挑んだ!東隊長、この展開はどう思われますか⁉︎』

 

『玉狛第二の分が悪いですね。下からでは荒船隊の動きが見えない。そのうえ撃つたびに自分の居場所がばれる。逆に上にいる荒船隊からは的がよく見える。盾を何枚張っても、防御が崩れるのは時間の問題です』

 

「……負けそう?」

 

「いやー伊佐も一緒になってのってる以上は何か勝算があるんだろ」

 

「しかし、意外と大人しいなあいつ」

 

「このまま行けば私の貞操は無事……」

 

(勝ってもこいつチキりそーだな)

 

(勝ってもこの子チキりそーだね)

 

(勝っても100%こいつチキるわ)

 

出水、国近、米屋と腕を組みながらそう思った。

 

『東隊長の解説通り、玉狛第二が一方的にダメージを受けていく!本職相手に狙撃勝負は無謀だったか?』

 

武富の声が響く。だが、東がまた解説した。

 

『……いや、端から勝つ気はないようです』

 

『………え?』

 

直後、モニターで諏訪がショットガンを撃ちながら荒船に突撃し、片脚を削った。

 

『あーっと!砲撃の陰で諏訪隊が登ってきていた!』

 

『さっきの砲撃は諏訪隊の援護ですね。長距離戦で荒船隊に勝てないのは織り込み済み。ステージの選択から敢えて状況を荒船隊有利に偏らせることで、諏訪隊と玉狛第二の利害を一致させた。玉狛第二は、地形戦をよく練ってますね』

 

 

モニター。修が言った。

 

「荒船隊を捕まえた!このまま乱戦に持ち込むぞ!」

 

「OK。こっからは俺の仕事だな」

 

「了解」

 

「千佳はここからは別行動だ。絶対に顔は出すな!宇佐美先輩の指示を聞いて、もし僕たちがやられたら緊急脱出しろ」

 

「うん、わかった」

 

「空閑、伊佐!点を取りに行くぞ」

 

「おう!」

 

「うい」

 

一方で諏訪vs荒船。車を陰にして隠れる荒船に、諏訪が集中砲火する。

車とシールドで何とか凌ぐ荒船。すると、諏訪の顔面に狙撃が命中した。大きく後ろに仰け反る諏訪。

 

「………!」

 

「大当たりだぜ」

 

集中シールドを顔面の前に張っていた。

 

「げっ、マジ?」

 

「半崎の位置確認!」

 

堤が半崎を追い、諏訪は引き続き荒船を追った。途中、さらに狙撃が諏訪を襲い、脚を吹き飛ばした。

 

「諏訪さん、退がりますか?」

 

「アホ言え、こっからだぜ!」

 

「ですよね」

 

「見失うなよ堤!」

 

『もう追いつきます』

 

 

一方、半崎が退がりながら堤を見下ろした。

 

『下から来る!気をつけて!』

 

オペレーターの加賀美から声が聞こえた。

 

「見えてますよ。堤さんでしょ?」

 

『違う!玉狛よ!』

 

横から遊真が上ってきいた。

 

「!」

 

ズバッと遊真が一撃スコーピオンを振るうが、半崎は体を仰け反ってギリギリ回避した。

 

「うお、速っえ!」

 

(急所を外された。もう一発……!)

 

壁に手を付いて、もう一撃行こうとした時、堤が追い付いてショットガンを乱射した。

 

「ッ」

 

慌てて遊真は回避したが、半崎はバラバラにされた。

 

「こりゃダルいわ、すんません」

 

そう言うと、半崎は緊急脱出した。続いて堤は遊真に銃を向けた。それを左右に回避する遊真。

 

(速い……!でもそのくらい動けることは、もう知ってるんだよ!)

 

空中に上がった遊真に銃口を向けた。だが、グラスホッパーで急に死角に移動された。

 

「ッ⁉︎」

 

そして、堤を真っ二つにした。

 

 

その頃、荒船、諏訪、笹森。

 

『荒船くん、後ろ』

 

「⁉︎」

 

後ろから、弾丸が迫って来ていた。慌てて回避する荒船。

 

「見つけた」

 

現れたのは伊佐だった。シールドと建物を壁にして隠れる荒船。そこにハンドガンを向ける伊佐。狙いを定めたあと、シールドと壁の穴の隙間を抜けてアステロイドは荒船の肩を抉った。

 

「っ⁉︎」

 

さらにもう一発撃とうとした時、諏訪隊が追い付いてきた。諏訪が乱射し、伊佐は後ろに退がって回避した。

 

『伊佐くん後ろ!』

 

真後ろにカメレオンを起動した笹森が接近していた。

 

「ッ‼︎」

 

慌ててしゃがんで回避すると、孤月を振り抜いた笹森の両腕を掴んで背負い投げをした。

 

「ッ⁉︎」

 

笹森が落とした孤月を拾い上げ、倒れた所で喉を突き刺した。

 

「日佐人……!」

 

諏訪が声を上げつつ、荒船を追撃する。後ろから伊佐が銃口を向けた。直後、穂苅の狙撃で諏訪の片腕が吹っ飛ばされた。

 

「ッ……⁉︎」

 

さらに、荒船が孤月を抜いて、諏訪に斬りかかった。

 

「ッ!」

 

慌てて避ける諏訪。そのまま建物の陰に隠れた。

 

「チッ……!退くしかねぇ!小佐野!緊急脱出する!案内しろ!」

 

『ほーい』

 

退く諏訪。それを貰おうと伊佐はハンドガンを向けたが、その伊佐に荒船が斬りかかった。

 

「穂苅、諏訪さんを抑えろ。俺はこっちを取る」

 

『了解』

 

荒船が伊佐と相対した。

 

 


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