俺が綾辻さんの彼氏か   作:杉山杉崎杉田

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第28話

 

 

「しつこい奴だな」

 

「こっちの台詞だよ」

 

睨み合う伊佐とハイレイン。

 

「三雲くん、先に行って」

 

「あ、ああ。すまん」

 

そして、伊佐は綾辻を見た。少し微笑んだ後、ハイレインを見た。ハイレインは少し不愉快そうな顔をしたあと、言った。

 

「悪いが、一瞬で終わらせるぞ」

 

「やってみろよ」

 

直後、鳥と魚を飛ばすハイレイン。それを撃ち返す伊佐。だが、両手じゃないので相殺しきれない。嫌でも後ろに下がって回避しながら撃ち落とすしなかった。

 

「どうした、俺を止めるんじゃなかったのか?」

 

「もう勝ってるから充分だよ。それに、もう疲れた」

 

「ならさっさと消えればいいだろう」

 

伊佐が屋根の上に着地すると、ハイレインも別の屋根に着地した。

 

「学校で飯食ってたら呼び出し食らって駆けつけてみりゃトリオン兵大運動会、援軍来たと思ったらチームメイト助けに走り回って新型と殴り合って、また援軍が来たと思ったら今度は人型だ。しかもその後には黒トリガー。冗談抜きでブラック企業過ぎるよ……。何回死ぬかと思ったことか」

 

(なんか愚痴り出したぞ)

 

「けど、一度やるっつったからには途中でやめるわけ行かないじゃん」

 

伊佐が言うと、ハイレインは真顔で言った。

 

「………益々気に入った。是非とも俺の兵に加えたいものだな」

 

「俺は絶対嫌だけどね」

 

「……残念だが、お前に拒否権はない」

 

直後、伊佐の足元からトカゲが出て来た。だが、それを伊佐は後ろに大きく飛び退いて回避した。

 

「っ⁉︎」

 

「バレてないとでも思った?」

 

さらに、伊佐は指をパチンッと鳴らした。

 

「お返しだ」

 

直後、ハイレインの足元が大きく爆発した。伊佐が仕掛けたメテオラが爆発したのだ。

 

「………チィッ」

 

片脚を失ったハイレインが煙から出て来た。

 

「化かし合いで俺に勝てる奴なんていないよ」

 

「………それは、どうかな?」

 

直後、伊佐の足元でバチッと音がする。下を見ると、左足が潰されていた。

 

(1匹だけ先に仕込んでたのか……)

 

お互い、また睨み合う。その時、ハイレインの耳に通信が入った。

 

『ハイレイン隊長』

 

「どうしたミラ、こっちは戦闘中だ」

 

『ここまでです。撤退しましょう』

 

「何があった?」

 

『玄界の兵が、集まり過ぎています』

 

「…………何?」

 

ミラは上空から基地前の様子を見ていた。肉眼で確認できるだけで、レイジ、烏丸、遊真、三輪、当真、奈良坂、古寺、出水、米屋、諏訪、堤、菊地原、歌川が集まっている。

 

「………なるほど、貴様が俺を一瞬でも引き止めた時点で、我々の敗北は決まっていたわけか」

 

流石に、この人数を相手に正面から挑もうとは思えなかった。

 

「分かったら、さっさと退いてくんない」

 

「そうだな。だが、お前は一つミスを犯してる」

 

「?」

 

直後、最大火力を出したかのごとく、ハイレインは色んな動物を出した。

 

「俺たちの捕獲目標は金の雛鳥だけでは無い」

 

「っ!」

 

「代わりにお前にこちらの兵になってもらう」

 

「最近はよくスカウトされるなぁ」

 

言うと、伊佐は自分の首にハンドガンを当てた。

 

「⁉︎」

 

「じゃあな」

 

アステロイドを放ち、自分の首を飛ばして緊急脱出した。

 

 

敵は撤退したのか、追撃はもうなかった。連れ去られたC級は0人とはいかなかった。また、基地に侵入した近界民によって、殺されたオペレーターが6名。

今は2日後、大規模侵攻のニュースがやってる中、伊佐は太刀川隊作戦室で国近とゲームをしていた。

 

「へぇー、大変だったね〜」

 

「ほんとですよ。これで論功行賞貰えなかったらマジでファッキューですからね。そういえば、あれ発表っていつなんですか?」

 

「もう少し先だったと思うよ〜。あと2日くらい?」

 

「ちなみに、どのくらいもらえるんですか?金」

 

「えーっと……ちょーっと待っててね〜」

 

言いながら国近はゲームを中断して資料を漁る。

 

「特級戦功が150万……」

 

「ちょっとトリオン兵駆除してきます」

 

「いやいや、今から行っても遅いから。それに賢介くんも大活躍だったじゃん。大丈夫だよ〜」

 

「そうですかね。結果だけ見たらC級と一緒に近界民から逃げてただけですからね」

 

「そんなことないよ。新型だってたくさん倒してたし、賢介くんがいなかったらもっとC級ちゃんたちは捕まってたよ?」

 

「や、でも特級ほどですかね……多分、いいとこ一級な気もしますね」

 

「いや、でも一級でも80万円もらえるよ?」

 

「あ、ならそれくらいでいいや」

 

「お金もらえるなら何でもいいんだ……」

 

すると、ウィーンとドアが開いた。入って来たのは出水と綾辻だ。

 

「やっぱりここにいたんだ」

 

「あ、ハルちゃん」

 

「最近、嵐山隊の作戦室に全然来てくれないし……。そんなに国近さんが好きなんだ?」

 

「? 何言ってんの?俺が好きなのはハルちゃんだよ?」

 

「…………」

 

顔を赤くして俯く綾辻。すると、出水が部屋に入った。

 

「で、伊佐。緑川とかはどうなってる?」

 

「相変わらず勝負勝負ってうるさいですね。太刀川隊の作戦室は本当に隠れ家にもってこいです。あ、出水さんもスマブラやりましょうよ。柚宇さん弱過ぎて話にならないんです」

 

「んなっ……⁉︎」

 

「お、いいぜ。綾辻もやるか?」

 

「うん。やるー」

 

四人はテレビの前に座った。

 

 


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