俺が綾辻さんの彼氏か   作:杉山杉崎杉田

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第21話

 

イルガーが思いっきり本部に直撃した。ドッと爆発したものの、本部はなんとか堪えていた。だが、それでも二体迫って来ている。

だが、片方のイルガーはバラバラになった。そして、残り1匹となったイルガーが本部に当たった。

 

「基地は大丈夫だ!太刀川さんが爆撃型を堕とした!」

 

「タチカワさん?迅さんのライバルだった人か」

 

「A級一位の……!」

 

すると、ようやく通信が復帰した。

 

『嵐山隊、通信が乱れてすまなかった。新型を仕留めたということだ?』

 

「いえ、仕留めたのは伊佐賢介です」

 

『伊佐くんか』

 

「それに、空閑・三雲両隊員もすでに交戦中でした」

 

『なるほど、先ほどの「人型近界民」というのは遊真くんのことだな?』

 

すると、修が声を出した。

 

「忍田本部長!玉狛支部の三雲です!僕達をC級隊員の援護に向かわせてください!」

 

『C級隊員の?』

 

「避難が進んでる地区の防衛は後に回されると聞きました!その地区にはぼくたちのチームメイトがいます!」

 

『そうか……よしわかった。玉狛の隊員は別行動で……」

 

『待て』

 

そこで、城戸の声が挟まってきた。

 

『C級の援護に向かうのは三雲隊員と伊佐隊員だけだ。空閑隊員には残ってもらおう』

 

「え……⁉︎」

 

『空閑隊員が黒トリガーで戦えば、茶野隊が適敵性近界民と誤認したように、隊員と市民に大きな混乱をもたらす危険性がある。それに、新型に対抗できる黒トリガーを遊ばせておくわけにもいかない。黒トリガーの独断での使用は、非常時ゆえ特別に許そう。だが、こちらの指揮には従ってもらう』

 

「黒トリガー使わなかったらオサムについて行っていいの?」

 

『無意味な仮定だな。ことを望めばお前は必ず黒トリガーを使う。そういう人間だ』

 

「………」

 

『お前は父親に似ている』

 

「……………」

 

「ほーい。了解です。三雲くん、行くよ」

 

伊佐が平気な顔で言うと、全員「空気読めよ……」みたいな顔をした。

 

「……でも伊佐!」

 

「仕方ないよ。俺と修しかいない。俺じゃ力不足かもしれないけど、こう見えて空閑くんと引き分けてるんだからさ」

 

「そうだ、行けオサム」

 

遊真にも言われ、修は覚悟を決めた。

 

「分かった」

 

「じゃあ、頼むぞ三雲くん、伊佐くん」

 

「はい!」

 

「あの、嵐山さん」

 

「? どうした、伊佐くん」

 

「ハルちゃんは、どこにいますか?」

 

「綾辻は学校だ」

 

「………そうですか。じゃ、行ってきます」

 

修と伊佐は援護に向かった。

 

 

移動中。街はトリオン兵で溢れていた。

 

「そこらじゅう、トリオン兵だらけだ……!」

 

「…………」

 

「どうした?伊佐」

 

「なぁ、レプリカはいるよね」

 

『呼んだか?』

 

「思ったんだけどさ、トリオン兵一体一体にトリオンが使われてるんだよね」

 

『そうだ』

 

「他のトリオン兵に比べて、ラービットは高性能過ぎる。おそらく、倍以上のトリオンが使われているはずだ」

 

『その通り、私もさっきのラービットを解析してみたが、相当の量のトリオンが使われていた。こちらの世界にこれほどのトリオンを注ぎ込めば、本国の備えが手薄になる』

 

「しかも、それを集中させずに分散して使っている。捕獲があるとはいえ、ラッドを使ってまでの調査をしていたのに、そんなことを見落とすかな」

 

『四方へのトリオン兵の分散侵攻、ラービットによる隊員の捕獲、本部基地への爆撃、それらの陰に、敵の真の目的が隠されている』

 

「『真の目的』?基地の爆撃も見せかけだったって言うのか?」

 

「そりゃそうだよ。あと一歩で落とせたのは明白だ。それを三発でやめた。本気で潰すためなら、ラービットを一体減らしてその分で拠点を潰した方がいい」

 

「じゃあ、敵は一体……!」

 

「そこで、別の目的を考えてみる。四方へのトリオン兵の分散はラービットを各地に運ぶため、ラービットによる隊員の捕獲は隊員の分散、本部基地への爆撃は、ギリギリ落ちるか落ちないかの寸止めで止めたのは、内部の人間を避難させて、人をあぶり出させるため」

 

「あぶり出させてどうするんだ?」

 

「指揮の一時的妨害か、あるいは……基地の中の人間の捕獲」

 

「それって……」

 

「追い付いたよ」

 

伊佐が睨んだ先には、ラービットがいた。そいつの口から砲撃が出て、街を思いっきり吹き飛ばした。

さらに二発目を放とうとした時、その口の中にメテオラが迫ったので、ラービットは慌てて口を塞いだ。直後、爆発したが、傷はほとんどついていない。

 

「! 正隊員だ!助けが来たんだ!」

 

C級が騒ぐ中、修と伊佐はラービットの前に立ち塞がった。直後、街をぶち壊してモールモッドが来た。

 

「三雲くん、モールモッドを仕留めてからC級、一般人をを連れて避難。俺はこの新型を足止めする」

 

「一人で新型とやる気か⁉︎」

 

「それが最善だよ。いい?モールモッドを倒したら俺を置いて先に行って」

 

「本気か!そんな事したら……!」

 

「このラービットには、遠距離攻撃がある」

 

「!」

 

「少しでも遠くに離れるんだ」

 

「………分かった」

 

修はモールモッドの方へ向かった。落ち着いてラービットと早退する伊佐。

 

「さて、どうしたもんかね……」

 

と、言ってる間に殴りかかって来るラービット。その一撃を落ち着いて伊佐は躱して、背後を取った。

 

(メテオラの直撃を受けても傷がほとんどつかない装甲に、地面を破るほどの攻撃力……18メートルのデストロイガンダムみたいなもんか。まだデータが足りない。初見の相手の時は、慎重になり過ぎても損はない)

 

そう思いながら、後ろに退きつつ、アステロイドを放つ。ラービットは伊佐に突撃した。伊佐はスパイダーを使って空中に逃げる。殴る目標が消えたラービットはバランスを崩して家に突っ込んだ。

 

「うわやっべ……」

 

口に手を抑えながら地面に手を付いて着地する伊佐。距離をとろうと2歩退がった所で、ガラガラッとラービットがバラバラになった家から顔を出した。そして、伊佐に向かって殴り掛かった。

だが、

 

「はいおしまい」

 

ラービットの足元で爆発が起きた。伊佐の仕掛けたメテオラが起爆し、ラービットはひっくり返った。その隙に、スコーピオンで脚を切断。

 

「やっぱり、あれだけのスピードがあるのに、脚に装甲が付いてるわけがない」

 

そして、最後に口の中にアステロイドをブチ込んだ。

 

「……えーっと、本部?伊佐です。ラービットを1匹倒しました。新型は脚が脆いっぽいです。スコーピオンでバラせます。あと、黒というか……グレー?のラービットは口から砲撃が出ます。以上」

 

『了解、報告ご苦労』

 

短い忍田の返答を聞いたあと、伊佐は修に連絡した。

 

「三雲くん?」

 

『伊佐!無事か?』

 

「うん。三雲くんは?」

 

『モールモッドを倒してC級と一般人を連れて逃げてる最中だ。そっちは?』

 

「ラービットは倒したよ。だから安心して逃げて……」

 

と、言いかけた直後だ。倒したラービットから出てきたラッドが門を開いた。そして、新たに色の違うラービットが3匹出て来た。

 

「………前言撤回。超逃げて」

 

嫌な汗が伊佐から流れ落ちた。

 

 


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