バムスターとの戦闘訓練開始。色んなC級が戦う中、伊佐と木虎と修はその戦闘の様子を見ていた。
すると、声が流れてきた。
『2号室終了、記録58秒』
それに、おお!といろんな場所から声が上がる。
「1分きった!」
「すげー……!」
それを聞いて、伊佐は木虎に聞いた。
「1分切るとすごいの?」
「まぁまぁじゃないかしら?ま、私は9秒だったけど」
「へぇ……木虎さんすごいね」
「それより、貴方は並ばなくていいの?」
「あ、そうだった」
伊佐も列に並ぶ。次は遊真の出番だ。
『始め!」』
直後、遊真の姿が消え、バムスターの頭がパックリと割れていた。全員が静かになる中、スピーカーから記録が発表される。
『れ……0.6秒………⁉︎』
呑気な顔して訓練室から出て来る遊真。
「いやいやいや、そんなわけないだろ」
すると、さっきの58秒の奴が遊真を指差す。
「まぐれだ!計測器の故障だ!もう一回やり直せ!」
「ふむ、もう一回?いいよ」
今度は0.4秒。
「縮んでる⁉︎」
ギャーギャー騒ぐC級の後ろで、木虎も修も驚いてると、烏丸が近づいて来た。
「修」
「あ」
「‼︎ か……かかか、烏丸先輩!」
「おう木虎、久しぶりだな」
で、修に向き直った。
「悪い、バイトが長引いた。どんな感じだ?」
「問題ないです。空閑が目立ってますけど……」
「まあ、目立つだろうな。伊佐は?」
「伊佐はこれからです」
「ふぅーん……」
すると、木虎がヤケに顔を赤くして言った。
「か、烏丸先輩……最近、ランク戦に顔出されてないですね。お時間があったらまた稽古つけてください……!」
「や、お前十分強いだろ。もう俺が教えることなんてないよ」
「そんな……私なんてまだまだです」
「ん?そういやお前、修と同い年か」
「? はい、そうですね」
「じゃあちょうどよかった。こいつ、俺の弟子なんだ。木虎もいろいろ教えてやってくれ」
「………⁉︎ 弟子……⁉︎」
目をパチクリさせる木虎。
「で、弟子というと、その……マンツーマンで指導する、的な……?」
「そうそう、そんな感じ。だいぶ先は長そうだけどな」
「すみません……」
「さて、嵐山さんにも挨拶しとくか」
「あ、嵐山さんは向こうです」
二人のやり取りを見ながら、木虎はゴゴゴゴと黒いオーラを発する。
(烏丸先輩の弟子……なんて羨ましい………‼︎)
そんな事を思ってると、修が言った。
「あ、でも伊佐の番ですよ」
「じゃあ、少し見ていくか」
烏丸と修はモニターを見る。
『始め』
声が聞こえた直後、伊佐は動くことなく、ハンドガンをバムスターに向けた。
「あの角度じゃバムスターの弱点には当たらないわよ」
木虎が呟く。烏丸も修もただその様子を見ていた。
バムスターが、ズシンズシンズシンッと走って伊佐に襲い掛かる。そして、チラッと目のほんの一部分が視界に入った直後、引き金を引いた。それが見事に命中する。
「!」
「おお………」
烏丸も修も驚いたような声を上げた。若干、怯んだものの、バムスターは突進をやめない。首を伸ばして伊佐を噛みつこうとする。
それでもまったく動かずに伊佐はハンドガンを三発早撃ち。すべて、バムスターの目に直撃し、煙を上げてズシィンッと倒れた。
『記録28秒』
記録を聞くなり、訓練室を出た。遊真のお陰で目立たずに済んだ伊佐は、さっさと観戦席に戻った。
「あなた、どんな射撃能力してるの……?」
木虎に聞かれた。
「ガンシューで出来た技術」
「極め過ぎでしょ……」
引き気味に木虎が呟いた。すると、京介が伊佐の所に来た。
「中々やるな、伊佐」
「そんなことないです。ゲームの技術です」
「いや、あの角度から弱点をハンドガンで狙撃なんて普通出来ることじゃない。てか、お前やろうと思えばもっと早く終わらせられるんじゃなかったのか?」
「嫌ですよ面倒臭い……。ハルちゃんが見てるならともかく……」
「基準はそこか……。あとお前、なんで狙撃手にしなかったんだ?」
「ゲームで使ったことないので無理です」
「お前の基準……」
呆れられても、伊佐は特に何も思わなかった。
「……よし、お前の強さがまぐれじゃないことは分かった。合格だ」
さっきの58秒が、遊真に手を伸ばす。
「俺たちと組もうぜ。強者同士が手を組めば、より上を目指せる」
どのスタンスで話してんだお前は、と言われても仕方ないレベルで上から目線で言われた。
「おことわりします」
「な………⁉︎や
清々しいほど当たり前の返しをされた。その遊真に、嵐山が声を掛けた。
「三雲くんと組むんだろう?」
「うん、そう」
「……なるほどな」
さらに、別の声が入ってきた。
「風間さん、来てたんですか?」
「訓練室を一つ貸せ、嵐山。迅の後輩とやらの実力を確かめたい」
言いながら、トリガーを起動する風間。
「待ってください風間さん!彼はまだ訓練生ですよ⁉︎」
「ちがう、そいつじゃない。俺が確かめたいのは……お前だ。三雲修」
風間の目線の先には、修が立っていた。
「!」
「………え⁉︎」