博麗の神主?夢だろただの   作:ぬんちゃくティッシュ

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─神主と上海&蓬莱トーク─

上「シャンハーイ、シャーンハーイ(本当にしましたね、咲夜さんの過去の話)」
神「だって、前々回のインタビューで咲夜が変なこと言っちゃうから…」
蓬「ホーライ(とは言えつまらない不可避ですけど)」
神「それは言わないで…結構気にしてるんだから」
上「シャンハーイ(だったらもうちょっといい話作れば良いのに)」
蓬「ホーライ(毎回面白くもない話作ったって誰が読むんです?)」
神「それ前にも言ってたよね…。そんなにつまらなくもないこともない…気がしないワケでも…」
上「シャンハーイ、シャンハーイ(ハッキリしてください、自信ないってハッキリと!)」
神「そこは自信ありじゃないんだ」
蓬「ホーライ。ホーラーイ(あんなのに自信を持たれても困りますよ。少しは自覚したらどうですか?)」
神「でも見てくれてる人は一杯いると思いますよ!」
蓬「ホーライ(幸せな方ですね)」
上「シャンハーイ(キモいくらいに幸せなんでしょう)」
神「そんなこと言っちゃって良いの?僕泣いちゃうよ?」
上&蓬「シャンハーイ&ホーライ(ご勝手に~)」
神「あーんまーりだー!!(泣)」

神主が好かれるときは来るのだろうか?来るとしたら百年後?死んでますね。

では本編どうぞ!





銀のナイフは殺しを嫌う
銀のナイフは殺しを嫌う


───外の世界、某国───

 

─side 十六夜咲夜(今は名前はない)─

 

私は、私が嫌い。もとい、私は、私の力が嫌い。

私の名前はない。年は17。幼い頃からこの能力のせいで虐げられ、忌み嫌われてきた。親にでさえ見捨てられた。私はこの力で誰かを殺してきたワケではない。誰かを傷つけた覚えもない。なのに、人間は自分と異なる″何か″があるとすぐに突き放す。それが常人に有るべきではない力だったらなおさらである。

私は、そう言う人間を目が腐るほど見てきた。その度に私は人間を恨み、失望する。神は、一体私に何の怨みがあるのか?理解できない、私は何なのか?

 

今日も、名も場所も分からない街を歩く。何のために?何を求めて?そんな光はない。ただ、死ぬのを恐れている。生きる価値がないのに、笑える話ね。

 

「今日は奪った金で、パンでも買えるかな?」

 

働き手がないが、死にたくはない。だから、人間を少し脅せばすぐ金が手に入る。いけないことなのは百も承知だ。ただ…。

 

「まだ発起はないわね…」

 

私は能力を持ってるけど、それをコントロール出来ない。いつそれが発起するか分からない。

そう言えば、まだ言ってなかったわね。私の能力は。

 

「…」

 

周りがピタッと動きを止めた、私自身は動ける。つまり、時を操ること。操ると言っても、自分の意思でコントロールしてるワケではないし、時を止めることしか出来ない。それに、止めてから十数秒で解除される。使い勝手が悪い。

とは言うけど、この能力だけでは我が身は守れない。だから、常に手持ちとしてナイフを所持している。昔から使ってるから投げナイフはお手のもの。百発百中の自信はある。

 

そんなことはどうでも良い。今日はこの金で凌ぐ。いつまでこの生活が続くのか…。

 

 

───森───

 

人が集うところから離れて、森の中へとやって来た。やはり、こっちの方が落ち着く。皮肉な話ね。

噂ではこの近くに吸血鬼が住む大きな館があるらしい。また、その吸血鬼の首には巨額な懸賞金がかけられているらしい。

 

「…くだらない。そこまでしてお金が欲しいのかしら?」

 

私だってお金は欲しい。しかし、命の保証のない金は受け取らないに越したことはない。

今日は疲れたから、ここで寝ることにするわ。お休みなさい。明日も頑張って生きるわよ。

 

─翌日─

 

「ぅん…ふあぁぁ…もう朝か」

 

森の中で寝起きと言うのも乙と言うもの、目を開ければ緑に囲まれた少女の姿が…。

 

「うわ!誰よあんた!」

 

「驚かしてごめんなさい。私の屋敷の近くで寝てるものだから気になってね?」

 

屋敷の近く?と言うことは、この小さな子が巨額な懸賞金がかけられている吸血鬼?いやいや、まさか…。

 

「それは余計なお世話と言うものよ。あなたもお家に帰りな、私に纏わないでよ?」

 

少しきつめの言葉を吐き落として森を去る。あんな子供に付き合ってるほど私も暇じゃないし、お人好しでもない。義理もないしね。

 

「………まぁ、多分戻ってくるわね」

 

「お嬢様、ここにいらしたんですか?」

 

「ああ美鈴、近いうちに紅魔館に一人の人間が住むようになると思うわ」

 

「人間が…ですか?」

 

 

───森近くの街───

 

何だったのだろう?あの小さな子は。ちょっとしか話してないけど、口ぶりで分かる、子供ではない。なんと言うか淑女の口調で、落ち着いていた。…まさか本当に。

 

「吸血鬼だとでも言うのかしら?」

 

正直言ってまだ信じていない。あんな幼い子が吸血鬼なんて。それもここら一帯の血を牛耳っていると言う話まで立つのに…。

 

考えても仕方がないわ。目的のない人生、明日生きれるか分からない今、金を集めないと。

 

「……」

 

また周りがピタッと動きを止めた。力が発起したのだ…この状況を目の当たりにする度に自分を殺したいと思う。でも、自分で自分を殺せるほどの度胸はない。情けない話だ。

 

「ねぇ?そこのあなた」

 

「…!!」

 

誰かに話しかけられた!?時間はまだ止まってると言うのに、誰なのだろう?

振り返ってみると、そこには私を見つめる紫色の長髪を靡かせた女性、パジャマみたいなのを着ている等と特徴はいくらでも挙げられる様な外見をしている。そんな女性が何者か、そして何の用で声をかけられたのか、さっぱり理解が出来ない。

 

「この時を止めたのは、あなたなのかしら?」

 

「…そうだったら、なんだって言うの?」

 

「いいえ、別に。すばらしい能力じゃない。大切にしなさいな」

 

再び時は動き出した。動きを止めていた周りの人達が一気に歩き始める。

 

「あんた、それだけで私に声をかけたのか?」

 

「そうね。ちょっと興味が湧いたから。でも気にしないで、…と言っても無駄か。一応自己紹介しておきましょう。でも場所が悪い、申し訳ないけど、場所を移させて頂戴」

 

 

───森───

 

「…!いつの間に!?」

 

「ここなら怪しまれず自己紹介ができるわね。私の名前はパチュリー・ノーレッジ。普通のしがない魔法使いよ」

 

いきなり何なのかと思えば今朝の森へと連れ戻されてしまった。それにその犯人は目の前の魔法使いだと言い張る女。魔女となると森がお好きなのかしらね。

そもそも魔法使いにしがないとかあるのだろうか?

 

「あなたは?」

 

えぇ…?私も名乗らないとダメな感じ?こうやって人と対峙するのも久しぶりだから早くどこか行って欲しいのだけど。仕方ないわ…。

 

「…名前はない。私はただの人間だ。だが、なぜか時を止めれるが、自制出来ない。これで満足か?」

 

早く解放して欲しいにもかかわらず、答えとして首を横に振ったパチュリーとやらはいつになったら私を自由にしてくれるのかしら?心配してくれるのは嬉しいが、今までそんな感情を見せて結局は力を目の前にして敵にする。殺されかけたことだってある。もう誰も信用出来ないわ。

 

「あなた、1回うちに来ない?」

 

「はぁ?何で私があんたの家に行かなきゃならないの?」

 

「良いから。相手のご厚意には従っておくものよ?時には大きな見返りとする何かがあるかも…」

 

そんな都合の良い話は大体我が身を滅ぼす。今まででも腐るほど体験してきた、腐るほど見てきた。…だが、なぜだろう?私の勘は目の前の魔法使いが危険だと言う認識を図っていない。

…この先生きていくためにも、付いて行っても構わないだろうか。

 

「分かった。そこまで言うなら、お前の家に連れてってもらおうか」

 

「良かった、ここで見捨てたくなかったしね。とは言え私の家じゃないけど…」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「別に、行きましょう」

 

 

───紅魔館───

 

「はぇ~、おっきい屋敷に住んでるんだねぇ!」

 

「まぁね。ひとつ正直に言うけど、ここ私の館ではないの」

 

はぁ?てめぇの家ではないのに私は連れてこられたのか?

 

「言い方を変えると、私はここに棲み着かせて頂いてるの。ここの主で私の親友、レミリア・スカーレットに」

 

レミ…リア?どこかで聞いたことがある名だ…。ダメ、思い出せない。

 

「まぁ、まずレミィに紹介するわね」

 

パチュリーに連れられバカでかい屋敷を奥に奥に進むと、玉座が見えてきた、そして誰か座っているようだ。

 

「レミィ!外にこの子がいたんだけど放っとけなくてさ。暫く置いてあげれないかな?」

 

「どんな奴だ?ん?」

 

「あっ!今朝の!」

 

今朝のあの少女が目の前の玉座に腰かけている…。と言うことは、今朝会った少女がレミリア・スカーレットで、首に大量金額が架せられ黒き翼をもつ吸血鬼…。

 

「やはり、戻ってきたわね。手厚く歓迎させて貰うわ。美鈴!?」

 

叫んだ瞬間メイド服を来た朱髪のメイドが走ってきて、レミリアに寄っていく。どうやらメイド長のようだ。

…手厚く歓迎?吸血鬼の館に泊まるのはいくらなんでも危険ではないだろうか?

 

「パーティーの準備が出来るまでゆっくりしていると良いわ。パチェ、この子を…名前は?」

 

「…私に名前はない」

 

「そう…。まぁ、パチェ、この子と図書館にでも行って話でもしてきなさい」

 

結局、よく分からずままパチュリーに付いていき、着いたのは恐ろしく巨大な図書館。そこでまたパチュリーと一対一で話をするとは…。

レミリアの話を一応聞いたところ、とても落ち着いた良さそうな人だったし、全くの見ず知らずの私でも歓迎すると言ってくださった。しかし、この吸血鬼の首には…大きな金がかけられている。今の私の生活は正直言って余裕はない。いつ飢えるか分かったものじゃない。パーティーの中どさぐさに紛れて殺る?でも…。

 

「難しい顔して、どうしたの?」

 

「ぇ?あぁ…別に」

 

思わず顔に出していたか。今までポーカーフェイスで幾度とやり抜いてきたが…一人の少女相手にこんなに考えたのは初めてね。歓迎してくれたから?違う、こんな私に親切にしてくれたから?違う。今までもそう言う人はたくさんいた。けど、奴隷みたいにしたり身体が目的で偽りの親切だったり…。もうワケが分かんない。

 

そうこう考えてるうちにパーティーの時間になってしまった。答えはまだ見出だせてない。でもここでやらなければ二度と訪れなかろうチャンスを逃してしまう。

 

「やるのよ、私!」

 

 

───紅魔館、大広間───

 

パーティーとは言ってもこの館内の小規模なもの。パーティーなのかしら?これって。まぁメイドたちも骨を抜いているみたいだし、パーティーと言えそうね。

わいわいと酒を片手に笑い声が聞こえて気分が高揚する中、私だけ笑えない。酒は未成年飲んじゃダメよ。…レミリアを殺るのは今しかない。でもその一歩が踏み出せない。私って結構なチキンだったのね…。

 

「ねぇ?」

 

「…!!」

 

ビックリした…こうやって深く思い考えてる時に後ろから声をかけるもんじゃないわよ。

声をかけてきたのはレミリアだった。獲物が向こうから来てくれるとは、またとないチャンス!なのに、ナイフを取り出す手が動かない。何かに操られてるワケではないのに…!

 

「あなた、何で私を殺らないのかしら?」

 

「え…?」

 

…今、何て言った?

 

「顔を見れば分かるわ。さっきこの館で初めて会ったとき、あなたは迷ったような顔をしてた。そして今、あなたの表情は今まで私を殺そうと目論んだ奴らの表情だった。私を殺そうとしてるんでしょ?私なら目の前にいるわよ?」

 

「知ったような口を叩きやがって…」

 

言葉を発す同時に時が止まる。なんと怒り任せに意識したら時が止まった!怒りってすげぇ!

また動き出さないうちに背後に回ってナイフを取り出す、殺るなら今しかない!

 

「解除!」

 

「時を操れるのね、すばらしいじゃない」

 

「黙れ。お前の言う通り、私はお前を殺すつもりだ。殺して大金を手にいれる!」

 

「美鈴、ありがとうね教えてくれて。気を使う能力も磨かれたじゃない」

 

自分の首元にナイフを突きつけられても、従者に気を配る…こいつは?

 

「あなたが私を殺せば、あなたは裕福になるかしら?」

 

「あぁ、一生遊べる金が手に入るさ」

 

「そう…。なら、あなたの好きにしなさい。私は、あなたになら殺されても良いわ」

 

…!ダメだ…手が動かない。このレミリアとか言う奴は自らに刃を向ける者に対しても尚笑顔で私の心配をしてくれる…。

 

「どうしたの?殺らないの?」

 

「…!」

 

周りの静けさが気味悪い、そんな中私は一人の吸血鬼を殺そうとしている。人一人殺せないくせに…。

殺意なんて、最初から無かった。私は私のため殺しを働こうとした。情けない、私はとんだボンクラだ…。

首にかけていたナイフを思わず床に捨てる。私は負けた…。こんな親切な人を、私は殺せない…。

 

「…それがあなたの決断なら、私たちは何も言わないわ」

 

「お嬢様!大丈夫でしたか!?」

 

…また1つ、私は居場所を失った。もうどこに行ってもいるところはない。

 

「ねぇ?あなた」

 

「…?何?惨めに負けた私を笑おうっての?」

 

「とんでもないわ。私は、あなたを買いたいの」

 

私を買いたい?どういうことだろう?

 

「あなたを雇いたい。メイドとして、この館に来てもらいたい。ダメかしら?」

 

「…!」

 

自分を殺そうとした者を雇いたいなんて…私は愚か者だ、こんなすばらしい方を、殺めようなんて。そしてこの館に歓迎してくれる。…あれ?目から水が、悲しくなんてないのに…この気持ち…初めて…そして。

 

「…この私を、あなたの下に働かせてください。粉骨砕身、あなたに仕えます」

 

「フフ…。ようこそ、悪魔の館、紅魔館へ…」

 

 

カリスマとは何か?それは簡単で難しいもの。

 

…ただ、言えることが1つある。

カリスマは、欲してなる物ではない。生まれ持った者が生かせるかでカリスマは決まる。カリスマはカリスマであろうとした瞬間カリスマでは無くなる。

そして、レミリア・スカーレット…彼女は至高のカリスマを持っている。

 

 

 

…ハズだったのだが。

 

 

───幻想郷、紅魔館───

 

「フラン!私のプリンは!?」

 

「知ーらなーい。宇宙の彼方にでも消えたんじゃないの?」

 

「嘘おっしゃい!食べたんでしょ!?食べたんじゃなかったらなんだって言うの!」

 

妹様と仲良くなられたのは喜ばしい。しかし、毎日おやつの時間になるとこうなるのは勘弁願いたい。カリスマは…生まれ持った者が生かせるかで決まる…あのときのカリスマはなんだったのかしら…。

 

                終わり

 

 

 

 

 

 

 

 




☆十六夜咲夜の名前の由来

十五夜と言うのがあるのは皆さんご存じの通り。その十五夜の翌夜を十六夜と言うらしい。その十六夜から見て十五夜は昨夜(さくや)である。そのさくやを弄って咲夜と名付けて、十六夜咲夜が誕生したと言う。レミリアにしては良いセンスですね。   (諸説あり)

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