上「シャンハーイ(神主さん、いつまで落ち込んでるんですか)」
神「だって、ことあるごとにキモいだの死ねだの言ってくるんだもん…」
蓬「ホーライ、ホーラーイ(死ねとは言ってませんよ、この世から存在ごと消えてくださいって言いましたよ)」
上「シャンハイ。シャンハーイ(そうですよ。寝ぼけたこと言わないで下さい)」
神「遠回しに死ねって言ってんじゃないか!じゃあ聞くけど、死ねって言う理由は?」
上「シャンハーイ(まずあなたが神主と言う時点で有り得ません)」
蓬「ホーライ(下賤な奴は閻魔の判決の下に地獄へ落ちれば良いのですよ)」
神「そんな物騒なこと笑顔で言うなよ…そしてこっち見て言わないで…俺に言ってるみたいじゃん…」
蓬「ホーライ(はぁ?)」
上「シャンハーイ(あなたに言ってるんですよ?さぁ、今すぐ地獄へ)」
神「うわーん、人形二人がいじめてくるー!」
上「シャンハーイ(あ、走って行っちゃいましたね)」
蓬「ホーライ、ホーライ(どうしましょう?アリスさん)」
ア「ほっとけば良いでしょ…」
神主は果たして白でしょうか?黒でしょうか?あたかも認められないグレーと言うのが出てくるか、それは神主の人柄で変わりますが、恐らく黒ですね(笑)
それでは本編をどうぞ
───白玉楼、縁側───
─side 風籟寺 弘鑾─
「そこまでよ!」
博麗神社で紫BBAとまで呼んだのに一向に現れなかった紫がなぜ今ここに?いったい何を企んでやがる?
「この異変の犯人は幽々子だけど、私でもあるの」
幽々子が犯人なのは最早疑いようの無い事実だ。しかし、紫を含め犯人だと言い張るのはどう言うことか?
「まず、この桜にまた花を付けようと言う事になった件について話すわ。幽々子がこの西行妖の満開を見たいと言ったことを知った私は、幽々子に協力したの」
「ちょい待ち!何でお前が異変を引き起こす側についてんだよ?」
普段異変があれば霊夢を無理矢理にでも行かせたり、俺だって異変解決の増強化を図って連れてこられたハズ、いちいち本末転倒なことをする…。
「…幽々子の生前は私と仲が良かった、知ってるわね?」
「あぁ。だが死後に生前の記憶をスライドするのは許されなかった」
「生前は笑顔だった。楽しそうに話をしてた。常に桜を背に…。でも、幽々子の死を遂げて、亡霊として生きてきた今しがた、本当の笑顔が戻っていないの。だから、桜の樹と妖怪の境界をいじって、妖木に変えたの。そしたら妖夢が覚醒して、花が咲くのは目の前…」
紫の言い分はとても良くわかった。友を思う気持ちは、色褪せる事はない…ということ。だが…。
「ずいぶん自分勝手な…。これは、1人間としては賛同してやろう。だが、1博麗の神主としては、到底許せる事ではない。分かるよな?」
「……」
紫は何も言葉を発さず、静かに小さく頷いた。
「だから、お前を1つの妖怪として、退治する!」
「悪いけど、手加減しないわよ?当然勝てば下界はずっと冬でしょうね」
「お前…本当に大妖怪の賢者なのか?」
「今は、違うわね…。さぁ、始めましょう!」
と、紫は持っている日傘を斜めに振ると、左右に藍と橙が召喚される。どうやら、紫への道は、ずいぶんと長いようだ。
「今さらだが、式を使うのはちょっとずるいんじゃないか?」
「式は私の分身でもあるの。私の力で妖力を埋め込んでるんだから」
…もう紫には何を言っても無駄だ。今に始まったことではないから別に苦では無いが、相変わらず面倒くさい。もう黙って式を相手するしかないようだ…!
─30分後─
式二人は俺の手によって倒された。藍も橙も侮っていたよりも強く、能力が複数覚醒していた事も確認できた。どれもこれも紫が仕向けた事なんだろうか?だとしたら、西行妖、恐ろしい大木だ。
気のせいだろうか?俺らが激しい戦いを繰り広げ、力と力がぶつかる瞬間が数えきれないほどあった。力の衝突は新たな力を生み出す。それを抽出してか、桜がちやほやと花を開き始めた。幽々子自身には何も起こってない所を見ると、妖力がピークを迎え始めた…と言うところ。
これは、まずいな…コイツの力が過剰になって冥界の均衡が取れなくなったら地獄に影響が出てくる。それに、今でも地上の春を吸い上げている。それが中断されるとは到底考えられない。答えは1つだ。
「さて…紫。あとは、お前だけだ」
「さすが、私が睨んだ通りだったわね。私があなたをここに連れてきて、強くなった。そして、今私を追い込む存在になろうとは、あのときの自分じゃ考えられないでしょうね」
「御託は良い。当然、春雪異変の主犯は幽々子だ。しかし、それ以上に叩いておかなければならない存在がある」
「それが、私なのね」
「…お前はこの木に妖怪として境界をいじって妖木へと変えた。だがそれは幻想郷にとっては強すぎる存在となった。お前は知らないだろうが…今、博麗大結界は崩壊しかけてる。それはこの西行妖が問題だからだ。今コイツは、たった1つの能力で幻想郷を破壊してる。"不安定を創る程度の能力"でな。そこでだ。宿し主を倒せばこの木は再び封印されし樹に戻るだろう。この木は、言わばお前の式だからな」
「そう。なら、あなたなら私を、西行妖を止められると言うの?ほんの10年前、あなたを除いた人間3人が私と戦ったけど勝てなかった」
「俺は俺だ。奴らのような弱き人間と違う。博麗の神主としての名と使命を引き継いだ者として、お前を退治するさ」
そして体全体に力を送る。先程の式との戦いで消耗はしたが大した事はない。まずは小手調べからと参ろうか。…とは言うものの、相手は小賢しい手を使う紫だ。何が飛んできてもおかしくはない。体に風穴が出来ないように気を付けなければ。
「はぁ!」
しかし、どれだけ弾幕を打ち込んでみても、本気になった紫はスキマで防げる。俺が言えたものではないが、チートだと思う。しかし、無にする程度の能力があれば、行けるかも知れない!
…だがおかしい。無にしようと力を送り続けているのにスキマは普通に現れる。なぜだ?
「ふっふっふ…、私の能力を無にしようったって、そうは行かないわよ?今私は、境界を操る能力そのまんまを使ってるわ。物を移動させるのにスキマを使わなければならない…なんて固定観念に囚われると、怪我するわよ?」
スキマを使わず物を…つまり力をスキマなしで移動。…まさか、俺の後ろに?
「…っな!!?」
思わぬサプライズだったが、なんとか当たらず避けれた。警戒しておいて正解だった…。紫が覚醒したのはこれだけでは無い気がする。時間もないわけだし、パパっと片付けよう。
しかし、俺の無にする程度の能力がなぜ効かないのか?説明も何も受けていないから分からない。ただ恐らくだが、あくまで境界を操ると言うのはスキマだけのことを言っているのか?でも物を移動させるのも能力のはず。なぜ無にならない?
「事態を掴めてない、と言う顔ねぇ」
当然だ!こんなに事態を掴めないのは、幻想郷に連れてこられる時以来だわ!…懐かしいな。まぁ…考えれば分かるんだろうけど、今はその時間も惜しい。
「今、あなたは私を無にすると言う意思を見せたこと…私が見逃したと思う?私は"境"を操る。あなたは気付いていないでしょうけど、今、あなたの能力の有無の境を操っているわ。当然、有を無くして無にすることもできる。同じことをしていると言うわけ」
「最早何でもアリだな…つまり、今の俺は能力を持たないただの人間。と言うことだな」
…まぁ、予想の範疇だからまだ良いが、戦いづらくなったぞ…。さぁどうする?
「紫、もうやめて」
この緊迫した間に、幽々子が入り込んできた。そこには厨二めいて、おちゃらけた幽々子はおらず、とても真面目な顔をしていた。
「紫、西行妖を普通の桜に戻してちょうだい」
「何でよ!?花を咲かそうと望んだのはあなたの方よ!」
「確かに、私はもう一度満開が見たいと言ったわ。だけど、それが無理なのはわかってる。悪乗りした私も悪いけど、たった1つの小さい望みのために、目の前の親友が崩壊者になるところを見るのは辛いの。桜を咲かせることは無理なのはもう知ってるの、だからやめて」
「幽々子…」
幽々子が涙ながらに紫を止める。友を間違った方向へ進めないためにも声を張ったのだろう。やはり責任を感じてるようだ…が。
「幽々子…内心、映画のヒロインみたいな位置付けになってみんなの好感度が上がる発言をして悲劇の美女…シチュエーションを楽しもう!…ってことか?まぁ口に出さないだけ学んだか?」
「ちょ…言わないでよ!」
「クスクス…やっぱり幽々子は変わらないわね。分かったわ、この異変は諦めるわ。悪かったわね」
ものすごく変な終わり方をしたが、無事解決だな。幽々子が残念キャラに堕落したのは新たな異変だが…。
こうして紫は幻想郷を再築し、怪我をさせたあの3人にお見舞いに行ったそう。
あ…紫に聞いておかなくちゃならないことがあるんだ。
「なぁ紫。お前…神社の棚にあった饅頭食ったか?」
「はぁ?食べるわけないでしょ?いくら私でも人の食料を盗む真似はしないわよ」
…解決した。すべてが分かった…。
「霊夢ぅーーーー!俺の饅頭ぅーーーーー!!」
終わり
やっと終わりました、東方妖々夢。結局最後はド下手くそな感じに終わっちゃいました。それでもよろしくお願いします!
次の話は何にしようか迷ってますが、東方永夜抄か、適当に何か挟むかもしれません。予定がグチャグチャで申し訳ございませんが、以後よろしくお願いします!