いつの日か…   作:かなで☆

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第五十八章【せんせい】

 東の空に美しい朝焼けが広がり、鳥の群れが影を成して優美な景色を作り上げる。

 早朝の空気は夏の気配をほぼ遠ざけ、この先にある厳しい季節を感じさせはじめていた。

 

 「この辺でいいかな」

 小さくつぶやき、辺りに人の気配がないことを確かめてから水蓮は静かに身をかがめ、音をたてぬ動きで印を組む。

 練り上げられていくチャクラの動きを表すように、水蓮の髪が赤く色づいてゆく。

 最後の印を組み、やや深く生い茂る草の中に手を差し入れて、タン…と地に手をつくと、その手を始点にふわり…と風と光が生まれ、草の陰に隠れながら大地へと解けてゆく。

 それがすべて消えるのを見届け、水蓮は一つ小さく息を吐く。

 そしてもう一度違う印で同じ動作を繰り返す。

 結界術が地に張り巡らされ、すぅっと消えてゆく。

 

 一定範囲内への他者の侵入を感知する役割に加え、先に敷いた術を隠す効力を持つ術。

 しっかりとその術のかかりを確認し、水蓮は一つうなずいた。

 「よし」

 「なにが?」

 間髪入れずに背中から聞こえた声に、水蓮はびくりと体を揺らして振り返る。

 そこには少し目を細めて自分を見つめる小南の姿があった。

 「び、びっくりした…」

 まったく気配を感じなかった事に、さすがと驚きと関心を覚えつつ水蓮は立ち上がる。

 「おはようございます」

 「あなた、その髪」

 赤く染まった髪が風に揺れる。

 「あ…。うずまき一族の術を使うと、髪の色がなぜかかわるんです。すぐに戻りますが」

 軽くすくい上げた毛先はすでに少し元の色に戻り始めていた。

 「そう。それで、そのうずまき一族の術で何をしていたの?」

 術を施した草むらに小南の視線が向けられる。

 「結界を張ったんです。少し広めに張っておこうかと思って」

 一つ目に施した術については触れずに話す。

 「あと、練習もかねて」

 「練習?」

 「はい。結界の札は高いですし、自分でできるようになった方がいいと思って」

 「そう」

 小南は姿勢を落とし、草をかき分けて地にチャクラを流し術を確かめる。

 浮き上がる結界術の気配。

 小南が小さくうなずく。

 「変わった術ね。でも、よくできているわ」

 見覚えのないうずまき一族の術ではあるが、効力には問題のなさそうなそれに納得し、すっと立ち上がる。

 「これなら札はいらないと思うけど」

 「そうですか?よかったです」

 ほっと胸を撫で下ろす。

 「それにしても、ずいぶん起きるのが早いのね…」

 朝焼けが少し消え始めた空に目を向ける小南に続き、水蓮もそちらを見る。

 「この時期の朝焼け、好きなんです。それに、早い時間に薬草を摘みたくて。

 乾燥させて使うものもありますから、なるべく早くに」

 先ほど摘んだ薬草を入れた袋を見せる。

 小南はしばらくじっとその袋を見ていたが、ややあって「なるほど」とつぶやきアジトへと向かって歩き出した。

 水蓮もそのあとに続く。

 「あの、小南さん。私今日用事があって近くの町に行くんですが…」

 「なら私も行くわ。やることもなく待つよりはいいわ」

 さして考える時間を持たず小南は答える。

 ほんの少し振り向いた動きに柔らかい香りが揺れた。

 昨日アジトで焚いた香の香りではない。

 小南が元々持っている香り。

 優しいその香りは、しなやかな小南の動きに合わせて、水蓮に揺れ届く。

 女性らしさを感じさせるその空気に、水蓮は少しうれしくなり小さく笑った。

 「何?」

 水蓮の笑みを捉えた小南が首をかしげる。

 「あ、すみません。女性同士でこうして過ごすのは久しぶりで」

 普段そばにいるのはイタチと鬼鮫のみ。

 時折来る他のメンバーも、デイダラとサソリ。

 男所帯の暁の中に身を置いてから今日まで、任務でかかわった女性はいたが、同じ衣に身を包む小南とのかかわりはまた別の物に感じていた。

 少し距離が近いような、不思議な感覚。

 それでも小南は暁の中心人物の一人。

 自分やイタチの事が知れぬよう警戒しなければいけない。

 だがそうは思いつつも、やはり口元が少し緩む。

 「なんだかちょっと嬉しいです」

 「…そう」

 短く返された小南の声が、少し柔らかく聞こえた気がした。

 

 

 簡単な朝食を済ませ、水蓮は小南と共に町へと出掛けた。

 幾度か来ているこの町は、水蓮がはじめて訪れた町。

 すっかり歩き慣れた様子で足を進める。

 「この先にある薬屋に行きます」

 「イタチの?」

 「いえ」

 角をまがり、細い路地へと踏入ながら小さく首を降る。

 「イタチの薬を買いに行くこともありますが、今日は私の調合した薬を売りに行くんです」

 その言葉に小南はやや驚いた様子で返す。

 「取り引きをしているの?」

 「はい。半年ほどまえから、買い取ってくれるようになって。あ、あそこです」

 水蓮の視線の先には、いつもイタチと訪れる小さな薬屋が見えた。

 幾度か来る中で、店主が水蓮の調合の腕を見染め、取引きの話を持ちかけてきたのだ。

 「自分で使うお金は、自分で何とかできたらと思って」

 そう言って笑う水蓮の横顔を見ながら、小南の胸中には感心が浮かんでいた。

 主な取り引き先が決まっている薬屋に、新たに入り込むのは難しい。

 まして、薬は命に関わる品物。

 いかにイタチが長く利用しているからといって、そう容易いことではない。

 「余程質が良いのね」

 思わずこぼれた言葉に水蓮が少し照れて返す。

 「薬屋の方にもそう言ってもらえてます。一応」

 惜しげもなく嬉しそうな笑みを浮かべ、水蓮は外套を外して裏向きにたたむ。

 「名は出さないでください」

 イタチの事だろうと察し、小南は小さくうなずき同じように外套をたたんだ。

 薬屋のドアを開けて中に入ると、すぐに店主の声が飛んできた。

 「水蓮さん!お久しぶりです」

 穏やかな気性の初老の男性。

 いつも変わらぬ優しい笑みに、水蓮は会うたびに穏やかな気持ちになる。

 「クヌギさん。ご無沙汰しています」

 前回来たのはいつだっただろう。

 そんなことを思いながら小さく辞儀をする。

 「今日は桔梗さんではないんですね」

 小南にちらりと目を向け、クヌギは同じように微笑みながら会釈する。

 無言で少し頭を下げ、小南は商品の陳列に目を向け「少し見てくるわ」とその場から離れた。

 その様子を見届け、水蓮がカバンをカウンターに置くと、要件を読み取ったクヌギが「ちょうどよかったです」と、後ろの棚から薬箱を取り出した。

 「昨日全部出てしまったんですよ」

 水蓮の薬を入れるために用意されたその箱の中身は空になっていた。

 「最近評判が上がってますよあなたの薬。苦みが少ないので、特に小さな子供さん用に買われる方が増えてきてます」

 「よかったです」

 カウンターの上に薬を出し並べるその表情には、満たされた笑みが浮かんでいた。

 

 自分の作った物が誰かの役に立つのはうれしい。

 

 かつての夢とは形は違うが、それに近い物を感じ、水蓮は喜びを見出していた。

 「前回より少し多めにいただきますね」

 クヌギは水蓮の薬を選び取り、薬箱に並べる。

 「あ、そういえば…」

 一連の取引を終え、棚に薬箱を戻し、振り向きざまに水蓮に言葉を向ける。

 「例の竹藪は見つかりましたか?」

 「いえ、それがまだ…」

 「竹藪?」

 ため息交じりに応えた水蓮の声に、小南が声を重ねた。

 知らぬ間に後ろに来ていた小南に水蓮がうなずく。

 「はい。竹藪の中に生えるちょっと特殊な薬草があって」

 それも嘘ではなかった。

 クヌギから話を聞き、見つけたら持ち込むと言う話をしていたのだ。

 「そう。竹藪…」

 どこか含んだような、何かを思い出しているような口調で小南がつぶやいた。

 「あの…?」

 黙して考え込んだ小南に水蓮が声をかける。

 小南はハッとしたように顔を上げ、窓の向こうに目を向けた。

 「この町のはずれにも、昔竹藪があったわ」

 「え?」

 同じように窓に目を向けた水蓮に、クヌギが続く。

 「そうなんですか?長くここで商いをしていますが、知りませんでした」

 「かなり山奥だから。それに…」

 フッと瞳が切なげに色を変えた。

 「過去の戦の中で、焼き払われてしまったわ」

 「何度か行ったことがあるんですか?」

 「ええ。子供の頃よく修行に使った場所よ」

 竹藪があったのであろう場所を見つめる瞳が、今度は悲しげに揺れる。

 「そうですか…」

 過去を思い出し口を閉ざした小南を、水蓮は静かに見つめた。

 彼女もまた、様々な痛みを背負っているのだろう。

 そんなことを思う。

 「あ、そうそう」

 クヌギが水蓮に向き直る。

 「あの子はずいぶん頑張っていますよ」

 「イナホですか?」

 脳裏に浮かんだ人物の名を返す。

 それは、以前この町で竹トンボを飛ばしていた少女。

 一緒にいた二人とは兄弟で、イナホは年長であった。

 あの後も何度かこの町で顔を合わすうちに水蓮は彼らとすっかり仲良くなっていた。

 幾度目かに会った時に、水蓮はイナホに頼まれて薬草の調合を教えるようになり、自分がいない時はこの薬屋で面倒を見てもらえるように便宜を図っていた。

 少しではあるが体術も手ほどきしており、いつからか自分の事を『先生』と呼ぶようになったイナホの声が思い出される。

 二つに結んだ栗色の髪。それと同じ色の瞳。そして、愛らしい笑顔が次々と脳裏に浮かぶ。

 「あなたの言うとおり覚えが早い。筋もいいですしね。まだ11歳ですが、先が楽しみな逸材です」

 「本当ですか?」

 弟子というほど多くは関われていないものの、教え子をほめられ嬉しさが溢れる。

 「よかったです。今日は?」

 イナホに会うことも目的の一つであったが、どうやら店にはいない様子だった。

 「今日は、母親の誕生日らしくて休みを取ってるんですよ。でも、午前中は来れたら来ると言ってましたから、もしかしたら…」

 その言葉の後を継ぐように、ドアの向こう…路地に声が響いた。

 「オーナー!」

 「おや、噂をすれば」

 「ですね」

 水蓮は久しぶりに聞くその声に、扉を開けて入ってくるイナホの笑顔を想像した。

 「オーナー!」

 しかし再び聞こえたその声は少し慌てた様子を浮かべ、バンッと勢いよく開けられたドアの向こうから文字通り転がるようにイナホが飛び込んできた。

 「危ない!」

 前のめりに倒れそうなその体を水蓮が慌てて受け止める。

 「大丈夫?」

 「た、助けて…」

 必死に言葉を絞り出し、息を切らしながら自分を見上げるイナホの顔を見て、水蓮は息を飲んだ。

 ほほに鋭い切り傷。そう深くはないが血が滴っていた。

 両の目からはぽろぽろと涙があふれている。

 涙でぬれるその瞳が水蓮を捉え、大きく見開かれた。

 「先生!」

 イナホは驚きを交えてそう叫び、さらに涙をあふれさせる。

 「どうしたの!?」

 「何があったんだい」

 クヌギも慌てて走り寄ってくる。

 小南はイナホが何者かに襲われたと読み考え、ドアに鍵をかけ外の気配を探った。

 「小南さん…」

 どうやら外に危険は追い来ていないようで、水蓮のその声に小南は警戒を解いて小さくうなずいた。

 「先生。どうしよう…助けて…」

 途切れ途切れに発せられる言葉…。

 ずいぶん混乱しているその様子に、水蓮は頬の傷に手を当てて治療してから、イナホをぎゅっと抱きしめた。

 「落ち着いて。大丈夫だから。一体なにがあったの?」

 落ち着かせようと柔らかい口調で問いかける水蓮にしがみつきながら、イナホは震えた声で答えた。

 「お母さんが、さらわれた…」

 「………っ!」

 クヌギも交えて小南と顔を見合わせる。

 「ヤツデとナズナもケガをして。私一人じゃどうしようもなくて。頑張ったけど、けど…」

 こらえきれなくなったのか声を上げて泣き出すイナホ。

 母と弟たちを助けようと戦闘になったのだろうとその様子を思い浮かべる。

 

 どれほど恐ろしかっただろう。

 

 水蓮はイナホの胸中に寄り添うようにそっと背を撫でた。

 だが、あまり悠長にしていられる状況でもない。

 「イナホ。詳しく聞かせて」

 いまだ取り乱した空気を拭いきれぬままではあったが、イナホはしっかりと水蓮を見つめてうなずいた。

 

 

 怪我を負ったヤツデとナズナの事も気にかかり、水蓮はクヌギと共にひとまずイナホの家へと向かうことにした。

 小南は少し思案した様子を見せたが、黙って水蓮と行動を共にした。

 

 

 どうやら家にいたところを襲われたらしく、たどり着いた先では、玄関も部屋も随分と荒れていた。

 「二人は奥の部屋です」

 イナホの案内で入った唯一無事であったその部屋で、弟二人は布団に寝かされていた。

 痛みに顔をゆがめている二人に駆け寄り、クヌギが表情を厳しくする。

 「酷い…」

 ケガは思っていたより深刻であった。

 だが、命にかかわるようなものではなく、イナホの手によってしっかりと処置がされていた。

 「よく頑張ったわね」

 あれほど取り乱した様子を見せながらもきちんとしたその処置に、水蓮は感心してイナホの頭を撫でた。

 「…はい…」

 イナホは瞳に浮かんだ涙を拭いながらうなずく。

 「大きな傷はふさいでおくわ」

 水蓮はチャクラをためた手を順に二人にかざし、体力に支障が出ない程度に治癒してゆく。

 気を失っていた二人だったが、治癒が進むに連れて気を取り直し、うっすらと目を開けて水蓮の姿をその目に映した。

 「センセイ…」

 イナホの一つ下の長男ヤツデの声に末っ子のナズナが言葉を重ねる。

 「せんせー。おかあさんが…」

 姉の言葉がうつり、同じように自分をそう呼ぶ二人の頭を撫で、水蓮は「大丈夫だから」と、笑みを向けた。

 二人は安心したように小さくうなずき、そのまま眠った。

 「先生。ありがとう…」

 弟たちの静かな寝息に安堵し、イナホはずいぶんと平静を取り戻したようだった。

 「もう心配ないわ。話を聞かせて」

 イナホはコクリとうなずき、先ほど起こったことを話し出した。

 

 

 

 襲ってきたのは5人。

 額宛をしていたとの事で、その紋様から小南が『天隠(あまがく)れの里の忍』だと水蓮の知らぬ里の名をつぶやいた。

 そして、相手の忍が母親に向けて言った言葉を聞き、目を細めた。

 「鏡写しの術。間違いなくそう言ったの?」

 少し厳しい口調で小南に問われ、イナホは小さな声で「はい」と返す。

 「その力が必要だから一緒に来いと」

 「そう…」

 「知っているんですか?」

 「詳しくは知らない。でも聞いたことがある。血継限界の一つよ」

 

 その力を狙われて…

 

 イナホは母にその力があることを知らなかったようで、血継限界について説明され驚きを現した。

 「それで、どうするの?」

 小南にそう問われ、水蓮は一瞬返答に詰まる。

 暁の中に身を置く自分が人助けなど、イタチや水蓮の行動に慣れている鬼鮫ならまだしも、小南から見ればおかしなことだろう。

 それでもやはりこのままにはしておけない。

 「助けに行きます」

 

 どんな反応をされるだろうか…

 

 『そんな必要はない』と、怪訝な顔で一蹴されるかもしれない。

 不安がよぎる。

 しかしその予想に反して、小南は小さくうなずき驚く言葉を返した。

 「私も行くわ」

 「え…」

 思いもよらぬことに水蓮は小さく声を漏らす。

 「少し、気になることがある」

 つぶやくように言った小南のその言葉に、イナホが声を重ねる。

 「私も行く!」

 「イナホ…」

 「私ちゃんと体術の訓練も続けてきた。だから、お願い。私も連れていって」

 気持ちはわかる。

 末っ子のナズナが生まれてすぐに父親を亡くしたこともあり、イナホは長女として家族を守ろうという気持ちを強く持っていた。

 水蓮に教えを乞うてきたのもその想いがあってのことだ。

 それなのに弟たちを守れず、母親まで。

 黙って待つことなど、自分自身が許せないのだろう。

 だがどんな危険があるのかわからないところに連れて行くわけにはいかない。

 水蓮は首を横に振った。

 「ダメよ。危険すぎる」

 「そうだよイナホ。やめておきなさい」

 クヌギも言葉を続ける。

 しかしイナホはあきらめずに返す。

 「先生。お願い。私自分の手でお母さんを助けたい!」

 強いまなざしで水蓮を見つめる。

 「でも…」

 「連れて行きなさい」

 水蓮の言葉を小南が遮った。

 「相手の目的が母親だったとはいえ、5人の忍相手に頬に傷一つで済むようなら、自分の身を守る程度の力はある」

 視線を向けられ、イナホはうなずく。

 水蓮も無言でそれを肯定する。

 イナホは体術においても才能を発揮していた。

 「血継限界を持つ者なら、今後も狙われる可能性がある。いつも誰かが助けてくれるわけではない。自分の力で家族を守りなさい」

 まっすぐに向けられた小南の瞳に、イナホは強い声で返す。

 「はい!」

 そして「準備をする」と部屋を出て行った。

 その背を見送り水蓮は小南に目を向ける。

 思いもよらなかった小南の言動。そこにどんな心情があるのか、水蓮には読み取れなかった。

 

 

 だがそれは、小南自身も同じであった。

 

 

 なぜあんな事を言ったのか…

 

 小南は自身の感情が見えずにいた。

 「外で待ってるわ」

 向けられた水蓮の視線から逃れるように、小南は外へと出た。

 

 風が吹き、小南の髪を揺らす。

 

 その揺らぎの中に、不意に幼いころの自分たちの姿がよぎり、小南の胸の奥に小さな痛みをもたらした。

 

 『先生』

 水蓮を呼ぶイナホの声が、そしてイナホの弟達の姿が更に小南の遠い記憶を呼び起こす。

 少しかすみのかかったその記憶の中に、自分たちに忍術を享受した人物の姿が揺れた。

 

 感傷的になっているのか…?

 

 自分に問いかけすぐにかき消す。

 「ばかばかしい」

 ただ水蓮の力を見るにはちょうどいいと思っただけだ…

 

 まだ未熟なイナホを連れた状態で、どう立ち回るのかを…

 

 「それだけよ」

 小南は瞳を冷たい色に染め、もう一度「それだけ」と繰り返した。

 


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