東方忘鏡録   作:雨の日の河童

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酒を交わすは三妖怪

「ふ~わ…。ぬえの奴、遅いのぅ・・・。折角、旨い酒を持ってきてやったというのにあやつは。・・・ふむ、暇じゃしぬえにでも化けるか」

儂の名は『二ツ岩マミゾウ』。とある場所で狸たちを纏めているものじゃ。まあ、そんな大したことじゃなかろう?いまは、若手を育てるため少しの間留守にしておる。他にも、用事があるのじゃが、言わずとも分かるじゃろ?なに、自分の場所が心配じゃないのかじゃと?ふぉっふぉっふぉ!儂は、自身の配下をそんな柔に育てておらんぞ?まあ?もし、儂がいない間に不貞を働くものがいたら・・・みっちり鍛えてやるかのう・・・。

           ポン!!

ふむ、やはりぬえには化けやすいのう。あやつと出会ったのは何時だったか・・・。

まあよかろう。だが、やはり尻尾は出しておかぬと落ち着かんな。完全に隠すこともできるが違和感があるから普段は隠しておらん。まあ、今回だけは驚かす為わざわざ隠すがの。

「・・おーい・・・」

おお!あやつはなんといい時に!ん?後ろに誰かおるようじゃが気にしまい。

儂は木の陰に隠れ脅かす準備を整える。

「お~い、マミゾウー!今来たよ!どこにいるのー?」

「おーい。こっちにおるぞ」

さてさて、どんな反応を示すやら。楽しみじゃ!

「ん?こっちからこえ・・・が・・・・」

「ん?どうした、ぬえよ?鳩が豆鉄砲を食ったよう顔しとるぞ?」

むふふふ!あのぬえがこんな間抜け面さらすとは。これじゃから、騙すのはたまらん!

「どうしたの、八咫?」

「な!?」

ぬえの後ろからぬえが出てきおったじゃと!?

 

こうして、同じ顔が顔を見せあった瞬間だった。

 

 

         ・・・・・・・鵺説明中・・・・・・・

 

 

 

元の姿に戻った彼女の友人は笑いながら感想を述べる。

「いやー、久方ぶりに驚いた!まさか、お主も同じことを考えとったとはのう」

「いや、こっちも驚いたよ」

「・・・」

俺は、ぬえに自分に成れと言われ付いて行ったらさらにぬえの顔が出てきた。

自分でも、何を言っているのか分からなくなりそうだが事実である。

「それで、お主が鏡の付喪神か。儂の名は、二ツ岩マミゾウじゃ。なんでも、ぬえに名を貰ったとか?」

「あ、ああ。俺の名は八咫鏡。この名はぬえに貰った物だが、とても気に入っている。後、呼びにくいだろうから気軽に八咫と呼んで欲しい」

「ふむ、八咫か・・・。確かに、お主にぴったりじゃな。では、八咫よ。新たな友として一杯付き合え」

そう言って、マミゾウは腰に下げていた大きな酒瓶を地面に置いた。ついでに、三つの杯も。

「あ!お酒持ってきてくれたの!ありがとうマミゾウ!!」

「飲んだことないが、その誘い乗らせてもらう」

俺は、この中で一番年下なので酒を二人に注ぐ。

「ほほう?礼儀はなっとるのう。えらいぞ、八咫」

「他の奴は上の立場の者にこうしないのか?それと、子供みたいに扱うな」

「ほっほっほ。儂にしてみればお主は子供じゃよ」

軽く話してみたがこの人に口で勝つのはいくら歳を重ねても無理であろう、たぶん。

「ねえねえ、マミゾウも今回の計画に乗ってくれるよね?」

「うむ。手伝い位はしてやろう」

「やった!じゃあ、乾杯しよう!」

ぬえは注がれた酒を持ち。マミゾウもそれに続く。俺も二人を真似て杯を持った。

そして、

「それでは、新たな友を迎え、計画が成功することを願って・・・乾杯!」

「「乾杯」」

杯を二人と打ち鳴らす。

さあて、明日から都に着くまで楽しみだ!!

 

 

さて、彼らは都で何をしでかすのでしょうか?

はたして、計画は上手くいくのか、楽しみです。

 

 

 


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