東方忘鏡録   作:雨の日の河童

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テストの為、投稿できませんでした。
ちょくちょく、テストが入っているためまた投稿が出来ない時期があるかも知れません。



八雲と神鏡

真視点

「八咫?」

 

異変に気付いた時には既に遅かった。

 

「ん?ああ、どうした。ま・・・」

「お前は誰だ?八咫に何をした!!」

 

以前なら気づけなかった。だが、神に生ったことでわかる。コイツは八咫の皮をかぶった『何か』であると。

 

「・・・やれやれ、面倒になったなどうも」

 

大げさな溜息を吐き、此方を見据える。

その瞬間、とてつもない神気でたたき伏せられた。

 

「がッ!?」

「おとなしくしてろ。全く、時間がないっていうのに・・・」

 

そいつは、何かぶつぶつと言葉を発し、右手に何かを纏いながら私に近づいてくる。

逃げようとするが身体の指一本も動かせずそのまま右手を頭にかざされる。

 

「いいか?こいつは俺と契約をした。あのお粗末な術で中途半端な神に生ったお前を正しい神に昇格させるためにな。その代償にこの身体は俺がもらい受けた」

 

いいな?と物わかりの悪い子供に言い聞かすように私を見下ろしながら傲慢に言い放つ。

そして、もう用はない、とばかりに背を向けて歩いて行く。それを何もできずに見送る。

 

目の前が暗くなったような感覚が私を襲う。

また、独り。

大切な物ばかり手から零れ落ちるような感覚。父も母も、そして信頼していた八咫もいなくなった。

・・・理不尽だ。なぜ、こんなにも上手くいかない?ただ、一緒に居たいと願っただけなのに。なぜ?なぜ?

ああ・・・、理不尽だ。神に生ったのにどこかの誰かがまた幸せを奪っていく。

 

暗い感情に反応したのか偽物がこちらを振り返る。

 

そうだ、なら奪われたのなら取り返せばいい・・・。至極単純な回答。

 

「おいおい。あのクソ鏡…。面倒な置き土産しやがって」

 

ああ、その顔で、その声で私の大切な人の身体で・・・

 

「しゃべ・・・!!」

「はい。そこまでよ」

 

眼の間に扇子が現れ、聞きたくない胡散臭い妖怪の声が聞こえた。

 

「少し休みなさい。私が貴方の大切な人取り返してあげるから」

「・・・うるさい。私だけで十分・・・」

 

この女・・・。いったい何が目的だ?

今まで散々敵意や悪意を隠しながら接触してきた癖に助ける?

訳が分からない。

 

私は、そのまま無視して進もうとして・・・隙間に身体を拘束されていることにたった気づいた。

 

「これはッ!?」

「ほら、いつものあなたなら気づける物も気づけないでしょう?簡単に言うと今あなた足手纏いなのよ」

 

だから・・・そこで見ておきなさい。

そういって、偽物に向かう八雲紫。

 

八咫鏡(神器)視点

 

「はあ・・・」

 

幾ら、妖怪やなりたての神がいようと勝てるわけないのにこいつらは・・・。

何度目かわからないため息をついた。

いい加減にしてほしい。

 

「あら、レディが折角、おめかししてきたのにその反応はあんまりですわ」

「なぁにが、レディだ。妖怪風情が邪魔スンナ」

 

身体がまだ馴染んでいない状態で戦うのはちと面倒だが負けるわけがない。

そのまま、目の前の妖怪を消そうとして・・・自身の中身がずれる感覚に襲われる。

 

「どうかしましたか?顔色が優れませんが?」

「・・・何しやがった」

 

一瞬で、身体の俺とあいつに身体が分かれた。

まるで、境界線をいじくってまだ定着していない俺を引きはがすような力が全体を襲う。

 

「ふふ。さぁ、なんでしょうね?」

 

妖艶に嗤う女妖怪。そうしている間も俺は神格をはぎ取られ本体に帰っていく。

 

(このままじゃ不味いな)

 

ノーモーションで妖怪に神気の霊力弾を放つ。

それを、躱すこともなく空間を捻じ曲げる妖怪。

 

「はあ・・・。全くついてない」

「ええ、ついてないわね。私が来なければもう少し現世を楽しめたでしょうに」

 

はあ・・・?こいつは何いってるんだか。

 

「嫌、ついてないのはお前だよ」

 

 

三種の神器としての力を解放する。

先程とは比べ物にならないほどの神気が空間を支配する。

驚いた顔を浮かべた妖怪。

 

まあ、無理もないか。

 

「さて、仕切り直しだ」

 

 

夜はまだ長い。せいぜい楽しませろ、妖怪。

 

 




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