ガンゲイル・オンライン 〜ピンク色のチビと影を好む死神〜 作:人類種の天敵
10月25日からはモダンの新作ですね!なんかクソゲーだとか言われてますけどストーリーPVだけでも興奮する仕上がりでMP7が出るということで絶対買います。俺が買わねばならぬ!と公園界最強の生物も言ってました。
あれから数日後、GGO世界の自分〝レン〟に似た少女の藍香とその兄、柊の事に興味を抱いた香蓮は倦怠感がさっぱり消えた頃合いで病院に診てもらうついでにーーー否、藍香に会うために病院へ行くことにした。
「……うーん。これ、変じゃないよね?美優ーどう思う?」
『いやー?全然大丈夫っしょ!なんたってコヒーはスタイルが良いから!どんな服でも似合うって!』
その前準備、親友の美優と通話しながら着る服についてウンウンと悩ましげな香蓮を、長年の親友はこれは面白そうだと敏感に察知した。
上手くやれば揶揄えるネタが増えるやも……?と画面の向こうでほくそ笑んだ彼女は知らない。
揶揄えるかもという思惑が、下手をすれば恋愛経験がないために乙女フィルター補正全開で思わず砂糖が吐きたくなるほどの惚気話を聞かされるかもしれない諸刃の剣だという事を!!
『へーへー、で、コヒーや。相手はどんな男よ?』
「へ?」
『やっぱしコヒーのお眼鏡に叶うよーな長身イケメン?かー!高校時代密かに百合ファンクラブが出来てたコヒーがすっかり東京モンに染まっちゃって私は悲しいよー!私の長年の親友はどこに行っちまったのかねえ?』
「ちょ、ちょ、ちょ!?そ、そんなんじゃないってば!しゅ、柊さんは別に……」
『お?へーほー相手はしゅうさんって人ねー。で?で?どんな馴れ初めがあったっていうんだい?そこんところ詳しく聞かせてもらおーじゃんか!うっひひ』
すっかり赤面して慌てふためく香蓮を面白おかしく眺めていた美優だったが、次の香蓮の口から出る言葉によって愉悦漂う流れが変わった。
「………カッコいい……かな」
『………………………………ほへ?』
なんだこいつ、今なんつった?
あの身長をクラスメートから弄られまくって当時彼氏と別れたあたしと男ってやっぱバカだよねー、って話をするほどに男っ気の無かった香蓮からカッコいい……だとぉぉぉぉ!!?
「あ、いや、別に私だからそういうんじゃなくてあの、えと…身長も私より高くてスラッとしてるし、初対面なのに受け答えとかもしっかりしてて……なのに困ったように眉を寄せて笑う顔なんかもギャップがあって可愛い、かも……なんて」
ぐはっ!?(吐血)あの身長を(以下略)香蓮からそんな言葉が出る……だとぉぉぉぉ!!?
『おいおいおいおいおいおいおいおいおいいいいいい!!?おまっ、は!?え!?はぁ!?おま、私のいない東京で何があった!?まさかあの男っ気なしの香蓮からそんな言葉が出るなんて私びっくりしたよ!?こうしちゃいられん!早速香蓮の家の親父さんとお母さんに報告だっ!』
動揺しすぎて食べかけのカップラーメンの汁が飛び散り「あっちぃ!?」と叫ぶ親友が自分の親に報告すると言われては香蓮も平静ではいられない。
「ちょっ!?だから、本当にそう言うんじゃないんだって!もう!」
必死の弁明も目の前の親友の耳に届いているのかどうか……かく言う香蓮自体も否定しているうちのほんのちょっとばかりは今後に期待している部分もあって、その表情はぎこちなく、美優はそこから「ははぁん?さてはコイツ自分自身期待しちゃってんな?」と謎の洞察力を発揮していた。
『名前!その人の名前ってなんて言うの!?香蓮がお洒落に気を使うなんて今から会いに行くんでしょ?ツーショット写真撮ってきてよ!』
「み、美優のバカー!!」
『ちょ、あっ!?ーーー』
強制的に切られた端末の向こうで美優は「やれやれ、やっとアイツにも春が来たんかー……ああん?なんか香蓮に対して腹が立ってきたぞ???こりゃヤツが北海道に帰って来たら存分に揶揄ってやらなきゃ気が済まねえな!」と口を尖らせていた。
………哀しいかなこの篠原美優。実は先日交際して数ヶ月の彼氏と別れていたのでしたーー。
「あーもー!美優のバカバカバカ!うー……今から柊…さんと藍香ちゃんにどんな顔して会えばいいのよ……」
結局香蓮は美優から「ばっきゃろいおめーべらぼーに似合ってんぜい男殺す気マンマンかよああん?女だからウーマンマン?ウーマンウーマン?まあいいかこの魔性の女め!魔性の癖に処女め!魔処女め!」と謎の太鼓判を押されたワンピース姿で病院に行くことにした。
「うー、病院に行くのに攻めすぎちゃったかなぁ?変じゃないよね?」
冒頭と同じセリフを呟きつついざ前進!向かうは都内の病院の二階にある小鳥遊藍香の部屋へ!かつ藍香へのお見舞いとして簡単な果物や花を見繕い戦場に赴く準備は完了した。
「よし、行こう」
後は決戦の地へ向かうのみである。
「………」
高層マンションから気合十分に出て行く長身の人影ーー香蓮の後ろ姿を、ビルの駐車場に停めてあった一台の車から1人の男がじっと監視していた。
そんなことはつゆ知らず、香蓮はこれから会いに行く兄妹を思い浮かべて人混みに消えるのだった。
「香蓮さん可愛いですー!!」
「あ、あはは。そ、そう?かな……」
高層マンションを出た後、香蓮は実によく知った仲の附属高校新体操部ーーーかのGGOスクワッドジャム最終戦でレンを苦しめたアマゾネス集団SHINCの現役女子高生6人に他所行きの服装を絶賛されていた。
「みんなは今帰り?」
「はい!部活が終わったので今から帰ってまたGGOにログインして落ち合う予定なんです!香蓮さんはどこかにお出かけですか!」
新体操部の部長にしてSHINCのリーダーかつGGO世界ではゴツいゴリラ女と評判の《エヴァ》こと新渡戸咲が新体操組を代表して香蓮に質問をする。
「うん、ちょっとね」
その質問に対して照れるような恥ずかしがるようなほんのりニヤケ面で頷いた香蓮に新体操部6人は全員が何かを察した。
あまりの一体感と感の鋭さに彼女たちの背景に『きゅらららーん!!』と某天パの効果音と謎の白い光が発せられた。
つまり、香蓮の隠し事を察したのだ。
「なるほど!香蓮さん頑張って下さいね!」
「応援してます!」
「香蓮さんなら大丈夫ですよー!」
「後で聴かせてくださいね!きゃー!」
「うわー、どんな相手なんだろ?」
「はいはーい!僕はやっぱり香蓮さんに負けず劣らず長身でカッコいい人だと思うんだ!」
手を振りつつ見送られる少女たちの言葉を聞いて彼女たちを見送る香蓮が必死に訂正しようとするも、少女たちの恋バナもとい香蓮が今から会いに行く男性を想像している少女たちにその声は届かない。
「ちょ!?み、みんなー!?」
誤解したまま行かないでー、と手を伸ばすがその手は宙を切り、そこで向かいの交差点で振り返った咲が思い出したように香蓮を見た。
「香蓮さん!今度SJの録画を見ましょう!『レン』としての立ち回りを全部教えて貰いますからね!それじゃあファイトです!」
そして少女たちはまた姦しく香蓮の隣に並ぶ男性像を言い合いっこしてそれぞれの帰路に着くのであった。
「………誤解させちゃったなぁ。私……うぅ、柊さん、迷惑じゃないかなぁ」
半泣きの香蓮。
生来の弱気なメンタル、へたれ腰がここに来て出番は今か今かとを盛大にアップを始めた模様です。
そしてその背後から、項垂れる彼女を見ていた男が人混みを掻き分けて香蓮の背後に迫ると、しょんぼりとした香蓮の肩にポンと手を置いた。
「ひゃっ!?」
「おっと!!?」
気配も予告もなく肩に置かれた衝撃にビクッと身体が跳ね上がった香蓮が小石に躓いて体勢を崩した直後、その身体を優しく受け止める男の腕。
混乱する香蓮の目に入ったのは、先ほどから彼女を悩ませる張本人(?)小鳥遊柊だ。
「っと……。その、いきなりすいません。香蓮の後ろ姿を見かけて、つい、悪戯をしたくなって……お怪我はありませんか?」
「うひゃわ!!?」
間近に迫る彼の胸、首から視線が上がりーー柊の目、鼻、唇、に目が行って、その距離に思わず香蓮の顔が真っ赤に赤面する。
そして身体を支える腕の温もりにますます身体中の体温が上昇していき、「ボンッ」と何かが弾けた音がした。
「だ、だだだだ、大丈夫です!その、し、柊さん!?病院は!?藍香ちゃんは!?」
絶賛パニック中で自分も何を言ってるのか分からない香蓮をポカンと見つめていた柊は今の香蓮と自分の状況を再認識したのか直ぐにキュッと下唇を噛んで赤面した真顔を作り出すとペコペコ謝りながら香蓮から離れる。
「す、すすすすすいません。ほんと、ほんっっっと!しょうもない悪戯をして申し訳ないです!」
「え、いや、全然!その、全然……」
互いにペコペコ頭を下げ、互いにその仕草を見て、2人は可笑しくなってお互いクスクスと笑みをこぼした。
「これから藍香に会いに行くんです。よろしければ一緒に、藍香とお喋りしてくれませんか?」
「はい、是非。藍香ちゃんに会うのが楽しみです」
口数が少なく、表情もあまり変わらない少女藍香に地元北海道の話を聞かせていると、季節が春ということもあり、外は薄暗くなっていた。
「もう、こんな時間ですし今日はここまでですね。藍香、香蓮に挨拶は?」
コクリと頷いた藍香が小さく手を振り、香蓮はそんな藍香の仕草に『レン』とは違う愛おしさを感じていた。
「またね、藍香ちゃん」
「………」
すると藍香は柊の耳元で何かを囁き、柊は目元を緩め、彼女の頭をひと撫ですると、それっきり藍香はベットに潜り込んで静かに眠った。
「楽しい時間はあっという間ですね。外は暗い。近くまで送ります」
そんなに気を使わなくても、と断るつもりの香蓮だったが外は暗く、家路に帰り着く頃には夜に染まり切っているだろう。
流石に夜道の女の一人歩きは危険だ。
それに、柊と並んで歩くことを想像してつい彼の言葉に甘えてしまった。
そうして街頭が照らす夜道を2人並んで歩くと眉を寄せた困り顔なのに笑顔を浮かべた柊が声を上擦らせて笑うのだ。
「香蓮が藍香の話し相手になってくれて……ここ最近機嫌が良いんですよ。なにより好き嫌いが減って言うこともちゃんと聞くようになったって、看護婦さんに褒められましてね。嬉しいやら悲しいやら兄としては複雑です」
どうやら僕だけのお喋りじゃ飽き飽きしてるようだ、と彼は冗談めかして頭を掻く。
「そんな、私で良かったらまた藍香ちゃんとお喋りしたいくらいですよ」
これは本心だ。
藍香は北海道の自然や動物について話すと色素の薄い肌を桃色に染めて無言に続きをせがむのだ。
それが嬉しくて可愛くて。
きっと自分に妹ができたらこんな感じなのだろうかと、兄たちは妹の私にこんな感情を抱いていたのだろうなと、香蓮は酷く納得したしもっと藍香に構いたくなった。
「はは、それはありがたい。きっと藍香も喜ぶ」
そう笑う柊の横顔についつい目を奪われて、香蓮は視界に高層マンションが入るのを見て楽しい時間が終わってしまったのを残念に思った。
そして、その雰囲気を感じ取ったのか、柊は香蓮から一歩離れて頬を掻いた。
「実は藍香から怒られまして。その、照れ臭いんですが……。その、ワンピース、と、とても似合っています?なんというか、その。香蓮にぴったりで……」
「ぁ…………ありがとうございます?」
実は今日着ていたワンピースは美優を東京に招いてショッピングした時に見つけたもので、可愛いフリルやレースをあしらっていて自分には似合わないだろうと思いつつもついつい購入して今日まで着ることのなかった秘蔵の一品であった。
ようやく日の出を見たワンピース姿を褒められ、香蓮は耳まで顔を真っ赤にした。
「では、僕はこれで……それと」
そこまで言って柊は香蓮に顔を近づけると、ボソリと小声で呟いた。
「どうも病院の中から香蓮をつけてる男性がいるようです。藍香はあまり害はないだろうと言っていましたが、くれぐれも気を付けてください」
「!」
そうして顔を離し、ちらりと横目で伺う柊の視線を追うと、そこには確かに1人の男性が立っていた。
「身なりもしっかりしていて、男の僕が言うのもなんですが、非常にカッコいいな……と。それで、てっきり香蓮と親しい知り合いなのかと思いまして」
「ちち、違います!全然知らない人です」
ブンブンと手を振る、冗談じゃない、私の記憶の中にあんな知り合いはいないし恋人なんて年齢とイコールだったのだ。
「そうですか?そうか、それは……良かった」
柊の言葉に「え?それはどういう意味ですか?」と問いを投げかけたかった香蓮だったが柊はペコリと頭を下げるとそのまま踵を返してしまった。
「……どちらかというと、柊さんの方が…って、何言ってるんだろ?私」
少し浮かれすぎたかなとマンションの中に入っていく香蓮は知らないのだろう。
柊もまた香蓮の言葉を聞いて顔を赤くして通行人とぶつかりそうになって頭を下げて謝罪している、などと。
「………」
そして男は香蓮と、柊の後ろ姿をじっと見つめつつ男自身も近くに停めていた車に乗り込み何処かへとさっていった。
この謎の男の正体と男が香蓮に近づいた理由を知る時、香蓮はその出会いと運命とやらと神様がいるのなら神様に対して精一杯の恨み言をぶつけ、聞いてしまったことに対する後悔で頭を抱えることだろう。
ーーーーーあー?どーして?こーなった?……と。
傍目にはイチャイチャしてるように見えますが2人は共に奥手属性なのでまだイチャラブには程遠いです!ちなみに作者はすげーニヤニヤしながらこれ書きました。傍目にはマジで気持ち悪いやつでしょうね!
あとハンドガンのmaxim9に心奪われたので初期設定のHK45デュアルはmaxim9デュアルに変更されます。南無〜