ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~ 作:そらなり
前回言ったように、空也にとって意外?なことが起こりますが、読者の皆さんはプロローグから何となく予想が付く展開になります。
それでは今回も、ごゆっくりお楽しみください。
花陽side
穂乃果たちの張ったポスターの前に一人の少女がいた。
花陽「アイドル……」
学校に遅刻するかもしれない状況でもUTX学園にA-RISEを見に来るほどアイドルが大好きな花陽。
この学校にスクールアイドルが誕生するとは思っていなかったため、その感動はかなり大きかった。
するとそこへ彼女の幼馴染である
凛「かーよちん!」
急に話しかけられてしまいびっくりする花陽。
花陽「凛ちゃん!?」
びっくりした花陽を見て心配しながら、
凛「どうしたの?」
花陽のことを聞いてくる。
アイドルのポスターを見てただけなのだがそれを言うのはとてつもなく恥ずかしかったため
花陽「え! あぁ~、ううん、なんでも……ない」
少し曖昧な感じで答える。
やっと授業が終わったからなのかやけにテンションの高い凛が、
凛「う~、さぁ!帰ろ~」
帰ることを催促する。
花陽も部活に入ってるわけでもないので凛と一緒に帰ろうとするが、
花陽「うん……。ひゃ!」
後ろにすごい気配がした。
花陽の後ろに1人の少女が立った。制服のリボンの色から上級生なのは間違いないのだが、年上にしては、かなり背が低い少女。そう、
にこ「何? これ?」
少しイライラしながら聞いてくる。
花陽は、見たまんまの答えを聞いているわけじゃないと分かったので
花陽「さっさぁ?」
またもやあいまいな答えを返してその場を去った。
side out
空也side
空也と海未は放課後に、穂乃果に呼ばれ穂乃果に家にやってきた。
穂乃果とことりは放課後に何も予定がなかったため今後の計画を練るためにすぐさま穂乃果の家に向かった。
海未は現在入部している弓道部に空也は、そんな海未を一人にしておけなかったので少し遅くに穂乃果とことりと合流する。
ガラッ
空也「お邪魔しまーす」
空也は普段どうりに穂乃果の家に入っていく。
穂乃果の家は、和菓子屋の老舗”穂むら”という店で入り口から店に入ると穂乃果のお母さんがこの店の隠れ名物の四角い団子を食べていた。
高坂ママ「あら、空也君に海未ちゃん。いらっしゃい」
海未は、いつものことだとスルーして本題に入る。
海未「こんばんは、穂乃果は?」
海未の問いかけに持っていた団子を置きながら答える。
高坂ママ「上にいるわよ。あ! お団子食べる?」
つまみ食いの共犯にしようと思ったのか、そんな誘いがやってくる。
しかし海未には、今日の昼に決めたあることがあったため受け取るわけにはいかなかった。
海未「いえ、結構です。ダイエットしないといけないので」
高坂ママ「そう、じゃあ空也君は?」
空也にはダイエットの心配がないと思ったのか今度は空也に問いかける。
それでも空也は、3人が我慢している中で1人食べているのか気が引けたため、
空也「みんなが我慢してるのに俺だけ食べるわけにはいかないのでいいです」
当然の如く遠慮する。
話すこともなくなったので早速穂乃果の部屋に行くことにした。
階段を上り廊下の突き当りから左の部屋にある穂乃果の部屋に入ると
穂乃果 ことり「「練習お疲れ様~」」
昼にダイエット宣言をしていた穂乃果が団子を食べて迎えてくれた。
穂乃果「お団子食べる~」
やはり親子だからなのか真っ先に団子を勧めてくる。
ことり「今~、お茶入れるね~」
穂乃果に次ぎに続けてことりがお茶を入れにかかる。
お茶は、まぁわかるとしてダイエット宣言していた穂乃果が団子を勧めてくるのか?っと空也は思った。
海未「あなた達……」
空也「ダイエットはどうしたんだよ」
するとそこに海未と空也のツッコミが入る。
穂乃果 ことり「「あ!」」
穂乃果とことりは、すっかり忘れていたようで海未と空也の言葉を聞いて唖然とする。
海未は、少し呆れながらさっそく本題に入る。
海未「はぁ~、努力しようという気はないようですね。それで曲のほうはどうなりました?」
穂乃果は、そんな海未の質問を待ってましたと言わんばかりに自信満々に答える。
穂乃果「うん! 1年生にすっごく歌のうまい子がいるの。ピアノも上手できっと作曲もできるんじゃないかなって、明日聞いてみようと思うんだ」
きっと昨日会った西木野さんのことなんだろうと空也が思った。
ことり「もし、作曲をしてもらえるなら作詞は何とかなるよねって、さっき話してたの」
ことりは、空也たちが来る前に話してたことを思い出しながら言ってくる。
海未「あぁ~、確かに何とかなりますね」
海未もなんとなくことりの言葉の続きが分かったのか納得をする。
ここまで言われると何となく想像できるだろう。作詞っという言葉に一番近くにいる人物で穂乃果もことりも海未も知っている人物、そんなの時坂空也しかいないに決まっていた。空也もなんとなく状況を理解したようで、
空也「ま、まさか……」
穂乃果は、空也の続きの言葉が予想できたようで
穂乃果「うん! そのまさかだよ。空也君」
っと自信満々に言ってくる。
ことり「いつか、私たちに最初に見せてくれるって言ったよね」
ことりは、入試前にした話を思い出しながら話しかけてくる。
空也は、約束をした事実と逃げ場がないことを理解した空也は、
空也「はぁ、まぁいいけど。今回は時間がないから、今までに作った詩でいいか?」
今回ばっかりは時間がないので今までで唯一自信が持てるもので今回の状況にあっている詩を出すことにした空也だった。
穂乃果「うん! じゃあ明日持ってきてね」
穂乃果は、約束を守ってくれた喜びと早く空也の作詞への好奇心で目をキラキラさせながら言う。
空也「了解。でも次回からは、新しいのを作るが、その時は海未。手伝ってもらうからな?」
今回だけは、今まで作ってきた詩だが、作詞家を目指す空也にとっては、これからも使いまわしの詩を使うわけにはいかない。
それは空也のプライドに反することだった。そこで空也は、この中で一番文才のある海未に協力をお願いしてみた。
海未「なんで私なんですか!」
海未は何で自分が目をつけられたのかよくわからなかったようで驚いている。空也が協力者を決めた理由としては、ポエムを書いていた海未なら経験がある、そこでこの3人の中の文才がある海未に頼んだのだった。
空也「それは、一番この中で文才があるからに決まっているだろう? まぁ、俺がスランプになったりしたらだから」
この中でことりは衣装づくりに時間を取られ、穂乃果に関しては小学生の時に書いた俳句がとてつもなく残念だったのだ。
『お饅頭 うぐいす団子 もう飽きた』小学生にしては正直すぎる文才に空也は少し心配になるほどだった。
そしてこの言葉も空也のプライドがあったためだった。プロになるのが夢の空也は、なるべく一人で完成させたいのだ。
しかし、一人で時間をかけすぎてもそれは穂乃果たちのためにはならない。そう考えた空也の妥協案であった。
海未「はぁ、わかりました……」
海未もようやく自分の選ばれた理由がわかったようで何とか引き受けてくれた。
空也「サンキュー」
これで何とか、作詞が間に合わないということは何とかなりそうだ。
海未「ですが、ライブまでの練習メニューは私が決めます」
海未は、作詞のサポートをする条件として練習メニューを決めるように申し出た。
穂乃果 ことり「「練習メニュー?」」
穂乃果もことりもなんでそこまで練習メニューを考えなければならないのかがわからないのか首をかしげる。
空也「まぁ、アイドルは体力勝負だからな」
そんな中空也は、海未の考えが分かったようで理由を少し補足する。
海未「そうです。楽しく歌っているようですが、ずっと動きっぱなしです。それでも息を切らさず、笑顔でいる。かなりの体力が必要です。穂乃果、ちょっと腕立て伏せしてもらえますか?」
海未は、自分の言ったことの理由をなるべく簡単に2人に教える。そして、今の穂乃果とことりの現状を教えようと腕立て伏せをさせる。
穂乃果「え? えっと、こう?」
いきなり話を振られるとは思ってなかった穂乃果は、戸惑いながらも腕立て伏せのできる体制になる。
海未「それで笑顔を作って」
そこで海未はもう一度穂乃果に指示を出す。アイドルにはなければならない笑顔を。
海未にそう言われて笑顔を作る穂乃果だが
穂乃果「こう?」ニコッ
海未「そのまま腕立てできますか?」
この海未の指示でもろくも崩れ去ってしまう。
穂乃果「ん~、ん~、あっ⁉」
バタンっという音とともに穂乃果は頭から体勢を崩してしまった。
穂乃果「いった~い!」
体勢を崩した穂乃果は、顔を床にぶつけ鼻を抑えている。
笑顔で腕立て伏せは意外に難しい。日々鍛錬をしている海未は問題ないのだが、運動があまり得意ではないことりと、今までそこまでまともに運動したことのない穂乃果には、厳しい練習になるだろう。
海未「弓道部で鍛えてる私はともかく、穂乃果とことりは楽しく歌えるだけの体力を付けなくてはいけません」
ことり「そっか~、アイドルって大変なんだね」
ことりも海未が言っていることに納得したのかそんなことを言う。
海未「はい。ですから明日から朝練をしたいと思います。神田明神でやろうと思うので6時には来ていてください」
この後穂乃果が起きれるか心配だなど話をしてその日は、解散となった。
次の日海未に言われたと通り神田明神で朝練をしていた。
ちなみに来た順は、空也、海未、ことり、穂乃果の順に来ていた。
穂乃果 ことり「「はっはっはっはっはっはっは」」
穂乃果とことりは、神田明神にある男坂と呼ばれる階段で走っていた。
日ごろあまり運動することが少ない穂乃果たちは、さすがにまだきついようで座り込みながら
穂乃果「は~、この階段きついよー」
ことり「もう足動かない~」
息遣いが荒くなりながら言ってくる。
そんな穂乃果たちに追い打ちをかけるように海未が話す。
海未「これから毎日朝と晩ここでダンスと歌とは別に基礎体力を付ける練習をしてもらいます」
まだ慣れていない体にはとても負荷のかかる練習だが体力をつけやすい練習方法だ。
もちろんこれから修正はしていくがしばらくはこのまま様子を見ることになるだろう。
穂乃果「一日二回も!?」
海未の残酷な宣言に穂乃果は、驚いた顔をする。
海未「そうです。やるからにはちゃんとしたライブをやります。そうじゃなければ生徒は集まりませんから」
海未も時間がないということに危機感を持っているようで早く形にすることを目標にしているようだった。
穂乃果「は~い」
穂乃果も状況が分かっているのでこれ以上文句は言わない。もっとも納得しているとは思えない態度だが。
もうそろそろ時間もいい頃になってきたことに気が付いた空也は、そろそろ終わりにすることを提案する。
空也「今日は後ワンセットやったら学校に行こう」
穂乃果「よし!」
すると穂乃果は、終わりが見えてきてやる気になりことりも穂乃果に連れられてすぐに練習メニューが終わった。
練習が終わり少し休憩していると後ろからと会う女性に話しかけられた。
希「君たち」
それは、巫女服を着た音ノ木坂学院生徒会副会長の東條希だった。
4人「「「「ん?」」」」
急に話しかけられるとは思っていなかった空也たちは、声のするほうに目を向ける。
空也「東條副会長?」
希「ウフフッ」
微笑みながら話しかけてくる希は、何やら少し楽しそうな感じでいる。
穂乃果「その恰好?」
穂乃果は、希の服装に疑問を持ったのか希に問いかける。
おそらくは、バイトだろうと空也は思った。音ノ木坂学院には、アルバイトを禁止にはしていない。ただしっかりと学校側に報告しなければならない。
希「ここでお手伝いしてるんや。神社はいろいろな気が集まるスピリチュアルな場所やからね。4人とも階段を使わせてもらってるんだから、お参り位しとき」
空也の考えは正しく、アルバイトをしているようだった。それにしてもこの人は、何か不思議な力でも持っているのだろうか?などと空也は考えた。
そう……例えば魔法のようなものとか。
ことり「はい。それじゃあ行ってきます」
空也がそんな考えをしている間に希の言ったとおりにお参りに行くことにした。
4人がそれぞれお賽銭をして手をたたく。
パチパチ
穂乃果「初ライブがうまくいきますように」
海未 ことり「「うまくいきますように」」
空也「3人が無事にライブをやり遂げることができますように」
それは、今この4人が心から願っていること。ただライブを成功させたい、ただそれだけのささやかな願い。
神様はこの願いをかなえてくれるのだろうか? そんなことを思いながらも空也は、願わずにはいられなかった。
希「あの4人本気みたいやな」
その後ろ姿を見ながら希が思ったことは、それだけだった。でもその一生懸命さからはどれくらい本気なのかは見て取れた。
そんな4人を見て、希はあることを考えるのだった。
そういえば一昨日の土曜日にえみつんのライブに行ってきました。
盛り上がりは私が今まで感じたことのないほど盛り上がり、私も昨日まで声がまともに出せなくなるほど声を出しました。そして何より距離がとても近くあんなに近くにえみつんがいるのが初めてでとても楽しかったです。
さて、とうとう空也も明確な仕事ができましたね。
これまでは、サポートすると言っていただけで何をするとかは決まっていませんでしたから。
そして実際、裏話ですが高1の時に空也は、3人に作詩の話は全く触れていませんでした。それでも覚えているのですから空也も驚きますよね。
次回『生徒会長の想いそして対立』
それでは次回もお楽しみに。