ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

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どうも、そらなりです。

4月3日に投稿した話のもとになったのが新田恵海2ndシングル『探求Dreaming』。その時からえみつんの曲をベースにした話をちょくちょく書いていきたいと思ったので、このたびまた書かせてもらいました。

今回の話は2,3話かかると思いますが読んでいただけると幸いです。

ぶっちゃけ今回の話は導入回という形でベースにしたところはほとんど見られないと思いますが、楽しんで読んでいってほしいと思います。

それでは、今回も優勝に向けて頑張る穂乃果たちを見ていってください!


第6章 歌姫のアルティメットバトル
μ's同士の戦い!?


空也side

 

 秋もそろそろ中盤ということで、学校行事の中でトップクラスの大きさを持っている体育祭が開かれることになった。文化祭を先にやり、2年生の修学旅行の前にということでこの時期の開催が決まったらしい。

空也「いろいろと準備はしてきたけど……、3人はどうだ?」

 部活もやりながら少しの時間で体育祭の優勝を目的に頑張ってきた。だが、今まで頑張ってきたとしても、今日の状態で今までの努力が生かせるかどうかが決まってくる。

 

 空也の問いかけに穂乃果はあの時の文化祭とは違った表情を見せた。

穂乃果「穂乃果は大丈夫だよ! 種目は海未ちゃんとの二人三脚とパン食い競争と……、騎馬戦。絶対に勝ってみせるよ!」

 勝つためにいろいろと努力はしてきたみたいだが、オーバーワークをしているということはなかったようだ。

 

 実はこの体育祭のチーム分けをした結果、いつも一緒にいるμ'sのメンバーとは別れてしまった。また、ラブライブの予選の結果もまだ出ていないことから集中できないのではと危惧されたが、

海未「えぇ、希たちと凛たちには勝ちたいですからね」

 とあることを決めた結果、それぞれがやる気を出し体育祭の優勝を目指した。

 

 それはいつも心が広いことりまでもやる気にさせるような約束だった。

ことり「うん! ことりも頑張るよ!」

 μ'sの中で決めたのはこの体育祭で優勝したチームは、ほかのメンバーに優勝チームにいるμ'sのメンバー分の命令をすることができるという権利が得られる。それを決めてからみんながやる気になって体育祭に参加することになった。今はわからない結果を気にしていてもあまりいいことはないのだから、楽しめるイベントがある分気が楽になる気がした。

 

 

 ちなみにチームは1年生の1クラスとμ'sのメンバーのいない3年生の赤組、2年生2クラスの青組、3年生のにこと希と絵里がいるクラスの黄組の分かれることになっている。

 

 

 今回の体育祭は決めごとがあるため勝ちへの執念が前回の体育祭よりも強かった。

空也「俺は……、最後の色別対抗リレーと綱引き、あとは短距離走か……。今回つかれそうだな」

 生徒数が前回より少なくなっているため、1人が出る種目が増えることになり明らかに使う体力が増えることになった。

 

 そして男子生徒が少ないこの学校では騎馬戦とか参加禁止になっているためいろいろと考えないといけない。

海未「空也は私たちのエースなのですから、頑張ってください」

 ただ、そのルール以外では男子生徒がどんな競技を選んだって問題はない。そのためある程度の運動が得意な空也は青組にとって重要な選手だった。

 

 それに空也の出る種目にもその期待が寄せられる理由があった。

ことり「そうだよ! 特にリレーは得点が高いんだから、絶対に勝ってね!」

 色別対抗リレーはこの体育祭の最後のプログラム。そしてリレーということでほかの競技よりも点数が高く設定されている。だからそれに勝てれば接戦の状況では逆転もあり得る。

 

 しかもリレーのアンカーは状況によって本当に重要な役割になってくる。

穂乃果「うん! 穂乃果もいっぱい応援するから!」

 だから穂乃果のように空也にはとても大きな期待がかかっている。

 

 その期待を受けてもできる最大の力を発揮しなければならない。しかし、その期待が出てくるのは点数的においていかれていない場合のみだ。

空也「わかってるよ。でも、3人とも頑張ってくれよ? 3位までに入れば得点が入るんだから。どんなに高い得点をとれてもそれまでに点差をつけられちゃ、意味ないしな」

 最後のリレーで逆転できないほどの点差をつけられると走ったところで最後の悪あがき程度にしかならない。そのためにはほかの競技でも点数を取っておかないといけないということだ。

 

 空也の言葉に油断はできないことを再確認してたため、自分の競技たちをしっかりと頑張ることを決意する。

穂乃果「うん! 絶対に勝つよー!」

 もとよりやる気の穂乃果はさらに優勝を目指し目が燃えていた。

 

 そして穂乃果と同じくやる気に満ち溢れている海未は最初の合宿の時のように興奮した様子でいた。

海未「二人三脚は任せてください。アンカーとして最初にゴールテープを切って見せます」

 二人三脚はリレー制で行われ、タスキをつないでアンカーまで巡らせてゴールテープを先に切ったチームの勝ち。そのゴールテープを先に切るためにやる気になっていた。空回りしなければ大丈夫だろう。

 

 そして海未たちはこの日ためにひそかに練習をしていたことをことりと空也は知っている。

ことり「海未ちゃん、穂乃果ちゃん。頑張ってね!」

 今できる最大のことは穂乃果と海未にエールを送ることだけ。それでもその言葉は2人を大いにやる気にした。

 

 そんな話をしているとことりの出る種目が気になった空也は本人に尋ねる。

空也「そういえばことりは何の種目に出るんだっけか?」

 ことりが練習をしているところはあまり見ていなかったため何の種目を選択したのか記憶に残っていなかったみたいだ。

 

 質問をされたことりは自分の出場する種目について話す。

ことり「ことり? ことりは宝探しと借り物競走、あとは障害物競走だよ~。宝探しは見つけたもので得点が変わってくるから頑張るね!」

 練習ができなかったのは、しても意味のないものが多くあったから。障害物競走の障害は驚きをより作るためとかで前日である昨日まで打ち明けられていなかった。だから練習という練習はできなかったみたいだ。

 

 そんなぶっつけ本番で出場しないといけないことりに対して穂乃果は精いっぱい応援することにした。

穂乃果「ことりちゃん! ファイトだよっ!」

 ことり同様に今できる最大のエールを送る。この穂乃果の言葉は不思議と人をやる気にしてくれる、最高の言葉だった。

 

 そんな話をしていると時間は過ぎていき、体育祭が始まろうとしていた。

海未「そろそろ開会式ですね。行きましょうか」

 そのはじめとして開会式があるのだが、その始まりが近づき生徒はみんなグラウンドの中央に集まりだしていた。

 

 新生生徒会として最初の大仕事。体育祭の開会式を成功させるために穂乃果とことり、海未と空也は気合を入れなおし、式が始まるのを待った。

空也「そうだな。穂乃果、生徒会長で団長といろいろ大変そうだけど、やり遂げるぞ」

 その空也の言葉に穂乃果は勢い良く頷き、開会式が始まった。

 

 穂乃果が生徒会長として体育祭の始まりを告げる。その後、選手宣誓があり理事長が前に立つところに穂乃果と絵里。そして凛が団長として前に出ていた。どのチームも優勝への意気込みは十分なようだ。ここから何組が勝つのか、それは生徒たちのやる気次第である。そんなやる気が空回りしないようにこの開会式で全員が準備運動をしてこれからの運動を安全に進めるように準備する。みんなの体がほぐれたことでいよいよ体育祭の開会が終わりを迎えていた

 

1:開会式

2:短距離走

3:騎馬戦

4:宝探し

5:綱引き

6:あめ食い競走

7:パン食い競争

8:ハードル走

9:綱引き

10:借り物競争

11:走り高跳び

12:二人三脚

13:部活動対抗リレー

~お昼休憩~

14:応援合戦

15:仮装リレー

16:大玉転がし

17:玉入れ

18:障害物競走

19:色別対抗リレー

20:閉会式

 

 このプログラムのもと今回の体育祭が開会された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 開会式も終わり、競技が始まった。

 一番最初の競技は『短距離走』。空也が出る種目だ。そしてそれには、黄組からはにこと幹、赤組からは凛とタクトが参加するということだった。

 そして、空也を含め5人が最後に走ることになっていた。

 

 1レーンに凛。2レーンに空也と同じチームの大泉月(おおいずみらいと)。3レーンに幹。4レーンはタクト。5レーンが空也。6レーンがにこという形だ。

 

 ピストルの音とともに空也たちが走り出す。

 

 

 スタートした6人は100m先にあるゴールに向かいだす。にこが若干出遅れているがなかなかに接戦していた。

 そんな中、そこから抜け出すかのように飛び出した2つの影があった。凛と空也だ。凛は最初陸上部に入ろうとしていたほど運動には自信がある。空也はその凛の隣を必死になって走っていた。そのあとを幹が追う形になっていた。

 

 しかしその後ろにいる3人だって逆転できないほどの差は開いてない。まだ逆転の余地はあった。先頭を走っている3人の体力が尽きて失速するかもしれないし、誰かが転んでしまうかもしれない。

 

 ゴールに1番にたどり着くのを目指して駆け出した6人の終わりは、1人の人間がゴールテープを切ったことによって迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果としては1位空也、2位凛、3位タクトだった。あの後、ほぼ感じ取ることができないほどの幹の失速をタクトが逃さず、スピードを上げて追い越しそのままゴールへとたどり着いた。

 空也と凛はそのままのペースどころか中盤でさらにペースアップをして周りが追い付けないほどまでの速さを出した。

 

 

 

 

 

 空也が待機場所に戻ってくると穂乃果と海未が騎馬戦のため入場待機場所に行っていた。

ことり「空也君。お疲れ様」

 そんな中、穂乃果と海未の代わりに残っていることりが1位を取ってきた空也に言葉をかけた。

 

 確かに、空也はあのレースで1位を取った。しかし、それで満足してはいけない。

空也「あぁ、だけど2位以下が赤組だから得点的には負けちゃったけどな」

 なぜならあのレースでは、2位以下が赤組で、そのほかのレースも赤組の入賞量が多かったためだ。

 

 ただ、今出ている結果を見ていたことりはそれほど焦っている様子はなかった。

ことり「今は総合的には2位みたいだし、点差がないから逆転は十分できるよ!」

 それは、前に出されている色ごとの得点板に出されている数字を見たからだった。

 

 

 赤     青     黄

080   060   040

 

 

 この数字を見れば逆転ができないほどの点差じゃないことが救いのように感じられる。こういう個人競技は少し点数が低いが、団体競技になると点数が倍になる。

空也「あぁ、この騎馬戦に勝てれば逆転はより簡単になる……。穂乃果と海未に任せよう」

 そのうちの1つである次の騎馬戦に騎手として出る穂乃果と海未に期待して、空也は自分のクラスの待機列で2人の頑張りを応援することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 騎馬戦のステージは正方形のもの。そして必ずほかのチームより1mは離れている場所にスタンバイして競技が始まった。

 

 この騎馬戦に青組には穂乃果と海未が騎手として参加している。そして穂乃果の騎馬は、ヒデコ、フミコ、ミカの3人で海未の騎馬は同じ弓道部の同級生。

 相手には最もダンス経験が長く、特に体幹が優れている絵里が対象として出場している。油断はできない。

 

 騎馬戦は大将騎を打ち取ったらそのチームは敗北となるルール。三つ巴の決戦となるとどこかの色と共闘して1つの色を倒すという作戦が建てられるのだが、今回の青組にはその申し出をするという考えはなかった。

 

 なぜならそのあとが一番問題になるからだ。

 

 その1つの色を排除した後いつから2色の戦いが始まるのか。それを明確にしていない以上すぐに反撃を食らうか与えるかを考えて目標があやふやになってしまうからだ。そう考えると敵を排除するという単純な目的を遂行していったほうが難易度は上がったとしても統率は取りやすい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてこの騎馬戦にはもう1つの作戦があった。

 

 それが穂乃果の騎馬自身の出陣だ。概ねこの手の騎馬戦になると大将を守るようにして手番を進めるのが常識的なのだが、今回はそれをあえて破りみんなのやる気を上げるという作戦をとることにした。

 

 ただ、それだけでは負けてしまう可能性のほうが断然高いので今回とった戦略としての鍵の部分がヒデコたちの騎馬と体幹を鍛えている海未だ。ずっと一緒に過ごしてきたという3人の息は高校生活の3年間で過ごしてきて得られる一体感を優に超えていた。進みたいほうにはスムーズに進むし、それぞれが行くべきところへの理解ができている。

 

 穂乃果と海未もダンスをして体幹が鍛えられている。ダンスは体幹があればあるほど安定する。そのために体幹トレーニングは絵里が練習を見るようになってから絶対に入ってくる基礎練習になっていたため不安はなかった。

 

 作戦としては海未が正面からやりあっているところに後ろから穂乃果が帽子をとるという形をとっているみたいだった。いわゆる奇襲作戦を今回の騎馬戦で採用した。

 

 また、穂乃果の騎馬が長年一緒にいて団体行動をするうえで息の合った動きを見せてくれるヒデコたちだったためこの作戦に応用が加えられていた。

 

 それが赤組のほかの仲間の騎馬に対してのフォローを穂乃果がするということだ。敵とつば競り合いになっているところに、先に負けないように相手の騎馬を落とす。応用を加えつつ海未が戦い始めたら足音を殺し後ろに回り込んで敵を殲滅する。

 

 しかし、もちろんこの作戦の行動パターンを見極める人が出てきた。それが絵里だ。

 

 絵里はそんな穂乃果たちの作戦を理解したうえで隅のほうで待機していた。きっと即興で作戦を考えて周りだけに伝えたのだろう。数名の騎馬が隅のいる絵里を含め3騎の騎馬がいるところに誘導して打ち取るという方法をとっていた。

 

絵里の作戦もしっかりと成功してみるみる場内から騎馬がなくなっていった。その場内には赤組の騎馬は1つも見当たらない……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やがて数が少なくなってきて残っているのが絵里たち黄組が3騎。穂乃果と海未を含めた3騎だけになっていた。

 

 動き始め、一番最初に動いたのは他の誰でもない青組団長の穂乃果だった。ただ、むやみに相手に突っ込むのではなく、旋回して遠回りをするように絵里のほうに向かって行った。

 そんな行動をした穂乃果に相手の視線は誘導される。

 

 その隙に穂乃果のほうに守りを固めている絵里たちに向かって海未の騎馬が駆けはじめた。ただ、走ったとしても弓道という心を落ち着かせなければならないものをしている騎馬3人は足音を殺して一気に絵里のほうへと向かう。

 

 ここで気が付かなければ穂乃果たちの勝ちとなりこの競技は終わることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、気が付いてしまったものがいた。それも穂乃果たちの作戦を見抜いた絵里だった。

 

絵里(今まで、穂乃果が帽子をとってきたのはこの瞬間のための布石!?)

 

 そんなことを思った絵里はとっさに大声をあげて後ろから海未が来ていることを伝える。

絵里「後ろよ! 穂乃果はおとりだわ! 片方が海未の相手をして!!」

 ただ、後ろというものは騎馬戦において一番厄介な場所になる。すぐに後ろを向くことができないのだ。3人の息が合わないことには。

 

 いくら仲が良くたって考えていることが同じだとは限らない。それを知るのは長い時間をかけて知っていくもの。それをわずか3年でやり遂げることなんて不可能に近い。そういうことを考えて生活していないと。しかもどちらが行くかなんてすぐには決められるわけがない。アイコンタクトを取ってもそれが行くかどうかなんてわからずに戸惑いながらも行動をすることにした。

 

 その結果として後ろを無理に向こうとした2騎の騎馬はその場に崩れてしまい、後ろからやってくる海未に集中した絵里を今までの作戦通り穂乃果が背後から打ち取った。

 

 その間、残っていた穂乃果たちの騎馬はうまく騎馬が倒れなかった場合の時に備えて真正面から絵里の騎馬に向かって行く準備をしていた。

 

 あ、ちなみに凛の騎馬は凛がめちゃくちゃな指揮をして崩れてしまいビリが確定してしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 赤     青     黄

100   150   080

 

 




アニメでは描かれなかった体育祭回!!

あの曲を生かすにはこういった状況がないとだめだと感じたのでちょうどよかったと思います。

今の状況では穂乃果たちの青組が1歩リード。2位に50点差をつけて少し余裕を持つことができたところで区切らせてもらいます。

次回『思考と意地のぶつかり合い』

それでは、次回もお楽しみに!



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