ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

87 / 145
どうも、そらなりです。

今回の話は、ライブ回。そして集まる場面であの2人のキャラクターが登場! いったい誰が出るのか……。あ、登場済みです。

それでは、今回も大きな存在と肩を並べ頑張る少女たちの物語をご覧ください!


予選ライブ!

 ツバサにUTX高校で一緒にライブをしないかと提案され、穂乃果がすぐに快く受け入れてちょうど2週間がたった。今日はいよいよ運命の日だ。ラブライブ予備予選が今日の夜から始める。

 

 

 

 

 

 予選自体が始まるのは夜なのだが、ライブの準備などなどやることが少なくないためμ'sは学校が終わってからすぐにこのUTX高校にむかった。

 そしてステージの様子を見に来た穂乃果と希と空也は屋上から、秋葉の風景を見ていた。

穂乃果「わぁ~、すご~い!」

 確かにビルの中にある学校なのだから高さがあり音ノ木坂学院とは違う感動を覚える。しっかりと鉄柵は整備されていて脆そうな部分もなく安全にこの場所を使うことができるだろう。

 

 そして自分たちの学校を常に見ていると、その違いにどこか感じる部分がある。

希「うちらの学校とは大違いやね……」

 この学校は自分たちの学校とすべてにおいて違うということに希は少し新鮮な気持ちと、羨ましいと思う感情が混じったものを感じていた。

 

 でも、そんなことを感じていたってしょうがない。今自分たちが通っている学校は音ノ木坂学院で、そこが一番大好きな学校なのだから。

空也「この学校は真新しいからな」

 それに、この学校は新設校とまではいかないが開校してからまだ10年もたっていない。新しい技術が詰め込まれたものだ凄みを感じるのは正直わかる。

 

 そんな話をしていたらそろそろ他のみんなが衣装に着替えている時間だと気が付いた空也は、穂乃果たちにその事を告げ、返事を待つことなく待機室のほうに向かった。

 

 

 

 

 

 その時と同じくしてある2つの影がUTXを目指し、向かっていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空也の予想通り凛たちはもうすでに着替え終えていて、にこに至っては入念に髪の毛をチェックしていた。

凛「あ! 可愛いにゃー」

 そんな様子のにこを見て凛が素直な感想を本人に伝える。今のにこは普段絶対にしない髪形をしている。お団子とは違うドーナツのような形のもので新鮮さを感じていた。

 

 そして言われたにこはいつもならここで得意げに胸を張るのだが今のにこはそういった感じではなかった。

にこ「当たり前でしょ。今日が勝負なんだから」

 真剣に鏡の前で何回もチェックをして、少しいつもよりも低い声のトーンで話している。この日にかけていることが十分に伝わってきた。

 

 そんなにこの様子を見て、やる気を出さないわけにはいかない。

凛「よっし! やるにゃ!」

 まぁ、と言っても最初からやる気自体はあったのだが、にこの真剣な声から発せられる言葉はよりみんなの緊張感を高め、いい意味でμ's内の雰囲気が変わった。

 

 そしてある場所ではもう始まっているラブライブの予選のことを花陽がみんなに伝える。

花陽「すでにたくさんの人が見てくれてるみたいだよ」

 サイト自体は公式の人が作ってくれているためそこにつないで映像を流すだけなのだが、そのサイトが今見ている人はもうすでに4桁を終えようとしていた。

 

 そこまでの人が見ているという事実、そしてトップスクールアイドルであるA-RISEと同じステージに立つことでにこの時とは違う、今度は飲み込まれてしまいそうな緊張がμ'sを襲う。

絵里「みんな、なにも心配ないわ。とにかく集中しましょう」

 そこで頼りになるのがこういう場所に何度もたってきたことのある人の言葉だ。コンクールという大勢の人が見てくれる場所。学校の体育館とか、講堂とかよりも多くの人が入る場所でステージに立ったことのある絵里はとても落ち着いた様子で、ほかのみんなに言葉をかける。

 

 その言葉で少しはいつものペースを取り戻したが、気になってくるのは今日ライブをやる場所のこと。

ことり「でも、本当によかったのかな……。A-RISEと一緒で」

 まさかA-RISEとライブをすることになるとは思っていなかった。そして相手が有名すぎるが故に本当に一緒でよかったのかと不安になることり。

 

 だけど、そのライブが決まってからというものμ'sの練習はどこか鬼気迫るものを感じた。

空也「まぁ、一緒にライブをやるって決めてから新しい身近な目標ができた。それに向かって練習できたんだ。成功だったと思うぞ。穂乃果はどう考えていたかは知らんが」

 相手が大きすぎる存在で、注目しているといわれた以上恥ずかしいパフォーマンスはできない。そういうことを無意識か意識的に考えた結果、いつも以上にやる気で練習に励んでいた。そのことを穂乃果が考えて受け入れたのかはわからないがやってよかったとは思っている。

 

 そういう話をしているとはじめてみる衣装を身に包んだA-RISEの姿があった。

ツバサ「こんにちは」

 どうやらツバサたちは十分に準備がでいているようだった。今ここに来たのは同じライブをする初めに挨拶をしておくためなのだろう。

 

 そのタイミングでステージを見ていた穂乃果が戻ってきた。

穂乃果「あ! こんにちは。空也君早いよ~」

 早めにここに戻ってきた空也に少々の愚痴をこぼしながらもツバサが来たタイミングとかぶりこの場所には両グループのリーダーが再び顔合わせをしていた。

 

 そして穂乃果とツバサは向き合いながら話し合いが始まる。

ツバサ「いよいよ予選当日ね。今日は同じ場所でライブはできてうれしいわ。予選突破を目指して、互いが高めあえるライブにしましょう」

 こういうライブは相手を見て負けないようにやる気を出して行うことが一番のライブ作りに必要不可欠だ。いいものにするために協力するといった意味合いを見出すためにツバサは穂乃果に右手を差し出した。

 

 その手を穂乃果は取りながら今回のライブを楽しめるように返事をした。

穂乃果「はい!」

 その声は相手を恐れているような弱い声ではなく、純粋に同じライブに立つ対等の関係として堂々とした声での返事だった。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪穂side

 

 もうすぐμ'sのラブライブの予選が始まる。A-RISEとμ'sの2グループのうち最初にやるのはA-RISEということだったが、まだライブが始まっていないからこその緊張感を亜里沙は感じていた。

亜里沙「あ~ぁ。ドキドキする~。ねぇ、お姉ちゃんたち大丈夫かな」

 ライブでいいパフォーマンスができるか、A-RISEに圧倒されて心が折れないか。そんな様々な不安が亜里沙を駆り立てた。そしてどんなライブになるのかという純粋な楽しみを覚えつつ。

 

 だけど、その亜里沙の不安は雪穂にはなかった。何も心配はしていない。そんな様子であたふたしている亜里沙に声をかける。

雪穂「大丈夫だよ。きっと……」

 そういって雪穂はとあるところを見始めた。そこにあったのは最近毎日のように使っている穂乃果の練習着。ところどころにもう洗っても落ちなくなってしまった汚れがそこにはあった。

 

 頑張ってきた穂乃果たちをしっかりと見届けるために雪穂はパソコンの画面をずっと見ていた。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空也side

 

 ライブが始まった。最初のA-RISEの曲がかかりだすとUTXの下のほうから歓声が聞こえてきた。

 とてもノリのいい曲でそれを歌っている時の彼女たちは堂々としていた。まさに1度頂点に立ったことがあるからこその立ち振る舞いをしながらダンスに歌を披露してみせた。

 

 明らかにトップレベルのパフォーマンスだった。あんじゅの優しさを感じ取ることのできる笑顔、英玲奈の相手を挑発するかのような視線を含んだ表情。そして空也たちに見せたあの真剣な表情とは全然違う、観客を楽しませるような笑顔を見せたツバサ。それぞれの魅力を最大限に生かし、曲としての見せ場も十分にあった。

 

 そして、今A-RISEのライブが終わった。間近で迫力のあるものを見せられてしまった。

凛「直に見るライブ……」

 そのライブに凛は圧倒されてしまっていた。いつもは明るくふるまう凛だが、今はそんな余裕もない様子だった。

 

 いつもあこがれていた存在のライブを間近に見て、自分たちはその同じ場所でライブをやろうとしている。

花陽「全然違う……。やっぱりA-RISEのライブには私たち……」

 

ことり「かなわない……」

 

海未「認めざる負えません……」

 みんながみんなA-RISEのライブに圧倒されていた。こういうライブだと比べられてしまうことが多くあるから余計に気にしていた。

 

 しかし、彼女たちは気が付いていない。自分たちが関係することが故に。

穂乃果「そんなことない! A-RISEにライブはすごいのは当たり前だよ。せっかくのチャンスを無駄にしないよう。私たちも続こう!」

 この状況を穂乃果はチャンスととらえ必死に食いつこうとしている。

 

 そしてほかの8人が気が付いていないことを空也が伝える。

空也「それに、それぞれの個性があるように、チームでの個性もあるんだ。A-RISEの個性とお前らの個性が違う時点で比べるのは違うと思うぞ。隣の芝生はって奴だ」

 そう、人には個性があるようにその人が集まる集合体であるグループにも個性が出てくる。憧れている人たちと同じようなことができたとしてうまくいく場合と、失敗する場合だってある。そうなら自分たちが自分たちのままで最大限のパフォーマンスをしていけばいい。

 

 その言葉を聞くとどうやらみんなはやる気を取り戻したみたいだ。持ち直した8人は穂乃果のほうを見てそのあとの言葉を待った。

穂乃果「それに、A-RISEはやっぱりすごいよ! こんなすごい人たちと一緒にライブができるなんて、自分たちも思いっきりやろう!」

 待っていると穂乃果がみんなに対してよりやる気の上げる言葉を言い放つ。強敵と一緒にライブができることを精一杯楽しもうと、自分たちのできる最大のことをやろうと穂乃果は声を出した。

 

 その発言にみんなはやる気をさらに上げて声を上げる。

全員『おぉ!』

 

 そしてライブ前、いつもの掛け声をやろうとしてみんなが円陣を組む。

穂乃果「よ~し! それじゃ行くよ! μ's ミュージック!」

 ここまで言い終わると後ろのほうから声がかかった。そしてぞろぞろと聞こえてくる足音も。

 

 後ろを見てみるとそこには音ノ木坂の制服を着た生徒が何人も来ていた。

ヒデコ「穂乃果ぁ~!」

 その先頭にはいつも手伝ってくれているヒデコたちの姿があった。

 

 なぜここに入ることができたのかという疑問が思い浮かぶ前に音ノ木坂の生徒がここに来てくれたことをうれしく思った穂乃果はその場で驚きながらも喜んだ。

穂乃果「あ!」

 ここでは10人でやり遂げないといけない。無意識にそう思っていたからこそ、この場所に来てくれたみんなのことをうれしく思っていた。

 

 そして音ノ木坂の制服を着ていない女性が2人この場所に来ていた。1人は金髪のロングヘアーで白いベレー帽をかぶっている初音島でお世話になった人。もう一人はお団子ヘアーの左手の薬指に指輪をしている女性。

 

 そしてここに来たミカは驚いているμ'sに向かって手伝いに来たことを伝える。

ミカ「手伝いに来たよ」

 これ以上にうれしいことはない。自分たちのことを応援してほしいと放送で言ったが、まさかここまで手を貸してくれるとは思いもしなかった。

 

 さらには放送を聞いていなかったさくらと由夢まで来たとなるとそれだけμ'sの輪が広がっていることを実感させられる。

さくら「僕たちもね」

 

由夢「兄さんたちの分まで手伝いました」

 ここにきていない初音島の人たちの分も背負って由夢とさくらはここに来てくれた。

 

 この2人の登場に空也は目頭が熱くなるのを感じていた。初音島からここは決して近いとは言えない距離で来てくれたことに感謝してもしきれない気持ちになっていた。

空也「そうか。ありがとう」

 ただ、今は目の前のライブに集中。そのため短く由夢とさくらに感謝を伝え、穂乃果たちを見送った。

 

 音ノ木坂の仲間が来てくれたからには恥ずかしいパフォーマンスはできない。だから精いっぱいのパフォーマンスをするため気合を入れてステージに向かう。

穂乃果「さぁ、行こう!」

 その掛け声を穂乃果が唱え、みんなが真剣ながらもこれから始まるライブを楽しみにしている表情でステージに上がった。

 

 初期位置についたところで中継が始まる。中継できるのは曲のみ。説明なんかはできない。だから曲の完成度が重要になってくる。

 

 イントロが流れると穂乃果がゆっくりと歌いだす。そのあとを海未と絵里が続く……。そこから一気にテンポが変わり明るい雰囲気を持った曲になった。

 

 間奏が終わると最初に歌いだすのは3人。空也を中心としたグループである海未、凛、希だ。この曲は、このグループは1人でできているものではない。そのことに気が付かせてくれたからこの詩ができた。この歌詞を歌っている時の3人の表情は元気という感じではなく、優しい包み込むような笑顔だった。

 

 そして海未たちの歌う部分が終わり、次に歌いだすのが3人。真姫を中心に作曲をした真姫、にこ、絵里だ。この曲を作るうえでどうしても悩んだのは空也と真姫とことりの3人で、いろいろな支えがあって完成したもの。それでも迷いながら前に進むために立ち上がった。そこを歌う彼女たちの表情は安心したかのような物だった。

 

 真姫たちが歌い終わるとテンポが少しゆっくりになる。やさしくささやくかのように歌うのがことりを中心に衣装を作ったことり、穂乃果、花陽だ。穂乃果がことりを励ました時の言葉と似たようなものをささやくかのように歌っていた。その時の3人の表情は相手を励ますかのようなものだった。

 

 この曲の名前は『ユメノトビラ』。夢に向かって歩く不安な想いを感じながらもその扉を開くことを決意する。そんな感じの曲。START:DASH!!とコンセプトが似ているのかもしれないが、あくまでもこれは自分の中にある扉を開くための曲。そんな感じの曲。

 

 

 

 

 

 曲が終わり、結果ライブは大成功。手ごたえは確かにあった。

穂乃果「ありがとう。みんな」

 終わったことでここに来てくれた音ノ木坂の生徒に穂乃果は感謝する。本当に助かったと心からそう思えたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 UTXからの帰り道にさくらと由夢を送るために付き添って空也は返っていた。

空也「なぁ、二人とも今日はこの後どうすんだ?」

 そこで気になったのは2人がこの後どうするのかだ。もうフェリーは出てないし、そこまで行くにも夜を本島内で過ごさないといけなくなる。だからどうするのかだけを尋ねてみた。

 

 そんなことを聞かれるとさくらは少し考えるそぶりを見せる。

さくら「う~ん。早く帰らないといけないってわけでもないし……」

 今日は金曜日。どうやら仕事も余裕があるみたいだったさくらはそこまで急いで帰る用事はないみたいだった。

 

 ということは少なくとも今日はこの東京にいるということだ。しかもこの回答からしてホテルを予約していたわけでもなさそうだ。

空也「じゃあ、俺ん家来るか?」

 そう感じた空也は自分の家に来ないかと提案をしてみた。

 

 そう言った空也のことを見て由夢は思ったことをさくらに告げる。

由夢「空也さんは安全ですし、いいんじゃないですか?」

 空也という人間がどういった性格なのかは由夢にはわかる。そのことを踏まえての考えをさくらに伝える。

 

 意見が出てさくら自身はその意見を受け入れた。

さくら「そうだね。じゃあお邪魔するよ」

 そういってさくらと由夢は空也の家に泊まってから帰った。

 

 実はUTXに音ノ木坂の生徒が来られたのはさくらが話を通してくれたからという話を空也が聴き、学園長のさくらに若干の呆れと、凄みを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果が出るのはもうしばらく先になる。

 

 




いや~、やっと3話分が終わりましたねー。まさかの由夢とさくらの登場。UTX侵入の裏側にこんなことがあったなんて……。でもない話ではないと思うのでこの展開にさせていただきました。

次回はまたもや曲をベースにした話になります。

次回『μ's同士の戦い!?』

それでは、次回もお楽しみに!



Twitter始めました。
https://twitter.com/kuuya_soranari
どうかよろしくお願いします!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。