ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

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どうも、そらなりです。

今回は絵里と凛の誕生日回。誕生日が近いということで一緒に祝うことになりました!

それでは、恋人と過ごす彼女と趣味の合う彼女の誕生日を盛大に祝いましょう!


ロシア少女と猫娘の誕生日

空也side

 

 合宿が終わり新曲のダンスのほうをだんだんと完成してきたこの時期で、ラブライブ予選前にある大事なイベントがあった。

それはメンバーである星空凛と絢瀬絵里の誕生日である。

 

 いろいろな準備は合宿が終わっていこう少しずつみんなで準備をしてきた。その間に少し穂乃果がナーバスな気持ちになっていたが今となっては今までよりも明るくなってきている。

 

 みんなが万全の状態で2人の誕生日を祝うことになった。各自すでに誕生日プレゼントの準備はできているため、あとはことりの時と同じように2人が部室に来るのを遅らせるだけだった。

 

 そしてそれを頼む人も決まっており、すでに行動に移っていた。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵里side

 

 今日の放課後、絵里は大事な話があるということである男子生徒に声を掛けられていた。

幹「よぅ、絵里」

 その人物というのが絵里の恋人予定の人、中居幹だった。残念ながら幹と絵里のクラスが違うため生徒会を終えたこの状態だと教室に来ないと会える頻度が少し減ってしまっていた。

 

 幹に待っていてほしいと言われたため練習には遅れてしまうが最近はあまり話せていなかったため絵里は少しの間、幹のことを優先しようと考えていた。

絵里「いったいどうしたの? 急に話があるって……」

 今回は幹の頼みで放課後に少し時間をとってほしいとのことだったためどんな用事があるのか絵里は幹に聞いてみる。

 

 そのことを聞かれた幹は少し恥ずかしいのか頬を掻きながら答える。

幹「いや……。この前、俺たちの生徒会としての任期が終わっただろ? 俺は活動にあまり参加できなかったけど、生徒会長として一番頑張っていた絵里に、何かしてあげたいって思っただけだ」

 幹はそれほど認知されているわけではないが生徒会役員でこの学校が共学になったことへの一番の後見人だった。しかし、少ない男子生徒ということで教師からいろいろと手伝いを迫られることが多かったため生徒会の仕事にはあまり参加できていなかった。そんな生徒会役員だった幹は今まで頑張ってきていた絵里に何か一言いいたいと思い今日絵里を引き留めた。

 

 急にそんなことを言われると恥ずかしくなる絵里は顔を赤くしながら幹に言い返す。

絵里「そんな……。別に気にしなくていいのに……」

 確かに幹は生徒会の仕事にはあまり参加してくれなかった。いやできていなかった。しかし、どうしても絵里が仕事をすることができないという時に一番仕事をしていたのが幹であることを絵里は知っている。

 

 絵里は知っているから気にしなくてもいいというが、幹にとっては何もできなかったのと同義であった。

幹「さっきも言ったけど俺は生徒会としてあまり支えてやることができなかったんだ。せめてもの罪滅ぼし……みたいなものだから」

 支えることができたのは人気が終わるころの時、絵里がμ'sに入った時からでそれまではいろいろと作業に参加することができていなかった。そのためどうしても何かをしてあげたいという想いが強くなっていた。

 

 そして今の状態の幹に何を言っても聞かないことは絵里がよく知っていることだった。

絵里「……こうなった時の幹は頑固だったわね。それは穂乃果みたいに」

 身近な穂乃果と同じように頑固で自分の決めたことには疑わずに突き進んでいく。だから幹はあの時に絵里に告白することができて、そういう一面に絵里は惚れているのだ。

 

 もうばれてしまった一面を否定する気もなく幹はそのあとも言葉を続けた。

幹「まぁ、譲りたくはないかな。ふぅ~、1年間お疲れ様。何もできなかったけど会長として頑張っていた絵里が好きだった。だからお疲れ様」

 1年間努力を間違った方法でしてしまったときもあるけど絵里は生徒会長としての仕事を全うした。そのことにねぎらいがなくてはいけない。どんなつらいことがあっても続けられる精神力は称賛しなければもったいない。だから幹は恥ずかしがりながらも言葉にして絵里に届けた。

 

 ただその場面で絵里の気になる部分があった。

絵里「え……? 好き、だった?」

 過去形で絵里に好きと伝えてしまったこと。当然それは幹の本心ではなく間違えていってしまったことなのだが、それをわかっててもなお弄るためににやにやと微笑みながら幹に訊ねる。

 

 絵里にそう言われてしまった幹はそれをまともに受けてしまったようで、

幹「え、あ、いや……、それは言葉の綾というかなんというか……。もちろん今も好きだ! 大好きだ!」

 そのあとも挽回するかのように大声で好きであることを宣言した。これから恥ずかしくなることなんて思いもせずに。

 

 そんな大慌てする幹を見て我慢ができなくなった絵里は吹き出すように少し笑った。

絵里「フフッ。冗談よ。ありがとう。廃校も阻止することができたし、生徒会長としての仕事も終わり。少し寂しい気がするけどいろいろと肩の荷が下りたわ」

 今までの絵里には少し余裕というものがなかったが今は何も考えずに巣の笑顔を見せるようになっていた。

 

 しかし、絵里にはアイドルとしての活動もこれから残っている。そしてそれがハードであることも幹自身は理解しているつもりだった。

幹「少しはゆっくりしてくれよ? ……ちょっとは俺との時間を作ってくれると嬉しい、かな」

 そのため少し心配になり、ちょっとした自分の持っている願望を少し漏らす幹。

 

 それを少しそっぽを向きながら言ってしまったのがダメだったようでまたもや絵里に弄られそうになる幹。

絵里「……なんか今日の幹はかわいいわね。いじりがいがあるわ」

 絵里は少し面白いことを思いついたかのように幹に語りかけてくる。今の絵里の表情は小悪魔のように少し魅了的なほほえみを浮かべていた。

 

 そんな絵里に少し心を打たれながらも今の幹には羞恥心が上回りとにかく現状をどうにかすることしか頭になかった。

幹「恥ずかしいんだからあまりからかうな! まったく……。あ、それとこれ。お疲れさまということでプレゼント」

 流れを変えるように幹は自分の持っていたカバンから長方形の箱を絵里に渡す。

 

 その箱にはラッピングされている場所とされていない場所がありされていないところから中身が見えるようになっていた。

絵里「ハラショー! おいしそうなチョコレートね!」

 そしてその箱の中にあったのが絵里の大好物であるチョコレート。透明なケースに入っているからどんなものかを一目で見ることができる。

 

 このプレゼントを選んだのはただ単に絵里の好物だったからではなく、

幹「あぁ、これからリラックスしてほしいからな」

 チョコに含まれている糖分でリラックスしてほしいと思ったからの選択だった。そして好きなものを食べるということで精神的疲労の回復にもなるだろうと思いプレゼントを渡した。

 

 もらった絵里は嬉しそうにそのプレゼントを輝く目で見つめている。

絵里「ありがとう! 幹。ってそろそろ部活に行かなきゃ……」

 感謝をする絵里。幹の手を握りながらしているのだがその時教室にかかっている時計に目が行った。そしてそこにある時間を見ると部活がもう始まっている時間のため早く部室に向かおうとする。

 

 その言葉を聞いた幹は自分の付けている腕時計を見て少し考えてから絵里に、

幹「あ~……。うん、頑張って来い! 絵里」

 元気に部活に行く絵里を送り出す。

 

 すると絵里は短く幹の言葉に反応して、

絵里「えぇ」

 教室を出る前に幹の頬にキスをしてから笑顔で部室に向かって走っていった。

 

 幹はその場でキスをされた頬を手で触りながら顔を赤くしていたという。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凛side

 

 帰りのホームルームが終わると突然隣の席の星空タクトが凛に話しかける。

タクト「ねぇ、凛ちゃん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」

 隣に座っているタクトは凛に向けて何かを質問してくる。

 

 放課後、急に引き留められることなんて今までなかったため凛は少し疑問を持つが、

凛「何かにゃ? 凛にこたえられることならなんでも答えるよ?」

 珍しいことでもあり、また自分を頼りにしてくれるのがうれしくなってかなり乗り気で話を聞く。

 

 今回タクトが凛に聞こうとしている内容はそれほど大した内容ではないので張り切られると少し場違い感が出てしまうため、いうのをためらってしまうが、

タクト「えっと……おすすめのラーメン屋さんを教えてほしいんだ。近場以外で」

 意を決して凛にその質問を投げかけてみる。自身の好物でもあり、凛の好物でもあるラーメンのおいしいところを尋ねるタクト。

 

 ある制限を付けながらも尋ねた質問に凛は少し目を輝かせながら、

凛「近場以外で?」

 その条件の意味を尋ねることにした。

 

 何の意味もなく近場を除いたのは理由がある。

タクト「うん。ここら辺の店には全部行っちゃったから新しい店を開拓したくて」

 この学校に転校してきてからかなりの時間を過ごしてきた。そのため街を見て回って地形を覚えなくてはならなかったためいろいろ歩いていたのだが、その時に近場の店を全部回ってしまっていたため変化が欲しくなったタクトはいろいろなラーメンが好きな凛に訊ねることにした。

 

 食事処を尋ねるときに簡単に意味が伝わる開拓という言葉を聞いて凛はある程度の話の流れを察した。

凛「そうなのかにゃ! ラーメンのことなら凛に任せて! じゃあタクト君の好みのラーメンってどういうのかにゃ?」

 自分が好きな料理のおすすめを聞かれると嬉しくなり、高めのテンションを維持してタクトの希望しているものを聞いてみる。

 

 少し悩むタクトは腕を組みながら自分の好きなジャンルのラーメンを考えるタクト。

タクト「うーん。家系かな……。がっつり食べたいときとかによく行くね」

 すると思いついたものを凛に伝える。いろいろなラーメンがある中でそのジャンルがタクトの好みだった。

 

 いろいろと考えが絞られてくる中どんなものがタクトの希望通りの店にあたるかを考える凛。

凛「家系で近場以外……。都外とかになっちゃうけど問題ないかにゃ?」

 何か一つ考えが思いついたようでちょっとした問題点があるためそれがいいのかを尋ねる。

 

 その問いに関して問題はないようでタクトはすぐにうなずく。

タクト「問題ないよ」

 

 両省が取れたことで凛は思いついた1つの店をタクトに教える。

凛「えっとね……例えば芳村家とかかな? 家系ラーメンの発祥の店なんだって!」

 元祖といえるラーメン屋の名前を凛はタクトに教えた。

 

 その名前を聞いた瞬間に驚きの声を上げるタクト。

タクト「へぇー! 発祥かぁ……。そういえば知らなかったな。それでその店はどこにあるの?」

 好きではあったがそこまで深くは調べてはいなかったためラーメンについての知識が豊富である凛に完成の言葉を上げた。

 

 どこにあるかと聞かれ記憶の中にあるその店の地図を思い出しながら説明を始めようとする。

凛「えっと、横浜にあるんだけど、口では説明しづらい場所にあるんだよね……。スマホで調べれば出るとは思うけど意外にあそこ入り組んでるから言ったことがない人はなかなかたどり着けないかも……」

 そんな中どうしてかナビを見てもGPSが不安定なのか自分がいるはずもないところにいることがあったりでたどり着けない場合が多い店としても有名であることをタクトにも教える。

 

 土地勘があまりないため気ままに行くということができないタクトはいけないことに残念がり、

タクト「そんな……。食べてみたいな……」

 その場で項垂れてしまう。

 

 そんなタクトを見て凛はあることを思いついた。

凛「あ! じゃあ凛が一緒に行けばいいんだよ! そうすれば凛が知ってるから迷わないし、特にどこがおすすめなのかを食べながら説明できる!」

 いったことのある、そして未知の覚えている凛が一緒に行けばいいということを思いついてそれをタクトに伝える。

 

 しかし、今の凛はラブライブの予選を控え、忙しい身である。

タクト「大丈夫なの? 凛ちゃん。確かそろそろラブライブの予選じゃ……?」

 そのため大丈夫なのかどうかが不安になり凛自身に訊ねてみる。

 

 確かにラブライブを目指しているため忙しいことには忙しいが、毎日が付かれて動けなくなるほどの練習をしているわけではない。

凛「何も毎日一日中練習してるわけじゃないにゃ。午前練習とかもあるから、その時に一緒に行こう! 凛も久しぶりにあのお店のラーメンを食べたいから」

 無論、練習も体に無理がないように、倒れることの内容に考えてあるため楽な練習の時は必ず存在するためその日に息抜きとしていくことができるのだ。

 

 直感的に凛の言ったことがウソではないと判断することができたタクトは、

タクト「じゃあお願いしてみようかな。俺はいつでもいいから都合が付いたら教えて」

 そのことにうれしくなり笑顔で凛にその当日の案内をお願いした。そしてこのことで凛のスケジュールを聞くことが前提になった。

 

 ラーメンが食べられるということが決定した凛も喜び笑顔になり、

凛「わかったにゃ! でも絶対に予選前にはいくから予定は明けておいてほしいにゃ!」

 ある程度の期間を宣言して一緒にラーメン屋に行くことを約束した。

 

 今後のスケジュールが大まかに決まり、今回のタクトの問いかけに快く答えてくれたことに感謝するタクト。

タクト「了解。凛ちゃん。ありがとうね」

 自分だけではどんな店がおいしいのかが分からなく聞けるようなラーメン好きがあまりいなかったためタクトはうれしくなっていた。

 

 だけどそれは凛も同じだった。

凛「こちらこそだにゃ。これで久しぶりにあの味が楽しめるから。凛にとってもうれしいことだにゃ!」

 あまり身近にラーメンについて話せるような友人がいなかったためタクトの存在はすごくうれしかった。

 

 これからの予定に胸を躍らせているタクトは、

タクト「うん! じゃあ楽しみにしてるよ!」

 凛に向けてそう口にした。

 

 言われた凛は自分がそのラーメンを食べて感じた時のことを思い出しながら、

凛「おいしいからたまげると思うにゃ!」

 どんな反応をタクトがするのかを楽しみにしながらそう言った。

 

 確かに自信を持っている凛の推すラーメンに期待を持ったタクトは、

タクト「それは楽しみが増えた……。あ、そういえば部活って大丈夫なの? かなり引き止めちゃってたけど……」

 そう告げながらちらりと時計を見てから凛に部活のことについての話を持ち出す。

 

 タクトにそう言われると教室に備え付けてある時計を見て凛は、

凛「あ! 完全に遅刻だにゃ! ごめん。凛先に部室行くから、また明日ね!」

 遅れてしまっていることを思い出して、大急ぎで部室に向かおうとする。

 

 遅れさせてしまったのはタクトが原因でもある。

タクト「俺も行くよ。遅れさせちゃったのは俺が原因だから。それに話したい人もいるからね」

 そのため怒られると思っている凛に付き添うことを申し出て、凛についていこうとする。

 

 その提案は願ったり叶ったりだった凛はすぐにそのことを受け入れ、

凛「それは助かるにゃ! じゃあ早く部室にレッツゴーにゃー」

 タクトの手をつかんで凛は大急ぎで部室に向かった。

 

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空也side

 

 部室でことりの時と同じように飾り付けをしている。今回は2人いないためそこを考えての作業をしなくてはならないため少しバタついていたが何とか飾り付けを終えることができた。

空也「何とか完成したかな?」

 時間がない中で装飾を完成させることができたことに少しほっとしながら空也は呟く。

 

 勿論早くに終わらせることができたことでほっとしているのは空也だけでなく、

希「そうやね。今回も花陽ちゃんが大活躍やったし、ことりちゃんはこういうのに向いてるから人数が少ないのはそんなに気にならんかったな」

 折り紙を得意とする花陽と、装飾等にいろいろと得意とすることりがいることで効率よく作業が進められていた。

 

 そして作業を終えたことりは額をぬぐいながら時間になるまで待つ。

ことり「あとは、絵里ちゃんに凛ちゃんと一緒に来る星空君の3人を待っていればいいね」

 今日は練習をするつもりはなく、この教室を作るために時間稼ぎとして話をしてもらうように話をつけていた。あとは本当に待つだけだ。

 

 そうことりが呟くと時計を見ている海未が口を開く。

海未「時間もそろそろ引き留めておいてほしいといった時間を過ぎる頃ですから、もうすぐ着くでしょう」

 時間はもうすでに過ぎている。そう。もうじき絵里たちが来るということだ。

 

 そして今後の打ち合わせ通りのことを確認するように穂乃果が話し始める。

穂乃果「そうしたら、穂乃果とにこちゃんが凛ちゃんと絵里ちゃんにこのとんがり帽子をかぶせるんだよね!」

 前回はなかったサプライズの1つ。新しいこととしてサプライズされる人に干渉することにした。

 

 しかし今日のこれまでの時間でやったことはことりの時と変わらない。

にこ「まったく……。前回とほとんど変わってないからばれちゃうんじゃないの?」

そのためにこは今日これからのことがばれないか不安になっている。

 

 このことに関しては空也にとってはあまり気にしてなかった。

空也「それは多分大丈夫だと思う。なんせ絵里は恋人と話してるんだし、凛はラーメンの話題には目がないからな」

 想像できないように遠い話題を持っている人に頼んでいるし、普段通りの対応を徹底しているから余程こちらの対応に違和感があるか、勘が鋭すぎない限り普通の日常と変わらないように感じるはずだ。

 

 また、空也の気が付かせない作戦はもう一つあった。それに真姫は気が付いていたようで、

真姫「日にちも当日じゃなくて2人の誕生日の間だものね。意外性はあるから問題ないでしょ」

 そのように呟いた。誕生パーティーをやるなら今までは過ぎてからやることにしていたが凛は誕生日を過ぎていない状態でやるなら意外性は高まる。

 

 そう話をしていると部室の外からある音が聞こえてくる。

花陽「あれ? 足音が聞こえる……?」

 それは何人かの急いだような足音。ここまで急いでいるのは部活に遅刻しそうな人ぐらいしかいない。そしてその人たちに花陽たちは心当たりがあった。

 

 バタンッと大きな音と同時に遅れてしまっていると思っている凛と絵里が部室に入ってくる。

凛 絵里「「ごめん(なさい)! 遅れちゃった(にゃ)!」」

 謝って入ってくる2人とその後ろにいる少し場違いなんじゃないかと思い込んでいる男子生徒がいた。その男子生徒とは凛が連れてきた星空タクトで、凛に対しての仕掛人だった人。

 

 そして部室の中にいた8人と後ろにいるタクトは手に持っていたクラッカーを鳴らす。

凛と絵里以外『2人とも! 誕生日おめでとう!』

 計画していたことを成功させることに成功した。急なクラッカーの音と部室が飾り付けられているのを見た凛と絵里は驚きをあらわにする。凛に至っては驚きすぎて心ここにあらずみたいになっている。

 

 そして驚いている凛と絵里に穂乃果とにこは帽子をかぶせる。

凛「……にゃ? にゃーーーー!?!?!?」

 頭に違和感ができたことで凛もようやく現状を理解しようと頭が働いてきたらしく、奇声を上げて驚いていた。

 

 さすがにここまでの反応をされるといろいろ迷惑になるため少し落ち着くように花陽は凛に話しかける。

花陽「驚きすぎだよ。凛ちゃん」

 サプライズをしたかいはあるもののさすがに予想以上の驚きを見ると戸惑ってしまう。

 

 そしてサプライズをされたもう一人の絵里は凛の気持ちは理解することができる。

絵里「でも凛の気持ちはわかるわ。いきなりだったから……」

 同じことをされたから今共有できる感情で、ことりの時と同様に何も話していなかったからこそそれはより驚きにつながった。

 

 そんな発言をした襟を見ていた希はその瞬間のことを思い出してクスリと笑う。

希「えりちも固まっとったもんな~」

 絵里はクラッカーの音と急に祝われたことで一瞬現状を理解するのに時間がかかった。

 

 そのことを掘り返されるように話されることが恥ずかしく感じた絵里は、

絵里「希ぃ~!」

 顔を赤くして希に言い寄る。

 

 そんな状態の絵里と凛がなかなか来てほしいところに来てくれなかったため、

真姫「それより早くこっちに来てよ。やることがいろいろ、あるんだから……」

 仕方なく真姫が2人のことを誘導する。いつもにこが座っている場所に案内した。

 

 奥まで行こうとする絵里と凛の背中を見て遅刻した理由を説明するという名目でやってきたタクトは部室から一歩引こうとする。

タクト「それじゃあ凛ちゃん、絢瀬先輩。これから楽しんでください。俺はこれで……」

 ここはμ'sの空間だと感じたタクトはその部室に入ることはせずに帰ろうとする。

 

 そんな行動をとるタクトに気が付いた空也は、帰ってしまうタクトが気になった。

空也「もういいのか?」

 この作戦をするときにタクト自身がこのタイミングで渡すという話になっていたから空也は余計に驚く。

 

 そんなやり取りでそのまま無視して帰ることが叶わなくなってしまったタクトはその場で振り返り、

タクト「えぇ、本当はここで渡そうと思ってましたが……、こっそりポケットに入れておきました」

 ここに来る間にある程度の考えを巡らせていたみたいでもう行動済みであることを空也にこっそり教えた。

 

 しかし、その話を聞いたのは空也だけではなかったみたいだ。

穂乃果「へぇー」

 空也の近くにいた穂乃果はタクトの言葉を聞き面白そうなものを発見した子供のような顔になった。

 

 そんな顔をしている穂乃果が何を考えているのか空也にはなんとなくわかっていた。

空也「穂乃果、やっちゃえ!」

 今の彼には度胸がない。そう感じていたからこそ迷惑だろうと空也は穂乃果にその行動をするように指示を出した。

 

 指示があったため穂乃果は考えていたことを凛とみんなに聞こえるように声を出す。

穂乃果「うん! 凛ちゃん! ポケット見てみて!」

 その言葉はタクトがプレゼントを入れたという場所を示すもの。今はその情報だけを穂乃果は凛に教えた。

 

 空也とのやり取りが早ずぎてその早さについていけなかったタクトは穂乃果の発言で何が起きたのか状況を察することができた。

タクト「え!?」

 しかし、あまりにも唐突に打ち明けられたためそれ以上穂乃果に何かをされる前に止めることもできずにその場でタクトは立ったまま流れを見守ることしかできなかった。

 

 穂乃果にそう言われブレザーのポケットに入っている小さな箱を取り出した。

凛「ん? って何にゃ!? これは!」

 取り出して凛が持っているその箱は小物が1つ入る程度の大きさの箱でそれが中が見えないようにラッピングされているものだった。

 

 自分の知らないものが自分のポケットに入っていたため凛は驚くことになり、その人物を教えるために穂乃果が口を開く。

穂乃果「タクト君からのプレゼントだって! かっこいいな~」

 凛のほうを向きながら穂乃果は横目でタクトのことを見て凛にそのプレゼントの私主の名前を伝えた。

 

 穂乃果の言葉で今自分の持っている箱をプレゼントしてくれた人のことを知れた凛は、

凛「え!? あ、ありがとう……」

 顔を赤らめながらそのプレゼントを顔の前に出し恥じらうように感謝をした。

 

 もう後には引けなくなってしまったタクトは正直に自分がプレゼントしたことを認めることにした。

タクト「えっと……。誕生日おめでとう!」

 こうなってしまったからにはもう何かが吹っ切れたのだろうタクトはおそらく今日一番であろう笑顔で凛にその言葉を残しそのまますぐに部室を後にしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タクトが凛に無事プレゼントを渡すことができ、そのあとパーティーにも強制的に参加させようとしていた空也のひそかな考えが叶わなくなってしまったがこれからはμ'sによる凛と絵里のための誕生パーティーが始まる。

空也「タクトがプレゼントを渡したことだし、俺たちも渡し始めるとするか」

 まず最初にやることはタクトがプレゼントを渡し、きっかけを作ってくれたためプレゼント交換会になる。

 

 空也のその発言で待っていましたと言わんばかりに部室ないが盛り上がる。そしてトップバッターを切ったのは、

海未「そうですね。では凛、絵里。これを」

 そういって絵里と凛のほうに歩みを進める海未だった。しかし動いているのは海未だけではなく、

ことり「ことりと海未ちゃんで選んだんだ~。凛ちゃんのはラーメン型のキーホルダー で絵里ちゃんのはチョコレート型のキーホルダーなんだ~」

その反対側からやってきたことりも海未と一緒のプレゼントみたいだった。

 

 そして海未は絵里に、ことりは凛に誕生日プレゼントを渡し、それを受け取った絵里と凛は、

絵里「可愛いわ! ハラショー!」

 

凛「凛のも。ただの食べ物だけじゃなくてキャラクター化されているんだね! 可愛い!」

 そのプレゼントをじっくりと見つめ喜んでいた。海未とことりが渡したプレゼントは食べ物がモチーフではあるがゆるキャラのようにかわいいキャラクターになっている。それを見て2人はよりテンションが上がっていた。

 

 そして海未たちがプレゼントを渡し、今度は真姫が入れ替わるように絵里と凛に近づく。

真姫「私からは、凛がマラカスで、絵里にはお返しってことでシュシュよ」

 音楽に関係している真姫は少し考えて凛に会う楽器を選んだ。そして以前の誕生日プレゼントに真姫が絵里からもらったのはお手製のシュシュだった。そのことを覚えていての真姫のプレゼントの選択だった。

 

 もらった絵里と凛はそのプレゼントを見て凛はマラカスをシャカシャカと鳴らしながら、

凛「わーい! 真姫ちゃんありがと!」

 

絵里「大事に使うわね」

 そして絵里はそのシュシュを今のシュシュと交換しながら真姫にそう言った。絵里の髪についているシュシュはいつもの白から絵里のイメージカラーでもある水色に代わっていた。

 

 真姫に次いで今度はにこが勢いよく凛と絵里に近づきプレゼントを渡す。

にこ「私からはこれ。ここで見るんじゃないわよ。あんたたちのためにも」

 そのプレゼントはどこのメーカーかもわからない、けどしっかりとラッピングされている紙袋だった。その中には何か小さいものがいくつか入っているようだった。

 

 ものすごく真剣ににこに少し戸惑いながらも、

凛「ん? よくわからないけど家に帰ってからみるにゃ!」

 

絵里「そうね。ありがとう。にこ」

 凛と絵里はにこに感謝をした。

 

 この流れに乗って次々にプレゼント交換が行われていく。

花陽「次は私です! 絵里ちゃんにはこのお米で、凛ちゃんにはお米で作られたラーメンの麺をプレゼントです!」

 次に2人にプレゼントを渡したのは花陽だった。花陽はしっかりと2人に合うようにプレゼントを選んで手みたいだ。

 

 プレゼントされている人たちから聞いた話を覚えている絵里はそのプレゼントを嬉しそうに受け取る。

絵里「花陽の選んだお米はおいしいってみんなから聞くから楽しみね!」

 前からプレゼントをされている穂乃果たちからの評価が異常に高いのが花陽からもらった米で絵里は本当にうれしそうにしていた。

 

 しかしそんな中でも驚くことが花陽の凛へのプレゼントだった。ただの米ではなく凛の大好物である姿に変えたお米だった。

凛「こんなものもあるのかにゃ! あとで一緒に食べようね、かよちん!」

 未知の食感になると予想できるその麺を受け取った凛はお米好きの花陽を誘って一緒に食べることを提案した。

 

 その凛の提案を受け入れない花陽ではない。ラーメンであってもそれがお米に関係しているのなら拒否することは絶対にない。

花陽「うん!」

 

 花陽と凛がそんなやり取りをしている中次は希が2人のほうに歩き始めた。

希「じゃあ次はうちな。はい、えりちに凛ちゃん。えりちのはトルマリンのネックレス。誕生石や。それで凛ちゃんのはリップクリームや。凛ちゃんちゃんと使ってな?」

 そして凛と絵里にプレゼントを渡す。絵里の誕生日プレゼントの中には本当に宝石が入っていた。

 

 そして凛も宝石かと思われたがその中身はリップクリーム。しかし希のプレゼントしたときの表情は何かを考えてのものだった。

絵里 凛「「えぇ(うん)!」」

 だが、今の2人はそんなことを全く気にせずにプレゼントをしてくれた希に感謝する。

 

 そして残っているのはあと空也と穂乃果だけだ。

穂乃果「うわぁ~、みんないろいろ考えてるんだねー」

 凛と絵里に近づきながらみんながプレゼントしていったものに感心していた。

 

 今度は穂乃果だけかと思われたがそうではないみたいだ。

空也「最後は俺と穂乃果から。凛にはバドミントンのラケット。好きだったよな」

 穂乃果の反対側から空也が絵里と凛に向かって歩みを進める。そして空也の手に握られたいるのは本格的なバドミントンのラケットだった。

 

 それを受け取った凛はそのラケットのグリップ部分をつかみ感覚を確認しながら、

凛「うん! ありがとうにゃ!」

 このプレゼントをくれた空也に感謝した。

 

 そしてそのあとに今度は穂乃果が絵里にプレゼントを渡す。

穂乃果「絵里ちゃんには、これだね」

 透明なケースに入っている小さい箱を絵里に受け取らせた。

 

 その中身を見て絵里は少し疑問に感じていることがあった。

絵里「これは……? ブラシ?にしては薄すぎるし、持ち手がないわね……」

 見たことのないものだったため何かが分からなかった。絵里の今まで見てきたブラシとは少し違うみたいだったからわからなかったのだろう。

 

 そのプレゼントの正体を穂乃果が説明する。

穂乃果「これはね、櫛だよ。使い方はブラシと一緒で髪をとかすのに使うんだ。絵里ちゃんは髪に癖がないから櫛のほうがいいと思ったんだ」

 ブラシと櫛には同じようなものであってもそれぞれの利点がある。穂乃果が絵里の髪を見た時にブラシよりも櫛のほうがいいと感じたこともあり、このプレゼントにした。

 

 穂乃果の説明を受けそれの使い方が分かった絵里は、

絵里「ハラショー! ありがとう! 穂乃果、空也」

 選んでくれた空也と穂乃果にお礼を言った。

 

 

 

 

 

 プレゼント交換会も終わり、あとはこのパーティーを楽しむだけとなった。

希「ほな、パーティーを始めようか?」

 そのきっかけとして希がみんなに話す。

 

 希の話で先ほどから何かを感じていた真姫はそのことをすぐに受け入れる。

真姫「そうね。そろそろ凛も我慢の限界だろうし」

 プレゼントを渡している間にも凛の視線はたびたびケーキのほうに向けられていた。

 

 目を輝かせながら見ているその姿を見た花陽は凛の気持ちがすぐにわかった。

花陽「さっきからずっとケーキを気にしていたもんね」

 

 今回の主役は凛と絵里である。その2人のために今日ここまで準備をしてきた。だからまずは2人に食べてもらわないと始まらない。

にこ「まったく……。でも今日はあんたたちが主役なんだし遠慮しないで食べなさい!」

 そして少し遠慮している凛に向けてにこがそう話す。

 

 にこの助言もあり凛はすぐにケーキに飛びつく。

凛「にゃー!!」

 そのあとに続くように絵里もケーキを食しパーティーが始まり、ラブライブ予選前の団欒を過ごしていった。

 

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凛side

 

 今日、μ'sで誕生日パーティーをしてもらった凛は寝る前にあることに気が付き行動に移す。

凛「あ、そういえばにこちゃんからもらったプレゼント開けてなかった……」

 そう。それはにこからもらったプレゼント。あの時部室で開けるなと言われたから家に帰るまで待っていたのだが、少し忘れてしまっていた。

 

 凛がそのプレゼントを開けるとそこには缶バッチや写真などいくつかのアイドルグッツが入っていた。本当ににこらしいプレゼントだと思っていた凛はその中身を出してみるとにこの言葉の理由が分かった。

 

 その理由とは……、

凛「かよちんがいっぱいだにゃー!」

 中に入っているグッツの全部が花陽だけのものだった。同じグループでもある凛だが、このメンバーの中でファンとして応援している花陽のグッツがにこのプレゼントにより手に入れることができた。

 

 

 そしてその興奮が冷めないまま凛はタクトにもらったプレゼントも一緒に開ける。そこには黄色のリボンが入っていた。

凛「…………。ありがとう。タクト君……」

 そのプレゼントを見た途端少し暗い表情をする凛だが、友達からのプレゼントということもありそのリボンを胸に抱いてここにはいないタクトに感謝をした。しかし凛がこのリボンをつけるのはずいぶん先のことになるだろう。

 

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絵里side

 

 凛がプレゼントを開けてい時と同じくしてにこに同じように渡されたプレゼントを絵里が思い出し開封しようとする。

絵里「にこからのプレゼントっていったい何なのかしら?」

 中身が分からないドキドキ感から少し緊張しながらその袋を開けるとその中身は凛と同じだが、まったく違うものが入っていた。

 

 そこに入っていたのは凛の時と同じくμ'sのアイドルグッツだった。しかし、その中でも凛に対しては花陽のグッツだったが絵里に対してのプレゼントの中身は……、

絵里「ハラショー!! 希のグッツがいっぱいだわ!」

 同じ生徒会として一緒に頑張ってくれた親友のグッツ。希のものだった。

 

 その中身に感激のあまり自室で大声を上げる絵里だったがこの家には親も、そして亜里沙もいる。

絵里「ハッ。これは亜里沙にも見られないようにしなくちゃいけないわね……」

 このグッツは自分だけ物もにしたいと感じた絵里は鍵のついた机の引き出しに希の缶バッチや写真を入れた。こういうものでないとμ'sとして踊っている時の希はあまり見ることのできない絵里は今日は寝るまで終始笑顔が漏れている状態だったとかなんとか

 




μ'sの6人目と7人目の誕生日回が終わりました!あとは作中における年明けをしないとないのでしばらくは苦労しなくて済みそうです。

1章以降登場しなかった幹や、セッションしてそのあと顔を出さなかったタクトが出てきてくれてよかったと思います。

新しくお気に入り登録をしてくださったポポイさん、Gussan0さん、三毛猫クロスケさんありがとうございます!

次回『インパクトを求めて』

それでは、次回もお楽しみに!



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