ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

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どうも、そらなりです。

今回から『優勝を目指して』回に入ります。真姫のピュアな部分が見れるあの場面が今回あります。……むしろそこに結構文字数かけてたり…。

それでは、今回も普段の姿からは予想のつかない彼女をしっかりと眺めてあげてください。


サンタクロースの正体

空也side

 

 ラブライブに出場することを決めたのだが、その後あることが発表され、μ'sはそれに戸惑い始める。

花陽と空也以外『えぇ~!』

 その情報を仕入れて来た花陽と空也以外のみんながそのことを知り驚く。

 

 急にそんなことを言われてもすぐに理解することはできない。

にこ「どういうっこと!?」

 そのためにこはラブライブの公式情報を仕入れて来た花陽に詳しいことを聞く。

 

 そしてその情報というのが、

花陽「大変です! ラブライブの予選で発表できる曲は、今までに未発表のものに限るそうです!」

 今までに公開したことのない曲であるということ。いま練習中の曲である『僕らは今の中で』はライブでは披露してないもののホームページに歌だけ公開してしまったものであり、それ以外の曲もライブで披露してしまっているため未発表の曲は今のμ'sにはない。

 

 つまりは外侮に出ていない曲でなければいけない曲であるが、未発表という少し曖昧な表現にことりが首をかしげる。

ことり「未発表?」

 そしてことりは今まで披露して来た曲のことを思い返す。『START:DASH!!』から『No brand girls』までの曲が使えなくなってしまうということになる。

 

 もちろんそれはリーダーの穂乃果も理解していて、

穂乃果「ってことはつまり今までも曲は使えないってこと!?」

 公式の情報に驚きを隠せないでいた。それもそのはず、予選までの期間は短くその中で曲を1から作らなければなくなってしまったのだ。少し焦りが出てくるのは当たり前だ。

 

 だけど今までと同じだと思っていただけに急に新曲以外は禁止ということが決定されたのかが分からないにこは、

にこ「なんで急に!?」

 確かに今までに新曲でなければならないという規定はなかった。μ'sはできたばかりのグループだったから実感がないがそれでも半年以上活動を続けてきただけに曲数は増えてきている。それが使えなくなってしまうのは穂乃果同様ににこの中に動揺が走る。

 

 そしてその理由はしっかりとしたものだった。

花陽「参加希望チームが予想以上に多く、中にはプロにアイドルのコピーをしている人たちもエントリーを希望してきたらしくて」

 現状のスクールアイドルの数は前回と比べ格段に増えてきている。その中にはスクールアイドルであってスクールアイドルとは呼べないコピーアイドルが増えてきている問題も残念ながら存在する。

 

 そんな中どうすればスクールアイドルらしい大会ができるかを考えるとどうしてもこのような政策をとるしかできない。

希「この段階でふるいにかけようってことやね」

 しかし、絶対的に有効な手であることは変わらない。この段階で出場できるかどうかが決まる。

 

 しかし突然言われたところでその曲があるかといえばNo。

凛「そんな~!」

 だからいまみんなで慌てている。そして機関もあることが余計に焦りを強める。

 

 予選までの時間は残りわずか……。その現状で新曲を作らなくてはならない。

絵里「これから一か月足らずでどうにかしないと、ラブライブに出られないってこと」

 そうしなければ絵里の言うようにそもそもラブライブに出ることが不可能になってしまう。せっかく最後のチャンスをこんなので逃したくはない。

 

 そう話しているとにこが口を開いた。

にこ「こうなったら仕方ない。こんなこともあろうかと、私がこの前作詞した『にこにーにこちゃん』という詩に曲を付けて」

 おふざけなのかそれとも本気で言っているのかはわからないが、にこが作詞の件に関して話す。

 

 しかし、作詞家を目指している空也にとってそれはあまりにも聞き捨てならないものだった。

空也「なんかにこのソロ曲書きたくなくなった……」

 ただの作詞家なら普段と変わらない反応をするのだろうが空也は違う。彼女たちにあった詩を書いていきたい。それは新聞部の取材でも言ったこと。グループの曲なのに1人のメンバーを優遇するわけにはいかない。

 

 空也の言葉を聞いた瞬間にこはその場に崩れ落ちた。

にこ「そんなぁ~!?」

 本気でそう思ったのか、思いっきりにこはショックを受けていた。空也は正直みんなにソロ曲を書くつもりなのだが、今はそんなに量ができる状況でないため少し先延ばしにしているが、少し冗談ていった空也の言葉をここまで信じるのならいつかまた使えそうではあると空也は考えた。

 

 こんな話をしていても正直いって時間の無駄だ。

希「実際のところどうするんや」

 そう感じた希は話を進めていく。今は一刻を争う。その状況に立たされている今、どうするべきか考えるのかが重要になってくる。

 

 どうすればいいか。それが今わからない状況に陥ってしまった穂乃果は、

穂乃果「なんとかしなきゃ! いったいどうすれば……」

 今やるべきことを必死で考えている。

 

 しかし、この状況でやることは1つだけだ。

絵里「作るしかないわね」

 やるしかない。作るしか道が残されていない。ほかの曲が使えない以上そうするしか方法がない。

 

 あまりにも当然のことを話す絵里に驚く穂乃果。

穂乃果「え……?」

 また海未もまずその曲をどうやって作るのかが気になった。

海未「どうやって……」

 

 海未に聞かれ絵里はその問いに答えるべく真姫に話しかける。

絵里「真姫!」

 呼ぶときの表情は真剣そのもので真姫のことを見つめた。

 

 呼ばれた真姫は突然のことで少し驚くがそのあとの言葉をなんとなく察することができた。

真姫「っ! もしかして……」

 どこかこういう場面を夏にも経験したことがある気がする。その考えは間違っていない。

 

 真姫の言ったことは絵里にも通じた。その話をしようとしていたため、

絵里「えぇ、……合宿よ!!」

 真姫の言葉にうなずき、なぜか一回転しながら絵里はそう宣言した。合宿をして曲を作ろうとのことだ。

 

 幸いにも週末には連休があるため少ない期間の泊まり込みなら可能だ。みんなも快く受け入れて合宿に行くことが決定した。まぁ、部活としていくのではなくあくまでμ'sのメンバーが集めっての合宿だから学校の許可はいらない。そのためスムーズに計画を立てることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして時は流れ合宿当日になった。電車で真姫の別荘がある山に来ていた。

ことり「わぁ~、きれい!」

 あまりの景色の良さにことりが感嘆の声を上げる。

 

 電車から降りた希は大きく息を吸い込み深呼吸をする。

希「空気が澄んでるねぇ~」

 あまりにもスムーズに息をすることができた希はその空気の良さに感動を覚えた。

 

 改めて真姫のすごさに驚かされる凛は、

凛「やっぱり真姫ちゃんすごいにゃー。こんなところにも別荘があったなんて」

 真姫に抱き着きながらそう言葉にする。

 

 凛と同様に真姫に関して思ったことを花陽も口にした。

花陽「歌もうまいし、完璧だよね」

 本当に真姫のことをべた褒めである。でもそれを本心から思っているからこそ、

 

 花陽と凛の言葉を聞いて顔を真っ赤にした。それはそれは真姫の好物のトマトのように。

真姫「とっ当然でしょ! 私を誰だと思ってるの」

 腕を組みながら胸を張る真姫。正直誰が見ても恥ずかし蛇っているようにしか見えない。

 

 しかしその言葉が気に入らなかったにこが、

にこ「ふん! なに自慢してるのよ」

 うらやましく思って真姫に向かってそう口にした。

 

 ただそれが気に入らなかった真姫は、組んでいた腕を解いてにこに話す。

真姫「べっ別に自慢なんてしてないわよ! お願いされたから仕方なく紹介してあげたんでしょ!」

 両手の拳を下に振り下ろしながら真姫は仕方なくの部分を強調する。その間も真姫の顔は赤いままだった。

 

 また、電車を降りて来た絵里がその2人を見て仲裁に入る。

絵里「まあまあ、早く別荘まで移動しましょう? 今回は本当に時間がないんだから」

 今回に至っては本当に時間がない。μ'sの活動を始めた時よりも余裕なんてものが存在しない状況に陥っている。

 

 絵里の後ろから今度は空也が降りて来た。その後ろには眠った穂乃果。そして2人分の荷物も空也が持っていた。

空也「そんなことより。ちょっと、穂乃果の荷物持ってくれないか」

 両手に荷物と穂乃果の体重が乗っているため空也がきつそうにみんなに向けて要求した。

 

 そんな様子の空也を見て驚いた花陽は、

花陽「どうしたの空也君!?」

 そう言いながら空也の元に駆け寄って穂乃果のカバンを持った。

 

 そして、空也はそばにあったベンチに向かい、

空也「一回こいつ降ろして起こす」

 みんなにそう宣言して穂乃果をベンチに座らせた。

 

 耳元に空也は自身の口を持って行き囁くように声をかける。

空也「穂乃果。起きないと、くすぐりいつもの3倍で行くぞ?」

 確実に穂乃果に向けて嫌がってすぐに起きるであろうことを囁いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空也の言葉を聞いた瞬間座っていた穂乃果は、その場で急に立ち上がり、

穂乃果「今起きました! だから、くすぐらないで~!」

 手をブンブンと振って嫌がる。空也の策略通り穂乃果は目覚めた。

 

 穂乃果が起きて安心した空也は、一度肩の力を抜くと周りを見渡す。

空也「よっし。さてって、海未その装備は?」

 すると1人、異常に重装備をしている海未の姿を確認した。

 

 しかし、空也に何が疑問に思っているかわからない様子の海未は、

海未「何か?」

 背負っていたリュックを下ろし、空也に向けて首を傾げて何が疑問なのか問いかける。

 

 しかし、海未の装備に関して疑問に思っているのは空也だけじゃなかった。

絵里「ちょっと多すぎない?」

 今の海未の格好はやたら詰め込まれているリュックに、防寒具のようなものを着ていた。今は秋だがそこまで寒くないのにそこまで着込む必要があるのかと考えてしまう。

 

 そんな絵里の疑問も海未にとっては愚問で聞かなかった。

海未「山ですから むしろみんなこそ軽装すぎませんか? さ! 行きましょう。山が呼んでますよぉ~!」

 今自分の目の前にそびえたっている山に好奇心を奪われ山にしか目がいかなくなっている海未はいち早く駅の改札を抜けるように歩み始める。

 

 その様子を見て今まで隠されていた海未のもう1つの顔が見れた。それは……、

空也「まさか……」

 

絵里「もしかして……」

 

空也 絵里「「海未って登山マニア?」」

 海未が名前とは正反対の山が好きであること。まぁ、名前通りのものが好きでなくてはならないことはないから不思議ではないけど、そこまで周りが見えなくなとほど好きであるとは思わなかったため少し意外だった。

 

 そんな海未を見てふとにこにある既視感が感じられた。

にこ「夏の合宿みたいに無茶言わなきゃいいけど……」

 それは夏の合宿の時に出された練習メニュー。あれは実際のところあの時の自分たちにできたのかといわれるとどうしても縦に首を振れないので少し恐怖を抱いていた。

 

 そんなことを考えて立ち止まっていたにこを真姫が呼ぶ。

真姫「ほらぁ~。もたもたしてるとバス、行っちゃうわよ」

 どうやらにこ以外の人は全員改札を出て外のバス停に向かっていたようだ。残ったにこもすぐに歩き出し、みんなに合流する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バスに揺られ、目的地である真姫の別荘に到着した。

真姫と空也以外『おぉ~!』

 相変わらずの別荘の大きさに穂乃果たちは驚く。しかし、真姫は当然ながらなぜ空也は驚かないのだろうか……?

 

 夏の時に言った別荘とそう変わらない家の大きさに驚き続けている穂乃果は、

穂乃果「ひゃー」

 語彙力を完全に失い、ただ口から音を漏らしていた。

 

 そんな穂乃果よりはましだが、絵里もいまだ別荘に驚愕しているため、

絵里「相変わらず、すごいわねぇ~」

 こんなことしか、言えなくなっていた。

 

 そしてみんなの後ろにいるにこがずっと悔しそうに真姫の別荘のことを見ていた。

にこ「うぐぐ……」

 ……なんというか、本当に悔しそうだった。見てると少し可愛そうに見えてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 別荘の中に入ると普段は見ることのない、けどテレビなどでよく見た組み合わせの家具があった。

穂乃果「ピアノ! お金持ちの家でよく見る奴! そして暖炉!」

 その名前を言いながら穂乃果は真姫の別荘を見渡した。

 

 その中で一番意外だったものが凛も反応する。

凛「すごいにゃー! 初めて暖炉見たにゃ~」

 それは暖炉。学校でも見ないもので、そう簡単に現物を見る機会がないものだったため、かなり感動していた。

 

 そして暖炉を見てしまったなら、あることに期待してしまう。

穂乃果「すごいよね。ここに火を……」

 それは火の灯っている暖炉の姿を見ること。見たことのないものに興味がそそられた穂乃果はそう口にした。

 

 しかし、そんな穂乃果達にかかる言葉は非情なものだった。

真姫「つけないわよ?」

 ここは真姫の別荘であるため真姫の言うことには従わないといけない。

 

 そんな状況で今の真姫の発言は穂乃果達にとっては悲しいものだった。

穂乃果 凛「「えぇ!?」」

 真姫がそう言うので寂しそうな目で真姫のことを見つめる。

真姫「まだそんなに寒くないでしょ? それに、冬になる前に煙突を汚すとサンタさんが入りにくくなるって、パパが言ってたの?」

 確かに今は寒くない。防寒着を着込んで来た海未に驚いたほどだ。しかし、問題はそのあと。真姫の言った衝撃的な言葉だった。

 

 気になる部分を穂乃果たちが聞き返す。

穂乃果「パパ……?」

 

凛「サンタさん……?」

 普段の真姫には想像がつかない言葉を真姫が言った。信じているとは思っていなかったサンタの存在を真姫が信じていると言うことを意味する。

 

 そんな部分の真姫を見たことりは、

ことり「素敵!」

 普段とは違うピュアな部分の真姫を見れたことが嬉しいのか目をキラキラさせて真姫のことを見ていた。

 

 そして、その前の言葉も真姫がいうのは珍しい言葉だった。

海未「やさしいお父さんですね」

 真姫はそのお父さんの言葉を信じていて、お父さんも真姫に一般的な常識はまだ教えていないということになる。普通なら教えたほうがいいと思うのだが、真姫にとっては大事なことなようで、本当のことをお言えないという優しさをそのお父さんに見た気がした。

 

 そして信じ続けている真姫はそのまま言葉を続ける。

真姫「ここの煙突は、いつも私がきれいにしていたの。去年までサンタさんが来てくれなかったことはなかったんだから。証拠に、中見てごらんなさい」

 そうやって真姫は暖炉の中を見せる。そこにはサンタクロースの絵がかいてあった。サンタが自分の絵を書く可能性なんて低いと考え始める時期であってもおかしくないのに真姫はそれでも胸を張り絵を見せ続けた。

 

 そんな真姫のことを見ていたにこがとうとう我慢の限界に達してしまったようで、

にこ「ププッ。あんた、真姫がサンタ…」

 笑いをこらえるので必死になっていた。いまにも吹き出しそうにして目じりにはうっすら涙がたまっていた。

 

 それを見た花陽はにこが何を言おうとしているのかが分かった。

花陽「にこちゃん!」

 それは今の真姫にとっては常識的なことを教えればどれほどのショックを受けるかは想像が付かない。

 

 花陽が動いた瞬間、次に絵里が動き出す。

絵里「それはダメよ!」

 にこの近くにいたからなのか絵里はにこの肩を思いっきりつかみ、言ってはならないことを言わないようににこの動きを止めた。

 

 あまりのも絵里のつかんでいる肩が痛かったようで、

にこ「痛い!痛い! なによ!」

 体を振り絵里の手を振り払おうとする。しかし、にこが絵里の腕を振り払うことはできなかった。

 

 その間にも花陽たちのように真姫にそのことを教えてはいけないと判断した者たちの援護射撃が飛び交う。

穂乃果「ダメだよ! それを言うと重罪だよ!」

 確かに高校生にもなってサンタを信じているものはかなり希少なものなのだろう。そういう人に残酷な一般的な真実を告げるのは確かに重大なことにあたる。

凛「そうにゃ! 真姫ちゃんの人生を左右する一言になるにゃ!」

 また、凛の言うように今後の真姫の人生がこれで大きく変わってしまう可能性があるということを示している。

 

 しかしそれでも引かないのがにこだった。

にこ「だってあの真姫よ!?」

 普段のイメージとはかけ離れている真姫にどうしても笑いがこらえられないらしい。今でも絵里につかまれているのに笑いそうになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうやってみんながにこを止めようとしている時に、空也は真姫のもとに近づきあることを教えようとしていた。

空也「あのさ、真姫。サンタクロースって1人じゃないんだよ」

 きっとこの言葉を聞いた普通の常識を持っている人からすればそれは真姫に入ってはいけない言葉の一つに入ることを空也は口にした。

 

 それを素直に受け入れてしまうのがサンタに対して純粋な真姫だ。

真姫「そうなの!?」

 驚いた様子を見せる真姫の目は普段とは異なる輝きを秘めていた。

 

 そして空也の予想外の行動ににこを止めようとしていた一同も驚く。

穂乃果「空也君!?」

 真っ先に言葉を発したのは穂乃果だった。普通なら自分たちの見方をするものだと思っていたため普段以上に驚く。

 

 呼び止められた空也は一度視線を真姫から穂乃果のいる方に移す。そして空也は口を開いた。

空也「事実を言うだけだ。心配ない」

 さも常識であるかのように彼女たちが心配していることを口にするのではないかと思えることを穂乃果たちに告げる。

 

 それを聞くとどうしてもにこと同じことをしようとしているみたいに思えてしまい、けどにこを取り押さえるので精いっぱいのため誰も空也のことを止めることができず、

凛「問題だらけだにゃ~!」

 ただただ凛のように言葉で対抗するしかなかった。

 

 それでも空也は止まらない。着実に真実であることを真姫に伝える。

空也「サンタクロースは一家でサンタをやってる。だからおじいちゃんサンタも、お母さんサンタもいる」

 ここまでのことを聞くと一般的に常識とされていることを真姫に言うのだと考える人も多いだろう。

 

 その例外に漏れずに、言ってはいけないことだと思った海未は空也のことを止めようとする。

海未「それ以上は!」

 確かにこれより先を言っては真姫に真実を伝えてしまうかもしれない。そう思った海未は声を荒げ空也に止まるようにと言った。

 

 そんな海未からの言葉も今は無視して空也はそのあとの言葉を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今のみんなが予想もつかない、真実を告げるために。

空也「そのサンタは、1年に一度だけ1人ずつ魔法でほしいプレゼントを渡す」

 サンタの正体を真姫と空也のことを止めようとしていたみんなに向けて話した。もちろん一般的なことを教えようとしていたにこに対しても。

 

 いきなり言われた魔法という言葉に真姫とそのほかのみんなは困惑した。

真姫「魔法……?」

 

ことり「え……」

 今までは一般的なサンタクロースの正体を知っていたのみんなもこの空也の言葉には何も言えなかった。

 

 そう。サンタクロースの本当の正体は魔法使いなのだ。少なくとも北欧の間では。日本にはサンタが来なかった家だって存在した。前世の葛木姫乃とその養子だった清隆も日本にいた時はサンタクロースからプレゼントは来なかったという。だからいま日本に本当に来ているのかはわからない。だけどそれでもこのことは真姫が知っておくべきことだと空也は判断した。

 

 そしてもう一つ。みんなに向けて衝撃的な事実を告げる。

空也「現に、サンタ一族の生まれ変わりにみんなあってんぞ?」

 なぜ空也がこんなことを知っているのかというとそれは過去に飛んだときに話を聞いたからに過ぎない。そしてその話を詳しく聞いたのがサンタクロースの一家のシャルル・マロースからだった。そしてその魔法が1年に1度しか使えないこともその時に聞いた。

 

 いまいち理解が追い付いてないままの絵里は空也の言った人が誰なのか想像がつかなかった。

絵里「どういうこと……?」

 きっと大本の予想はついているのだろう。魔法について話したならそれは公式新聞部のだれかくらいしか接点がない。

 

 その絵里の問いに空也は答える。現世の名前と前世の名前を交えて。

空也「現世の名は芳乃シャルル。前世の名はシャルル・マロース。公式新聞部のシャルルは、サンタだったんだ」

 きっと誰もが予想していなかったことなのだろう。以前あった人にそんなビックな人がいたなんて。まぁ、もうすでに過去のカテゴリー5には出会っているんだけど……。

 

 今までの話を黙って聞いていた真姫は、空也の話が一区切りついたと判断して口を開く。

真姫「そうだったの……」

 下をうつむいていて何かショックを受けているのか、はたまた空也の話を信じていないのか。もしくは今まで知らなかったことをしてれうれしいのか、外から見たらよくわからなかった真姫が顔を上げた。

 

 そのあとに空也の優しいウソが付け加えられる。もしかしたら嘘ではないのかもしれないが今の空也にとってそれを知るすべはないため本当のこととも言えない。

空也「それに、北欧から来るから選ばれた人しか実際にプレゼントが配られない。真姫は選ばれたんだね」

 そう。選ばれているか選べれていないかで今真の認識が異なるということにした。これであとはみんなの知っている事実に近づけたものが話しやすくなった。

 

 真姫に対して空也が言ったことを聞いたにこがあまりに突然だったことを言い出して、

にこ「空也まで!」

 未だに空也の言っていることを事実だと認識できないにこはうそをついていると思って話しかけた。

 

 しかしそれを後ろにいた希が止める。

希「にこっち! どうやら空也君本当のこと言ってるみたいよ」

 今までの話を聞いて何かを思ったようで希は空也の言っていることを本当のことだと判断し、にこに言って聞かせる。

 

 にこと希がやり取りしている間にも一般的な事実に近くした話を最後に空也が真姫に伝える。

空也「で、選ばれなかった人は親にあらかじめプレゼントを改めて渡すってわけ。わかった?」

 ここまでの話をしっかりと理解できたかどうかを確かめるべく空也が真姫に疑問を投げかけた。

 

 そうすると真姫の顔に笑顔が浮かび上がる。

真姫「そうだったのね。ありがとう、空也。これでサンタさんの関心が強くなったわ」

 そのまま真姫は口を開き、今までの話を聞いて知らなかったことを知れてうれしかったようで空也に感謝した。

 

 にこが笑い出した時から少しみんなの中でピリピリした雰囲気があったのだが、真姫がサンタのことを空也から最後まで聞くとその雰囲気は暖かいものになった。

 

 真姫は笑顔になり、それを見守っているほかのみんなも驚きつつではあるが真姫に対して優しいほほえみをしていた。それはサンタの正体を言おうとしていたにこも一緒だった。

花陽「すごい……」

 そんな様子の自分に気が付き周りにも気が付いた花陽はこの騒動を収めた空也にびっくりしていた。

 

 何はともあれこれで真姫の中にある希望は保たれこれからいい練習ができそうだ。

 




ゲーム『D.C.Ⅲ』のシャルルルートをプレイしたことのある人はきっとこの展開になるんだろうなとある程度は予想が付いたと思います。

ただ、未プレイの方々には少しネタバレになってしまったかもしれないということが頭をよぎりますがどうしても入れたかったので入れさせていただきました!

雷電pさんより評価をいただきました。ありがとうございます!

次回『スランプに陥ることまきくう』

それでは、次回もお楽しみに!



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どうかよろしくお願いします!

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