ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~ 作:そらなり
もしかしたらサブタイでわかると思いますが今回で1期の話は終わりになります。
それでは、今回も新しい1歩を歩き始める彼女らと彼をご覧ください!
廃校がなくなったことを知ったμ'sのみんなはその翌日打ち上げをすることにしていた。
準備はすでに終わっており、黒板の前ににこが立っていた。
にこ「ではとりあえず。にっこにっこにー♪ みんな~、グラスはもったかな~? 学校存続が決まったということで、部長のにこにーが一言挨拶させていただきたいと思いま~す」
紙コップを持ったにこがパーティーの時にかぶるような三角帽子をかぶって乾杯の音頭を取ろうとしていた。
にこが行った煽りに穂乃果と凛、花陽の3人は元気に答える。
ほのりんぱな『おぉ~!』
にこに向けて拍手をする3人。他の人たちはそんな4人をほほえましく見守っていた。
拍手されたことにより気分が乗ってきたにこは乾杯の前に今までのことを語り始める。
にこ「思えばこのμ'sが結成され、私が部長に選ばれた時からどのくらいの月日が流れたであろうか! たった一人のアイドル研究部で耐えに耐えぬき。今! こうしてメンバーの前で……」
少しふざけたように言っているがそれはきっとこのμ'sのみんなと過ごしてきたからこういう風に言えるのだろう。にこはかみしめるように言っているがやはりどことなく楽しそうだ。
しかし、にこがそう言っていると長い話が始めると誰もが察したため、
にこ以外『カンパーイ』
話しているにこ以外がアイコンタクトをとって乾杯をした。
急に乾杯が始まったことでにこは目を見開きみんなを見渡して、
にこ「ちょっと待ちなさーい!」
いつものように明るいツッコミを入れた。ここまでのやり取りはもう定番と言ってもいいくらいにスムーズに行っていた。
乾杯も終わり、テーブルに並んだサンドイッチやお菓子などを食べ始める。
穂乃果「おなかすいたぁ~。にこちゃん、早くしないとなくなるよ!」
テーブルの周りにいる穂乃果は先ほどまで黒板の前に立っていたにこに料理がなくなることを注意して食事を開始する。
そんな穂乃果を見て、そこそこな量があるのにそんなに早くなくなるわけがないと思っているにこは、
にこ「いやしいわね……」
元気になっている穂乃果にそう言った。
そんな横でコンセントの前でずっと待機していた花陽が何かをもって穂乃果たちのほうに振り替える。
花陽「みんな~。ご飯炊けたよぉ~!」
みんなに炊けたごはんの入った炊飯器を見せた。その花陽の表情はお米好きだからなのか本当にうれしそうに笑っていた。
そうやってご飯を食べている穂乃果たちのほかに飲み物を飲みながら今までのことを話し合っている人たちがいた。
希「ほっとした様子ね。えりちも空也君も」
それが希と絵里と空也だった。今までいろいろ動いてきた空也と絵里に向けてリラックスした様子が見られたためそう話しかけた。
そして希の思ったことは正しく絵里も空也も一安心した様子だった。
絵里「まぁね。肩の荷が下りたっていうか」
話している絵里には本当に良かったと思っているようで優しい目をしていた。
そして空也もそういう感情はあった。
空也「最初の目標が達成できたわけだし」
初めから建てていた目標をようやくクリアできたのだからほっとするのは当然といえば当然なのだがあまりにも無理だと思われていたことを達成したとなると今までのことを思い出しながらしみじみと喜ぶことができた。
そう話していると次第にμ'sに加入したことについての話になってきた。
希「えりち。μ's、やってよかったでしょ?」
最初は入ることをためらっていた絵里に向けて希は優しくそういった。一番の目標であった廃校を阻止できたことについて希は言っていた。
そんな話をしていると改めて穂乃果たちを見ているとどうしても思うことがあった。
絵里「どうかしらね。正直、私が入らなくても同じ結果だった気もするけど」
それは、自分は入らなくてもよかったのではないかということ。ダンスに至っては指導できるが今まで歌はそんなにやってこなかったし、出遅れていることは明白だった。
しかしそんなことはないことはここにいるみんなが知っている。それは、
空也「そんなことないって。絵里のダンスの知識が役に立ったから、場数以外ではA-RISEに引けを取らないといってもいいと思うし」
絵里が持つダンススキルと指導する上での注意点、改善点をしっかりと言葉で表すことができるということ。そしてメンタル面でも大きく絵里の存在は大きかったものだと思う。
もちろんそれもあるだろうがこのμ'sという名前を付けた希にはほかの理由もあった。
希「それに、μ'sは9人+1人。それより大きくても小さくても駄目やってカードも言ってるよ?」
それがしっかりと9人いないといけなかったこと。そしてそれをサポートする人材がいなくてはいけなかったこと。それに今たらればを言ったってしょうがない。今まで過ごしてきた過去があるから今があるのだから。
そのことにいまいちピンと来ていない絵里だが、
絵里「そうかな……」
自分がいることで何かができているならとすこしは気持ちが晴れたようだった。
やがてパーティーは終わりに近づいていき、話は次第に昨日も話した次のライブのことになる。
穂乃果「こうやって廃校がなくなったんだ。気を取り直して頑張ろう!」
そのきっかけになった言葉は穂乃果が言った。廃校がなくなってももちろんμ'sとしての活動がなくなるわけではない。やる気を一新した穂乃果の言葉はみんなをやる気にした。
穂乃果がそう言ったことを口にしたことにより空也があることを打ち明ける。
空也「そのことなんだけど。昨日言った提案なんだけど、こうして廃校がなくなって1つの目標を達成した。だから、近々ライブを講堂でやりたいんだけど。曲は1曲μ'sの始まりの曲『START:DASH!!』の9人ver、ってのはどうかな?」
それは次のライブの基本的な提案。やる曲と場所。まだ時期までは決まってはいないが空也の言い方からして遠くない未来にやろうと考えていることを話した。
先ほどの空也の提案ですぐに考えを見抜いた穂乃果が反応する。
穂乃果「私たちの再スタートってことだね!」
そう。これはμ'sにとって再スタートとなる事柄だった。廃校という1つの目標を達成し、これからも始めていくという意思を表したライブ。それに気が付いた穂乃果の目はパーティーをしていた時以上に輝いていた。
穂乃果に自分の考えを見抜かれた空也はあっていたためすぐに肯定する。
空也「そういうこと。振り付けのベースもあるし、メンバーの半分が歌詞おぼえてるからいけるだろ?」
それに時間もそう長くは取らないつもりだった。歌自体は覚えているものが多くいて踊りに関して当時は詰め詰めであまり凝った振り付けができなかったため少し変更点が必要だができないことはない。
その空也の提案に関してみんなはすぐに反応を示す。
絵里「問題ないわ」
希「いい案やん!」
真姫「いいんじゃない?」
凛「さんせーだにゃー!」
花陽「私も賛成!」
ことり「私も!」
海未「問題ありません!」
にこ「いいわよ!」
穂乃果は先ほど賛成し、ほかのみんなも迷う暇なくすぐに賛成の意を示した。
みんなが賛成したことにより空也の案が通った。そしてそれは今までの大きな目標を達成した彼女たちのまずは目先の小さくとも、大事でそれでいて確実な目標ができたということになる。
穂乃果「じゃあ決定! 明日からガンバロー!」
やる気が出てきた穂乃果はみんなに向けて、そして自分に対してエールを送りその訪れるライブを成功させるために気持ちを一新にした。
その穂乃果の言葉を聞いたほかのみんなも気持ちは同じだった。
穂乃果以外『おぉ~!』
みんなでこぶしを上にあげ明日からの活動にやる気を出した。
その日の夜ある人から空也に電話がかかってきた。
空也「もしもし?」
その人というのが空也が今までお世話になったあの人だ。
空也の電話の先にいたのはななか。少し焦り気味のななかは空也に話を聞こうとした。
ななか『もしもし空也君! ちょっと聞きたいことがあるんだけど!』
聞きたいことと言ってななかが空也に関してそう思うことはあれしかないことはすぐにわかる。
ななかは今までアイドルとしての仕事が連続で入っていて義之の話によれば携帯もまともに使えないほどだったらしい。あの情報を知ったのも今しがたといったところだろう。
空也「ランキングに『μ's』がない理由か?」
そしてその内容はラブライブのランキングからμ'sの名前が消えているということ。そしてそれはファンであるななかにとって驚かざるをえないことだった。
もちろん空也の言ったことは当たっていた。ななかの聞きたかったのはまさにそのこと。
ななか『そう! そうして!?』
未だ理由が分からないななかは空也にその理由を尋ねる。
今までよくしてくれたななかに嘘をつくわけにはいかないと思った空也は、内密にすることを条件としてラブライブを辞退するにあたって起きたことを教えることにした。
空也「学園祭のライブで穂乃果が熱出してライブ中に倒れた。それでみんなで相談して今回の出場を辞退したんだ」
簡潔に、そしてしっかりと伝えた。
ライブ中に倒れることがどういうことなのかななかはしっかりと理解しているのだろう。
ななか『そう、なんだ……』
アイドルが……、アーティストがライブ中にステージの上で倒れるということはあってはならないこと。ファンの心配されるのも当然だが、ライブを開催している周りにも迷惑が及ぶ。スクールアイドルでも学校かかる迷惑もあるし、大会に出ればそれだけのリスクは出てくる。
ななかの言葉のトーンで落ち込んでいることは明白。いつまたあのμ'sを見れるのかわからないため余計に落ち込んでいた。
空也「でも心配すんな。俺の夢ではラブライブは、冬にも一度あるみたいだから。そこで頑張るさ」
そんな状態のななかのことを考えたら言わずにはいられなかったことを空也がななかに教えた。それはあの最悪の夢を見て出てきたもの、内容は最悪であったがその中で出てきた単語は最悪ではなかった。予知夢は見た瞬間に起きることはない。しかし、同じ結果になることはある。それが自分から離れていればいるほど。ラブライブ開催に関してはもう決定したといっていいほど確実に起きる。だから空也はななかに教えた。
そのことを聞いたななかはうれしい情報だが今回のラブライブに出れなかったことを少し引きずっていた。
ななか『そう……、応援してるからね!?』
しかしそんなのはすぐに終わりいつも通りのμ'sを応援するななかに戻っていた。
応援というのはすごく元気が出てこれからも頑張ろうという気になる。
空也「あぁ、頼む……」
そんな思いをななかから受け取った空也はずっとそう思ってくれるようにお願いをして電話を切った。
いろいろと準備を重ね練習も終わりライブをしようと決めた時から2週間がたった。そして今はライブ当日。講堂のわきで待機していた。
最初に始めた時は1か月ほどで時間がないといっていたのに今はここまで早くにライブをすることができるようになっていた。それは紛れもない成長でそれは今のこの講堂でライブをやろうとしているからわかることだった。
花陽「うぅ~、緊張する~」
初めて講堂のステージに立つ花陽はその緊張感から胸に手を当て心拍数を抑えようとしていた。
そして準備を終えたはずの凛は何かが足りないと思いおどおどしていた。
凛「それより凛たち、制服のままだよ!」
それは今の自分たちが制服姿だったということ。今まではことりが考案した衣装がありライブをしていた。今回は空也が衣装に関しては大丈夫だといっていたため何の心配もしていなかったがこの状況でなかなかに焦っていた。
しかしそんな焦りもしていない真姫が凛の言葉にこたえる。
真姫「スクールアイドルらしくていいんじゃない?」
空也の考えが分かったわけではない。それでも今の状況を考えると真っ先にそんなことが思いついた真姫は今の服装に不満はないようだった。
もちろん空也がこういったことを考えたのもそれが理由だった。スクールアイドルらしい服装で、始まりの曲を歌う。そうすることによって彼女たちの軽やかな再スタートがきれるとそう思っていた。
空也「そうそう。だからことりに作らなくていいって言っておいたんだ。……って、今日も穂乃果は遅刻かよ!」
その旨をみんなに伝えると同時に見渡してみると穂乃果がいないことに気が付いた空也はいつも通り過ぎる穂乃果に少しあきれていた。
そしていない穂乃果にライブの時間も着々と迫ってきている中間に合うのかが不安になってきたにこは、
にこ「全く、穂乃果は間に合うの?」
そんな不安を暴露した。確かにいつも遅刻してくる穂乃果には遅れてしまうと不安になるのは仕方ない事だろう。
しかし、それを心配していない者たちがいる。
海未「間に合いますよ。穂乃果ですから」
それは幼馴染として長い間過ごして来た海未と、
同じく過ごして来たことりだ。声には出さないがあんな事を言っても空也も絶対に時間内に来ると穂乃果を信頼していた。ただもう少し早く来てほしかったという思いはあるが……。
ことり「うん! 穂乃果ちゃんだもんね」
なんの疑いも持っていない笑顔でことりは穂乃果が来ると言う事を肯定した。
そう話している間にも時間は進んでいき、
希「って言ってる間にそろそろ時間やけど」
やがて開始時間に迫って来ると言うことに希は気がついてみんなに教えた。
迫って来た時間を見て穂乃果がいないことに焦り始める絵里。
絵里「お客さんを待たせるわけにはいかないわ」
確かにせっかくライブを見に来てくれたお客さんを待たせるわけにはいかない。アイドルとは一番に観客のことを考えなければならないのだから。
それでも信じていた空也たちの考え通りの結果がすぐに訪れた。
穂乃果「わぁ~! お待たせぇ~」
急に開く扉から入って来た穂乃果はそのすぐ近くにある段数の少ない階段から落ちみんなの前にやって来た。
そんな穂乃果を見て少し一安心した凛は、
凛「全く~、はらはらしたにゃ~」
あまりに遅かった穂乃果に向けて少し毒づくような発言をするがそれでも凛と穂乃果の表情は笑顔だった。
穂乃果が来たと言うことは、ステージに出るメンバーが全員揃ったと言うことになる。
希「さて全員揃ったところで」
それを理解したうえで希はにこに向けてそう話しかけ、
その続きを今度は空也が話す。
空也「部長。一言頼む」
どこかデジャブを感じるその発言。そして今のみんなが待ちわびていることを催促する言葉を空也が言った。
きっとあの時のにこだったらここは話せなかっただろう。しかし、
にこ「えぇ~!? な~んてね。ここは考えてあるわ」
成長してメンバーと過ごして来た彼女はもう今までの彼女ではなかった。にこは驚きを演技で見せながらもすぐにいつも通りに戻り考えていることを離そうとする。
そういって円陣のようにくみ、ピースを前に出す。ライブ前にいつもやるあの行動だ。
にこ「今日みんなを一番の笑顔にするわよ!」
そしてにこはみんなに向けて考えていたことを口にする。先ほども言ったようにアイドルが考えるべきなのは観客のこと。そして自分たちのこと。そのみんなの中にはその2つがしっかりと入っていた。
そして始まりの数字を穂乃果が喋る。
穂乃果「1!」
ことり「2!」
海未「3!」
真姫「4!」
凛「5!」
花陽「6!」
にこ「7!」
希「8!」
絵里「9!」
空也「10!」
最後の数字を空也が言い。ライブに向けての最後の行動が終わった。空也も始めの頃はあまりはっきりと言えなかったが言えるようになっていた。これもまた成長の証だろう。
メンバーの数字がいい終わったことでやる気になったみんな。そんな中穂乃果が、
穂乃果「よっし! 行こう!」
そう言ってみんなを先導してステージに向かう。
ステージにみんなが向かうと空也は客席からは絶対に見えないゾーンに行きμ'sのことを見守る。そして幕が開き観客の前にμ'sが現れる。そこは席が足りずに立ってみる人もいて超満員だった。始まりのあの人は違い。
そしていきなり曲が始まる。ピアノの旋律が講堂一帯を包むとμ'sが振り返り歌い出しが始まる。ネット上にアップされたのは3人の曲しかないし、初音島で披露したのも3人の曲。今日初めて披露する9人の『START:DASH!!』。楽しそうに踊って歌っているμ'sにそれを楽しそうに見て応援している観客たち。にこの言った通りのことができていると思った。
そして曲が終わると穂乃果が観客に向けて話し始める。
穂乃果「私たちのファーストライブはこの講堂でした! その時、私は思ったんです! いつか、ここを満員にしてみせるって。一生懸命頑張って今、私たちはここにいる! この想いをいつかみんなに届けるって! その夢が今日! 叶いました! だから、私たちはまた駆け出します! 新しい夢に向かって!」
それは始まりのあの日に生徒会長に向けて言った穂乃果の誓い。それを今日実現することができた。だからここは再スタートの地なのだ。それをみんなに伝える。
それが伝え終わると穂乃果の元に海未とことりが近寄って来る。
海未「穂乃果!」
ことり「穂乃果ちゃん」
またこの2人も始まりの誓いを聞いて、誓いをした側にいた。達成できたことに喜びを感じ少し涙目で穂乃果に近寄っていた。
そうしていると何かを思い出したかのようにしている穂乃果が、
穂乃果「皆さん、今日は本当にありがとうございました。あ! そうだ、大事なことを言い忘れてました」
観客に向けて何かを言おうとしていた。それは誰にも伝えていなかったようで穂乃果のその言葉にメンバーさえも困惑する。
その疑問を取るために海未が穂乃果に尋ねる。
海未「穂乃果?」
穂乃果に問いかけるが穂乃果は海未に何か意味のあるウインクをして返す。
海未には穂乃果が何を言いたいのか理解したようですぐに引き下がりそれは他のメンバーたちにも分かったようだ。
穂乃果「さぁ皆さんご一緒に!」
そして穂乃果はみんなに向けてある言葉を言って欲しくその言葉を先導して合わせようとする。
その言葉というのがこれから必ず大事になって来るもの。
μ's『μ's ミュージック! スタート!』
始まるときにμ'sが言う始まりの合図。それをこの講堂にいる全員で合わせて言った。それがどんな意味なのか……、
それは彼女たちの物語にいったん区切りがついたということ。しかし、これで終わるわけではない。むしろここからが始まりなのだ。彼女たちの終わることのない新しいステージに上っていく。そんな彼女たちと彼の成長はまだと止まらず進み続けるのだった。
今回で1期分の話が終わりました。ことりの件が無くなって結構スムーズにいったのではないでしょうか?
それでも目標が終わり今までの活動して来た道しるべがなくなった彼女たちにとっては今回のような会は大事だったと思います。
次回『女神たちに来た知らせ』
それでは、次回もお楽しみに!
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