ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

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どうも、そらなりです。

今回はあれですね。ライブの回です。アニメでは気が付かなかったことに空也は気付く。

それではライブに向けて試行錯誤する彼、彼女たちを見ていってください!


悲劇の文化祭

 雨は上がらずに日が明けた。空にかかる雨雲は深く黒かった。

 

 朝になって起きてこない穂乃果を心配して、

高坂ママ「ほーのーかー! 今日文化祭でしょ? 早起きするんじゃなかったの?」

 穂乃果の母は穂乃果の部屋に入って穂乃果のことを起こす。その後仕込みがあるためすぐに下に下がってしまう。

 

 自分の母親の声で穂乃果の意識は表に起き上ってきた。

穂乃果「はっくちゅん……。うぅ~……」

 起きた穂乃果は部屋を出ようとベットから起き上がり部屋のドアに向かうがその間に視界の焦点が定まらなかったため足がもつれてバランスを崩してしまう。

 

 穂乃果がバランスを崩す。そして、立ち上がろうとしてみるが力が入らずに座り込んだままになってしまう。溜息を吐くと穂乃果の声がかすれて出てきた。そのあとに違和感を覚えた穂乃果は声を出してみようとする。軽く声を出そうとするが出るのはかすれた声だった。これを意味するのはライブでまともに歌えないということ。そのことにショックを受けた穂乃果だった。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空也side

 

 文化祭が開始してしばらくたった時、来ていない穂乃果を除いた空也たちは本番前に屋上の野外ステージを見に来ていた。

凛「うわぁ~、すごい雨」

 雨が降っているが念のためということでステージの雨対策はしていた。しかし、音を立てて降っている雨はすぐに止みそうになかった。

 

 この状況で目に入るのは屋上にいる人の数だ。

花陽「お客さん全然いない……」

 花陽の言う通り屋上には誰一人としていなかった。空也はそれを見てファーストライブの開始前を思い出す。

 

 それを思っている空也とは裏腹に少しでも前向きに考えようと真姫は発言する。

真姫「この雨だもの。しょうがないわ」

 この雨だと人が入らないのは仕方がない。まだ始まってすらいないのだ。ここから増える余地はある。

 

 真姫がそう発言したことによって先ほどまで沈んだ雰囲気だったμ'sみんなが少しだけ明るくなる。

絵里「私たちの歌声でお客さんを集めるしかないわね」

 ポジティブな考えがみんなの中にめぐってくる。絵里は屋上でライブをすることを決めた時に穂乃果の言っていたことを実現するため言葉にして決意をする。

 

 また、絵里の言葉もみんなをやる気にさせた。まず一番に目を燃やしていたのは、

にこ「うぅ~、そういわれると燃えてくるわね! にっこにっこに―」

 ガッツポーズをしたにこだった。その後にこは気合を入れるため自分の一番の自信を持っている動作をして、気合を入れた。

 

 そんな中空也は少し気になっていることがあった。

空也「…………」

 ずっとそのことを考えていたためみんなの会話についていかずに黙り込んでいた。

 

 黙り込んでいる空也を不思議に思い近くにいた海未は何をしているのかを尋ねる。

海未「どうしたのですか空也?」

 空也の正面に入りしっかりと空也が海未のことを視認できるようにして空也に話しかける。これで空也は下手な嘘が付けなくなった。

 

 今考えていることは何の確証もないし必ずしも起きるというわけではない。

空也「いや……、なんでもない。っと思う……」

ただいま来ていない穂乃果のことを心配して海未たちには心配をかけないように話す。

 

 しかしその答えで納得のできない海未同様そばにいたことりは空也にもっとはっきりとした答えを言ってほしかった。

ことり「嘘言わないで空也君。本当にどうかしたの?」

 普段とは絶対に異なる空也の様子に何かあると判断したことりは空也にその真意を尋ねる。

 

 そしていまだに確証の持てないことをことりたちに話して心配させるわけにはいかない。しかしここで何も言わなくてもそれはそれでみんなを不安にさせることであることに変わりはない。

空也「いや、考えてるだけだ。ライブの構想を」

 だから今の空也がほんの少しだけ考えていてそれでいて今の状況にあっていることをことりたちに伝えた。

 

 もちろんそれがすべての答えだとはことりも海未もわかっていた。

海未「そうですか……。何か言えることがあったら言ってくださいね?」

 それでも空也がここまで言うのをためらうというのは余程のことなのだろうということを知っている海未は言えるときになったら言ってくれるように頼む。それはことりも一緒だった。

 

 そんなことを言われてしまえば断ることなんてできない。むしろ断ってしまえば今以上に心配をかけてしまうことになってしまう。

空也「あぁ、わかってる」

 だから空也は言葉でしっかりといえるようになったら言うということを約束した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本番のステージの下見も終わり空也たちは部室で最後のライブの準備をしていた。

 

 すると部室のドアから穂乃果がやってくる。

穂乃果「おはよ~」

 気の抜けたような挨拶をしながら穂乃果は部室に入ってくる。

 

 今日はライブをする大事な日だ。そんな日に遅刻してきた穂乃果を見て、

海未「穂乃果!」

 これなくなってしまうのではないかと心配していた海未はやってきた穂乃果に安心しながら遅刻した穂乃果に普段通り穂乃果に話しかけた。

 

 もうすでに衣装に着替え終わっているにこは、

にこ「遅いわよ」

 軽いストレッチをしながら穂乃果に遅刻したことを言う。

 

 そう言われている穂乃果は荷物を置くために部室に入ってくる。

穂乃果「ごめんごめん。当日に寝坊しちゃうなんて。わっと…」

 最中に遅いといわれたことについて話すがそうしていると何もないところでつまずいてことりのいるほうへを倒れかけてしまう。

 

 倒れかかってきた穂乃果を支えたことりは、

ことり「穂乃果ちゃん! 大丈夫?」

 穂乃果が少し変だと感じ当人に聞いてみる。

 

 ことりに聞かれたのだが、穂乃果はそのことについて答えない。

穂乃果「ごめんごめん」

 心配をかけていることはわかっているため穂乃果は少しでも普段通りにしようと笑顔で乗り切ろうとする。

 

 穂乃果とことりが話していると普段の穂乃果とは違った点を絵里は見つけた。

絵里「穂乃果? 声がちょっと変じゃない?」

 それは声の違和感。絵里は穂乃果の声に少し何かを抑えているような感じがしていた。

 

 それに気が付かれて今の状態を知られたらまずいと思った穂乃果は、

穂乃果「え!? そっそうかな? のど飴舐めとくよ」

 動揺した穂乃果は言ってくれた絵里に治すための方法を伝えた。

 

 しかし、そんなことでだまされるような空也ではない。昨日のくしゃみを聞いている空也は少しだけ考えていたことがあった。

空也「その前に、ちょっと来い! 穂乃果!」

 眉間にしわを寄せ穂乃果に言い寄る空也。穂乃果たち幼馴染と絵里と希しか知らない空也の怒っている様子にみんなが戸惑っている。

 

 穂乃果のほうに近づいてきている空也に後ずさりして軽く逃げながら、

穂乃果「な、何かな。空也君?」

 空也に向けて焦りながらも答えた。しかし穂乃果のそんな些細な抵抗もむなしく穂乃果は空也に腕をつかまれてしまう。

 

 急に怒り出した空也に驚きその行動の意味を知りたかった海未は、

海未「どうしたのですか? 空也?」

 空也になぜ行動したのかを尋ねる。

 

 しかし今はまだ言えない。本人の意思を確認していないためだ。だから穂乃果と2人で話す必要がある。

空也「悪い……。今の穂乃果の様子を見たいからちょっと待ってて?」

 先ほどの起こった空也の表情はそこには存在しない様子で笑顔で海未たちに伝えて部室のドアに手をかける。

 

 出ていこうとしている空也と穂乃果に向けてことりは、

ことり「わかったけど早くね?」

 ライブまでの時間が迫っているため少しでも早めに終わらせてくれるように一応言っておいた。

 

 ことりの言葉に空也は軽くうなずきながら穂乃果とことりは部室を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 部室前で穂乃果と空也は対面して話を始める。

穂乃果「何かな? 空也君?」

 まず最初に空也がこの行動をしたことに対して尋ねた。

 

 しかし空也は何も言わず自身のおでこを穂乃果のおでこにくっつけた。その瞬間穂乃果の顔が赤くなるが今の空也にとってはそんなことは関係なかった。

空也「高熱にのどの痛みか……。穂乃果、ライブに出るなって言ったらどうする?」

 もちろん空也が穂乃果に向けてやったことはお遊びではない。熱を感じると空也は穂乃果に今日のライブのことを話し始める。

 

 風邪なら魔法で何とかすればいいと思うかもしれない。それでも魔法は便利ではあるけど万能ではない。できることもあればできないこともある。治癒に至っては空也の専門外だった。

 だから今の空也に穂乃果のことは直せない。

 

 熱を測られもう隠せないと判断した穂乃果は、いつも以上に真剣な表情になる。

穂乃果「聞かないよ。それだけは」

 絶対に聞かないといった様子で答える穂乃果。その目から引く気はないことはよくわかった。

 

 もちろん穂乃果がそう答えるのはわかっていた。

空也「だよな……。まぁいいか。まずは戻ってみんなに熱の事を言う」

 だから空也一人では決めきれない。出るというなら少しでも負担にならないようにするつもりだが、まずはみんなに話してからだ。

 

 空也がそう言うと穂乃果は目を見開いて空也のことを見つめた。

穂乃果「言わないでよ。やめさせられちゃう!」

 それはライブができなくなる不安と、風邪をひいてしまったことの申し訳なさから来る子供特有の秘密にしたい気持ちがあったからだ。

 

 しかしそんなわがままを聞いている余裕は今の空也にはなかった。

空也「却下だ! いいから戻る!」

 即答で穂乃果の言ったことを却下してもう一度部室に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 入るとまずは入口の近くにいた希が穂乃果たちに話をかける。

希「空也君。話は終わったん?」

 何かを話していたと思われる空也と穂乃果にその会話の内容を尋ねるようにした。

 

 希が気が付いたことでみんなの視線が空也と穂乃果に向く。

空也「あぁ、みんな。聞いてくれ、穂乃果が熱を出している。個人的にはライブの中止をしたいが、穂乃果自身が出たいといっている」

 それを確認した空也はみんなに向けて今の穂乃果の状況をみんなに報告する。それは自分の考えを含んでのことだった。

 

 空也にそう言われて気が付かなかった海未は穂乃果に近づき、

海未「そうなのですか! 穂乃果!」

 穂乃果の肩をつかんで空也の言ったことが本当なのかどうかを尋ねる。海未の問いに穂乃果は申し訳なさそうに首を縦に振る。

 

 その答えを見た真姫は穂乃果の先ほど起きていたことから納得のいった様子で話す。

真姫「だからさっき、体がふらついていたのね」

 ことりにもたれかかっていた時は熱のせいで足がふらついていた。空也がみんなに打ち明けたおかげでみんなすぐに合点がいった。

 

 そこで空也が考えていることはもう一つあった。それは……、

空也「だから俺の考えはこの雨でライブをやるのは穂乃果にも悪いが、お客さんにも悪い…。だから、一曲だ……」

 現在の天気を考えるとお客さんが濡れてしまうことを考えると穂乃果の風がなくてもこの提案をしている。

 

 空也が人差し指を1本突き立てている様子を見て絵里はあることが思い浮かぶ。

絵里「歌える曲の数?」

 それは披露しようとしている曲の数。本来の3曲から変更するということを言っているのか絵里は尋ねた。

 

 もちろん絵里の言っている通り披露する曲の変更のことだった。

空也「そうだ……『No brand girls』一本にする」

 それも穂乃果の最初に提案した新曲をやるということ。きっと今の穂乃果の状況を見ても、そして今の天気を見るとこれが限界だった。

 

 しかしその言葉に反論する人がいる。それがにこだ。

にこ「そんな!? もっとできるわよ!」

 やる気に満ち溢れているにこはもっと曲を披露することができると空也の提案に食い下がる。

 

 にこの考えていることも最もではある。それでも空也が妥協するわけにはいかない。

空也「ダメだ。これは譲れない。それに、にこ。アイドルに必要なのはお客さんを一番に考えなきゃダメなんじゃないか?」

 にこにアイドルとして大事に思っていることを空也は言う。そして、空也は真剣な表情だ。

 

 今にもやる気に合った花陽も、

花陽「そうですか…」

 にこほどとまではいかないが少し落ち込んではいた。新曲もだが既存曲も花陽は運動が苦手なことから努力していたためやりきれない感は否めなかった。

 

 そんなみんなの様子を見ていると本当に申し訳なくなっている穂乃果は、

穂乃果「ごめんね…」

 かすれた声でみんなに謝った。その時空也は思った。このライブの後ラブライブの出場を…………することにしようと提案することにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雨はやはり止まずにそのままライブの時間になる。校内放送で宣伝をしたため何人かの観客が屋上に来ていた。

空也「今回集まっていただいた皆様。今日はあいにくの雨ですので、披露する曲を三曲から一曲に変更したいと思います。こちらの都合での変更。誠に申し訳ありませんが今回は楽しんでいってください! それでは聞いていただきましょう。μ'sで『No brand girls』」

 マイクを持って空也が集まった観客に向かって始まりのあいさつをする。その中には雪穂や亜里沙の顔があったことも確認していた。

 

 

 

 

 

 そして今、ライブが始まる!

 スポットライトが後ろを向いている穂乃果たちのことを照らし曲が始まる。今までにはなかったロック調の曲を披露しているμ'sは楽しそうな笑顔でライブを進める。

 

 そしてラスト。曲が決まった後、空也が恐れていたことが起こってしまった。それは…………

海未「穂乃果!」

ことり「穂乃果ちゃん!」

空也「穂乃果!」

絵里「穂乃果! 大丈夫!?」

 穂乃果が倒れた。そのことにすぐに気が付くみんなは穂乃果のことを呼ぶが反応はなかった。

 

 そしてみていた雪穂までがステージに駆け付け、

雪穂「お姉ちゃん!」

 穂乃果のことを心配して何度も名前を呼びかける。

 

 部隊袖からやってきた空也は、何もできなかったことを悔やみながらも今はまず行動をしなければならないと判断し、

空也「ッチ! 穂乃果のことは任せてくれ。みんなはこの場を頼む 雪穂! ついてきてくれ!」

 舌打ちをしながらも穂乃果を抱きかかえすぐにみんなにこの場を頼み保健室に雪穂を連れて行こうとする。

 

 空也に言われた雪穂はうなずき、

雪穂「うん! わかった。空也お兄ちゃん!」

 速足気味で空也についてくる。

 

 しかし、その間に穂乃果は意識を少しの間取戻し、

穂乃果「せっかく……。ここまで来たのに……」

 空也の袖を引っ張って最後の力を絞って空也にそう申し出た。

 

 その言葉で穂乃果のやる気は伝わった。それでもそのやる気に任せてやれるほど穂乃果の体力は残っていない。

空也「今は黙ってろ! いいからおとなしく保健室に直行!」

 しゃべることすら苦しそうにしている穂乃果を黙らせて駆け足で空也と雪穂は保健室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 保健室で見てもらうと穂乃果は熱が高いだけで熱風という判断を受けて一安心した空也は穂乃果を雪穂に任せてアイドル研究部部室へと戻る。

空也「ちょっと話したいことがある……」

 扉を開けてみんながいることを確認した空也は真剣な表情でこれからのことを話そうとする。

 みんなも空也のことを弱気な目で見ている。きっとこれから言おうとしていることはみんなにも想像はついているのだろう。それがどんな結果をもたらそうとその決断はしないといけない。

 




今回で『最高のライブ』回が終わりになります。穂乃果の暴走に気が付いて回避しようと思ってもできなかった空也。これからどうなるんでしょうか?

次回からはアニメ展開5割オリジナル展開5割でやっていくのでお楽しみに!

新しくお気に入り登録をしてくださった白銀月さん、ヤスクドさん、いろはスタイルさんありがとうございました!

次回『衝撃の決断』

それでは、次回もお楽しみに!



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