ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~ 作:そらなり
今回から再びアニメのほうの展開を進めていきたいと思います。この話から本来アニメのシリアスが始まるのですが、この作品内ではもうすでに解決済み……。一体どんな展開が待ってるんでしょうかね?
それでは、夏に決めた決意を打ち明ける彼女とラブライブに向けて頑張る女神たちの物語をご覧あれ!
穂乃果side
つい最近夏休みが終わったのだが、そうすると音ノ木坂学院はすぐに文化祭の準部が始まる。
そんな人朝、穂乃果は今日までの人は異なることを発見した。
穂乃果「ふっふ~ん」
その出来事がうれしく、鼻歌交じりに学校の準備をして家を出た。
穂乃果「行ってきまーす」
しっかりと時間通りに家を出たため遅れずに空也たち幼馴染組の集合場所に着いた。
そうはいっても穂乃果が最後だったのだが、穂乃果はそんなことを気にせずに空也たちに話しかける。
穂乃果「いえ―い。みんな、今の順位見た!? 19位だよ! ラブライブまでもう少しだよ!」
早朝であるのに穂乃果のテンションをここまで上げているのは、ラブライブの順位が出場県内の20位を超えたからである。一つ目標としていたため通達できただけで十分すぎるほどの出来事だった。
無論をそれはマネージャー的なポジションを請け負っている空也も知っていた。
空也「わかってるから、それより早く学校に行くぞ。遅刻しちまう」
このままの穂乃果のテンションでは話をしていて時間通りに来たのに遅刻してしまうことになってしまうと判断した空也は穂乃果を抑えつつ海未とことりをつれ音ノ木坂に向かった。
side out
空也side
学校に着き、朝のHRが終わると移動教室のため教室を移動している。そして友人であるヒデコたちと空也と穂乃果が話していると生徒会長である絵里が見えた。
絵里「穂乃果、空也。おはよう」
絵里も空也たちのことに気が付いて挨拶をしてくる。
もちろんその挨拶に穂乃果と空也は答えた。
穂乃果「あ! 絵里ちゃんおっはよ~う」
夏休みに入ってから始めたことを新学期に入っても続けているためそのままの呼び方で穂乃果は絵里のことを呼ぶ。
それは当然空也も同じだった。
空也「絵里、おはよう」
普段通りに何も飾ることなくあいさつを交わした。
その空也と穂乃果の言動に驚いたヒデコたちは、上級生であることを指摘してくるが、
空也「μ'sには先輩後輩をなくそうって絵里が提案して決まったんだよ」
空也がこの夏に決まったことを状況説明として説明をする。
そのことがヒデコたち3人からしてみると芸能人のようだと思ったようで、
穂乃果「サイン?」
午前授業が終わるとヒデコ、フミコ、ミカの3人は穂乃果に色紙を渡しサインを描いてもらうように頼んできた。
その理由が、ランキングに入ったことを知ったからで、
ミカ「これから有名になるんだから、記念に一枚書いてよ。…さっき園田さんにも書いてもらったんだけど……」
穂乃果たちのことを見ていると本当に芸能人のように見えたからだった。
そして穂乃果にお願いする前に海未にサインを頼んでいたようだが、
ミカの言ったことから色紙に書いてある海未のサインを探す。
空也「どこにあるんだ? って!」
するとその色紙の右下にまるで自分の持ち物に名前を書いているかのようにきれいな字で名前が書かれていた。
空也同様に穂乃果も海未のサインを見つけた。
穂乃果「ちっさ!」
小さく書かれているサインと言っていいのかわからないものを空也と穂乃果は見た。
穂乃果たちの思ったことは当然ながら頼んだミカたち困惑させていた。
ミカ「でしょう? 恥ずかしいからこれが限界だっていうのよ。だから穂乃果と空也君は大きく書いてね?」
そしてミカたちはその代わりとして穂乃果たちのサインも同じ色紙にもらおうとした。
穂乃果にサインを頼むのはわかる。
空也「俺も書くの?」
そんな中空也にもサインを頼んできたことに戸惑いを隠せない。
だけどそう思っていたのは空也だけだった。
ミカ「うん だって専属作詞家なんでしょ? だったらいいじゃん」
μ'sの詩を書いているという認識は間違っていないし、できない人たちにとっては普通にすごいことでもあることからサインを頼む。
言われて初めてそういう風に見られていることに気が付くが、
空也「まぁそうなのか?」
いまいち空也には自覚がわかなかった。なので穂乃果に聞いてみる。
空也に聞かれた穂乃果は空也もメンバーの一員なのだと思っているから、
穂乃果「空也君も書こうよ!」
そこまで重要に考えずにただ自分が思っていることを空也に伝える。
そこまで言われた空也も満更ではなくなってきた。
空也「まぁいいか。減るもんじゃないし」
空也はそう割り切ってサインを書こうとする。
しかしここで問題が起きた。先に書いた穂乃果が書いたサインは『果』が入りきらず、空也は用意されていた2枚目の色紙に自身のサインを書いた。
穂乃果「ごめん。入りきらなかった」
空也がサインを描いている途中に先に書き終わった穂乃果がミカたちに謝る。
そんな間に空也もサインを仕上げた。
空也「まぁ、全く考えてなかったからこんなもんか」
書かれた色紙にはサイズ的にしっかりと色紙にちょうど収まって『時坂』の文字が斜めに書かれていた。
そして出来上がったサインを見てヒデコが穂乃果と海未を見比べて、
ヒデコ「ほんとあんたたちって極端だよね」
思ったことを口にした。ヒデコの言う通り海未と穂乃果はほぼ完全に正反対の性格と言える。しっかりと考えてから行動する海未に対して穂乃果は直感で感じたことを行動してから考えるような性格だ。サインにもそんな人の性格が出たんだろう。
さらに思い出したかのようにフミコが話す。
フミコ「さっき矢澤先輩にも頼んだんだけど」
それは3年生の教室に行ったときに言われたにこの言葉だった。
それだけを聞けば夏休みほぼずっと一緒にいた空也や穂乃果たちはどういわれたのか察しが付く。
空也「どうせプライベートだとか言ってもらえなかったんだろ? にこはそういうのは徹底してるからな」
にこはアイドルのことになると本気で線引きをして生活をしている。まぁ、μ'sとの日常でメンバー内にはそういう部分がなくなってきているが。
そんな話を聞いていると穂乃果は思ったことがある。
穂乃果「私たち、芸能人ってわけじゃないし……。あれ? そういえばことりちゃんは?」
穂乃果たちはスクールアイドルであって、プロのアイドルではない。学校の名前を背をっているから行動には気を付けないといけないがサインくらいは快く受け入れてもいいんじゃないかと思う穂乃果。
そんなことを考えているといつも一緒にいることりがいないことに気が付く。
いなくなっている理由は空也はなんとなくだが察してはいた。
空也「どうせ、断り方を考えてるんだろ。行かないって決めてもどう断ればいいかわからないんだよ」
初音島に行ったときに解決したことりの留学問題に進展がないことは夏休みの期間にどことなく察してはいた。しかし、答えは出ている以上あとは本人の問題であるためことりに任せていたのだが、ここまで悩んでいるのでは少し手助けをしたほうがいいと考えられなくもなかった。
そして授業がすべて終わり放課後になる。放課後もランキングの件が話題になり、
穂乃果「わぁ~、出場したらここでライブできるんだ~」
穂乃果と凛はノートパソコンでラブライブ!の公式ホームページのトップ画像を見ていた。そこにあるのは本大会が行われる会場の写真だった。
それを見て穂乃果と凛はうっとりとしてしまっている。
凛「すごいにゃー」
今から、楽しみでしょうがない様子でパソコンの画面を眺めていた。
しかしその様子を見たにこに指摘される。
にこ「何うっとりしてんのよ。ラっラブライブ出場くらいで…、やったわね。にこ」
頭の中ではラブライブを通過点と考えていたにこが、本心として出てきたのは素直な喜びだった。
だが素直に喜んでいるわけにはいかない。
にこ「まだ喜ぶのは早いわ。決定したわけじゃないんだから、気合い入れていくわよ!」
そう。まだ出場が確定したわけではない。これからどんなことが起きるのかわからない以上気を引き締めていくしかない。
そのにこの考えは全く持って間違えではない。むしろ正解だ。
絵里「その通りよ」
同じ発想に至った絵里はにこの言葉を肯定する。
突然絵里の言葉がして、
ほのにこりん「「「うん?」」」
穂乃果と凛とにこは今やって来た絵里のほうを向く。
その最初の部室のほうで座ってほかのメンバーが来るのを待っていた空也もその話が聞こえ、
空也「A-RISEの7日間連続ライブが決まった。これでA-RISEの出場は決定だろ」
絵里と一緒に穂乃果たちのいる部屋に入って、決まったことを穂乃果たちに伝える。A-RISEのライブは1日、2~3曲程度をやる予定だというが1位のグループがここまでするとはそれほどまでに本気なのだろう。
空也から発せられた事実に穂乃果たちは驚くことになる。
穂乃果「7日間連続ライブ!?」
それは当然のことで、曲数を絞ったからと言って一週間も連続でライブをするのは体力がそうといる。そのことをやっている穂乃果たちは十分にわかっている。
穂乃果同様に凛もそのライブ数の多さから驚きを隠せない。
凛「そんなに!?」
こんなハードなスケジュールを取る理由を希が驚いている穂乃果たちに説明をする。
希「ラブライブ出場チームには2週間後の地点で20位以内に入ったグループ。どのスクールアイドルも最後の追い込みに必死なん」
まだ確定していない結果から必死に上に行けるよう努力をするグループはいる。
希の補足として絵里も口を開く。
絵里「20位以内に落ちたところだってまだあきらめてはないだろうし、今から追い上げてなんとか出場を勝ち取ろうとしているスクールアイドルもたくさんいる」
だからこのままではそんな必死なグループに負けてしまうことを意味する。
そんな中で今の現状に最適な言葉を真姫が話す。
真姫「つまりこれからが本番ってわけね」
そう、これからが本番。ようやく戦える状況になったのだ。このまま引き下がるわけにはいかない。
だからみんなの気を引き締めるため空也は、
空也「そういうこと、だからまだ喜ぶには早すぎる」
一言気の緩みかけているメンバーに渇を入れることをする。
空也の言葉に落ち込むメンバーはだれ一人いなかった。
穂乃果「よ~し! もっと頑張らないと!」
むしろ穂乃果のようにみんながやる気をより高めた。ここまで団結しているなら少しは安心していいだろう。
やる気があるのはいい。しかしここで間違った行動をしてしまうのは失策中の中の失策。
絵里「とはいえ、特別なことを今からやっても仕方ないわ。まずは目の前にある学園祭で、精一杯いいステージを見せること。それが目標よ」
だから普段通りライブをしてより上位に行けるように努力をしようとする。
そんな当面の目標が決まるとやる気のある彼女たちは駆け抜けようとする。
にこ「よし! そうとなったら、まずはこの部長に仕事をちょうだい!」
そんな中先頭を走ろうとしたのはにこだった。部長であることで何かをしたいという想いからの行動だ。
ちょうど今日、そんなにこにしかできない仕事があった。
空也「そういえばにこにしかできない仕事あったけ」
それをにこに空也は告げる。
その内容が気になるにこは、
にこ「何!?」
空也にものすごい勢いでその仕事内容を聞きに行く。
にこの圧力にも屈しない空也は普段と変わらない話し方で、
空也「講堂の使用順番を決めるくじ引き」
にこにその仕事の詳細を教えた。それは講堂が使えるかどうかが決まる重要なくじ引き。
生徒会室で行うそのくじ引きにアイドル研究部が放送で呼ばれた。全員が生徒会室につくと1つ前の部活動の生徒がガラガラを回している。その結果は当たりで作動部の生徒は喜んでいた。
そんな中、にこがガラガラを回す番が回って来た。最初に時計回りで中身を混ぜるにこ。
気が済むまで混ぜたにこは、緊張した顔つきで反時計回りにガラガラを回す。
結果は…………
無情にもそのガラガラから出てきたのははずれを意味する白い玉。この瞬間アイドル研究部所属のμ'sは講堂が使えなくなった。
にこの出した結果を受け練習をするために屋上に来たμ'sはどうしても先ほどの結果を考えずにはいられなかった。
穂乃果「どうしよ~!」
穂乃果が頭を抱えで叫ぶ。それほどまでに今のこの状況は深刻だった。
その結果を出したにこは悪いと思いながらも、
にこ「だってしょうがないじゃない、くじ引きで決まるなんて知らなかったんだから!」
素直に離れずに開き直っていた。
そんなにこも、結果から慌てているほかのメンバーも取り乱しているこの状況で1人だけ落ち着いている人がいた。
空也「にこも落ち着け。今は後悔するより、改善策を出さなきゃいけない。さぁ! みんな切り替えて!」
それが空也だった。空也は年齢的には絵里たちより年下だが、人生経験は過去で過ごした時間を含めると絵里たちを上回る。そのため落ち着いたものの考え方ができるようになっていた。
空也の言葉でようやく絵里は本来の思考を取り戻した。
絵里「そうね。気持ちを切り替えましょう。講堂が使えない以上、ほかのところでやるしかないわ」
くじに外れたということはそういうことだ。やらないなんて選択肢がない以上代わりとなる場所を考えなくてはならない。
そんな中先にあがりそうなところを空也は考えた。
空也「体育館はダメ。グラウンドも駄目のこの状況、どうする?」
その結果出てきたのは体育館とグラウンド。しかしどの場所も休憩スペースになったり露店が出てたりするので使えない。
そんな中穂乃果に1つのアイディアが浮かんだ。
穂乃果「あ! 空也君の作った空間ならいいんじゃない?」
それは魔法使いである空也の生み出した空間に人を呼んでライブをするということ。初音島で練習したときにかなりの広さがあったことを思い出した。
しかしそのアイディアを誰でもない空也が否定する。
空也「却下」
短く、それでいて即座に考えるそぶりすら見せずに穂乃果に言う。
言われた穂乃果はすぐに否定された理由を聞きたくなる。
穂乃果「なんで!?」
妙案だと思っていたから否定されるとその理由が聞きたくなる。
そんな穂乃果の空也に対する疑問だが、海未が代わりに答える。
海未「忘れたのですか? 空也はここにいるときにそんなに魔法は使えず、魔法使いとばれるのもよくないことなのですよ?」
そう、ここ日本では魔法使いは裏方に徹するため素直にばらしていいというわけではない。空也は訳があり、初音島以外で空間を生み出したりすることはできない。
そのことを思い出した穂乃果は、
穂乃果「そうだった……。ごめんね……」
空也に謝る。
しかし空也はそんなことは気にしていない。
空也「気にすんな。便利なもんを使いたくなるのは人の真理だからな。でもどうする?」
空也の言う通り便利なものは誰だって使いたくなる。携帯だって今はスマホだし、最近はμなどのロボットがメイドとして雇っている飲食店や旅館だった少なくない。
最後の空也の問いににこが考えを話す。
にこ「部室とか?」
くじを外したことを悪いと思っているからの行動なのかアイディアを積極的に出す。
しかしその場面を考えてみると、当然問題点となるものが出てくる。
穂乃果「狭いよ!」
それは狭いということ。ダンスのフォーメーションとかがあるため十分に広いことが前提条件となる。
すぐさまツッコまれたことで少し不機嫌になるにこ。
にこ「む~」
そう言いながら歯を食いしばる。
そして次は穂乃果がライブができそうな場所を提案する。
穂乃果「じゃあ廊下は?」
廊下だと広さは十分にあるがそれでも、室内で活動しているクラスがあるため来客者の迷惑になりかねない。
だが、それとは違う意見をにこが言う。
にこ「バカまるだしね」
確かに廊下で急に踊りだすのは不自然極まりない行為であることでもあった。
しかしそれを言ったのがにこのため、
穂乃果「にこちゃんがくじ外したから必死で考えてるのに~」
穂乃果がむきになるがそれでも考えることをやめない。
そして考えつく場所がなくなりはじめ、
絵里「あとは……」
絵里もお手上げの状態になる。
だが、ここであることを思い出していただきたい。それはまだμ'sの名前もついていないころ同じような状況になった穂乃果たちが練習場所として選んだ場所のことだ。
穂乃果「じゃあここ!」
穂乃果は当時のことを思い出してみんなにその場所を提案する。その場所とは、いまみんなのいる屋上だった。
急に言い出した穂乃果に空也以外の一同は騒然とする。
穂乃果と空也以外『え?』
みんなに驚かれてもなお穂乃果が続ける。
穂乃果「ここに簡易ステージを作ればいいんじゃない? お客さんもたくさんはいれるし!」
確かに穂乃果の言う通りグラウンドや講堂などを除けば一番集客が可能で、大きく動いてもほとんどの人に迷惑も掛からない場所はこの屋上だけだろう。
穂乃果が続けたことでみんなの思考が穂乃果に追いついてきた。
希「屋外ステージ?」
つまりはアキバでやったオープンキャンパスや路上ライブをした時のように外でライブをするということ。
そして屋上の広さから客が入ることに気づきだすことり。
ことり「確かに人はたくさん入るけど……」
それでも屋上でライブをするのは大丈夫なのかという不安が残る。
しかしそんなことは穂乃果にとっては重要ではなく、この場所でライブをすることがどういう意味なのかをみんなに伝える。
穂乃果「何よりここは私たちにとってすごく大事な場所、ライブをやるのにふさわしいと思うんだ」
それはいつもこの場所で練習してきた言わばμ'sのホームグラウンドともいえる場所。そこでこそ彼女たちらしいライブができるのではないか。と穂乃果は考えていた。
その言葉でようやく踏ん切りの付くメンバーたち。
凛「野外ライブ。かっこいいにゃー」
次第に穂乃果の題した案に賛成するメンバーが出てくる。
もちろん穂乃果の提案にデメリットがないわけではない。
絵里「でも、それなら屋上にどうやってお客さんを呼ぶの?」
絵里の言う通り客の呼び方も考えなくてはいけない。
それはなぜかというと、
海未「確かに、ここだとたまたま通りかかるということもないでしょうし」
海未が言う通りライブが目的で来た人以外は来ない可能性が出てくる。
そうということはライブに興味がない人しか来なかった場合、
真姫「下手すると、一人も来なかったりして……」
誰一人ライブに来ないでランキング戦には使えなくなってしまう。
真姫が言うことでそのことを想像してた花陽は、
花陽「えぇ!? それはちょっと……」
あまりにも寂しいそのライブに悲しくなっていた。
しかし、それだけでは穂乃果は止まらない。
穂乃果「じゃあおっきな声で歌おうよ!」
穂乃果の言う通り廊下にいる人たちにも聞こえるように歌えば気になって見に来てくれるかもしれない。
穂乃果の意見はかなり希望的観測だった。
にこ「はぁ~、そんな簡単なことで解決できるわけ……」
現実をしっかりと見ているにこは穂乃果にその考えが甘い考えだということを伝えようとするが、
それを待たずして穂乃果は言葉を続ける。それほどまでに穂乃果はこの案が本気なのだ。
穂乃果「校舎の中や、外を歩いてるお客さんにも聞こえるような声で歌おう! そしたらきっとみんな興味を持って見に来てくれるよ」
穂乃果の出した案以外にもライブ前に放送で呼びかけることだってできるし、可能ならば学校のホームページに告知することだって部活動となっているアイドル研究部にはできる。
穂乃果の出した案を最初に空也が肯定する。
空也「穂乃果らいい案だな……、けど面白い。今までの中で一番のアイデアだと思う。あとは雨対策か……、衣装にはそういう細工はできる?」
そこで問題になってくるのは台風などが多い時期にやるため、不安定な天気を同対策するかだった。屋上全体に屋根を付けるわけにもいかないからせめて衣装だけでも雨対策ができればベストだ。
空也に聞かれたことりもやる気があり、
ことり「大丈夫だよ!」
雨対策の加工ができることをことりはみんなに伝える。
決まることが決まり、みんなも穂乃果の意見に賛成する。
絵里「決まりよ! ライブはこの屋上にステージを作って行いましょう」
まとめとして絵里が今日決まったことを繰り返す。これであとは練習を重ねるだけになった。
決まったことを考えるとこのライブは、
希「確かに、それが一番μ'sらしいライブかもね」
希の言う通りらしいライブになりよりアピールにつながるだろう。
また、凛は文化祭当日のことでテンションが上がり、
凛「よ~し! 凛も大声で歌うにゃー」
やる気をより高めていた。
これで文化祭当日に何とかしなければいけないことの大半が決まった。そして後は、
絵里「じゃあ各自、歌いたい曲の候補を出してること。それじゃあ練習始めるわよ―!」
ライブでやる曲をどうするかだ。これはおいおい決めていくとして今日の練習が始まる。
練習後が終わり各自が帰る準備をしているところに空也はことりを隣の部室に呼び出す。
空也「ことり、ちょっとこっちに来い」
それはかなり真剣な表情でことりに来るように言う。
急なことで戸惑うことりは、
ことり「え! どうしたの空也君?」
とりあえず用件だけでも今聞こうと空也に聞く。
しかしここでそのことを言うのは落着した要件をみんなに蒸し返す気がして気が引けた空也は、
空也「いいから、穂乃果。悪いけどちょっと待っててくれ、すぐに終わらせるから」
少し強引ながらもことりを隣の部室に連れ込んだ。
空也にそう言われた穂乃果は、
穂乃果「うん。わかった」
と短く伝え今いる部室の中で待つことにした。
ことりを広くなったほうの部室に呼び出した空也は最終下校時間まで時間がないためさっそく本題に入る。
空也「ことり、お前今留学の断り方で悩んでんだろ?」
それは今日の休み時間に気が付いたこと。暗い顔をして何かに悩んでいるような表情を見た空也はことりに思い当たることを聞いてみた。
その考えは完全な正解だった。
ことり「うん……。お母さんに悪くて……」
留学の話を出してくれたのはことりの母である理事長だった。学校のほうもあるためどうもいかないというのは悪いと思っているらしい。
ここで空也の人生経験が役に立つ。
空也「なぁことり。俺たちは高校生だけど、まだ子供だ。子供には甘える権利がある。限度はあるが、今のことりは今行くよりしっかりと時間をかけて考えたいから断ろうって決めたんだろ? ならいいじゃん。甘えれば。それでもだめなら俺も一緒に行くから、元気出せ。もうすぐ文化祭だ」
そう、空也もことりも今は高校生。そろそろ自立しなくてはいけないといってもまだまだ子供だ。甘えたっていい。そして周りを頼ればいい。空也だって困ったときは誰かの手を借りた。完璧な人間なんていない。だから頼って甘えて、そしてそれを返していくんだ。そんな思いを空也はことりに伝えた。
空也の言葉を聞いたことりは、
ことり「うん! ……空也君には励まされてばっかりだね……」
これからどうすればいいのかが完全に吹っ切れた。
ことりの最後の言葉に空也は反応する。
空也「何言ってんだよ。幼馴染なんだ、当たり前だろ? さて、そろそろ戻ろう。穂乃果が待ってる」
そう、幼馴染だから。それだけで自然とことりの周りにいることの多い空也は次第に助けられることが多いだけだ。気にするほどでもない。そう空也は思っていた。
空也にそんなことを言われたことりは、自分の中で解決することのできた。
ことり「そうだね。いこっか空也君」
だから普段と変わらない自分になって空也と一緒に元の場所に戻る。
ことりとの会話が終わり穂乃果の待つ方の部室に戻ると、
穂乃果「じゃあ、行こう!」
穂乃果は笑顔で出迎えてくれた。
そんな穂乃果に感謝しつつことりと空也は、
ことり「うん!」
空也「あぁ」
帰る穂乃果についていく。
side out
ことりside
ことりが自室にいるとことりの母が話しかけてくる。
南ママ「どうするの? こんなチャンス滅多にないわよ?」
このチャンスというのは留学の件だろう。確かに留学の話が出てくるのはめったにないことだ。
話す機会をうかがっていたことりにとっては願ってもない話題だった。
ことり「うん……。そのことなんだけど、実は……この前初音島に言ったときにみんなにこのこと言ったの……。それでね、自分の気持ちが分かったの! 今はまだμ'sのみんなと一緒にいたい! こんなチャンス滅多にないけど、こういう経験もできないから……。だから……、私はここに残りたい! お願い! お母さん!」
今思っている気持ちをありったけ込めてことりは自分の母親に想いを伝える。
その答えを聞いてことりの母は、
南ママ「そう……。ことりがそういう決断をしたのなら私が断るけど、後悔しない?」
本当にことりの決断が本心なのかを訊ねてみることにした。
そうは言われても、ことりの決意は揺るがない。
ことり「うん! 多分このまま行ったほうが後悔すると思う……。だから絶対に後悔はしない!」
今が楽しいと思えるから、今を失いたくないと思っているからこその言葉。だから今のことりには一切の後悔はない。
ことりの言葉を聞いたことりの母親は、
南ママ「そう、そこまでの覚悟があるんだったら大丈夫ね。わかったわ。がんばりなさいよ。ことり」
ことりも想いをしっかりと受け取り、本心だと信じ話をキャンセルの方向で進めることを決めた。
迷惑と思われても文句の言えないであろう決断を素直に受け入れてくれた自分の母親に、
ことり「うん! ありがとう! お母さん!」
心の底から感謝をした。そしてここから決意をする。絶対に文化祭のライブを成功させると。
そのために早く衣装の準備をしなくてはならない。
自身の母親がいなくなるととある男子にメッセージを送る。
『明日の休みに、服を見に行かない?』と
その送る人の名前は………………
三条歩だった。
今年最後の投稿です。前回のクリスマスに続きイレギュラーな投稿です。これは私からのささやかなサプライズです。
今回の話でことりの留学の件は完全に終わりになりました。そして最後はあの人とのことりのデート回になります。
新しくお気に入り登録をしてくださった由夢&音姫love♪さん、'よう'さんありがとうございました!
次回『ライブの準備』
それでは次回もお楽しみに! そしてよいお年を!
Twitter始めました。
https://twitter.com/kuuya_soranari
どうかよろしくお願いします!