ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

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どうも、そらなりです。

今回はアニメ回突入前最後のオリジナル回になります。以前からやるといっていたある女神の誕生日。祝いましょう。

それでは今回も新たなステージにストライドする彼女を見ていってください!


天使の誕生日

 新学期が始まったと思ったらアイドル研究部にとっては祝い事が近づくことを意味していた。

 それはμ'sの衣装担当で始まりの4人のうちの1人南ことりの誕生日だった。

 

ことりside

 

 平日のある日、ことりは花陽に言われて自身の教室に残っていた。

 

 そうしていると穂乃果たちが出て行ってすぐに花陽は教室に入って来た。

花陽「ことりちゃん、お待たせ」

 花陽は入り口から入ってきてことりに手を振りながらそう言った。

 

 花陽が来たことでことりは自身の席から立ち上がり、

ことり「ううん、それよりどうしたの?」

 急に話があるから教室に残ってほしいといわれていたことりは少し気になって訊ねてみた。

 

 ことりを呼んだ理由を花陽は口にする。

花陽「ちょっとことりちゃんに話を聞きたいっていう人がいて…。連れてきちゃった」

 半ば強制的に会わせることになった花陽の珍しくない行動だった。

 

 花陽が言ったことに少なからず驚くことり。

ことり「えぇ!? ことりに?」

 それはそうだろう。なんせ自分の知らない人が急に話したいといっているといって会えるかと言ったら素直には受け入れられないほうが普通の対応であるといえる。

 

 ことりが思っていることは当然花陽も考えることができていた。

花陽「うん。迷惑だった?」

 迷惑だと思ったがこれから花陽たちがやることを問題なく行うためには大事だった。

 

 しかし花陽が連れてきたということは少なくても悪い人ではないことが分かる。

ことり「一言ぐらいほしかったけど問題はないよ」

 そのため注意はするがさほど気にしてはいなかった。

 

 ことりのその言葉が聞けたことで花陽は少し安心した。

花陽「ありがとう。ことりちゃん。三条君! 入ってきていいって」

 そして先ほどから教室の陰で隠れていた同じクラスの男子、三条歩を呼び出す。

 

 呼ばれた歩は少し遠慮気味にことりの教室に入って来た。

歩「え、っとこんにちは、南先輩」

 教室内にはことりと花陽しかいないのだが上級生のクラスに入るのは少し緊張するものがあるようだ。

 

 そんな彼を安心させるためにことりは普段と変わらない笑顔であいさつを交わす。

ことり「こんにちは。えっと……?」

 しかしここで困ったことは相手の名前を知らないことだった。

 

 名前を知らないことに気が付いた歩は、

歩「三条歩です。小泉とは同じクラスで、衣装作ってるって聞いたからお話が聞きたくて」

 自分の名前を告げ今日聞きたい大本の話をことりに伝えた。

 

 ことりは衣装ということで少しテンションが上がり、

ことり「そうだったんだ。いいよ、何でも聞いて!」

 嬉しくなって歩の話を聞いてあげることを快く受け入れてくれた。

 

 2人の会話ができることを流れから察した花陽は、

花陽「私は、掃除あるから教室に戻るね」

 そう言って教室から出ていこうとする。

 

 ことりもその動作に違和感を感じなかったため、

ことり「うん。行ってらっしゃい」

 花陽を送り出す。

 

 そして歩の近くを通って教室から出ていくときに、

歩「ありがとう。小泉」

 歩は話を通してくれた花陽に感謝した。

 

 それが聞こえた花陽は、

花陽「いいよ。がんばって」

 歩にそう告げ教室から出ていく。どうやら歩がことりの持っている特別な感情をしっかりと理解しているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 教室にことりと歩の2人になりことりが歩に話を振る。

ことり「それでどんなことを聞きたいのかな? 歩君は」

 今日呼び出されはしたが話を聞きたいということとそれが衣装関係であることはわかっているが本当に聞きたいことはわかっていないため歩に聞く。

 

 それを歩はちゃんと伝わるように言葉を選んでことりに言う。

歩「えっと、衣装を作ってるってことはファッション系のことは詳しいんですよね?」

 そのためにまずは前提が正しいのかをことりに訊ねる。

 

 しかしそのことをことりは胸を張って言えるかと言ったら、

ことり「詳しいかはわからないけど、結構男の子用も女の子用も関係なく考えたりはしているよ」

 言えない。それは全般に精通しているわけではなくあくまでもよく考えているだけだからだ。

 

 それでも、歩にとってはその答えで十分すぎた。

歩「自分もいろいろ考えているんですけど参考に話が聞けたらって思って話を通してもらったんですよ」

 歩はファッションに気を使っているためことりのように話の通じる人と話がしたかったのだ。

 

 歩の言葉からこれから歩が言いたいことがどことなくわかったことりは、

ことり「そうだったんだ。じゃあ、ファッションについて悩んでるってことでいいのかな?」

 先回りして聞いてみた。

 

 ことりが言っていたことは間違いなく歩のききたいことの的を射ていた。

歩「まぁ、そうです。いろいろ試行錯誤して考えてはいるんですが1人だと限界がありまして」

 この学校には男子がそもそも少なく歩のレベルまでにファッションに気を使っている人を知らなかったため話の合う人に相談できなかった。その点ことりは理解しているため安心して相談することができた。

 

 そう言われたが今この場には実物があるわけでも雑誌のようなものがあるわけではない。

ことり「それじゃあ、言葉だけじゃあ心もとないから今度一緒に買い物に行かない? ちょうど次のライブの衣装の材料も買いに行かないといけなかったから」

 だからことりは行動に移すことにした。それは洋服がある場所に見に行くことだった。実際ことりの言っているライブの衣装づくりのことも本当である。

 

 まさかことりからそんな魅力的な提案をされるとは思っていなかった歩は、

歩「いいんですか!? もちろんこっちからお願いしたいほどですよ!」

 ことりの手を握りぶんぶんと上下に振った。

 

 その歩の動きで了承したのは明白であるため、

ことり「じゃあ決まりね。連絡先聞いてもいいかな?」

 ことりは携帯を出して相手の連絡先を聞こうとする。

 

 ことりがあそういうので歩もポケットから携帯を出し、RINEを起動しことりに見せる。

歩「もちろんです。…………はい! ありがとうございました!」

 ことりが歩のスマホに出ているQRコードを読み取り連絡先の交換が完了した。

 

 それでこれからのことを歩と相談し始める。

ことり「じゃあ詳しいことはこれから決めていこう?」

 ことりも歩も、都合というものがあるから買い物に行くのはそのうち決めようということりの提案だった。

 

 歩もそのことに異論はなかった。

歩「はい! 今日はありがとうございました!」

 そのため今日話をしてくれたことりに深いお辞儀でお礼を言う。

 

 そしてこれからいい友人関係を続けるためにことりからある提案がやって来た。

ことり「いいよ。そんなにかしこまらなくて、それとことりのことはことりって呼んでね?」

 それは自身のことを名前で呼ぶようにということだった。

 

 急に言われたことりの言葉に受け入れるのが遅れる歩は、

歩「え……? 南先輩のことをですか?」

 ことりに本当にいいのか聞いてみる。

 

 しかし、訊ねるときにことりのことを名字で呼んだのが気に触ったのか、

ことり「むぅ~、こ・と・り!」

 ほほを膨らませたことりは自分の名前を呼ぶように強調して歩に言う。

 

 その迫力に圧倒された歩は、素直にことりのことを名前で呼ぶ。

歩「……はい、こっことり……先輩」

 いまだ慣れていない感じだが今のことりには十分なことだった。

 

 満足に思ったことりは腰に手を当て胸を張って歩に向け、

ことり「よろしい! じゃあ私これから部活だから。また今度ね」

 そう告げる。すると部活に行く準備を始める。

 

 部活があることは当然この学校に通う歩はわかっている。

歩「はい。また今度」

 そのため歩は急ぎ目のことりに感謝し送り出した。

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空也side

 

 

 ことりの誕生日だということで花陽に任せた時間稼ぎをしている間に部室の準備を進めておいた。歩の件は花陽が今日なら大丈夫かもと言って事情を説明して受け入れてくれた。

空也「飾り付けも大丈夫か」

 そのため、ことりが来る前に終えなきゃいけないことはしっかりと勧められていた。

 

 飾り付けを担当していたのは凛と花陽。

凛「うん! 大丈夫だよ!」

 凛は折り紙で作られた花やわっかなどを部室にしっかりと飾り付け終わったことを空也に報告する。

 

 そしてこの部室の変化している部分は飾り付けだけではなかった。

にこ「ケーキは空也が準備してあるし、飲み物はあらかじめ買っておいてあるからあとはことりを待つだけね」

 それは空也の作って来たケーキと飲み物が机に置かれていることだった。生クリームを使ったケーキは傷んでしまうことを考え、またことりの好物を考えた結果、チーズケーキということになった。

 

 ここまで準備したんだからことりの反応に期待してしまうメンバーが出てくる。

穂乃果「ことりちゃん、驚いてくれるかな?」

 そわそわした様子で穂乃果はことりの反応に期待していた。

 

 空也もことりの反応には期待していた。それは…

空也「大丈夫だろ? 一応変に思われないようにしたがことりのことを避けないことを徹底しておいたからな」

 意外に勘のいいことりが不審に思わないように空也の作戦でことりのことを避けないようにしていたからだ。

 

 その作戦を聞いた時のことを思い出し海未は口を開く。

海未「普通なら話をしないようにするというのにどんどんことりと話せと空也は言うのですから驚きましたよ」

 そう。本来はばれないように話さないようにするのが普通である。

 

 しかし、そうすると問題点が少し出てくる。海未の考えと同じだった絵里だが、問題点に気が付く。

絵里「そうね。でも海未の言ったことをするとことりがかわいそうになるからそういうことも考慮したんじゃない?」

 ことりを避けてしまうのはことりにも避けるように行動してしまうこちら側にもよくはない。

 

 その考えとは違うが希はこの作戦にすぐに賛成した。

希「それに、こうしたほうが逆にわからないかもしれないやん?」

 それは今希が言ったことが原因だった。普段やらないようなことをやるのは面白いと感じることがあるだろう。

 

 真姫も、その点を考えると、

真姫「大胆だけどわかりにくい作戦ってことね」

 空也がなぜこの作戦を提案したのかわかった気がした。

 

 そんな話をしているともうことりが来てもおかしくない時間になった。

花陽「ことりちゃん、もう来るかな?」

 花陽はいよいよ来るだろうことりをドキドキしながら待っていた。

 

 

 

 

 

 噂をすればとはよく言ったものでことりは花陽がそう口にしてすぐにやって来た。ガチャっという音と同時にことりが部室に入ってくる。

ことり「ごめんね、少し遅れちゃった」

 

 パーン!

 

 ことりをクラッカーの音が出迎える。

 

 入ってきたことりにクラッカーを向けていたことり以外のメンバーは声をそろえて、

ことり以外の9人『ことり(ちゃん)! 誕生日おめでとう!』

 ことりを出迎えた。

 

 そんなことりは、今日という日がどういう日なのか思い出した。

ことり「みんな……。そうだ今日はことりの誕生日だったんだ」

 今まで普段通り過ぎる穂乃果たちを見ていたら自身の誕生日を忘れていたらしい。

 

 自身の誕生日に気が付いていなかったことりに対し、

花陽「気が付いてなかったの⁉」

 花陽は驚いていた。

 

 そのことについてことりが思うことを口にする。

ことり「みんながいつも通りだったからつい…」

 それは今日1日のみんなの行動のせいだったという。

 

 つまりはある者の作戦通りだったということだ。

絵里「空也の作戦通りってところかしら」

 ことりのことを考え、どうすれば驚いてくれるかを考えた空也の作戦が功をなし、ことりは自身の誕生日を強打と認識することなく1日を過ごしていたらしい。

 

 計画通りと空也は内心思っていたがそんなものは今はどうだっていい。今必要なのは、

空也「まぁな。じゃあみんな! プレゼント渡してくぞ!」

 今日という特別な1日でことりを祝うということだ。そして空也の言葉がきっかけとなりプレゼントの受け渡しが始まる。

 

 はじめはことりの近くにいる穂乃果が渡す。

穂乃果「はい! ことりちゃん、誕生日おめでとう!」

 穂乃果がことりにプレゼントしたのは初音島で買ったであろうペンダントだった。

 

 次は凛がやってきてことりにプレゼントを渡す。

凛「はい! おめでとう!」

 どこか凛らしいプレゼントのリップクリームをことりに渡す。

 

 そして凛に続き花陽がことりを祝うべくやってくる。

花陽「はい! おいしいお米だよ!」

 ことりに花陽は安定のお米を渡す。おコメの銘柄ははばたきという米らしい。なんとなくことりに合っているような気がする。

 

 今度は幼馴染の海未がことりにプレゼントを贈る。

海未「ことり、これを。おめでとうございます」

 海未は衣装作りを楽しんでいることを知っているためことりに裁縫道具を渡す。

 

 今度は海未の近くにいた希がプレゼントを渡す。

希「はい。これ。おめでとう!」

 希が送ったのは誕生石のブルーサファイアの入ったブローチだった。周りは羽のようになっているものだった。

 

 そして今度はにこがことりに近づきプレゼントを差し出した。

にこ「ことり。誕生日おめでとう」

 にこのことりへのプレゼントはシュシュ。普段つけている緑色のではなく紫色のものだ。あえて神とは反対の色にしてみたようだ。

 

 そして今度は真姫が大きな箱をことりに渡す。

真姫「ことり。い、いつもありがとう。誕生日おめでとう」

 その大きな箱の中身を確認してみるとそこには箱に入った最新型のミシンが入っていた。ミシンをよく使うことりにはうれしいプレゼントだった。

 

 この後に絵里がことりにプレゼントを贈る。

絵里「ことり、誕生日おめでとう」

 ことりに絵里がプレゼントしたのはブレスレット。希のブローチと似ているデザインが施された翅の形をしているブレスレットだった。

 

 そして最後になったのはまたもや空也。そんな空也もことりにプレゼントを贈る。

空也「誕生日おめでとう! ことり」

 空也がプレゼントしたのはぬいぐるみだった。そのぬいぐるみは口が8のようになっていて王冠をつけている少々太った小鳥のようなぬいぐるみだった。

 

 いっぺんにみんなからプレゼントを受け取ったことりは、

ことり「みんな……、ありがとう!」

 みんなのことを見渡して、今日という日を祝ってくれたことを感謝する。

 

 そうやって感動していることりを見た穂乃果はその前にパーティーを始めようと声を出す。

穂乃果「じゃあケーキを食べてパーティを始めよう!」

 その穂乃果の言葉でパーティーが始まりここにまた1人新しい階段を上った少女が生まれた。

 ここにいるみんな誰しもが笑顔でその日を過ごしていった。

 




終わりましたことりの誕生回。

そして、新たな展開として歩の恋の模様も気になりますね。

次回から完全オリジナル回はいったん終わりになります。アニメ『最高のライブ』に入りますのでアニメの展開を待っていた方々はお待たせしました!

次回『少女の決意』

それでは、次回もお楽しみに!



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