ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

65 / 145
どうも、そらなりです。

今日は初めてのコラボ回になります。

初めてのことで戸惑いながらになると思いますがよろしくお願いします!

それでは、今回も同じような境遇の少年たちをとくとご覧あれ!


枯れない桜が導いた出会い

空也side

 

 新学期が始まってそれほど日の立たないある日の休日。空也はスマホの着信で眠りから覚める。

空也「はぁ~、はい。もしもし」

 あくびをし終わってから空也はかかって来た電話に出る。

 

 空也に電話をかけてきたのはさくらだった。

さくら『もしもし! 空也君!? ちょっといいかな!?』

 そんなさくらは慌て気味に空也に話しかけてくる。普段は落ち着いた様子の桜がここまで焦るのはかなり珍しい。

 

 そんなさくらをそこまで焦らせていることに空也は驚く。

空也「さくらか! どうした! 何があった!」

 さくらを焦らせるほどの出来事の内容を聞き出そうと空也はさくらに問いかける。

 

 空也に聞かれたさくらは少し落ち着きを取り戻し、

さくら『実は枯れない桜が原因で、ほかの世界の人が1人こっちの世界に呼んじゃったみたいなんだよ!』

 その驚くべき事実を空也に伝える。本来は枯れない桜は願いをかなえることができなくなっている。それが発動したとなると驚くのは無理もない。

 

 さくらの言葉を聞いた空也はその出来事が起きてしまった原因に心当たりがあった。

空也「なんだって!? もしかしてあの魔法が原因か!?」

 そう。空也が本島で魔法を使うために枯れない桜の魔力を使った。それが原因で桜の魔法が発動してしまったのかもしれない。

 

 当然さくらもそのことが原因だとは気が付いていた。

さくら『恐らくそうだと思う。それで一応桜を確認したけど、エラー的なものはもうなくなってたからもうこんなことはないとは思う』

 そして今起きてる状況を悪化させる一番の出来事が被害者の増えること。それを見越してさくらは先に動いていた。どうやら被害を受けるものはいないようだ。

 

 その報告に一安心する空也。

空也「それは良かった……。これで被害はそれほどないんだな?」

 あとは枯れない桜に関係している義之の安全を確かめる。

 

 空也に聞かれたさくらはすぐに義之のことを聞いていることを察した。

さくら『うん。義之君も異常がないから問題はないよ。それで枯れない桜からだから予想はついていると思うけど、初音島にそう言うめぼしい人がいなかったら空也君のほうに行ってるかもしれないんだ』

 そして枯れない桜が原因で起きたことは本来初音島の中で解決するのだが、空也が依り代に選んでからは空也のほうに出てしまう可能性が出てきた。それでも初めてのことだから何がどうなるかわからない。

 

 いくらカテゴリー5と呼ばれた空也でも初めてのことがどうなるかなんてわかる訳ではない。

空也「それは、俺が枯れない桜を依り代にしているからだな。わかった。その人を探してみるよ」

 だからせめてできるのは自分の周りを探し出すぐらいしかない。

 

 その答えを聞いたさくらはほっと一息して、

さくら『お願いね。空也君』

 改めて空也にこの件に関してしっかりと依頼をした。

 

今 回のことは空也も完全に関係していた。穂乃果たちのことを救うために枯れない桜を使った。それが原因で被害が出てしまったのだ。どうにかしないといけない。

空也「なんてことはない。それで、こっちで見つけたらどうすればいいんだ?」

 空也は見つけた時のために枯れない桜について一番詳しいさくらに対処法を聞く。

 

 さくらも自身が言っていなかったことに気が付き、

さくら『あ、そうだったね。空也君は枯れない桜を依り代にしているから空也君が使っているワンドをその人に当ててその人が帰りたいと想えば元の世界に戻せるよ』

 空也に元の世界に戻す方法を伝えた。やはり魔法を使うにあたり想いは強くかかわってくる。

 

 この返す方法にはいくつか問題点はある。それは、

空也「その人が帰りたいと想わないといけないのか…。わかった。その方法でやってみるよ」

 その本人が帰りたいと想わないといけないこと。もし帰りたくないなんて言われたら返す方法がなくなってしまう。

 

 そしてまだ問題点があった。それはさくらの口から語られえる。

さくら『それともう一つ。………………ってことが起きるから先に伝えておくよ』

 

 さくらからきいたその問題点に空也は少しショックを受ける。

空也「…………了解。じゃあそっちもよろしく」

 悲しいことだが仕方のないことだと割り切りさくらに初音島のことを頼む。

 

 空也にそう言われたさくらは、

さくら『うん!』

 より一層やる気を出し、初音島を見て回ることになった。さくらはそのまま電話を切り見回りに向かったようだ。

 

 

 

 

 

 さくらの電話が切れるとそろそろ部活に行く時間になった。食事を済ませ空也は部活に向かった。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

 枯れない桜が原因で違う世界に来てしまった男が今目を覚ます。

???「はぁ~~~~。今日は朝からμ'sの練習だったな。朝飯食べて学校に行くか……」

 自分が今別世界にいるなんてことは気が付くわけがなく普段通りに彼は今日という日を生活する。これから自分が出会うはずのないと思っている非日常が待っていることなんて夢にも思わずに。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空也side

 

 さくらに事件について聞いたがそれでもμ'sの練習を欠かすことはできない。少しでも顔を出してからいかないと空也は気が済まないので、いつもの集合場所に空也は向かう。

空也「穂乃果、海未、ことり。おはよう」

 やって来た3人の幼馴染に朝の挨拶をする空也。

 

 そんな空也に挨拶をかえす3人。

穂乃果「おはよう! 空也君」

ことり「空也君。おはよ~」

海未「空也。おはようございます」

 穂乃果はこれからの部活が楽しそうに、ことりと海未は普段と変わらずに空也に挨拶をする。

 

 そのあとに続く言葉はもう恒例となっていた。

穂乃果「早く学校に行こう!」

 それは穂乃果が毎回部活のある時に言っている言葉。楽しみすぎるから早く練習場所に行きたいんだとか。

 

 そして穂乃果に落ち着くように言うのも決まって海未だ。

海未「わかっていますから。それじゃあ行きますか」

 だが、海未自身も早く部活がやりたい為か直接的に言うことはしなかった。

 

 その話になると空也はあらかじめこの3人に言っておかなければならないことを言おうとする。

空也「あぁ、あと先に言っておくけど。俺今日途中で部活抜けると思う」

 今朝さくらに言われたことをどうにかしないといけないため空也は穂乃果たちにそう告げた。

 

 途中で空也が部活を抜けたことがないため、

ことり「何かあったの?」

 心配になったことりは空也にどうしたのかを聞いてみる。

 

 ことりにそう聞かれてはいるが詳しいことを言っても枯れない桜のプロセスを知らないことりたちが理解するのは難しい。

空也「簡単に言うと魔法関係で何とかしないといけないことができたから少し抜けることになる」

 そのためわかりやすく穂乃果たちにしっかりと伝える。わかりやすくとはいっても魔法関連としか言えないのが痛いところだが……。

 

 しかし思った以上に空也の言った言葉は穂乃果たちを心配させた。

穂乃果「それじゃあ、一刻も早く何とかしないといけないんじゃない!?」

 一般人が魔法関係でどうにかしないといけないということを聞くと一大事であることを想像する。

 

 だが、起きたことを考えるとそこまで空也は心配してはいなかった。なぜなら、

空也「そうなんだけど……。普通に生活していれば大丈夫ってこともあるからまずは部活に行くよ」

 依り代になった空也の近くにいるか初音島にいるかの2択であるため、空也は普通に生活しているだけでよかった。しかし、そうはいっても誤差があるため、保険として途中で早退することを空也は選んだ。

 

 でもそれだけでは心配である海未は、

海未「そんなことで大丈夫なんですか?」

 再度空也に大丈夫なのかを訊ねてみる。やはり、幼馴染が危険な目に合うのは嫌なようだ。

 

 そんな海未の心境を察したのか、空也はもう少し詳しく説明することにした。

空也「大丈夫大丈夫。別世界から誰かが来ただけだから」

 先ほどよりも詳しく、枯れない桜が原因であることは告げずに今わかっている空也の情報を穂乃果たちに言う。

 

 しかしその事だけでも魔法をよく知らないことりたちには十分驚くべきことだった。

ことり「それって簡単に言ってるけどすごいことなんじゃないかな?」

 空也の言うことを聞いたことりはそんなことを口にする。それは空也にも驚くべきことではあった。空間を、それも並行世界の移動なんて今の空也にはできない行為。それを枯れない桜がやったのだから驚くことも無理はない。それに、もしかしたら依り代にしている空也のもとに転送される可能性が大きい。

 

 そんな話をしていると穂乃果が早く行きたがっていた学校についた。

空也「それより学校についたぞ」

 空也の言葉で穂乃果たちが目的日ついたことを認識する。それほどまで空也の話に夢中になっていたということだろう。

 

 空也のことを心配していたが空也自身の様子から安心していいことを察したことりは、

ことり「本当だ。じゃあ早く部室に行こう」

 普段と変わらない様子でいつも通り学校に入っていく。

 

 そんなことりについていきながら穂乃果は、

穂乃果「うん!」

 駆け足で部室に向かうことになった。いつの間にかことりを追い抜いて穂乃果が先頭を走っていたが、何事もなく部室に着いた。

 

 穂乃果がドアを開けるとそこには普段とは少し違う部室が目の前に広がった。

???「お! やっと誰か来たか。あぁ穂乃果たちか。おはよう」

 部室の中にいる名前も知らない少年。しかし、服装は音ノ木坂の制服でこの部室にいること以外は不審な点はなかった。

 

 しかし、見たことがない少年が自身の名前を呼び捨てで呼ばれるとと、

穂乃果「え……?」

 どうしても戸惑ってしまう。無理もない。アイドルをしているからと言って何も知らない人から急に名前を呼ばれたら若干の恐怖を覚えてしまうことは仕方ない。

 

 そして穂乃果のことを呼んだ少年は、

???「え……? って誰だよその男⁉」

 穂乃果と一緒に来ていた空也のことに気が付きその人物がだれなのか穂乃果に怒鳴りつけるように訊ねた。

 

 自身の幼馴染を怒鳴りつけられた海未は、

海未「あなたこそ誰ですか!?」

 そう言った少年のことを訊ねる。

 

 すると海未とも面識のある少年は何が何だかわからない様子で海未に自分のことを言う。

???「はぁ!? 何言ってんだよ海未!? ○○だよ! ××○○!」

 ○○と自信のことを言った少年は名乗った。

 

 ここでようやくこの項という人物がどうしてここにいるのかわかったものがいた。

ことり「もしかして空也君の言ってた人ってこの人なんじゃ…?」

 この学校に来るまでで聞いたことを思い出したことりはすぐに○○のことがピンときた。

 

 ことりが空也に訊ねると空也もしっかりと状況判断をしていたため、

空也「多分そうだと思う。えっと××君だっけ?」

 少し感情的になっている○○を落ち着かせるため優しい声で声をかける。

 

 一向に先ほどの質問である空也のことを知らない○○は空也にすごい勢いで言いかかってくる。

○○「ってか、お前は誰だよ! さてはお前が穂乃果たちを変にしちまったんだな!」

 自分の知っている少女たちが変わったことを空也のせいにして話を進めていた。

 

 何度言っても落ち着かない○○に向けて、

空也「一回落ち着け。ちゃんと話をしよう」

 冷静に話をすることができるように話しかけていく。

 

 しかしそれでも今の○○の思考はまとまらない。

○○「うるせぇよ!! 穂乃果たちをこんなにして……、絶対に許さねぇ!」

 しょうがないこととはいえ自分の知っている少女たちとの普段との相違点である空也に憤りを覚えていた。とうとう我慢ができなくなったのか空也に向け殴りかかろうとしてくる。

 

 そんな○○の攻撃を簡単に受け流し、

空也「一回落ち着けって言ってるだろ。穂乃果たちはちょっと隣の部屋で先に着替えてて」

 ちょうどいいところにあった○○の頭を軽くチョップする。そして長くなりそうだということを考え先に穂乃果たちに着替えに行くように指示を出す。

 

 空也に言われ穂乃果たちは隣の部室に入っていく。

穂乃果「うん。みんなにも事情を説明しておくね」

 そして穂乃果は入り際に空也のことを考えほかのメンバーたちに説明しておくことを伝えた。正直こっちにつきっきりになりそうだったので穂乃果の申し出はありがたかったため空也はそうしてもらった。

 

 

 

 

 

 穂乃果たちが部室に入り、部屋の中に空也と○○の2人だけになると、

○○「なにすんだよ! てめぇ!」

 穂乃果たちがいなくなったため少々口調が荒くなる。…いや、そんなことはなかった。さっきと変わらない。

 

 それでも空也は対応の方法を変えない。

空也「落ち着けって言ってるのに熱くなってるからだろ。ちょっと逆効果だった感は否めないが」

 頭に血が上っている人の対応は一度物理的に攻撃をするか落ち着くのを待つしかない。今回取った行動は若干とっさの反応だっただ前者を選択した。

 

 その言葉で空也自身の落ち着きを感じたのか○○もようやく落ち着きかけ始める。

○○「ったく。何かどうなってるんだよ……」

 今の頭で精いっぱい現状を整理しようとしているようでそんな言葉がコウの口からもれる。

 

 そのセリフが聞こえた空也はこれから彼に起きてしまったことを○○自身に説明しようとする。

空也「それを今説明するんだよ。いいか。信じられないとは思うが××君は魔法で君のいる世界とは違う世界に来てしまったんだ」

 あくまで冷静にあくまで相手を刺激しないように空也は○○に話しかける。しかし空也自身も初めての対応で少し焦っているのかいきなり話の本題に入ってしまう。

 

 しかし、急に魔法なんて言われた○○は、

○○「魔法……? どういうことだ? そんなのあるのかよ?」

 空也のことをまるでイタイ子を見るような目で見ていた。まぁ、何も見ていないのに信じろというほうが無理がある。

 

 ○○の指摘を受けた空也はようやく本来の落ち着きを取り戻した。

空也「そう思うのは無理ないな。でもこっちに来て少し疑問に思ったことなかったか?」

 だから信じてもらえるように自身の世界とこちらの世界の違いを感じてもらうことにした。それが魔法が原因であることにつなげるために。

 

 空也にそう言われた○○はここに来るまでに見た景色を思い出す。

○○「言われてみれば……、なんか見慣れない料理屋とかあったな…」

 すると心当たりがあったようで空也にそのことを告げる。いくら別世界であっても似ている世界はある。しかし全く同じ世界は存在しない。絶対にどこかしらに変化がみられる。何かがないとか誰かが多いだとかが。

 

 そのことを感じてもらえるように空也は○○に思い出してもらっていたのだ。

空也「多分それがこっちの世界が君の世界とは違うってことの証明になると思う」

 今の空也は魔法に知識がない人に向けて魔法を受けた人のことを説明している。何も知らない人にこんな話を説明するのが難しく、空也もこの説明に手ごたえはなかった。

 

 空也の感じたことは全く間違っていなく、現状のことは理解していても魔法のことを○○はいまいち理解できていなかった。

○○「でもそれが魔法なんてものが原因だってことを信じられるとは思えないんだけどな」

 確かにまだ直接的に見ていない○○が信じるのには時間がかかる。なんせ○○が見たものは魔法がかかった状態で見た普通の人工物なのだから。

 

 そのため空也は○○に魔法を見せるため初音島で始めて穂乃果たちに見せた魔法を同じ魔法を使おうとする。

空也「それじゃあ……、和菓子は嫌いか?」

 自分が出せるのは和菓子限定のため先に○○に聞いておく空也。

 

 聞かれた○○は正直に答える。

○○「嫌いじゃないよ。よく穂乃果の家の和菓子を食べるし」

 穂乃果の家の和菓子はよく食べるようで問題なく空也は魔法で和菓子を出すことができそうだ。

 

 マジックだと思われたくない空也は、念入りに○○に種がないことを見せようとする。

空也「じゃあ今この手には何もないよな?」

 最初は手を○○のほうに向けて何もないことを確認してもらう。

 

 ○○は空也の言ったことを確認して首を縦に振る。

空也「袖とかにもないか確認してみてくれ」

 それを確認した空也は次に疑われそうな袖を○○に見せる。

 

 袖をしっかりと見た○○は、

○○「……何もないな」

 その中に何もないことを確認した。これで空也の思っていた不安要素は取り除かれた。

 

 空也は意を決してこぶしを握る。

空也「じゃあいくぞ」

 次の瞬間空也の手にはまんじゅうがあった。この魔法は無から有を生み出しているわけではない。自分のカロリーと引き換えに和菓子を出す魔法。だから出すと自身のおなかがすいてしまうのだ。

 

 急に空也の手から出てきたまんじゅうを見て○○は、

○○「な!? どっどうせ手品かなんかだろ?」

 空也が思っていたことを口にした。

 

 急にそんなことが起きると手品で片付けたくなるのか一応予想していたかえしに、

空也「そんなわけないだろ? 確認したじゃん、君が」

 空也は○○自身が確認したことを出し納得させることにした。

 

 空也のもくろみ通り少しずつ空也の魔法について信じかけ始める○○は、

コウ「でもな……」

 それでも今の状況では思考が追い付ていたないため完全には納得がいっていない。

 

 いまだ納得しない○○に対して空也は、○○自身の世界の相違点をいくつか挙げる。

空也「それと、この島知ってるか?」

 まずは三日月形の島の写真を○○に見せる空也。ところどころにピンク色が見える。

 

 その島を見た○○は左下に島の名前が書いてあることを発見する。

○○「なんだ? 初音島? 知らないな……」

 空也の第2の実家で珍しさからニュースや観光名所にもなっている島のことを○○は知らないといった。

 

 この時点である程度相違点の証明にはなったのだが、念のため空也はもう一つあげてみることにした。

空也「じゃあ今度はこの人は?」

 今度はアイドル研究部部室内においてあるCDからななかのものを取り出し、○○に見せた。

 

 そのパッケージを見た○○はその人物を見たことがあるかを思い出そうとする。

コウ「白川ななか? この人も知らない」

 やはり記憶になかったようで素直にそのことを空也に伝える。

 

 最後に確認のため今回における重要なことを○○に聞く。

空也「まず初音島にあるものでもしも君の世界にあるんだとしたら、枯れない桜っていう単語を知ってるかな?」

 枯れない桜があるかどうか、それが今回の相違点にかかわってくる。なぜかと言えば枯れない桜なんて珍しいものを聞かないわけがない。それがないとなるともう別世界だと考えるしかない。

 

 質問慣れた○○は記憶から枯れない桜という単語を引っ張り出そうとする。

○○「まったく聞いたこともない」

 しかし、全く心当たりのない言葉だったため素直にそのことを空也に伝えた。

 

 ここで空也はある補足をしておく。

空也「君が知らないだけだと思ってるならそれは間違いだよ。もしも初音島があるとして、枯れない桜なんて珍しいものを聞かないわけがないからね」

 そう。枯れない桜が存在しない時点でもうそこはこの世界とは全く違う世界。どれだけ似たような雰囲気でも何かがないならそこは違う世界だ。

 

 そのことにいまだ気が付かない○○は、

○○「……もしも、そうだとして枯れない桜ではないものがこっちの世界にもあるかもしれないぞ」

 魔法を信じたくないためか違うものがあるかもしれないといった。

 

 その言葉を聞いた瞬間に空也は説明がもう終わることを確信した。

空也「それは、今いる世界が君のもといた世界じゃないと認めるってことかな?」

 それは結論に至る重要なものだった。

 

 空也の言ったことをいまだ理解できない○○は、

○○「どういうことだ?」

 決めつけている空也の言葉が気になった。それもそうだろう。まさか自分の言ったことが別世界にいる証明になる何と思うわけがないのだから。

 

 ○○の言った矛盾点を空也は突きつける。それは……、

空也「だって君の世界にないってことを今君が自分で言ったじゃないか」

 自分自身で言った否定の言葉。それでは自分のいた世界にはないと言っているようなものだ。

 

 そのことに○○は言われて気が付く。

○○「あ……。そういえばそうだ。じゃあやっぱり……」

 自分の言ったことで別世界にいるということを肯定したため素直に納得がいった。

 

 そのあとの言葉を空也が決定的に突きつける。

空也「あぁ、この世界は君のいた世界じゃない」

 帰す方法を知っている空也はあくまでも優しさから○○にしっかりと現実を見せた。

 

 しかし急に巻き込まれたといっても過言ではない○○はこれから先のことに不安になった。

○○「どうすればいいんだよ……」

 それもそのはず、自分の世界に戻れないということは○○が知っている穂乃果たちに会えないということなのだから。

 

 落ち込んでいる○○を見た空也は帰す方法があることを言っていないことに気が付いた。

空也「帰りたいならすぐにでも帰せるよ? でも君の言ってたことが本当なら君の世界にも穂乃果たちはいるみたいだね」

 そして、帰す方法があることを○○に告げ、空也は最初に会った時の○○の言っていたことを思い出して○○の世界のことを訊ねた。

 

 ある程度落ち着きのできた○○は空也と普通に会話ができるようになっていた。

○○「あぁ、1こ上の幼馴染だ」

 その証拠として○○は自分の世界の穂乃果たちのことを話す。少しは空也に気を許したようだ。

 

 穂乃果たちが1こ上ということを聞いて空也は少し疑問に思ったことがあった。

空也「じゃあ、君は高校1年生?」

 高校生にもなると1,2年の差が分からないがまさか年下だとは思わなかったためこうに質問しておく。万が一穂乃果たちが高校3年生であることを考えた。

 

 その質問に対してこうは正直に自分のことを答える。

○○「あぁ。そういえばあんたは?」

 空也の言ったことを肯定した。これで○○は空也より年下であることが分かった。

 

 次第に相手のことが分かってくると自分のことを相手に伝えていないことを思い出した空也は、

空也「あ……。自己紹介がまだだったな。俺は時坂空也。穂乃果たちと同い年の高校2年生だ」

 自分の分かっている相手の情報を同じことを○○に教えた。

 

 空也の自己紹介である程度2人の本来の立場が分かった。

○○「先輩だったん……ですか……」

 空也は○○に対して先輩にあたる存在だということに○○が気が付いた。そのため今までため口で話していたが敬語に直してみる。

 

 だが、敬語をすると違和感を覚えるぐらい空也は○○と本気で話し合っていた。

空也「いまさら敬語じゃなくてもいいよ。それより、μ'sはやっぱりあるの?」

 そのため敬語はいらないと空也は伝えた。そして穂乃果がいるということはだ。μ'sがあってもおかしくはない。

 

 だんだん空也の質問に答えるのが普通になって来たようで、

○○「あるな。9人そろって、曲は海未と真姫が作ってる。衣装はことりだ」

 μ'sがあることを告げグループ内の分担を空也に教える。もう、空也にかなり心を許しているようだ。

 

 ○○の言ったμ'sの役割を聞いてはやり自分の世界と違うことを改めて痛感する。

空也「やっぱり少し違うのか。こっちは俺が作詞、作曲と衣装は同じだ」

 違ったμ'sの話を聞くのも意外にいいかもしれないと思った空也はもう少し話が聞きたかった。

 

 空也が○○のことが気になったと同時に○○も空也のことを知りたいと思っていた。

○○「空也の作った詩か……、気になるな」

 今は言わなかったが作詞と作曲に経験のある○○は空也が書いている詩に興味がわいた。

 

 しかし改めて直接作詞のことを言われると恥ずかしいものがある。

空也「そんな大したものじゃないよ。それで、もしよかったらこれからの練習見ていかないか?」

 そのため照れ隠しのため話題をすり替える空也。しかしその代わりにとμ'sの練習を見学しないかと誘う。

 

 その申し出は○○にとっても願ってもないことだった。

○○「いいのか?」

 それは自分たちが練習していない内容で参考にできるものがあるかもしれないからだ。参考になるものを見つけたら自分の世界で試してみようと○○は思っていた。

 

 その質問に少し遅れて空也は反応する。

空也「……あぁ、せっかくこの世界に来たんだ。思い出作ってみるのも悪くないだろ?」

 そう。これはある意味思い出作りになる。本来は会えないはずの似た者同士の境遇にある少年2人の。だったら思い出作りをしてもいいじゃないかという建前のもと空也はもっと○○のことが知りたかった。

 

 空也の本心に気が付かない○○は、

○○「それじゃあ、よろしく!」

 そのまま空也の申し出を受けてμ'sの練習を見ていくことになった。○○はこの世界のμ'sがどんな練習をしているのかが気になってかなりワクワクしているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな話をしているともうすでに9人そろっていた。

空也は事情をみんなに説明して○○の部活見学を受け入れてくれた。

 

 今日のμ'sの練習は基礎体力のトレーニングからリズム感を取るように簡単にできるリズムゲーム型の練習をして、一時休憩。その後空也のカウントに合わせて新曲『僕らは今の中で』の振り付けを確認して今日1日の練習が終わった。μ'sのみんなは先に屋上を後にして帰っていった。

 

 

 

 

 

 今日の練習が終わり、屋上で傾き始めた太陽を見ながら空也とこう話をしていた。今日の練習を見た○○は空也に尊敬の念を抱いていた。

○○「空也。お前、結構周り見るの得意だろ?」

 その理由は空也の視野の広さと状況判断の素早さからだった。

 

 練習終わりに急に言い出す○○に空也は少し驚く。

空也「どうしたんだよいきなり」

 普段は言われないことを○○に言われた空也はどういうことなのかが気になり○○にその言葉の真意を訊ねた。

 

 ○○は空也に向けて今日思ったことを口にする。

○○「いや今日の練習を見てさ、しっかりとみんなに注意も出来てるし、作詞も出来るんだろ?」

 広く大雑把に見ることは基本誰にだってできる。しかし違和感を感じ取りそこを的確に注意できるのはそのいる人材ではない。ましてや常に動いているダンスで注意をするのは難しいだろう。それをできる空也はすごいと○○は思っていた。

 

 ○○にそう分析された空也はお返しとばかりに今日○○に向けて思ったことを○○自身に伝える。

空也「そう言う○○は、曲作るの実は得意だろ?」

 練習中に目の隅で○○の行動を見て空也はそう判断していた。

 

 急にそう言われて今度は○○が驚く。

○○「え?」

 空也と同じで普段はそう言ったことを言われないのか空也同様にその言葉の真意を訊ねた。

 

 ○○に聞かれた空也は先ほどのお返しの第2弾として正直に先ほどの言葉の意味を教える。

空也「見ててわかるんだ。小刻みにリズム取ってるし少し口も動いてたぞ。それで少し悲しい目をするときがある」

 これが今日1日空也が○○を見ていて思ったことだった。小刻みにリズムをとることは誰にだってあるのかもしれない。だけど曲のないリズムだけなのに口を動かす動作を見れば何か捜索をしていると判断しても申し分ない。そんな中ところどころで○○は悲しげに空を見ていたことを空也は見逃さなかった。

 

 それは無意識の行動だったのか自分でもよくわかっていない○○は、

○○「そう、か?」

 まだとぼけられると思っているのか少しごまかそうとしてみる。

 

 しかしそれは空也には通じない。

空也「何があったのかは知らない。自分に絶望したのかもしれないし、昨日に何かがあったってことも考えられる。それでも、君はもう少し胸を張って生きててもいいと思うんだ。今朝なんて、穂乃果たちのために俺に殴りかかろうとしたもんな」

 人間なんだって悩みはある。それが昔からあるのかつい最近できたのかなんてことは関係ない。悩みがあることがダメとかそんなこともない。それは生きていくうえで絶対に出てくるものなのだから。でも、今日という1日で空也が○○に対して思ったことはマイナスの印象はなかった。

 

 空也にそんなことを言われた○○はもう隠し通せないことに気が付く。

○○「なんかいろいろとばれてるな……。そうだよ。俺は何もできない自分が嫌いだ」

 今日1日で信用に値すると判断された空也に正直に自分が持っている自分の印象を口外する。

 

 それを聞いて空也は過去の自分と○○が重なった見えた。過去に空也も自分が初音島にいるとき穂乃果たちに起きている被害で何もできないと自身の父親を頼ったことがあった。

空也「別に何もできないわけじゃないだろ? さっきも言ったけど穂乃果たちのためにあんだけ行動に移せるんだから」

 こんな言葉は気休めにしかならないかもしれない。それでもこの言葉が少しでもコウに届けば心に余裕ができるのではないかと思い空也は○○に語り掛けた。

 

 穂乃果たちを守るために動いたことに気が付かれた○○は、

○○「それは……中学の時に思ったんだ。人を守れる力がほしいって」

 これまた自分の過去を空也に話す。どうしてもほしかったものを手に入れたいという強い想いが○○から感じられた。

 

 そんな強い思いに充てられた空也は、

空也「それはほとんど持ってるよ絶対に。あとは、自分も守れればしっかりとみんなを守れるようになるよ」

 これからの○○を心配していた。人を守れる力と彼は言ったが、もしその中に自分自身が入っていないならそんなのは悲しすぎる。それにそれで誰かが助かったとして一時の安らぎを得てもそれはやがて罪悪感になってしまい互いにいいようにはならない。

 

 目標にしていたことを褒められた○○は、

○○「そう…かな?」

 少しうれしくなりながらも本当にできているのか不安だった。

 

 でもそんな不安を空也は吹き飛ばすように言葉をつづけた。

空也「みんなのために行動できてるんだ。それだけで十分すごいよ」

 人のために動ける人間は意外と少ない。それができている○○は十分に守れる力を持っているといっていい。

 

 ここまで褒められるのは慣れていない○○は、

○○「なんか……ありがとう」

 この後の反応に困りとりあえず感謝しておくことにした。しかし、幾分○○の心は軽くなったように感じた。

 

 そんな話をしていると次第に日も落ちる寸前になって来た。

空也「いいって。って! もうそろそろ帰らないとまずくないか?」

 そこで思い出す本来の空也の今日の仕事。

 

 空也にそう言われても異世界転移の事なんてわからない○○は、

○○「いや、まずいって言われてもわからないんだけど」

 何がどうやばいのかが分からなかった。

 

 それについてこれから空也の説明が入る。

空也「ある程度時間も、こっちと同じくらいの速さで動いてるからそっちの世界のみんなも心配してるかもしれない」

 今の空也曰く、向こうの世界の時間とこちらの世界の時間は同じ流れであるという。それが本当なら今日1日○○は行方不明だったことになる。

 

 すぐにそのことに気が付いた○○は、若干焦る。

○○「そうなのかよ!? じゃあ俺を元の世界に戻してくれ」

 元の世界に戻る方法はあらかじめ空也に聞かされていた○○は右手を先に差し出した。

 

 方法は帰りたいと願った○○が帰したいと想っている空也のワンドに触れることだった。

空也「わかった。じゃあこれ」

 それを果たす前に空也が○○に手紙を渡す。

 

 いきなり出てきた手紙に驚く○○は、

○○「なんだよ?」

 どういう意味なのかを空也に訊ねた。

 

 空也は手紙について今伝えられることを○○に話す。

空也「いや、だってこの出会いは偶然で、もしかしたらもうないかもしれないんだぞ。だから手紙」

 そう。今日という日に出会えたのは奇跡ともいえる出来事。また同じようなことが起きるとは限らない。だから形として空也は○○の手元に残るようにした。

 

 そんな手紙をもらった○○は、

○○「いつ用意したんだか……。でも、いつか絶対に会えるよ。だからさようならはいわない。またな」

 少ない時間に用意した空也に若干あきれつつも素直な気持ちでその手紙を本当の意味で受け取った。

 

 ○○自身は2度と会えないなんてことは考えていない。それを知った空也も明るく今日は別れようと笑顔になる。

空也「あぁ! 今度はそっちに顔を出すかもしれないから覚悟しておけよ!」

 それはある種の宣戦布告。○○の世界をスパイに行くと取られても文句の言えない言葉だ。

 

 しかし今回にとってはそれは再会の約束になる。

○○「望むところだ! じゃあな空也」

 そう言って笑顔で差し出している空也のワンドに笑顔を返し○○は触れた。

 

 その瞬間にこの世界にいた××○○という存在が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最後に○○にずっと言えなかったことを空也は残す。

空也「あぁ、○○が俺たちのことを覚えてたらな」

 さくらの言っていた問題点は元の世界に戻した時相手の記憶がなくなるということだった。それでは思い出もくそもないではないかと空也は悲しんだりもした。

 だから別れが悲しくなりすぎる前に時間が同じように流れているという嘘を伝えて早めに分かれることにしたのだ。

 

 それでも空也は希望を捨ててはいない。自分が○○に送った言葉もまた会おうという約束も無駄にならないという想いを胸にして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○side

 

 目が覚めるとそこは見覚えのある天井があった。自分の家の自分の部屋だ。

○○「何か……夢を見ていたような……」

 眠っていた○○には心地のいい夢を見ていた感覚と手紙が左手に握られていた。

 

 眠るときは持っていなかった手紙を不審に思った○○は、

○○「なんだ?」

 持っている手紙を開けて中身を見ることにした。なぜか読まないといけない気がしたから。

 その手紙にはこう書かれていた。

 

 ××○○へ

 

 この手紙を読んでいるということは多分君にはもう記憶がないということだろう。それを承知でこの手紙を書いている。

 今日という日で俺はあなたという人のことを少しは知ったつもりだ。音楽が好きで、幼馴染を守るために行動するあなた。話してみてとても大事にしているんだとわかった。

大事な幼馴染を守れるように頑張るあなたはとても美しいと思っている。それでも自分が救われない結果なんて絶対に求めないでほしい。

 今度あなたの世界に俺はお邪魔しようかと思っている。そこで今日あったことをまた話したいと思っているから楽しみにしていてほしい。

 

 記憶のなく何が書かれているのかわからないあなたにこのような怖い手紙を送ったことを謝罪する。

 また楽しい時間があなたと過ごせるように……

                               △△△△より

 

 っと書かれていた。

 

 最初に読んだとき何が何だかわからなかった。

○○「なんだ……これ」

 でも忘れちゃいけないことを忘れてる。そんな気がしてならない。

 

 そういう発想に至った瞬間、急に頭を抱え○○が倒れる。

○○「あっ! あぁぁぁぁ!!」

 苦しそうに自分の部屋の床に激痛で悶えていた。

 

 次第に痛みが治まって立ち上がれるようになってきた。

○○「はぁ、はぁ、はぁ……」

 いまだ痛みの政界気が上がっているが問題は内容だ。

 

 すると次に立ち上がった時に○○は信じられない言葉を口にした。

 

 それは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○「こちらこそって言っただろ。待ってるぞ。空也」

 記憶がなかったはずの○○の空也を待つ言葉。細かいことまでは覚えていないのは確かだが、もう一度会いたいという2人の強い想いがワンドを通じて魔法をかなえたようだ。

 

 今日という1日は、最初の奇跡を起こした枯れない桜と、最後にありえない奇跡を起こした2人の少年の物語だ。

 




次回『天使の誕生日』

それでは、次回もお楽しみに!



Twitter始めました。
https://twitter.com/kuuya_soranari
どうかよろしくお願いします!







追記(2018/11/01)コラボ先が消滅したことにより、名前を記号に変更

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。