ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

54 / 145
どうも、そらなりです。

前回にこの作品内の魔法にかかわることを載せました。そして今回は皆さんがずっと気になっていたことの一つが分かると思います。

それでは、今回も過去を持つ彼と未来に不安を持っている彼女の物語をご覧ください!


空也の過去とことりの秘密

空也side

 

 立夏と穂乃果が音楽室に向かっていた空也たちは歌を歌ったり真姫のピアノを聞いて時間をつぶしていた。

 そしてようやく2人が帰ってきて時間もいい時間だったので枯れない桜に向かうことにした。

空也「な~んか立夏に話を聞いていたみたいだけど、何聞いてたんだよ」

 穂乃果が立夏に話したいということが気になったので聞いてみた。

 

 しかしそれは空也にだけは聞かれたくないことだ。

穂乃果「ん~。内緒かな……」

 だから穂乃果は空也には内緒にしておくことにした。

 

 ことりは穂乃果の真剣だった様子からどこか内容を察していた。

ことり「まぁまぁ。空也君もそれくらいにして、希ちゃんがそわそわしちゃってるから早くいこ?」

 穂乃果の事情を知っていることりは空也を落ち着かせることにした。

 

 ことりの言うことを理解し穂乃果から聞くことをあきらめる。まぁ大体何を聞いたか空也には察しがついているのだが。

空也「そうだな。じゃあ行くか! それと、ことり覚悟しとけよ」

 そしてここに最初の合宿から決めていたことをようやく始めることにした。

 

 それまで何も告げていなかったためことりには動揺が走る。

ことり「え? なんの事?」

 自分が置かれている状況を何も誰にも話していなかったのに何かを知っているような空也の言葉に驚かないほうがおかしい。

 

 それでもここですぐに話すわけではない。希がずっとそわそわしている様子で枯れない桜に行きたいようだ。

空也「行ってからのお楽しみ」

 空也はそう言ってみんなを枯れない桜のもとに案内した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風見学園から枯れない桜にやってきた。

空也「ここが今じゃ、なんでも願いをかなえてくれるって噂になってる魔法の桜。枯れない桜だ」

 空也はそう言ってみんなに枯れない桜を見せた。

 

 それを楽しみにしていた希は大きな桜の木を見て凄みを感じつつも、

希「すごい……。でも……、なんだか力が弱くない?」

 現状の枯れない桜にある疑問点ができた。

 

 力が弱いことを指摘した希に凛は驚く。

凛「そういうことも分かるの!? 希ちゃん」

 

 そしてそれが本当なのか真姫は空也に訊ねる。

真姫「すごいわね……。それで、希が言ったことは本当なの?」

 

 真姫に聞かれた空也は正直に答える。

空也「あぁ、本当だ。この木はもう一年中花を咲かせることで精一杯らしい」

 過去にあったことが原因でこの桜は花を咲かせ続けることしかできなくなっている。だから現状で本来あり得ないことを頼んでもかなえてくれないということだ。

 

 しかし空也の言葉の表し方には疑問が残る。

にこ「らしいってどういうこと?」

 空也が断言しなかったこと。それは魔法のことをよく知らないにこたちにとっては疑問でしかなかった。

 

 ここで魔法使いの共通の認識をみんなに伝える。

空也「これはさくらが植えた桜だ。さくらにしか本当の事はわからない……。けど力が弱まってるのは本当だぜ」

 それはオリジナルの魔法を理解するにはその魔法を作った本人とその親族でしかない。さくらの親族ではない空也は完全に理解することができない。

 

 力がないことを知ってもなお目の前の桜に感動を覚える花陽。

花陽「でも、それでもすごいです……」

 普通の人にとってはそれだけでもすごいことだった。この景色は奇跡でできている不思議で美しいもの。感動するには十分すぎた。

 

 

 

 

 

 桜の事を話してみんなに利かせた空也は、昨日以上の決意をしてあることを告げることにした。

空也「それで、ここで話したいことがあるんだ。話していいかな?」

 普段と変わらないよう話しているが内心空也は受け入れてくれるのか臆病になっている。

 

 そういうことを知らないにこは、

にこ「話って何なのよ」

 ただ素直に空也が話したいということを聞くことにした。

 

 そして空也は伝えたいことの大まかな道筋を話した。

空也「俺の過去についてだ。魔法のことを話したからにはこれは話しておかなきゃって思ってな」

 空也にとって魔法に関することとしてみんなには言わなくてはいけないことがある。空也を嫌う中学時代の同級生に話される前に。

 

 真剣な様子の空也に圧倒され話を聞くことを選択する絵里。

絵里「そう。じゃあ話を聞かせてくれるかしら?」

 悪い言い方になってしまうが何も知らないから簡単に聞こうとすることができる。

 

 それを知っている人が聞いたらどう思うだろうか。

穂乃果「空也君……。本当にいいの?」

 穂乃果のように中学時代を知っている者が聞けばそれ相応の覚悟が必要となる。だから話そうとしている空也を穂乃果が心配する。

 

 しかし魔法がかかわるとなると知っている事情が違って見えるようになる。

海未「魔法が関係していると聞いて気になりはしますが……」

 海未も知っている人の1人だが違った見方ができるからなのか少し気になり始めている。

 

 心配している穂乃果と海未に優しく声をかける。

空也「あぁ、もう大丈夫だよ」

 空也にとっては克服できたこと。それでも空也の過去を受け入れてくれるかどうかは空也本人にもわからない。受け入れてもらえると信じていても怖いものは怖いのだ。

 

 空也の言葉を聞いた穂乃果はどこか納得することができた。

穂乃果「そう」

 過去を話す空也を見届けることにした。

 

 話の前振りとして聞いておきたかったことを空也が聞く。

空也「ありがとう。心配してくれて。この中で音ノ木中の人ってどれくらいいるかな?」

 それは空也が通っていた中学と同じだった。空也の言葉ににこと絵里、凛と花陽と真姫が手を挙げる。

 

 希以外のみんなが手を上げた状況で空也が話を続ける。

空也「じゃあ、知ってるかもしれないな。化け物について」

 それが空也本人の過去にかかわること。1年生のみんなは知らないと思われるがそれでも絵里とにこは知っているかもしれない事だった。

 

 絵里は顎に手を当てて何かを思い出すようにしていた。

絵里「確か気に入らない相手を触れてもいないのに吹き飛ばす人間を超えたことを起こす化け物がいるって」

 そして思い出す過去に下級生の間で話されていたことを。

 

 絵里の言葉を聞いて何か感じたにこが声を上げる。

にこ「それってまさか!?」

 にこが考えているのは化け物といわれた人が下級生にいたという事実から不思議なことを起こしたということを聞いてそれがどういうことなのかを察することができた。

 

 にこが大まかな真相にたどり着いたのでみんなにわかるように話を続ける。

空也「にこと絵里は気づいたようだけど。その化け物っていうのが俺だ。魔法が使えるのは昨日話した。まずそのことに気が付いた時だ」

 化け物といわれたことを話した瞬間に穂乃果と海未とことりの顔が暗くなる。きっと当時のことを思い出しているのだろう。

 

 そして空也の言っていたことの最後に気になったことがある。

花陽「え!? 最初から魔法が使えたということじゃないの⁉」

 確かに化け物といわれたことにも驚きがあるが当時のことを知らない花陽にはそこまでの事ではなかった。魔法が最初から使えたというわけではなかった。

 

 花陽の驚きに空也もしっかりと答える。

空也「あぁ。中学1年生の時だったかな穂乃果たちに危害を加えるって話を少し耳にしてしたんだ。それで俺が邪魔だったんだろうな。話があるって言われて体育館裏に呼び出されたんだ」

 これが空也を魔法使いにした出来事。その前からもきっと無意識には使っていたのだろうけど。意識できるほどまでに使えたのはその出来事があったからだ。

 

 そして自分の友達が危機的状況にあったという事実を知って真姫がその先を聞いてくる。

真姫「それでその後どうなったのよ」

 きっと真姫の中ではどんなことが起きたのか大まかな想像はついているのだろうけど詳細を聞くべく空也に聞く。

 

 空也もその先がみんな想像がついていることを気が付いていた。

空也「そのあとは多分みんなは想像がついてると思うけど。そこに行ったら集団にリンチされたよ。そして本格的に頭にきて……。無意識に魔法を使っちまったんだ。もちろん致命傷とかは与えてないよ。けど中学生からしたらそれだけでも化け物のように見えるんだ。だから中学にいる間は俺は化け物って呼ばれていた」

 これが空也が化け物と呼ばれるようになったきっかけで魔法使いの空也が生まれた瞬間だった。

 

 話し終わると先ほどの暗い表情からさらに暗い表情に穂乃果はなっていた。

穂乃果「…………」

 悲しそうな目で空也をそしてほかのμ'sのメンバーを見つける。

 

 ここまでで自分の過去は話し終わった。そして自傷気味に笑いながらみんなに言う。

空也「これが大まかな魔法使いとしての始まりの過去だ。幻滅したか?」

 魔法を使って致命傷を与えなかったけど危害を与えたことに変わりはない。それも魔法という強い力で。

 

 空也の過去を話し終わった状況で重苦しい雰囲気が漂う。そんな中凛が口を開く。

凛「……? なんでそれだけで幻滅しなきゃいけないのかにゃ? 空也君は空也君だにゃ」

 難しくて話が分からなかったとかそういう理由ではない。凛の言う通り空也は空也だ。今まで過ごした時間でそれが分かるからこそ言える言葉だった。

 

 今の空也にはその言葉は十分すぎた。だからここで空也は選択をする。

空也「……。よかった……。じゃあ今一度これからよろしくな。みんな」

 これからを再スタートすること。話せる過去をすべて話した空也はちゃんとした形で始めることを決意した。

 

 もちろん空也の言葉に対する回答はよろしく以外なかった。それだけ空也も信頼されていたということだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空也の話も終わりここで話してしまおうと思っていたことを始めることにした。

空也「さて、ことり。心の準備はいいか?」

 先ほどの重苦しくも感動する場面から一転。空也はことりに話をする覚悟があるかどうかを確認する。

 

 それでもことりは話をすることを拒む。

ことり「なんの事かわからないよぉ~」

 とぼけてみるがそれは空也には関係なかった。

 

 今までことりを見てきて不自然だったことがある。それは幼馴染だったからこそ気が付いた疑問点。

空也「ことりが隠してることをここでみんなに言え。特に穂乃果に」

 細かいことはわかないがそれでもことりが昔から好いていた穂乃果には話しておかなければならないだろうということは気が付いていた。

 

 それでも答えることを渋ることり。

ことり「え!? なっ何のことかな」

 手をワタワタさせてことりは空也に話していた。

 

 しかしその癖が出た瞬間に海未も空也同様に攻撃を始める。

海未「これは嘘をついてるときのことりですね……」

 この癖がことりが嘘をついているということを現し何かを隠し事があるということを肯定するものだった。

 

 穂乃果もことりの手を取って話してくれるようにとことりに詰め寄った。

穂乃果「そうだよ! なんでもいいから話してよことりちゃん!」

 悩みなのかそれとも隠し事なのかそれを聞こうとことりに熱心に話す。

 

 みんなもことりが何かを隠していることが分かり話してほしいと目で訴えてきた。

空也「こういうことだ。早く話せ。ここにいるみんなはお前の力になるはずだから」

 きっと空也の言う通りここにいるみんなは絶対に力になる。それは先ほどの空也の話を聞いてくれた時のように。

 

 そのことをようやく理解できたことりは、

ことり「空也君……。穂乃果ちゃん……、みんな……。うん!」

 ようやく話すことに決めた。少し目に涙が見えていた気がする。

 

 ことりが話しやすいように絵里が話の起点を作る。

絵里「それでことりは何を隠してるの?」

 いまみんなが気になっていることを聞く。

 

 決意はしても最初の言葉は詰まってしまうことり。

ことり「そっそれは……ね。実は外国にあるファッション専門の学校に留学しないかっていう話が来てるんだけど……。私……、みんなと別れたくないけど。でも、学校にも行ってみたいと思ってるの。どうしたらいいのかわからないよ~……」

 それはことりの将来に大切なこと。それでも始めたアイドル活動は足たいという葛藤がことりの中であった。そういって先ほどから少し涙ぐんでいたことりは泣き出してしまう。

 

 ことりの話を聞いた空也は、聞いたことに後悔はしなかったが簡単に聞いていいことではなかったことを理解した。

空也「確かに、俺たちの口出ししていい問題じゃないな…。けど、ここには1人。お前を救ってくれる人がいるぞ」

 それでもこの状況で話してくれる人が1人いる。穂乃果がこの状況を何とかしてくれる。

 

 悩んでいたからこそそのことに気が付かなかったことを指摘され、

ことり「え……?」

 若干だが戸惑いが出てきた。

 

 そんなことりを置いておいてまずは穂乃果がことりに言いたいことを言うように話を振る。

空也「さて、穂乃果。お前が今思ってることを話してみな」

 

 空也に話を振られ話し始めた。

穂乃果「うん! 確かに、ことりちゃんの将来を考えるなら学校に行ったほうがいいと思う……。けど……私は、ことりちゃんと音ノ木坂を卒業したい! μ'sとして活動したい! だから、行ってほしくないよ……ことりちゃん……」

 これが今の穂乃果の思っていたこと。どれだけことりにとって有利な状況でも自分の感じていることを言う。わがままなことだとわかっていたとしてもことりと一緒に音ノ木坂を卒業したいと思う気持ちとアイドルを続けたいと思う気持ちを優先したいと思った。

 

 そんなわがままにことりは、

ことり「穂乃果ちゃん……」

 きっと言ってほしかった言葉なのだろう。涙を流していたことりはより一層涙を流していた。

 

 きっとことりのことを優先して穂乃果の言ったことを言うことができない空也は、

空也「さすが穂乃果だな。俺たちのいえないことを簡単に言ってくれるんだもんな」

 ことりを引き留められたことに感謝をしていた。

 

 そんな空也の言っていたことを聞いた海未は空也のもとでこっそりと話をすることにした。

海未「それが、穂乃果のいいところですから……。あなたもそこに惹かれたのでしょう」

 後半は空也にしか聞こえないくらいの声で話した海未。

 

 空也は海未の言葉が聞こえていたが、ここでそれを認めてしまっては魔法使いとして終わってしまうというので、

空也「さぁな」

 っと曖昧な答えを出した。

 

 穂乃果の言葉を聞いてことりの答えが決まったのか確認をとるように空也が聞くことにした。

空也「さて、どうだったことり。話してみて、何か変わったか?」

 ことりの顔を見ると何か決めたようなすっきりとした顔をしている。

 

 そしてそのことりの回答は、

ことり「うん。私、このままμ'sのみんなと、アイドルをやっていたい!」

 このまま日本に残ってスクールアイドルを続けることだった。

 

 話が終わりここで一つの大きな出来事が終わった。今回で一層友情が深まったμ'sはこれからライブに向けて頑張ることにして芳乃家に戻ることにした。

 




文化祭あとで打ち明けるはずだったことを今回で終えてしまいました。

あれはあれで感動するのですがやっぱりぎすぎすした関係になってしまうのは避けたかったのでこういう対策を取りました。もちろん後悔はしていません。

新しくお気に入り登録をしてくださったRisukiさんありがとうございます!

次回『未来を変えるために』

それでは、次回もお楽しみに!



Twitter始めました。
https://twitter.com/kuuya_soranari
どうかよろしくお願いします!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。