ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~ 作:そらなり
前回も言った通り『ワンダーゾーン』回は今回で終了となります。
それでは、今回も様々な想いを持った彼女たちを見ていってください!
穂乃果の作戦を実行すべく、空也たちはことりの働いているメイド喫茶に来た。
ことり「お帰りなさいませ! ご主人様」
慣れていることりはいつも通りに甘い声で挨拶をして、穂乃果と海未に見本を見せる。
その見本を見た穂乃果は、
穂乃果「お帰りなさいませ! ご主人様!」
穂むらの手伝いをしているおかげかスムーズにできている。
そしてやはりというべきか海未は、
海未「お帰りなさいませ……。ご主人様……」
最初の声が小さいのにもかかわらずだんだんと声がフェイドアウトしていった。
ことりは穂乃果と海未のメイド服姿を見て、
ことり「うわ~、可愛い~。2人ともばっちりだよ」
衣装を着た時と同じようにすごく興奮していた。その間に海未は少し怒っているのか顔が引きつっていた。
そしてその様子を見てた空也は、3人の姿を見て恥ずかしそうにはしていたが本題に入る。
空也「ここの店長が許可してくれてよかったな」
そう。穂乃果の出した方法とはバイトしながら考えるということ。最初の場面で躓かずに空也は安心していた。まぁ、条件として裏で空也自身が手伝うことを約束したが。
そしてことりは、
ことり「うん!」
4人ここで働くのがうれしいようでとても明るい笑顔で答えてくれた。
先ほどから顔の引きつっていた海未はようやくその口を開く。
海未「こんなことだと思いました……」
その言葉は少しあきれ気味だった。
しかしそれはすぐに解消される。
空也「まあまあ」
なぜならそれは空也が海未を治めたからだ。
するとちょうどいいタイミングで、
凛「にゃー! 遊びに来たよ!」
凛が入店してくる。
それに合わせて花陽と絵里、真姫。そしてカメラを持った希が入ってくる。
花陽「えへへへへ」
絵里「アキバで歌う曲ならアキバで考えるってことね」
希「ではでは早速取材を~」
希はカメラを出して海未たちを撮ろうとする。
その行動を海未がカメラをふさいで止める。
海未「やめてください。なぜみんな……」
海未は何も知らないみんなが来たことに驚いているようだった。
それを空也が答える。
空也「俺と穂乃果で呼んだんだよ」
せっかくということで働くことりを見てどういった感じなのかを見てもらうべく空也の提案で呼ぶことにしたのだ。
そうしている間に小さくて見えなかったのか入店して席にまで座っているにこが店員であることりたちに、
にこ「それより早く接客して頂戴」
催促のオーダーをした。
その言葉でスイッチが入ったのか、
ことり「いらっしゃいませ。お客様2名様でよろしいでしょうか」
ことりが先頭を切って花陽と凛を席に通す。
しっかりとした姿勢で無駄な動きがなく自信を持った動きで花陽と凛を席に通した。
花陽「さすが伝説のメイド……」
その動作を見た花陽は、なぜことりがそう呼ばれるのかを理解した気がした。
凛は単純にスムーズにしっかりと動くことができていることりに目が釘付けになっていた。
凛「ミナリンスキー……」
それからことりはオーダーできたオムライスにケチャップで絵を描いたりした。
その裏では……
穂乃果「海未ちゃん! さっきから海未ちゃんずっと洗い物ばっかり。お客さんとお話ししなよ」
穂乃果が海未にそう感じた不満をぶつけていた。
自分でも原因はわかっている海未は、
海未「仕事はしています。そもそも本来のメイドというのはこういう仕事がメインのはずです」
確かにと思われることを言って何とか切り抜けようとする。
そのおかげか穂乃果は、
穂乃果「屁理屈言ってる~」
これ以上強く言うことができなかった。
しかしずっとここにいたままではいけないので空也は、
空也「それでもいいけど、少しはほかのμ'sのメンバーの相手もしろよ」
料理を作りながら海未にできそうな提案をする。
空也にそう言われた海未は、
海未「……。まぁそのくらいなら……」
それなら自分にもできそうだと感じたのか空也の意見を受け入れることにした。
そうしているとフロアからことりが厨房に帰ってくる。
ことり「海未ちゃん。これもお願い」
その手には食べ終わった皿がありそれを海未に渡す。
それを普通に受け取る海未。
海未「あ、はい」
しかしそんな海未にことりが注意する。
ことり「ダメだよ海未ちゃん。ここにいる時は笑顔を忘れちゃダメ」
この仕事にことりが持っているプライドがあったようでしっかりとそこは注意する。
海未はことりの言葉に食い下がるが、
海未「しかしここは……」
そこに関しては海未にも譲れないものがあるから、
ことり「お客さんの前じゃなくてもそういう心構えが大事なの」
ことりは絶対に認めなかった。
やがて海未が折れて、
海未「はっはぁ」
空也との提案であったμ'sメンバーの接客をしに向かった。これで海未の笑顔のスイッチは入るだろう。
それからしばらく仕事をこなして今はコーヒー豆の補充に来ていた。
穂乃果「ことりちゃん。やっぱりここにいるとちょっと違うね」
そんな中ずっと一緒にいた穂乃果と空也だからこそわかる変化があった。ちなみに海未はフロアで凛たちの相手をしている。
いきなり言われたことりは、
ことり「え? そうかな?」
ハトが豆鉄砲を食らったような顔で聞いてきた。
それに答えたのは空也。
空也「あぁ、いつもよりもより生き生きしてるぞ」
空也の言う通り、慣れているからなのもあるがそれだけでは説明が付かないほどこの仕事をしているときのことりは輝いて見えた。
空也の言ったことを穂乃果も思っていたようで、
穂乃果「うん!」
元気にうなずきその言葉を肯定する。
すると何かを考えたと思ったらすぐにことりが口を開く。
ことり「うん。なんかね、この服を着ているとできるっていうか、この町に来ると不思議と勇気がもらえるの。もし思い切って自分を変えようとすれば、この町ならきっと受け入れてくれる気がする。そんな気持ちにさせてくれるんだ。だから好き!」
それが今のことりの気持ち。そしてこの町に対する感じ方だった。
つまりそれは今回の作曲活動で求められた一番重要なことだった。
空也「なんだよ。やればできんじゃん」
それにすぐに気が付き、その言葉を発したことりに安心する。
ことり「え?」
その言葉の意味をことりはまだ理解していない。
しかし穂乃果には通用したのか、はたまた自分で感じ取ったのかまではわからないが、
穂乃果「そうだよ! 今のだよ! 今ことりちゃんのいったことをそのまま歌にすればいいんだよ! この町を見て、友達を見て、いろんなものを見て、ことりちゃんが感じたこと。思ったことただそれを歌にのせればいいんだよ!」
いまだわかっていないことりのその言葉がいかに重要だったのかを伝える。そこまでたどり着いならもう答えは出ている。詳しい答えを聞いても問題ない。
穂乃果の作戦が成功したのかその日を境にことりの作詞のペースは格段に上がった。数日で完成させた歌詞はことりがどんな想いでアキバのことを見ているのか。そしてどう感じているのかがわかる歌詞になっていた。
その歌詞を見た真姫もすぐにイメージがわいたようでまた数日で作曲を終える。そしてライブの打ち合わせをしていく過程でメイド服を着てライブをすることになった。ことりの働くメイド喫茶からメイド服は借りることはできた。その条件として2年生組が店で働くとのことだったか穂乃果たちも満更でもなかったためすぐに受けることにした。
そしてライブ当日。ヒデコたちが駆けつけてくれてライブをするまで穂乃果たちは働き、そしてライブを見ていってもらった。そのライブは大成功し、いい意味で大きく目立つことができたと思う。
ライブが終わり神田明神で夕日を空也と穂乃果と海未、そしてことりとみていた。
空也「みんな見事に成功させたな」
そして空也が先ほどのライブを思い出して穂乃果たちに話しかける。
穂乃果は先ほどのライブの余韻が残っているのか、
穂乃果「うん。うまくいってよかったよ。ことりちゃんのおかげだよ」
少し興奮気味だった。そして今回のライブで一番頑張ったことりをねぎらう。
ことり「ううん。私じゃないよ。みんながいてくれたから、みんなで作った曲だから」
穂乃果の言葉を聞いたことりは少し謙遜気味に答える。
そのことを穂乃果が否定すようとするが、
穂乃果「そんなこと……」
それは空也によって止められる。
空也「そういうことにしとこうぜ。何より成功して何よりだ」
今回は本人がそうしてほしいと願っているならそういうことにしておいたほうがいい。
それは穂乃果も海未も同じだった。
穂乃果「そうだね」
海未「そうですね」
それを聞いたことりは先ほどより少し笑顔になって、
ことり「うん! そのほうが嬉しい」
そういうことりは本当にうれしそうだった。
そのあとに思い出したかのようにことりが会話を広げる。
ことり「ねぇ、こうやってこの4人が集まるとあのファーストライブのころを思い出さない?」
ファーストライブをしたころと同じように穂乃果たちが横で並びその前で空也が見ているという状況だったのでことりが感慨深く口にした。
ことりに言われて穂乃果も当時の状況を思い出す。
穂乃果「うん」
そして今や10人になったμ'sだが、
海未「あの時はまだ、私たちだけでしたね」
海未の言う通りその時は4人だけだった。それだけ今が成長したということになる。
空也もその成長を噛みしめていた。
空也「そうだったな」
そこでこの場で何か不安に駆られたことりが口を開く。
ことり「あのさ。私たちいつまで一緒にいられるのかな?」
この先の未来のことが不安になった。
急に降られた穂乃果は、
穂乃果「どうしたの? 急に」
そう言いながらもパッとその場面が想像できなかった。
穂乃果にもわかるようにことりは話を続ける。
ことり「だってあと2年で高校も終わっちゃうでしょ」
より詳しくすることで余計不安感が強くなる。
そのことをわかっている海未もやがて、
海未「それはしょうがないことです……」
暗くなってしまう。それは仕方のないことだろう。なぜなら人は未来に不安を感じる生き物であるから。
しかしそれだけではない。
空也「おいおい、感傷的になりすぎだ。まぁそれぞれの進路はあるけど、連絡先もあるわけだし全く会えなくなるわけでもない。だからそんなに悲しむことでもない。まぁずっと一緒にはいれなくはなるが」
空也の言う通りこれからずっとあえなくなってしまうわけではない。そして人は未来に希望を感じることのできる生き物でもある。希望があれば未来を切り開ける。
穂乃果はそう言う考え強い人間だった。
穂乃果「大丈夫だよ! ずーっと一緒だってこの先ずっとずっとことりちゃんと海未ちゃんそして空也君と一緒にいたいって思ってるよ。大好きだもん!」
その言葉からは全くの不安も感じないまっすぐな言葉だった。
そして穂乃果の言葉は周りを勇気づける。
ことり「穂乃果ちゃん……。うん! 私も大好き! ずっと一緒にいようね」
先ほどの不安が感じないほど明るかった。
そしてことりの約束に3人が反応する。
くうほのうみ「「「あぁ(えぇ、うん)」」」
これはただの口約束だ。破られるかもしれない。だけどそんな心配は4人にはなかった。ただの口約束でも絶対に守れると確信していたから。
その日はそれで帰った。しかしのちに知ることになる。先ほどの約束が守れなくなってしまうかもしれない状況になってしまうという先の未来を。
最後は明るくなったと思ったらすぐに暗くなりましたね。
この先、ぶっちゃけ原作通りには進みません(ことりの留学の件)。どうなるのかはもう少し先のお楽しみということで取っておいてください。
次回『夏だ! 合宿に行こう! その1』
次回から合宿回。それでは、次回もお楽しみに!
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